短編集

ぽよ

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飲み物

コーンポタージュ缶

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「あー寒い寒い」

 仕事終わり、90分もかかる退勤の後半。2回ある乗り換えが終わり、最後の路線へと入る。その路線ですらも乗り換えがあるから実質3回の乗り換え。その最後の乗り換えは時間がかかる。電車の接続が悪いのだ。一度電車を降りてホームに出る。壁もなければ風除けもない。風が吹いていてさらに寒い。敷地だけは広いのに風除けも待合室もない。ただ長いだけのホームに椅子が等間隔で5脚ほど置いてある。いつも自分が乗り換えで降りるあたりにも椅子がある。そして、その近くには自動販売機もある。電車から降りてすぐ自動販売機へと向かう。

「やっぱこれだよな」

 選んだのは、コーンポタージュ缶。内容量は200mlほどしかない。しかし、この時期に嬉しいホット缶で、味が濃いのにしつこくない。そして何よりも量が少ないからこそ短い乗り換えの間でも飲み切ることができる。お金を入れてボタンを押す。出てきた缶で暖をとる。手が温もり切ったらプルタブを開ける。そのまま一気に飲む。飲み慣れた味が口の中に広がり、たまに入ってくるコーンも美味しい。3口ほどで完全に飲み終わり、中に残っているコーンを食べ切るために少しだけ頑張る。コーンを満足するだけ出し切れば、自動販売機横のゴミ箱に捨てる。そのタイミングを見計らったかのように来る電車に乗り込む。毎日仕事が大変だ。だから、すこしくらい贅沢してもいい。闇に染まった空を見ながら冬の良さを噛み締めていた。
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