短編集

ぽよ

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「君にとって正義とはなんだ」
「俺にとって正義とは、悪の反対だ」
「じゃあ、悪とはなんだ」
「この世の中で悪いことをすること」
「じゃあ、悪いこととはなんだ」
「人が不快に思うこと」
「なるほど」
「そんなことはどうでもいいんだよ!なんで俺を助けた!お前は俺の仲間じゃないだろう!」
「別にお前の仲間じゃなければ助けてはいけないという法律はないだろう」
「正義でも気取ってるつもりか?」
「確固たる正義というものはこの世には存在しない。あらゆる思想が存在し、それが正義や悪という名前で枠組みとして定義しているだけにすぎないからだ」
「そんなことが聞きたいんじゃない!」
「だったらなんだ」
「お前はいつも俺の邪魔をするくせに、なんで今回は俺を助けたんだよ!俺は敵だろう!」
「お前は敵ではない。お前は味方でもない。そもそも俺は俺の生き方でしか生きていない。今回はたまたまお前と敵が同じだっただけの話だ。また明日からは敵になるかもしれないし、味方かもしれない。それは俺にも分からない。別にそんなことはどうだっていいんだよ。俺は俺のやりたいようにやる。お前がそれが嫌だってんなら、お前が頑張るしかないだろう」
「意味わかんねえよ!俺はどうすればいいんだよ!教えろよ!」
「そんなことは自分で考えな。その先にしか答えはない」

 不快な問答の末に、あいつは去っていった。今回が初めてだった。俺があいつと手を組んだのは。いつもは俺の邪魔ばっかりするくせに、今回は何故か俺の味方になった。壮絶な剣戟の末にぶっ倒れていた俺の前に現れて、敵をすぐに倒してしまった。今までの俺の戦いの全てを否定するかのようなその実力は、俺に激情を与えたのだ。あいつが歩いていく後ろ姿を見ながら、正義とは何か、悪とは何か、強さとは何かを考えていた。努力の末に得られるものもあれば、どんな努力をしても得られないものだってある。あいつは全てを持っている気がした。俺は俺の生き方で、もっと強くならなければいけない。そうすることでしか、前に進めないと知っているからだ。あいつの後ろ姿すら見えなくなるほどの時間が経ってから、やっと体が動き始めた。あいつに勝つためにするべきことはなんなのか。分からずとも、分かっていくためにやるべきことをやる。俺は、荒れ果てた荒野を歩き始めた。次なるステージへと、進んでいくために。
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