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陛下も、走る。
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「娘との婚約も解消して下さい、陛下。」
「そ、それは…… 」
陛下は婚約解消を渋った。阿呆息子には賢いオードリー嬢が必要であったからだ。
「婚約破棄を言い出そうとする阿呆には、娘はやれません。」
「うぬぬぬっ…… 」
陛下は唸った。
「娘は、病気治療の為に第二王子との婚約は辞退したと。」
「うぬぬぬっ…… 」
陛下は返事をしたくなかった。王子として傍に置くに為には、賢いオードリーが必要である。
「どのみち、阿呆は男爵令嬢に夢中ですし。聞く耳ももちません。婚姻させてやれば、静かになるでしょう。」
「うぬぬぬっ…… 」
男爵令嬢と別れさせようとすれば、揉め事を起こすであろうと理解できる。
「仕方がない、その令嬢と婚姻させて降格するか。」
「それでこそ、この国の国王陛下です。」
阿呆だが可愛い息子である、が国の威信為にも切る時は切るしか無い。と、陛下は決心した。
「では、私は婚約解消の手続きに入りますので、陛下は阿呆を早急に回収してください。」
「うむ、分かっておる。」
宰相は婚約解消の手続きの為に、足取り軽く陛下の前から退散する。
「こうしてはおれん。」
陛下はふわふわの毛のついたマントを羽織った。そのまま前に集め持ち扉へと向かう。
「サイオンはまだ部屋か? 」
「はい、まだ部屋かと。」
従者が、陛下の後に続き応える。
「連絡が入るまで、部屋から出るなと伝えろ。勿論、フィーリア孃にもだ。」
「はっ、かしこまりました。」
部屋を出ると従者と別れる、王は廊下を走る。舞踏会会場へと、その後を護衛騎士も共に走り出した。
「どうなされました!? 陛下。」
「緊急事態だ、会場へ向かう。」
緊急事態と聞いて護衛騎士に緊張が走る。
「会場内で何かありましたか? 」
先程先触れと同時に現れた宰相閣下を思い出す。かなり急いでいるようすであった。
「うぬぬぬっ…… 阿呆を回収しないとならん。」
「阿…… ダンサン殿下ですか。」
護衛騎士にも阿呆で通じてしまった。しかし、護衛騎士は第二王子を阿呆とは言えなかった。
「何かやらかしましたか。」
「ですから、弟君でも婚約披露への立ち入りはお勧めしないと…… 」
国王護衛騎士の副官と団長が陛下に進言した。
「オードリー孃が一緒なら平気かと思ったのだ。それにまだやらかしてない!! 」
宰相や護衛騎士団長の進言を却下し、王太子の婚約披露パーティーにダンサンの参加を許してしまった陛下であった。
まさか、大事な兄の婚約披露パーティーで婚約破棄を考えるとは思いもよらなかったのだった。
(阿呆だが兄を慕っておったから、まさか兄の大事な婚約披露の場で婚約破棄を…… )
「やらかす前に回収するのだ。」
「はっ!! 」
マントを手に持ち走りながら話す陛下の言葉に、護衛騎士団は走りながら応える。
「お前達は先に行き、会場内の阿呆(こほん)ダンサン殿下を探し出せ。見つけ次第、できるだけ静かに回収(こほん)退場願え。」
「はっ!! 」
走りながら後ろの三人の部下に命令を下す。三人は先行して足を早める前に、副官が陛下に進言した。
「陛下、恐れながら。見つけ次第、首筋に『トン』とすることをお許しください。」
それは問答無用で気を失わせる許可をくれと言っている事である。
「よく気が付いた、その方が確実だな。」
「うぬぬぬっ…… 」
護衛騎士団長の言葉に、陛下は唸る。しかし二人の言っている事は最もであった。
意識がある阿呆に退室を促せば、どうしてかと騒ぎ立てるに違いない。陛下の瞑った目の裏にありありとその状態が浮かび上がる。
認めなくはないが、会場内で騒ぎを起こさせる訳にはいかない。
「い、致し方あるまい。」
陛下は問答無用で気を失わせる事を許可した。
かくして、護衛騎士三人は急いで走る陛下を追い越し、舞踏会会場へと全速力で走った。
「そ、それは…… 」
陛下は婚約解消を渋った。阿呆息子には賢いオードリー嬢が必要であったからだ。
「婚約破棄を言い出そうとする阿呆には、娘はやれません。」
「うぬぬぬっ…… 」
陛下は唸った。
「娘は、病気治療の為に第二王子との婚約は辞退したと。」
「うぬぬぬっ…… 」
陛下は返事をしたくなかった。王子として傍に置くに為には、賢いオードリーが必要である。
「どのみち、阿呆は男爵令嬢に夢中ですし。聞く耳ももちません。婚姻させてやれば、静かになるでしょう。」
「うぬぬぬっ…… 」
男爵令嬢と別れさせようとすれば、揉め事を起こすであろうと理解できる。
「仕方がない、その令嬢と婚姻させて降格するか。」
「それでこそ、この国の国王陛下です。」
阿呆だが可愛い息子である、が国の威信為にも切る時は切るしか無い。と、陛下は決心した。
「では、私は婚約解消の手続きに入りますので、陛下は阿呆を早急に回収してください。」
「うむ、分かっておる。」
宰相は婚約解消の手続きの為に、足取り軽く陛下の前から退散する。
「こうしてはおれん。」
陛下はふわふわの毛のついたマントを羽織った。そのまま前に集め持ち扉へと向かう。
「サイオンはまだ部屋か? 」
「はい、まだ部屋かと。」
従者が、陛下の後に続き応える。
「連絡が入るまで、部屋から出るなと伝えろ。勿論、フィーリア孃にもだ。」
「はっ、かしこまりました。」
部屋を出ると従者と別れる、王は廊下を走る。舞踏会会場へと、その後を護衛騎士も共に走り出した。
「どうなされました!? 陛下。」
「緊急事態だ、会場へ向かう。」
緊急事態と聞いて護衛騎士に緊張が走る。
「会場内で何かありましたか? 」
先程先触れと同時に現れた宰相閣下を思い出す。かなり急いでいるようすであった。
「うぬぬぬっ…… 阿呆を回収しないとならん。」
「阿…… ダンサン殿下ですか。」
護衛騎士にも阿呆で通じてしまった。しかし、護衛騎士は第二王子を阿呆とは言えなかった。
「何かやらかしましたか。」
「ですから、弟君でも婚約披露への立ち入りはお勧めしないと…… 」
国王護衛騎士の副官と団長が陛下に進言した。
「オードリー孃が一緒なら平気かと思ったのだ。それにまだやらかしてない!! 」
宰相や護衛騎士団長の進言を却下し、王太子の婚約披露パーティーにダンサンの参加を許してしまった陛下であった。
まさか、大事な兄の婚約披露パーティーで婚約破棄を考えるとは思いもよらなかったのだった。
(阿呆だが兄を慕っておったから、まさか兄の大事な婚約披露の場で婚約破棄を…… )
「やらかす前に回収するのだ。」
「はっ!! 」
マントを手に持ち走りながら話す陛下の言葉に、護衛騎士団は走りながら応える。
「お前達は先に行き、会場内の阿呆(こほん)ダンサン殿下を探し出せ。見つけ次第、できるだけ静かに回収(こほん)退場願え。」
「はっ!! 」
走りながら後ろの三人の部下に命令を下す。三人は先行して足を早める前に、副官が陛下に進言した。
「陛下、恐れながら。見つけ次第、首筋に『トン』とすることをお許しください。」
それは問答無用で気を失わせる許可をくれと言っている事である。
「よく気が付いた、その方が確実だな。」
「うぬぬぬっ…… 」
護衛騎士団長の言葉に、陛下は唸る。しかし二人の言っている事は最もであった。
意識がある阿呆に退室を促せば、どうしてかと騒ぎ立てるに違いない。陛下の瞑った目の裏にありありとその状態が浮かび上がる。
認めなくはないが、会場内で騒ぎを起こさせる訳にはいかない。
「い、致し方あるまい。」
陛下は問答無用で気を失わせる事を許可した。
かくして、護衛騎士三人は急いで走る陛下を追い越し、舞踏会会場へと全速力で走った。
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