聖女無双。

❄️冬は つとめて

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聖女無双。(ぱーとふぉうー)

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「ごめんなさい、ごめんなさい、アイシア様!! アンネが、アンネが、ガリオン様を愛してしまったばかりに!! 」
アイシアに地に押さえつけられているガリオンに縋りつきながら、騒ぐアンネ。

「アイシア様。アンネは体が弱く、僕が付いていてあげないと駄目なんです。」
「ごめんなさい、ガリオン様。アンネが、アンネが、か弱いばかりに婚約解消をさせてしまって~~ 」
アイシアに押さえつけられなからも、アンネを気づかうガリオン。

様なら、分かってもらえますよね。だって、アンネとガリオン様は『真実の愛』で結ばれてしまったんだから~~ 」
祈るように陶酔した顔をアイシアに向けるアンネ。

アンネはアイシアに『女神』の姿を重ねる。

「女神様は『真実の愛』をきっとお許しになってくださいますわ~~ だって『真実の愛』は尊いですもの~~ 」

「ぬかせ!! 」

ぱぁああん!!

アイシアはガリオンを押さえているのとは違う手でアンネに『聖女の嘆き』の平手打ち(強)を食らわす。

アンネは鼻からミミズのように血が這い出し、体は見事に弾き飛びコロコロと地を転がった。

「アンネ!? 」
地べたに顔を付けながら、ガリオンがアンネに叫ぶ。

コロコロと転がったアンネは、何故かコロコロと転がって戻ってくる。アイシアは風魔法で、アンネを手元に引き戻す。

「「「おおっーー!! 」」」
と、周りの生徒達が声を上げる。

「『愛』は、尊いですわ。」
がっしっと、アンネの頭を押さえて地に這わせながら聖母のようにアイシアは瞳を閉じた。

「だがな『愛』が総ての免罪符なるわけ、ないやろ。
われも、脳みそわいてんか? 」

「ご、ごめんなさい!! 調子こいてました!! 」

アイシアの開かれたその目は、三白眼である。

回復魔法で既に怪我がないアンネだが、制服はコロコロ転がって土と芝生まみれだ。

「われ、か弱いんだってな? 」
アイシアの声が凄む。

「そうだ、アイシア様!! アンネの体を癒やしてあげて下さい!! 」
ガリオンは思い出したようにアイシアに懇願する。

ふっと、アイシアは優しく微笑んだ。
その微笑みは聖母の微笑みだ。
だが、

「留学生に、体の弱い者が選ばれるはずないやろ。われ、あほやろ。」

「そうだよな。」
「そうですわ。」
周りのこの国の生徒達もアイシアの言葉に頷く。

そう、留学生に体の弱い者が選ばれるはずはない。
もし、他国で倒れでもしたら国際問題である。

「どういう事か? 」
と送り出し国が講義すれば、体の弱い留学生を送り出した国に受け入れた国が
「倒れるような者を送り出したのか、どういう事だ? 」
講義を言うに違いない。

「ご、ごめんなさい!! ガリオン様の気を引きたくて、か弱いをしてました!! 」
「「「えっ、そうなの!? 」」」
覚醒しているアンネは、素直に真実を話し謝った。ガリオンと周りの男子生徒は、驚くばかりだ。

「「「あ、やっぱり。」」」
女生徒は、白けた声を上げる。
見事なか弱いに、騙されたのは男子である。

「アイシア様…… 」

二人を押さえつけている後ろから声が聞こえてきてアイシアは振り返った。

銀の髪と緑の瞳、アイシアの義理姉ミスティアに良く似た令嬢が立っていた。

彼女はアンジュ。ミスティアの母方の妹の娘にして、アイシアにとっても従姉妹になる。

共にで留学生として勉学を励み友情を育んできた。

「アンジュ。私、ついときてしまって…… 」
アイシアは立ち上がり、手を胸で組んで目を逸らした。
ふわふわとした茶色の髪が風に揺れる。アイシアの立ち姿はどう見ても、庇護欲をそそる可憐な少女だ。
 
「「「はーーっ…… 」」」
アイシアの可憐な姿に、見ていた周りの生徒達は息を吐く。

「ありがとう、アイシア。」
アンジュはアイシアに心からの礼をする。そして地に這いつくばっている、二人に目を向ける。

「ガリオン様、婚約解消は受け入れますわ。アンネ様とお幸せに。」
アンジュは寂しそうに言った。

そう、ガリオンはアンジュのである。
だが、ガリオンの余りにもにアイシアは切れてしまったのだ。

「アンジュ、すまない。」
「ごめんなさい、アンジュ様。」
二人は這いつくばったまま、謝った。

「でも、慰謝料は頂きますから。2人とも。」
しれっとした、真面目顔でアンジュは言う。

「アンジュ、君のそう言うところだよ~~ 」

其れは其れ、此れは此れの切り返しの心の強いアンジュがいた。  

何処からともなく拍手がわく。


「アンジュ様…… 」 
アイシアは毅然に立っているアンジュの後ろ姿に、姉のミスティア見た。

「あ、この経緯はミスティア様に報告を入れます。」

振り向いたアンジュは、真面目な顔で言った。何故なら、アンジュはミスティアから頼まれたアイシアのお目付け役であった。

「い、いや~~!! お姉さまには言わないで~~!! お願い、アンジュ様~~ 」
「お目付け役ですから。」
懇願するアイシアの言葉をアンジュは切って落とした。




後日。

「いや~~ お姉さま、許して~~ 」
学生寮にアイシアの声が木霊する。


【直ぐ 帰郷せよ。 再教育。】

短い、電報がミスティアからアイシアに届いた。



【完】

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