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聖女召喚
聖女召喚。【前編】
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「ここは…… 」
アイシアが目覚めたのは、明るい光の中だった。
石の床に丸い魔法陣が明るい光を放ち、アイシアはその真ん中で目覚め体を起こした。
魔法陣の光が静かに消えていく。
光が消えると周りに沢山の人がいることが分かる。
「ようこそお越しくださいました、聖女様!! 」
「今回も成功だ!! 」
騒ぎ立てる人々の中、アイシアは首を傾げる。白いワンピースのスカートを床に広げ、ふわりと茶色い髪が肩を流れる。
それは王太子妃となった姉ミスティアに会いに城を訪れた時であった。足元に光の魔法陣が現れ、アイシアは意識を失った。
「どこの国かしら? 」
聖女は浄化をおこなう存在。
浄化を願うためには、王自ら頭を下げる存在である。
ブックス国が聖女であるアイシアの後継人であり、浄化の願いを受け付ける窓口であった。
故に今の状態はいただけない。
浄化を求めるなら、ブックス国に話を通さねばならないのである。
「転移魔法で呼び出すなんて…… 緊急かしら? 」
アイシアはきょろきょろと辺りを見回す。何処の国かを見極める為に。
「聖女様、どうぞ此方に。」
見慣れない法衣を着た聖職者と思われる男性が、アイシアを促す。アイシアの側に四人ほどの騎士が囲む。
アイシアは背筋を伸ばし、前を歩く聖職者の後を追った。
「緊急なの? 」
「えっ? 」
「浄化の為に、私を呼び出したんでしょう? 」
「は、はい。先ずは王との謁見を…… 」
毅然とするアイシアにたじろぐ聖職者の男性。
「直ぐ現場に向かってもいいのだけれど…… 」
正直王との謁見は面倒であった、色々と礼儀作法とか王の長い話とか。
できればさっさと浄化を終えて、国に帰りたい。久しぶりの義姉様とのお茶会だったのだ、長いはしたくはなかった。
謁見の場に通されて、アイシアは再び頭を捻った。
「我が国の為に、聖女の力を使えることを光栄に思うがいい! 」
王の言っていることが、よく分からない。
「我が国に、儂に選ばれ、呼ばれたことを感謝するがいい!! 」
王は偉そうに笑った。
(何を言っているのかしら、この方? )
「わざわざ異世界からお前を呼んでやったのだ、ありがたく思うがいい!! ワハハハは!! 」
偉そうに上の段の王座から見下す、この世界の王。
「異世界? 」
(異世界国、てことかしら? )
アイシアは異世界を国名と思って、可愛らしく首を傾げた。
「ふ、ふん!! 」
王はアイシアの可愛らしさに、顔を染めた。
「お前は、こいつ等と違って髪色が茶色いから可愛がってやってもよいぞ!! 」
王座の下の段に黒髪の少女が二人並んで立っている。表情が暗く、やせ細って見える。
「おぞましい黒髪だが、聖女として扱ってやっている。感謝するがいい!! 」
蔑む目で、王は聖女と呼んだ少女達に言って聞かせる。
「「ありがとうございます…… 」」
震えながら二人の少女は王に御礼を言う。
王だけではない、そのにいる者達も『聖女』と呼ばれた二人の少女を蔑んだ目で見ていた。
ガタガタと震えてる少女の一人がアイシアに近寄ってくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
俯き小さな声で、謝りながらアイシアの側によった。
「あなた、大丈夫? 」
アイシアはふらふらになりながら近寄ってくる少女に手を差し伸べた。
「ごめんなさい!! 」
涙ながらに謝りながら少女はアイシアの首に装飾品を嵌めた。
カチャリと音がする。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
アイシアの前で崩れ落ちて謝り続ける少女。上から見た少女はやはり痩せこけ、ヨレヨレのブカブカの薄汚い法衣を来ていた。
首に今アイシアに付けた物と同じ装飾品が付けられている。
「コレは…… 」
アイシアは自分の首に付けられた装飾品に手を触れた。
「それでお前も儂の為に『聖女』の力を使うことを許されたのだ!! ありがたく思え!! 」
醜い笑顔と笑い声で、アイシアに言い放つ。
「きゃああぁああぁ!! 」
少し離れているもう一人の黒髪の少女が悲鳴をあげた。倒れ伏し首元を押さえ、体を痙攣させている。
「儂の命令を聞かないと、このように天罰が下るのだ!! 」
愉快に下品に笑いながらアイシアに言い放つ。周りにいる者達も同じように下品に笑っている。
「奴隷の首輪…… 」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
目の前で震えながら謝り続ける黒髪の少女。
アイシアはその場に崩れ落ち、少女を抱きしめた。
アイシアが目覚めたのは、明るい光の中だった。
石の床に丸い魔法陣が明るい光を放ち、アイシアはその真ん中で目覚め体を起こした。
魔法陣の光が静かに消えていく。
光が消えると周りに沢山の人がいることが分かる。
「ようこそお越しくださいました、聖女様!! 」
「今回も成功だ!! 」
騒ぎ立てる人々の中、アイシアは首を傾げる。白いワンピースのスカートを床に広げ、ふわりと茶色い髪が肩を流れる。
それは王太子妃となった姉ミスティアに会いに城を訪れた時であった。足元に光の魔法陣が現れ、アイシアは意識を失った。
「どこの国かしら? 」
聖女は浄化をおこなう存在。
浄化を願うためには、王自ら頭を下げる存在である。
ブックス国が聖女であるアイシアの後継人であり、浄化の願いを受け付ける窓口であった。
故に今の状態はいただけない。
浄化を求めるなら、ブックス国に話を通さねばならないのである。
「転移魔法で呼び出すなんて…… 緊急かしら? 」
アイシアはきょろきょろと辺りを見回す。何処の国かを見極める為に。
「聖女様、どうぞ此方に。」
見慣れない法衣を着た聖職者と思われる男性が、アイシアを促す。アイシアの側に四人ほどの騎士が囲む。
アイシアは背筋を伸ばし、前を歩く聖職者の後を追った。
「緊急なの? 」
「えっ? 」
「浄化の為に、私を呼び出したんでしょう? 」
「は、はい。先ずは王との謁見を…… 」
毅然とするアイシアにたじろぐ聖職者の男性。
「直ぐ現場に向かってもいいのだけれど…… 」
正直王との謁見は面倒であった、色々と礼儀作法とか王の長い話とか。
できればさっさと浄化を終えて、国に帰りたい。久しぶりの義姉様とのお茶会だったのだ、長いはしたくはなかった。
謁見の場に通されて、アイシアは再び頭を捻った。
「我が国の為に、聖女の力を使えることを光栄に思うがいい! 」
王の言っていることが、よく分からない。
「我が国に、儂に選ばれ、呼ばれたことを感謝するがいい!! 」
王は偉そうに笑った。
(何を言っているのかしら、この方? )
「わざわざ異世界からお前を呼んでやったのだ、ありがたく思うがいい!! ワハハハは!! 」
偉そうに上の段の王座から見下す、この世界の王。
「異世界? 」
(異世界国、てことかしら? )
アイシアは異世界を国名と思って、可愛らしく首を傾げた。
「ふ、ふん!! 」
王はアイシアの可愛らしさに、顔を染めた。
「お前は、こいつ等と違って髪色が茶色いから可愛がってやってもよいぞ!! 」
王座の下の段に黒髪の少女が二人並んで立っている。表情が暗く、やせ細って見える。
「おぞましい黒髪だが、聖女として扱ってやっている。感謝するがいい!! 」
蔑む目で、王は聖女と呼んだ少女達に言って聞かせる。
「「ありがとうございます…… 」」
震えながら二人の少女は王に御礼を言う。
王だけではない、そのにいる者達も『聖女』と呼ばれた二人の少女を蔑んだ目で見ていた。
ガタガタと震えてる少女の一人がアイシアに近寄ってくる。
「ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
俯き小さな声で、謝りながらアイシアの側によった。
「あなた、大丈夫? 」
アイシアはふらふらになりながら近寄ってくる少女に手を差し伸べた。
「ごめんなさい!! 」
涙ながらに謝りながら少女はアイシアの首に装飾品を嵌めた。
カチャリと音がする。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
アイシアの前で崩れ落ちて謝り続ける少女。上から見た少女はやはり痩せこけ、ヨレヨレのブカブカの薄汚い法衣を来ていた。
首に今アイシアに付けた物と同じ装飾品が付けられている。
「コレは…… 」
アイシアは自分の首に付けられた装飾品に手を触れた。
「それでお前も儂の為に『聖女』の力を使うことを許されたのだ!! ありがたく思え!! 」
醜い笑顔と笑い声で、アイシアに言い放つ。
「きゃああぁああぁ!! 」
少し離れているもう一人の黒髪の少女が悲鳴をあげた。倒れ伏し首元を押さえ、体を痙攣させている。
「儂の命令を聞かないと、このように天罰が下るのだ!! 」
愉快に下品に笑いながらアイシアに言い放つ。周りにいる者達も同じように下品に笑っている。
「奴隷の首輪…… 」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…… 」
目の前で震えながら謝り続ける黒髪の少女。
アイシアはその場に崩れ落ち、少女を抱きしめた。
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