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昼の立食会。
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昼の立食会が、学園の聖堂で行われる。正規の立食会ではなく、他国の留学生の交流の場としての軽い会で有った。学生たちは、制服で会に参加である。
留学生のアメリゴ帝国の第三皇子とチャイニ国の第二王子は、まだ現れて無かった。
「こんな処に、奇麗な令嬢が。」
「ええ、まるで月夜に咲く花の様です。」
アメリゴ帝国の第二皇子のリオルと、お付きの騎士がセルビア達令嬢を素直に褒める。
リオルは燃えるような赤い髪と瞳を持つ、美丈夫で会った。
セラムが『漆黒の獅子』と呼ばれるなら、リオルは『紅蓮の鷲』と呼ばれていた。彼はもう成人しており、学園には留学生として来てはいなかったが 視察としてチャイニ国の侯爵と共に学園に立食会に呼ばれていた。
「どうだ、俺が王となった暁には 側妃に来ないか。」
家族や身近の者にしか、褒められたことが無い令嬢達は 戸惑っていた。
「失礼ですが、アメリゴ帝国の第二皇子 リオル様。初対面の未婚の令嬢達に、余りの言葉ではありませんか。」
戸惑う、姉様達の代わりにセルビィが声を上げる。
「おお、男の子か!? 」
セルビアの様に、美しいセルビィにリオルは驚く。
「美しい花には、棘が付き物ですが。棘も、美しい。」
リオルの言葉と裏原に、騎士の言葉は 気障だった。
「失礼します、僕はセルビィ・ランドールです。」
セルビィは、微笑んだ。
姉達と共に、立食会に出て 端の方で椅子に腰掛けてお菓子を貪っていた所に リオルが声を掛けたのだ。
「奇麗だ、なんて。」
豪の者と嘲られ、黒に近い髪を持つだけで醜いとされるこの国。令嬢達は、頰を染め戸惑っている。
「これは手厳しい。しかし、令嬢達が奇麗だからな正妃など選べない。此処は、正妃を儲けず側妃だけにしようかとな。」
素直な物言いに、セルビィは好感を持った。何より、姉様達の正当な讃美に、頷いた。だが、
(姉様達は、あげませんけど。)
「残念な事に、姉様達は既に婚約者がいるのです。」
「何、其れは残念。其奴が、羨ましい。」
「既に、虫が付いてましたか。残念です。」
リオルは、本当に残念がっている。
「では、其奴らを倒せば 俺が婚姻を求められるのか? 」
「リオル様!! 言葉が過ぎます。」
気障な騎士が、声を上げる。目立つリオルと違って、茶髪の地味な騎士だ。
「リオル様、其れでは戦争に成ります。」
セルビィは、微笑む。
「姉様達は、王太子と公爵子息と婚約を交わしているのです。」
セルビィは、囁く。
「倒す相手は、この国に成ります。」
「其れは、厳しいな。」
「リオル様、言葉が過ぎます。」
「アハハハ、冗談だ。だが、残念だ。」
リオルは笑う。
騎士は、周りを窺った。
「どうか、御内密に。」
騎士が頭を、セルビィ達に下げた。
「そんな、戦争だ なんて。」
令嬢達は、戸惑い続ける。自分達を廻って、国同士が戦争を起こす。そんな物語の様な事が起こるなんて。
リオルと騎士の様子に
(あれ、これは。)
セルビィは、首を傾げる。
(こっちか。)
微笑む。
「僭越ながら、思う処が無いのなら 言葉を選ばれた方が いらぬ敵を作ります。」
「これは、手厳しい。」
リオルは、笑った。
「俺は、兄上と袂を分かつ積もりは無いのだか。」
「リオル様!! 」
騎士の声に、セルビィ達を遠巻きに見ていた周りの者の動きが止まった。
「アハハハ、ロレンスは心配症だな。」
「誰の所為だと。」
リオルの笑い声に、動き出す。此方に聞き耳を立ているが、届いては無い様だ。
「俺は、強い。心配は、無い。」
「慢心は、身を滅ぼしますよ。」
騎士は、心配そうにリオルを見る。
(この人、父様系だ。)
つまり、脳筋。
「強い者も、食あたりには 抗えないでしょう。」
騎士の目が、細まった。
「国も代われば、水も代わります。食あたりには、注意した方が 良いかと。食あたりで、亡くなる事もあります。」
セルビィは、言う。
「銀の匙など、進呈致しましょうか。」
復信の騎士は、目を見開き細めた。
「御心配、痛み入ります。食あたりには、注意したいと 思います。」
「いや、俺は胃腸も強いぞ。」
「黙ってて、下さい リオル様。」
騎士は、背筋を伸ばした。
「失礼いたしました。私は、ロレンス・ガリレイ。リオル様が付き、副官のロレンスと申します。」
「宜しく御願い致します。セルビィ・ランドールです。」
二人は、微笑みあった。無難なロレンスの微笑みと、天使の様な美しいセルビィの微笑みで有った。
腹の内は、真っ黒の二人で有った。
「こんな所に、居られましたか リオル様。」
でっぷりと腹の出た男が、リオルを追い掛けてやって来た。リオルとロレンスは、厭な顔をして迎える。
男は、チャイニ国のポビタン・ドービル侯爵だ。
新たな人物の登場に、令嬢達は益々戸惑う。何時もなら、遠巻きに嘲りの目を向けられ コソコソ噂をされるだけなのに。今日は、自分達の所に、人が集まって来ている。二人の男性は、自分達を褒めてくれて、セルビィは会話を楽しんでいる。令嬢達は、初めての体験に戸惑っていた。
「おお、これは奇麗どころが。」
そして、新たな人物も自分達を褒めてくれた。令嬢達は、嬉しかった。
「まるで、娼館の様だ。」
その場の空気が、凍った。
ポビタン侯爵は、元は商人で有った。チャイニ国で金で、男爵の地位を買い。借金を片に未亡人の旦那として、侯爵の地位を買っていた。付け焼き刃の貴族で有った。彼にとって、豪の者は奴隷である。オースト国から売られてくる奴隷。そして、見目良い者は男女共、娼婦として買われていた。普通の娼婦は酒場や宿屋に買われていたが、特に美しい者は娼館に買われている。美しいセルビア達 奇麗なセルビィは、まさに高級な娼館の応接室に座る娼婦に見えたので有った。
高級な娼婦。其れは客を選べる娼婦であって、侯爵にとって 元商人とって褒め言葉で有った。
だが、此処は貴族で場であって 庶民の場でも男だけの場所ではなかった。
令嬢達は、青ざめ言葉を失った。周りの者達から、嘲りの笑いが響く。リオル達二人は、侯爵を厭な物の様に見ていた。
侯爵は、周りの笑い声に気を良くして令嬢達に微笑んだ。令嬢達は、屈辱に耐える様に俯いた。
彼は、侯爵は セルビィの逆鱗に触れた。
留学生のアメリゴ帝国の第三皇子とチャイニ国の第二王子は、まだ現れて無かった。
「こんな処に、奇麗な令嬢が。」
「ええ、まるで月夜に咲く花の様です。」
アメリゴ帝国の第二皇子のリオルと、お付きの騎士がセルビア達令嬢を素直に褒める。
リオルは燃えるような赤い髪と瞳を持つ、美丈夫で会った。
セラムが『漆黒の獅子』と呼ばれるなら、リオルは『紅蓮の鷲』と呼ばれていた。彼はもう成人しており、学園には留学生として来てはいなかったが 視察としてチャイニ国の侯爵と共に学園に立食会に呼ばれていた。
「どうだ、俺が王となった暁には 側妃に来ないか。」
家族や身近の者にしか、褒められたことが無い令嬢達は 戸惑っていた。
「失礼ですが、アメリゴ帝国の第二皇子 リオル様。初対面の未婚の令嬢達に、余りの言葉ではありませんか。」
戸惑う、姉様達の代わりにセルビィが声を上げる。
「おお、男の子か!? 」
セルビアの様に、美しいセルビィにリオルは驚く。
「美しい花には、棘が付き物ですが。棘も、美しい。」
リオルの言葉と裏原に、騎士の言葉は 気障だった。
「失礼します、僕はセルビィ・ランドールです。」
セルビィは、微笑んだ。
姉達と共に、立食会に出て 端の方で椅子に腰掛けてお菓子を貪っていた所に リオルが声を掛けたのだ。
「奇麗だ、なんて。」
豪の者と嘲られ、黒に近い髪を持つだけで醜いとされるこの国。令嬢達は、頰を染め戸惑っている。
「これは手厳しい。しかし、令嬢達が奇麗だからな正妃など選べない。此処は、正妃を儲けず側妃だけにしようかとな。」
素直な物言いに、セルビィは好感を持った。何より、姉様達の正当な讃美に、頷いた。だが、
(姉様達は、あげませんけど。)
「残念な事に、姉様達は既に婚約者がいるのです。」
「何、其れは残念。其奴が、羨ましい。」
「既に、虫が付いてましたか。残念です。」
リオルは、本当に残念がっている。
「では、其奴らを倒せば 俺が婚姻を求められるのか? 」
「リオル様!! 言葉が過ぎます。」
気障な騎士が、声を上げる。目立つリオルと違って、茶髪の地味な騎士だ。
「リオル様、其れでは戦争に成ります。」
セルビィは、微笑む。
「姉様達は、王太子と公爵子息と婚約を交わしているのです。」
セルビィは、囁く。
「倒す相手は、この国に成ります。」
「其れは、厳しいな。」
「リオル様、言葉が過ぎます。」
「アハハハ、冗談だ。だが、残念だ。」
リオルは笑う。
騎士は、周りを窺った。
「どうか、御内密に。」
騎士が頭を、セルビィ達に下げた。
「そんな、戦争だ なんて。」
令嬢達は、戸惑い続ける。自分達を廻って、国同士が戦争を起こす。そんな物語の様な事が起こるなんて。
リオルと騎士の様子に
(あれ、これは。)
セルビィは、首を傾げる。
(こっちか。)
微笑む。
「僭越ながら、思う処が無いのなら 言葉を選ばれた方が いらぬ敵を作ります。」
「これは、手厳しい。」
リオルは、笑った。
「俺は、兄上と袂を分かつ積もりは無いのだか。」
「リオル様!! 」
騎士の声に、セルビィ達を遠巻きに見ていた周りの者の動きが止まった。
「アハハハ、ロレンスは心配症だな。」
「誰の所為だと。」
リオルの笑い声に、動き出す。此方に聞き耳を立ているが、届いては無い様だ。
「俺は、強い。心配は、無い。」
「慢心は、身を滅ぼしますよ。」
騎士は、心配そうにリオルを見る。
(この人、父様系だ。)
つまり、脳筋。
「強い者も、食あたりには 抗えないでしょう。」
騎士の目が、細まった。
「国も代われば、水も代わります。食あたりには、注意した方が 良いかと。食あたりで、亡くなる事もあります。」
セルビィは、言う。
「銀の匙など、進呈致しましょうか。」
復信の騎士は、目を見開き細めた。
「御心配、痛み入ります。食あたりには、注意したいと 思います。」
「いや、俺は胃腸も強いぞ。」
「黙ってて、下さい リオル様。」
騎士は、背筋を伸ばした。
「失礼いたしました。私は、ロレンス・ガリレイ。リオル様が付き、副官のロレンスと申します。」
「宜しく御願い致します。セルビィ・ランドールです。」
二人は、微笑みあった。無難なロレンスの微笑みと、天使の様な美しいセルビィの微笑みで有った。
腹の内は、真っ黒の二人で有った。
「こんな所に、居られましたか リオル様。」
でっぷりと腹の出た男が、リオルを追い掛けてやって来た。リオルとロレンスは、厭な顔をして迎える。
男は、チャイニ国のポビタン・ドービル侯爵だ。
新たな人物の登場に、令嬢達は益々戸惑う。何時もなら、遠巻きに嘲りの目を向けられ コソコソ噂をされるだけなのに。今日は、自分達の所に、人が集まって来ている。二人の男性は、自分達を褒めてくれて、セルビィは会話を楽しんでいる。令嬢達は、初めての体験に戸惑っていた。
「おお、これは奇麗どころが。」
そして、新たな人物も自分達を褒めてくれた。令嬢達は、嬉しかった。
「まるで、娼館の様だ。」
その場の空気が、凍った。
ポビタン侯爵は、元は商人で有った。チャイニ国で金で、男爵の地位を買い。借金を片に未亡人の旦那として、侯爵の地位を買っていた。付け焼き刃の貴族で有った。彼にとって、豪の者は奴隷である。オースト国から売られてくる奴隷。そして、見目良い者は男女共、娼婦として買われていた。普通の娼婦は酒場や宿屋に買われていたが、特に美しい者は娼館に買われている。美しいセルビア達 奇麗なセルビィは、まさに高級な娼館の応接室に座る娼婦に見えたので有った。
高級な娼婦。其れは客を選べる娼婦であって、侯爵にとって 元商人とって褒め言葉で有った。
だが、此処は貴族で場であって 庶民の場でも男だけの場所ではなかった。
令嬢達は、青ざめ言葉を失った。周りの者達から、嘲りの笑いが響く。リオル達二人は、侯爵を厭な物の様に見ていた。
侯爵は、周りの笑い声に気を良くして令嬢達に微笑んだ。令嬢達は、屈辱に耐える様に俯いた。
彼は、侯爵は セルビィの逆鱗に触れた。
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