悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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吊り橋効果。

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アラン達は、待っていた。セルビィが連れて来る、令嬢を。少々 身分が劣るが、セルビィに引っ付ける積もりだった。
「こうも、セルビアに会えないのは 何故か? 」
アランが頭を抱えながら言うと、エリックが頷く。
「ええ、学期の始まりか終わりにしか 話した事がありません。」
「それも、挨拶程度。」
シモンが応えると、レイモンドが握り拳を作った。
「邪魔しているとしか、思えん。」
四人は、少し賢くなった。

「セルビィだ!! 」
「セルビィでしょう。」
「セルビィですね。」
「やはり、お前達もそう思うか。」
四人は、推察する事か出来た。

「セルビアは、私に逢いたいに決まっている。」
「ですが、心の優しいアイリーンは 姉の様に慕うセルビィを邪険に出来ないのでしょう。」
「慈愛に満ちたテレジアも、セルビィを弟の様に可愛がっている。」
「リリアナは、俺を好いている。」
四人は、やはり勘違いをしている。

「だが、先程のセルビィを視たか。あの呆けた姿を。」
「ええ、あれは令嬢に 恋い焦がれる姿。」
「セルビィが、恋にうつつを抜かせば。」
「リリアナに、会える。」
四人は、細笑みあった。
セルビィが、令嬢にうつつを抜かせば 邪魔者はいなくなる。四人は、セルビィを後押ししようと 帰りを待った。


セルビィはフローネ令嬢と、廊下を歩いていた。
「阿、アラン殿下達は、基本 馬、優しい方です。」
セルビィは、本音をなんとか誤魔化した。
「僕が、尊敬する言葉を伝えると とても喜んで下さいます。」
(ふ~ん。褒めると良いのね。)
フローネは、情報収集の様にセルビィの言葉を聞いている。
「アラン殿下達は、姉様達の婚約者ですから 節度あるお話を。」
(あの、怖そうな人か。)
「姉様達は、淑女ですから。其れはもう、殿下達とは清い関係です。」
(へ~ぇ。ボディタッチに、弱いとみた。)
「殿下達は、紳士ですから。女性を護る事を誇り思ってます。」
(よし、か弱いタイプは得意よ。ふふっ。)
二人は第一生徒会室の前までやって来た。セルビィは、フローネに振り返る。
「殿下達は、素敵な方です。貴方を、逢わせたくない。」
セルビィは、縋る様にフローネを見る。
「殿下達に、心奪われないで下さい。」
(ふふっ。可愛い、セルビィさま。私に、ぞっこんね。)
「セルビィさま。」
フローネは、セルビィの手を取り胸に押し当てる。セルビィは、頰を染めた。
(ふふっ、可愛い。奇麗だし、ペットとして可愛がって あ・げ・る。)
「フローネは、セルビィさまの事を好きですわ。」
可愛らしく、微笑む。
「フローネ様。僕は、貴方を信じてます。」
愛らしく、微笑んだ。
セルビィは、生徒会室の扉を開けた。


「フローネ・リジナル男爵令嬢です。殿下。」
セルビィは、フローネをエスコートする様に手を引いて部屋に入る。
「初めまして、リジナル男爵家の娘のフローネです。」
フローネは、スカートを持って可愛らしく首を傾げて挨拶をする。ふわりと、赤みがかった金髪が揺れる。

(セルビアの方が、奇麗だな。)
(アイリーンの方が、美しい。)
(テレジアの方が、麗しい。)
(リリアナの方が、愛らしい。)
((((まあまあ、だな。))))
四人は、そう感想を持った。

「アラン殿下、その様に怖い顔で視ないで下さい。フローネ様が、怯えてしまいます。」
セルビィは、フローネを抱き寄せた。
「セルビィさま~。」
フローネは、セルビィに抱き付いた。
「私の様な、家位の低い者が来るところでは無かったのです。」
フローネは、目に涙を溜めながらアラン達を見る。
セルビィは、哀しそうにアラン殿下を見た。
「そうですね。アラン殿下達が、お気に召さない方を 公爵家に迎え入れる事は出来ません。」
「セルビィさま!? 」
(ち、ちょっと、待ってどう言う事!? )
セルビィは、フローネを哀しそうに見詰めた。
「僕は、この思いを抱いて生きて行きます。姉様達は、きっと 僕を慰めてくれるでしょう。」

「それは、駄目だ!! 」
「爵位なんて、何とでも成ります。」
「伯爵。侯爵家に、養女に入れば釣り合いは取れます。」
「セルビィ!! 姉から自立しろ!! 」
四人は慌てふためいた。

(伯爵? 侯爵、ですって!! )
フローネは、内心 心震わせた。セルビィに抱き付く力が、強くなる。
(逃がさないわ。)

セルビィは、フローネを放すとアラン殿下の足元に膝を付いた。下から見上げる。
「ああ、アラン殿下。有り難う 御座います。」
セルビアと そっくりの顔で、哀願する。アランは、胸を どぎまぎ させた。
「さあ、フローネ様も、アラン殿下に御礼を。」
セルビィは、アランから目線を離さずフローネを呼んだ。
「ええ、ありがとうございます。アラン殿下~。」
言われるままに、フローネはセルビィの隣に膝を折った。
セルビィは、すかさずフローネの手を取ってアランの膝に手を重ねた。
アランは、セルビアに触れられた様で 心臓が跳ねた。
セルビィは、静かに目線を外し 手を放した。
「殿下は、優しいでしょう。フローネ様。」
セルビィは、フローネを促す。
「アランさまは、お優しく ございますね。」
ウルウルと、した瞳で見上げる。膝にある手に、力を込める。アランは、ドキドキしていた。胸が、高鳴る。
(わ、私は、如何したのだ? 胸が、高鳴る。)
ウルウルと見上げて来るフローネを、アランは見詰め返した。
(この高鳴りは、まさか。)

「アラン殿下は、頼もしいでしょう。フローネ様。」
「はい。アランさまは、頼もしく素敵な方ですわ。」
二人は、見詰め合った。
アラン殿下とフローネの二人の様子を、三人の公爵子息は驚いたように視ていた。

セルビィは、妖しく微笑む。
セルビィは、『吊り橋効果』を利用したのであった。
『吊り橋効果』
吊り橋の上の怖さのドキドキが、目の前にいる異性に対してのドキドキと勘違いする効果。恋と勘違いする効果。

アラン殿下は、フローネに恋をしたと 勘違いした。

セルビィは、微笑んだ。
(先ずは、一人。)






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