悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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令嬢達の心の叫び『男なんて!! 』

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「今 僕の目の前には、女神様が降臨なさりました。」
うっとりと、溜息を付く。

「今朝見たより、一段と美しいです 姉様。」
「称賛は、後にして 行け セルビィ。」
放っておけば、何時までも見取れていそうなセルビィの背を押す。

「姉様。」
「セルビィ。」
セルビィに気が付いた令嬢達は、優しい笑顔を 強張らせた。


「セルビィさま~ぁ。」
セルビィの後から、フローネが抱き着いた。

「こんな所で会えるなんて、運命ですね。」
フローネは『運命』と『豊満な胸』を、強調する。
グイグイと、セルビィの背に胸を押し付ける。
其れには、令嬢達も切れた。
((((私達の天使に、なにしてるのよ!! ))))

「ちょっと、貴方。セルビィに、触らないで。」
「淑女として、はしたないですわ。」
「殿方に対して、抱き着くなんて。」
「胸を、擦り付けるなんて。」

「セルビィさま~ぁ。こわぁ~い。」
益々、セルビィの背に胸を押し付ける。

「何事だ? 」
騒ぎを聞き付けて、アラン殿下達が登場する。周りの学生達は、ドギマギしながら其れを見ていた。

「フローネ様。」
セルビィが振り向き、優しく語りかける。

「急に、後ろから抱き着くなんて 駄目ですよ。」
セルビィは優しく微笑みながら『こっん』と、フローネの額に指をあてた。

「姉様達の前で無かったら、殺してた処です。」
にっこりと、微笑む。
仕草は、甘々だが話してる内容は怖ろしかった。
だが、誰も気づいていない。

一人を除いては。
「危ねぇ、ビッチ。命拾いしたな。」
ナルトは、心臓が止まるかと思った。セルビィは、急に後を取られるを嫌う。何処ぞの殺し屋か、と言うように。不意に近づいて、被害に遭った者が何人かいる。
「俺も、その一人だが。」
セルビィは、袖に隠し針を持っている。毒針とかも、持っていたりする。
「針と言うより、串だな。」
鉄で出来た串。
「心臓を刺されれば。うん、死んじまうな。」
ナルトは、顔を青くする。
「令嬢達の前でよかったな、ビッチ。」
ナルトの叔父のボルト曰わく『セルビィは、いい暗殺者に成れる。』と言わしめた。
ビッチの無事を心の底からよかったと、ナルトは思った。


「ごめんなさ~い。」
「今度から、気を付けて下さいね。」
「はぁ~い。」
ベタベタと、セルビィに擦り寄る。二人の世界を醸し出す。セルビアは切れた。

「貴方、聞いているの? 」

「何をしている、セルビア。」
「アラン殿下。」
今 気付いて、セルビアはアラン達を見た。

「淑女の慎みを教えてあげている処です。」
セルビアは、凛と背筋を伸ばし言った。

「アランさま~ぁ、こわかったです~ぅ。」
フローネは、アランの背中に隠れる。きゅっと、服を握り締めた。上目遣いで、潤んだ目を見せる。

「大丈夫だ。」
アランは、優しく目線を合わせた。他の三人の令息達もフローネを護るように、令嬢達の前にたちはだかる。

「セルビア。一人の令嬢に四人で責め立てるなど、酷いのでは無いのか。」
「嫉妬は、醜いですよ アイリーン。」
「テレジア、愛が足りませんね。」
「イジメはよくないぞ、リリアナ。」
アラン達は、セルビア達を責め立てる。フローネは、震えながらアランの背に顔を埋めた。

「姉様。フローネ様は、慎みが無いからいいのです。」
セルビィが、姉とアランの間に入る。

「彼女は、素晴らしい女性です。平等に皆様に、愛を注ぐことができるのです。」
セルビィは、アラン達に振り向き微笑む。

「アラン王太子殿下達は『太陽の下の灯り』 輝く人なのです。」
セルビィは、褒め称える?

((((それって、役に立たないて意味よね? ))))
令嬢達は、困惑する。

「そうだ。我らは、この国の太陽。」
「光り照らす者です。」
アランとエリックが、鼻高々に言った。

「アラン王太子殿下達は『真夏の暖炉』 人々の心を揺さぶる者なのです。」
セルビィは、褒め称える?

((((それって、苛つかせるて事よね? ))))
令嬢達は、困惑する。

「そうです。我らは、人々に崇められる者。」
「ギンギラの真夏の太陽だ。ははははっ!! 」
シモンとレイモンドは、笑った。セルビィも にっこりと、微笑む。

「そして、フローネ様は『春の日だまり』 頭の中はお花が咲き乱れているのです。」
セルビィは、フローネを褒め称える?

((((それって、頭が花畑。馬鹿で事よね? ))))
令嬢達は、困惑する。

「そうだな。フローネは、春の日だまりの様に優しい。」
「そうですね、花の様に可愛らしい。」

「そ、そんな。お花の様だなんて。フローネ、嬉しい。」
頰を染めて微笑んだ。

「姉様達には。僕達には、到底アラン王太子殿下の様には 慣れないのです。」
セルビィは、哀しい顔をセルビア達に向けた。

「姉様達は『真夜中の月』『ルナの大地に咲く、花』。」

其れは、『希望』と『安らぎ』を意味する。

「そこまで、卑下することは無いセルビィよ。」
「私達が、師となりましょう。」

「アラン王太子殿下、エリック様。」

「神は、寛大です。」
「ははははっ、俺に着いてこい。」

「シモン様、レイモンド様。」

「セルビィさま。一緒にがんばりましょう。」

「フローネ様。」
セルビィは、セルビア達に優しく微笑んだ。

「姉様。アラン王太子殿下達の頭は、あの空に羽ばたく鳥のように 素晴らしいのです。」

((((それって、鳥頭。馬鹿て、意味よね? ))))
令嬢達は、困惑した。

セルビィが意図している意味を知るのは、セルビア達とナルトだけだった。

「姉様。アラン王太子殿下達は、忙しいので もう行きます。」
セルビィは、アラン達を促した。

「そうだな。行くぞ、フローネ。」
「はぁ~い。アランさま~ぁ。」
フローネは、アランの腕に縋り付いた。胸を腕に押し付ける。
アランの鼻の下が伸びる。他の三人も、フローネのはち切れそうな胸を見て鼻の下を伸ばしていた。

((((男なんて!! ))))
アラン達を見て、セルビア達は思った。

「姉様達はお茶でも嗜んで、繕いてを下さい。」
セルビィは、姉達の微笑む。

「姉様達、最高です。」
セルビィは、その言葉を残してアラン達を追って行った。
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