悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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サプライズ。

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三月に入った。
決行の日まで、後数日。
「そうか、そんなことが在ったのか。」
何時ものように第二生徒会室の隣の部屋。ビウェルは、ナルトから詳しい話を聞いていた。

「そうなんです。姉様達のサプライズパーティーは、素敵でした。」
セルビィはいそいそと、テーブルの上にケーキを出す。
「いや、そっちの話ではなく。」
「何時もお菓子を貰っているので、これはお裾分けです。」
丸まるのホールケーキを出す。
いや、少しクリームの処が削れている。誰かがつまみ食いをしたように。
「姉様達の手作りケーキです。遠慮なくどうぞ。」
笑顔で、差し出す。

「食うなよ、漆黒の獅子を一口で再起不能にした品物だ。」
「失礼な事を言わないで下さい。父様は、感動の余り倒れたのです。」
「じゃ、お前が食べろよ。」
「僕は、姉様達の愛で胸がいっぱいで食べれません。」
目を瞑り、手を組み祈りを捧げる。星になった父に。

昨日のセルビィの誕生日祝い。父セラムも砦から戻ってきていた。セルビィが帰って来て始まったパーティー。
目の前に出された娘の手作りケーキ。セラムは、ついセルビィより先に口を付けた。

倒れた。

「お父様!? 」
「「「おじ様!! 」」」
令嬢達は、青くなって駆け寄った。藻掻き苦しむセラム。
だが、青ざめ引き攣った笑顔で
「ぅ~ま~ぃ。(ガクッ)」
「お父様!! 」
「「「おじ様!! 」」」
オロオロし出す、セルビア達。
「姉様。父様は、感動の余り気を失ったようです。」
「「「「そ、そうなの!? そんなに美味しかったのかしら。」」」」
令嬢達は嬉しそうに、微笑んだ。

(如何したら、そう思えるんだ!! )

ナルトは突っ込みたかったが、我慢した。
「さあ、セルビィも食べて。」
「心を込めて、作ったの。」
「サプライズよ。」
「さあ、早く早く。」
笑顔の令嬢達。セルビィは、

(如何する、セルビィ。)

内心ドキドキしながら、ナルトと周りの使用人達はセルビィを見ていた。

食べるのか? 食べないのか? 令嬢達が、作ったケーキを。

セルビィは、静かに微笑んだ。
「その前に、姉様達にお土産が在るのです。」
「あら、何かしら? 」
セルビィは、鞄から薄い本を取り出した。
「僕からの、サプライズプレゼントです。」
にっこりと、微笑む。
次の瞬間、令嬢達は悲鳴を上げた。


「姉様達は、絹を裂く様な嬉しい悲鳴を上げて部屋に戻ってしまいました。早く読みたかったんでしょう。」
「いや、其れ嬉しい悲鳴じゃないからな。」
ナルトは、お茶を出しながら言った。
「お姉さま秘蔵の書です。」
セルビィは可愛らしく、首を傾げた。


昨日のお姉さま(薔薇将軍の一人)との会話。
「あら~セルビィちゃんのお姉さまも、『禁断の書』を読んでるの? 」
「はい。『乙女の秘密』の薄い本です。」
「まあ。話が合いそう~。今度女子会が、したいわ。」
「はい。事が終わったら女子会をします。」
「ふふふっ、秘蔵書を出しちゃう。お土産に持って帰って。」
「有り難う御座います。」

「これは、別大陸の大国で書かれた物なの。『BL』の祖と言われる方が書いた物よ。」
「凄いのです。」
「ふふふっ。モデルは自国の王太子らしいの。」
「凄いのです。」
「これが、親友ラブ。これは、年下ラブ。これ、弟ラブ。めくるめく、薔薇の世界よ~。」
「薔薇の世界です。」
セルビィは、受け取った。
「姉様達が、喜びます。」

ある意味、別のサプライズとなった。


「姉様達は、歓喜の悲鳴を上げて喜んでくれました。」
「それ、歓喜の悲鳴じゃねー!! 」
ナルトは、突っ込んだ。

令嬢達は、部屋に引き籠もった。恥ずかしさの余り。


「さあ、遠慮なくビウェル様。」
すすすと、ケーキを目の前に差し出す。
「食えるか!! 」
ビウェルは、声を上げた。

「姉様達の手作りケーキが、食べられないのですか? 」
ぷーぅと、膨れながら怒る。
「今の話を聞いて、食べろと? 」
セルビィとビウェルは、対峙する。
「美味しいですよ。」
「食べてから言え。」
「僕は、胸がいっぱいです。」
「さっき、お菓子食べてたな。」
セルビィは、にっこりと笑う。

「あの書類、誰がかたづける? 」
ビウェルは、書斎の机の書類を指し示した。
セルビィは、立ち上がった。

「仕方が有りません。勿体ないですが、阿呆様達に差し上げましょう。」
ケーキを箱にしまった。
「阿呆様達の貢献に、姉様達の愛のこもったケーキを食べさせて差し上げましょう。」
セルビィは、手を合わせた。
「貢献て、あれか? 」
「哀れだな……。」
つい、ビウェルは同情した。

「代わります? ビウェル様なら、俺様だし鍛えてるし皮肉屋ですので四人の薔薇将軍の人気者になれますよ。」
ビウェルとナルトは青ざめた。

「同情するなら、代わりますか? 」
二人は、頭を横に振った。

「僕達の為に、身を呈してくれる阿呆様達に感謝のケーキを。」
「いや、それ留め刺してるから。」
小さな声で、ナルトは言った。

「僕も、感謝を込めてお茶を淹れて差し上げましょう。」
「毒同士で、消し合うと言うのか!? 」
「いや、毒(ケーキ)を食らえば、皿(お茶)までだろう。」
小さな声で、ナルトとビウェルは話す。

「では、僕は阿呆様の処に行ってきます。」
セルビィはケーキの入った箱を大切に持ち、部屋を出て行った。

暫くして、第一生徒会室が慌ただしくなり五人の者が保健室に運ばれたかは……
「其れは、秘密です。」
セルビィは、人差し指を口にあてて微笑んだ。

ビウェルとナルトは静かに、部屋の扉を閉めた。

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