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七月 内乱。
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ベルハルト王城 謁見の間にて。
「クラウス。己が責任を取れ。」
冷たく父王カイゼルは、言った。
クラウスは、立ったまま胸に手をあてて頭を下げた。クラウスの後には、青ざめた『あってはならない事』を強行した貴族達が片膝を付き項垂れている。
「ダイクン侯爵。指揮を一任する。宜しく頼む。」
「はっ。」
クラウスの後で、立って控えていたエドガーは胸に手をあて頭を下げた。
「オヤジ!! オヤジ。俺も、部隊に加えてくれ。」
謁見の間から出てきた父エドガーに、アルバートは進言する。
「お前は、此処を護れ。」
「クラウスを一人にする訳には、いかない。」
「クラウス様は、俺が見る。お前は、王都を護れ。」
「しかし、」
尚も食って掛かるアルバートに、静かに言った。
「敵は、アルベルトだけでは無い。お前は、此処を護れ。」
其れは、他国がこの内乱の隙を狙って責めてくるかもしれないと示唆する。
「王を、王都を護れ。」
真剣にエドガーは、息子のアルバートの目を見て言った。
アルバートは、姿勢を正し拳を胸にあて敬礼をする。
「アルバート・レム・ダイクン。その任を承ります。」
強い意志を持って、アルバートは応えた。
城の敷地内の北の小高い森の中に、王家の墓標がある。小さな、教会。その中で、棺の前でクラウスは膝を折っていた。
「アンジェリカ。王太子としての義務を、この内乱を引き起こした責任を果たしてくるよ。」
クラウスは、棺に話し掛ける。
アンジェリカの亡骸の入った、棺。当然さらしの刑は行われず、アンジェリカの亡骸は丁重に扱われた。王太子妃としての扱い、王家の墓に入れられる事となった。
「愚かな私は、多くの人を巻き込んでしまった。」
クラウスは、静かに語りかける。
「許してくれ、アンジェリカ。この戦を止めるには、ベクトル候を殺さなくてはいけない。」
クラウスは、優しく微笑んだ。
「ベクトル候は、強いから私が死ぬかもしれない。其れで、ベクトル候が納得してくれるなら。この首何時でも差し出そうと思う。」
クラウスは、目を閉じた。
「無理だろうな、ベクトル候はアンジェリカを心の底から愛していた。私の首だけでは、治まらない。」
手を組んで祈る様に呟く。
「この戦だけは、止めなくてはならない。どんな事をしても、君の父を撃つよ アンジェリカ。」
静かな、教会にクラウスの声だけが聞こえる。
「王太子の義務と自分の責任を果たしたら、アンジェリカに許しを請いに行くよ。逢って、くれるかい? 」
クラウスは、囁く。
「ははっ、可笑しいね。今の方が、アンジェリカと沢山話が出来る。」
クラウスは、笑った。
「クラウス。」
教会内に、自分を呼ぶ声が響いた。クラウスは、振り向いた。
教会の扉を開き、アルバートが立っている。
「名残惜しいが、そろそろ時間だ。」
クラウスは、立ち上がった。
「行ってくるよ、アンジェリカ。必ず、君に逢いに行くから。」
クラウスは、踵を返した。
ゆっくりと、歩き出す。心配そうに立つアルバートの前を通りすぎ、外に繋いでいた馬へと股がる。
「クラウス!! 」
自分を見上げるアルバートに、顔を向けた。
「死ぬなよ。」
「ああ、責任を果たすまでは死ねない。」
アルバートの問い掛けに、クラウスは応えた。そして、馬を蹴りその場を後にする。
飛び交う怒声、噎せ返る血の臭い。赤く染まる大地、転がる屍。
此処は、戦場。
犇めく人の中に、煌めく白金の髪。
「いたぞ、王太子だ!! 」
「首を取れ!! 」
「クラウス王子だ!! 」
「殺せ!! 」
クラウスは、白金の髪を靡かせながら戦場で剣を振るう。総ての敵の目線を奪うように、クラウスは兜も着けず戦場で次々と命を狩っていた。其れは、感情の持たない道具の様に確実に相手の急所を狙っていた。
誰かが囁いた。
クラウスの持つ氷の瞳の様に、冷たい王子だと。『氷の王子』と、クラウスは囁かれていた。
「クラウス。己が責任を取れ。」
冷たく父王カイゼルは、言った。
クラウスは、立ったまま胸に手をあてて頭を下げた。クラウスの後には、青ざめた『あってはならない事』を強行した貴族達が片膝を付き項垂れている。
「ダイクン侯爵。指揮を一任する。宜しく頼む。」
「はっ。」
クラウスの後で、立って控えていたエドガーは胸に手をあて頭を下げた。
「オヤジ!! オヤジ。俺も、部隊に加えてくれ。」
謁見の間から出てきた父エドガーに、アルバートは進言する。
「お前は、此処を護れ。」
「クラウスを一人にする訳には、いかない。」
「クラウス様は、俺が見る。お前は、王都を護れ。」
「しかし、」
尚も食って掛かるアルバートに、静かに言った。
「敵は、アルベルトだけでは無い。お前は、此処を護れ。」
其れは、他国がこの内乱の隙を狙って責めてくるかもしれないと示唆する。
「王を、王都を護れ。」
真剣にエドガーは、息子のアルバートの目を見て言った。
アルバートは、姿勢を正し拳を胸にあて敬礼をする。
「アルバート・レム・ダイクン。その任を承ります。」
強い意志を持って、アルバートは応えた。
城の敷地内の北の小高い森の中に、王家の墓標がある。小さな、教会。その中で、棺の前でクラウスは膝を折っていた。
「アンジェリカ。王太子としての義務を、この内乱を引き起こした責任を果たしてくるよ。」
クラウスは、棺に話し掛ける。
アンジェリカの亡骸の入った、棺。当然さらしの刑は行われず、アンジェリカの亡骸は丁重に扱われた。王太子妃としての扱い、王家の墓に入れられる事となった。
「愚かな私は、多くの人を巻き込んでしまった。」
クラウスは、静かに語りかける。
「許してくれ、アンジェリカ。この戦を止めるには、ベクトル候を殺さなくてはいけない。」
クラウスは、優しく微笑んだ。
「ベクトル候は、強いから私が死ぬかもしれない。其れで、ベクトル候が納得してくれるなら。この首何時でも差し出そうと思う。」
クラウスは、目を閉じた。
「無理だろうな、ベクトル候はアンジェリカを心の底から愛していた。私の首だけでは、治まらない。」
手を組んで祈る様に呟く。
「この戦だけは、止めなくてはならない。どんな事をしても、君の父を撃つよ アンジェリカ。」
静かな、教会にクラウスの声だけが聞こえる。
「王太子の義務と自分の責任を果たしたら、アンジェリカに許しを請いに行くよ。逢って、くれるかい? 」
クラウスは、囁く。
「ははっ、可笑しいね。今の方が、アンジェリカと沢山話が出来る。」
クラウスは、笑った。
「クラウス。」
教会内に、自分を呼ぶ声が響いた。クラウスは、振り向いた。
教会の扉を開き、アルバートが立っている。
「名残惜しいが、そろそろ時間だ。」
クラウスは、立ち上がった。
「行ってくるよ、アンジェリカ。必ず、君に逢いに行くから。」
クラウスは、踵を返した。
ゆっくりと、歩き出す。心配そうに立つアルバートの前を通りすぎ、外に繋いでいた馬へと股がる。
「クラウス!! 」
自分を見上げるアルバートに、顔を向けた。
「死ぬなよ。」
「ああ、責任を果たすまでは死ねない。」
アルバートの問い掛けに、クラウスは応えた。そして、馬を蹴りその場を後にする。
飛び交う怒声、噎せ返る血の臭い。赤く染まる大地、転がる屍。
此処は、戦場。
犇めく人の中に、煌めく白金の髪。
「いたぞ、王太子だ!! 」
「首を取れ!! 」
「クラウス王子だ!! 」
「殺せ!! 」
クラウスは、白金の髪を靡かせながら戦場で剣を振るう。総ての敵の目線を奪うように、クラウスは兜も着けず戦場で次々と命を狩っていた。其れは、感情の持たない道具の様に確実に相手の急所を狙っていた。
誰かが囁いた。
クラウスの持つ氷の瞳の様に、冷たい王子だと。『氷の王子』と、クラウスは囁かれていた。
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