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十月 敗北。
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渓谷の吊り橋を渡り、馬に乗った者が現れた。イリギス国の兵士は、その者達を止めた。
「止まれ、何者だ!! 」
十人程で、一頭の馬に乗った二人を止めた。
「俺は、バスティア伯爵の使者。イリギス国の王ダウロン国王陛下に、逢わせるようある方をお連れした。」
二人の後ろから、馬から下りた者が前に回り馬から一人を下ろす。動きやすい、簡素な白いドレス姿の女性が騎士の手を借りて馬から降りる。女性は、頭からベールをかぶり顔が見えない。その後ろに、馬に乗っていた者も降りる。
「私を ダウロン陛下に会わせては、貰えませんか。」
「得体の知れない者を、国王陛下に合わせる訳には行かない。」
最もな事を、兵士は口にした。
「無礼な!! 此方の方は、 」
「良いのです。」
怒れる騎士を制して、女性は前に出る。
「私は、クラリス。ベルハルト国の王妃クラリスです。ダウロン陛下にお願いの儀があります。どうか、取り成しては頂けませんでしょうか。」
「ク、クラリス王妃!? 」
女性は、ベールを少し上げて顔を見せた。そこには、美貌の王妃と歌われるクラリスがいた。
その姿は、絵姿として売られ知らない者はいなかった。兵士は、真っ赤に成って狼狽えた。
「今、呼んで 来ます!! 」
兵士は、高位の者を呼びに走った。
「おおっ!! これは、これは、クラリス様。まさか、この様な場所でお会い出来るとは。」
「貴方は? 」
「ああ、失礼を。私は、イリギス国のバーナード侯爵です。私が、国王陛下の元まで案内をさせて頂きます。」
「バーナード侯爵、宜しく御願いします。」
「は、ははぁ。」
侯爵は、大袈裟に頭を下げた。
「さあ、クラリス様。馬車へ。」
侯爵は、クラリス王妃に手を差し出した。クラリスは、侯爵にエスコートをされ馬車に乗った。
侯爵は、静かに馬車に閂を掛ける。五人の騎士が馬車に近付いてきた。
「何だ、お前達は? 」
「私達は、バスティア伯爵様の使いの者。伯爵様の命により、クラリス様を国王陛下の前にお連れいたします。」
「クラリス様は、私が連れて行く。お前達は、此所まででいい。」
「出来ません、我等は国王陛下にクラリス様を貢ぐよう伯爵様に命を受けたのです。此所で離れる訳には、行きません。」
騎士達は、剣に手を置いた。
「分かった。お前達も、付いてこい。バスティア伯爵の名も、国王陛下に伝えてやろう。」
イリギス国王都 ダウニー城。
謁見の間。
「なに!! クラリスが、儂に会いに来ただと!? 」
王座から、立ち上がりダウロン王は歓喜に震えた。周りには、主要の貴族達が控えている。その中で、バーナード侯爵は手をゴマすりながら国王に話す。
「はい、国王陛下。クラリス様に至っては、国王陛下にお願いの儀があると 思い詰めた催しで。」
周りの貴族達の悔しそうな顔を見て、鼻高々に話す。
ダウロン王が、帝国への足掛かりとして隣国が欲しかった事も事実だが、王妃クラリスが欲しかったのも事実だ。
『王妃クラリスは、傷付けずに必ず連れて来い。』
これは、王命でもあった。
バーナード侯爵は、王都より離れた場所に派遣されていたので。まさか、その王妃クラリスを国王に捧げられるとは思ってはいなかった。自分の強運に、歓喜していた。これで、出世は思いのまま。侯爵は、笑顔が止まらなかった。
「そうか、よし逢おう。」
国王は立ち上がった王座に、座り直した。笑みがこぼれる。
「直ぐ、連れてくるがよい。」
貴族達は、嫌らしい笑みを入ってきたクラリスに向ける。この後クラリスが、どう扱われるか分かっているからだ。
「クラリス殿、よく来た。」
国王は、満面の笑みで迎える。
クラリスの後ろに控える五人の騎士に、怪訝な顔を向ける。
「貴様らは、なんだ? 」
五人の騎士達は、クラリスの後ろで膝を折る。国王に合うために、武器である剣は取り上げられている。何も持っていないと、見せるようにマントを背にする。
騎士達を囲うように、この国の兵士が槍を持って付きそう。
「彼等は、バスティア伯爵の使者です。クラリス様を、私の処までお連れした者達です。」
「そうか、バスティア伯爵か。その名を、憶えておこう。」
「はっ、有難き幸せ。」
五人は、国王の言葉に頭を下げる。
「さあ、クラリス殿。顔を見せては、くれぬか? その美しい顔を。」
国王の声に、クラリスはベールを上げ顔を見せる。
「おお、美しい!! クラリス殿、なんと美しい!! 」
国王は感激の余り、声を上げた。
「イリギス王。」
「クラリス殿。いや、クラリス。ダウロンと呼んでくれ。」
「ダウロン陛下。」
段の高い処に座る王を、クラリスは見上げる。
「御願いが御座います、ダウロン陛下。どうか、どうか、ベルハルト国から手をお引き下さい。」
クラリスは縋るように王の足下に、駆け寄った。王の護衛騎士が前に出ようとするのを、王は手で制した。
「クラリス。愛する其方の願い叶えてやりたいが、王としては、其れは出来ぬ。」
「ダウロン陛下。」
クラリスは、上目遣いで見る。
「だが、安心するがいい。其方は、儂が護ってやろう。」
嫌らしく、微笑む。
「ベルハルトの血は、残念だが絶やさねばならぬ……。」
少しの間の後、
「いや、王太子のクラウスは 助けてやろう。其方に似て、美しいのであろう。」
下卑た笑いが、謁見の間に響く。
「親子共々、儂が可愛がってやろう。」
「大変です!! 場内に、賊が入りました!! 」
「なっ 」
けたたましく入って来た兵士に、王ダウロンは、言葉を続ける事が出来なかった。
「止まれ、何者だ!! 」
十人程で、一頭の馬に乗った二人を止めた。
「俺は、バスティア伯爵の使者。イリギス国の王ダウロン国王陛下に、逢わせるようある方をお連れした。」
二人の後ろから、馬から下りた者が前に回り馬から一人を下ろす。動きやすい、簡素な白いドレス姿の女性が騎士の手を借りて馬から降りる。女性は、頭からベールをかぶり顔が見えない。その後ろに、馬に乗っていた者も降りる。
「私を ダウロン陛下に会わせては、貰えませんか。」
「得体の知れない者を、国王陛下に合わせる訳には行かない。」
最もな事を、兵士は口にした。
「無礼な!! 此方の方は、 」
「良いのです。」
怒れる騎士を制して、女性は前に出る。
「私は、クラリス。ベルハルト国の王妃クラリスです。ダウロン陛下にお願いの儀があります。どうか、取り成しては頂けませんでしょうか。」
「ク、クラリス王妃!? 」
女性は、ベールを少し上げて顔を見せた。そこには、美貌の王妃と歌われるクラリスがいた。
その姿は、絵姿として売られ知らない者はいなかった。兵士は、真っ赤に成って狼狽えた。
「今、呼んで 来ます!! 」
兵士は、高位の者を呼びに走った。
「おおっ!! これは、これは、クラリス様。まさか、この様な場所でお会い出来るとは。」
「貴方は? 」
「ああ、失礼を。私は、イリギス国のバーナード侯爵です。私が、国王陛下の元まで案内をさせて頂きます。」
「バーナード侯爵、宜しく御願いします。」
「は、ははぁ。」
侯爵は、大袈裟に頭を下げた。
「さあ、クラリス様。馬車へ。」
侯爵は、クラリス王妃に手を差し出した。クラリスは、侯爵にエスコートをされ馬車に乗った。
侯爵は、静かに馬車に閂を掛ける。五人の騎士が馬車に近付いてきた。
「何だ、お前達は? 」
「私達は、バスティア伯爵様の使いの者。伯爵様の命により、クラリス様を国王陛下の前にお連れいたします。」
「クラリス様は、私が連れて行く。お前達は、此所まででいい。」
「出来ません、我等は国王陛下にクラリス様を貢ぐよう伯爵様に命を受けたのです。此所で離れる訳には、行きません。」
騎士達は、剣に手を置いた。
「分かった。お前達も、付いてこい。バスティア伯爵の名も、国王陛下に伝えてやろう。」
イリギス国王都 ダウニー城。
謁見の間。
「なに!! クラリスが、儂に会いに来ただと!? 」
王座から、立ち上がりダウロン王は歓喜に震えた。周りには、主要の貴族達が控えている。その中で、バーナード侯爵は手をゴマすりながら国王に話す。
「はい、国王陛下。クラリス様に至っては、国王陛下にお願いの儀があると 思い詰めた催しで。」
周りの貴族達の悔しそうな顔を見て、鼻高々に話す。
ダウロン王が、帝国への足掛かりとして隣国が欲しかった事も事実だが、王妃クラリスが欲しかったのも事実だ。
『王妃クラリスは、傷付けずに必ず連れて来い。』
これは、王命でもあった。
バーナード侯爵は、王都より離れた場所に派遣されていたので。まさか、その王妃クラリスを国王に捧げられるとは思ってはいなかった。自分の強運に、歓喜していた。これで、出世は思いのまま。侯爵は、笑顔が止まらなかった。
「そうか、よし逢おう。」
国王は立ち上がった王座に、座り直した。笑みがこぼれる。
「直ぐ、連れてくるがよい。」
貴族達は、嫌らしい笑みを入ってきたクラリスに向ける。この後クラリスが、どう扱われるか分かっているからだ。
「クラリス殿、よく来た。」
国王は、満面の笑みで迎える。
クラリスの後ろに控える五人の騎士に、怪訝な顔を向ける。
「貴様らは、なんだ? 」
五人の騎士達は、クラリスの後ろで膝を折る。国王に合うために、武器である剣は取り上げられている。何も持っていないと、見せるようにマントを背にする。
騎士達を囲うように、この国の兵士が槍を持って付きそう。
「彼等は、バスティア伯爵の使者です。クラリス様を、私の処までお連れした者達です。」
「そうか、バスティア伯爵か。その名を、憶えておこう。」
「はっ、有難き幸せ。」
五人は、国王の言葉に頭を下げる。
「さあ、クラリス殿。顔を見せては、くれぬか? その美しい顔を。」
国王の声に、クラリスはベールを上げ顔を見せる。
「おお、美しい!! クラリス殿、なんと美しい!! 」
国王は感激の余り、声を上げた。
「イリギス王。」
「クラリス殿。いや、クラリス。ダウロンと呼んでくれ。」
「ダウロン陛下。」
段の高い処に座る王を、クラリスは見上げる。
「御願いが御座います、ダウロン陛下。どうか、どうか、ベルハルト国から手をお引き下さい。」
クラリスは縋るように王の足下に、駆け寄った。王の護衛騎士が前に出ようとするのを、王は手で制した。
「クラリス。愛する其方の願い叶えてやりたいが、王としては、其れは出来ぬ。」
「ダウロン陛下。」
クラリスは、上目遣いで見る。
「だが、安心するがいい。其方は、儂が護ってやろう。」
嫌らしく、微笑む。
「ベルハルトの血は、残念だが絶やさねばならぬ……。」
少しの間の後、
「いや、王太子のクラウスは 助けてやろう。其方に似て、美しいのであろう。」
下卑た笑いが、謁見の間に響く。
「親子共々、儂が可愛がってやろう。」
「大変です!! 場内に、賊が入りました!! 」
「なっ 」
けたたましく入って来た兵士に、王ダウロンは、言葉を続ける事が出来なかった。
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