【完結】猛反した王子は、婚約破棄を頑張りたい。

❄️冬は つとめて

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氷の王子、クラウス。王子の失踪。

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クラウス王子が、学園から消えた午後。ベルハルト国の城内は、騒然となっていた。
「クラウスが、クラウスが。ああっ・・・」
ジョルジュから、クラウス王子の失踪の報告を受けて王妃クラリスは気を失ってしまった。
「母上。」
「クラリス。」
王妃を抱き止めた王は、メイド達に王妃を休ませる様に指示をする。メイド達は指示どうりに、王妃を連れて部屋を出て行く。その後を母上が心配だと、アルファが続く。
会議室に残ったのは、王のカイゼルに執事のジョルジュ クラウスの主治医ブレイブ 宰相のアスペクト侯爵 軍事総長ダイクン侯爵それとアルバート 六人であった。王と宰相と軍事総長と主治医は、円卓を囲み座っている。執事は王の後ろで控え、アルバートは父の軍事総長の後ろで控えていた。
「申し訳ございません。私が、目を放したせいです。」
「自分が、付いていながら。申し訳ありません。」
「いえ、私の診断が浅すぎたのです。」
執事とアルバート、主治医が次々と、謝りを告げる。
「一体、どう言う事ですか? これは。」
「うむ、王子が失踪とは現在未聞ですぞ。」
宰相、軍事総長と、言葉を続ける。王は、頭を抱えながら言った。
「それを、今日伝えるはずだった。まさか、昨日の今日で、こんなことになるとは・・・」
王と執事は昨日のクラウスの状況を、主治医は診断を話した。
クラウス王子は、青春病にかかっており重症。
アンジェリカ嬢をある女の換言に惑わされ斬首刑にしてしまったと。後に、その女と婚姻した事。弟アルファと女が結託して自分を殺害しようとしたので、斬首刑にしたと。そう思い込み
そして、何故かアンジェリカ嬢と婚約破棄を願っていると。
「アンジェリカ嬢と婚約破棄か、それは不味いな。」
「そうですね、非常に不味いです。」
アンジェリカ嬢の父ベクトル侯爵は、娘を激愛している。クラウス王子との婚姻も、どちらかと言えば反対していた。そこを、国の為だと王と宰相と軍事総長が頼み込んだのであった。ベクトル侯爵は、渋々頷いたのだ。それをこちら側から、婚約破棄をすれば確実に怒らす事になる。下手をすれば、内乱もありえた。
「その事についてですが、自分のせいです。」
気まずそうに、アルバートは声を上げた。
「どう言う事だ、アルバート。」
アルバートの父、軍事総長が問い掛ける。
「はい、父上。実は昨日、自分はいち早くクラウス殿下の異変に気付いておりました。」
部屋に居る全ての者が、アルバートの言葉に耳を傾ける。
「殿下はアンジェリカ嬢に謝らないと気が済まないと、申しておりました。
しかし自分は、起こっても無い事を謝られるのはアンジェリカ嬢も困ってしまうと、哀しまれてしまうと、殿下をお止めしました。」
「うむ、確かに。」
「殿下も納得していただきましたが、謝れないもどかしさに自らを下卑し自傷行為を行ってしまいました。」
「あの右手の傷は、その時のですか。」
執事は、痛ましそうに目を伏せた。
「なので自分は、言葉ではなく、態度で示されてはと、幸せにして差し上げればと、殿下に私案申し上げました。」
「それが、婚約破棄ですか。」
宰相は、頭を抱えた。
「はい、申し訳ありません。自分が、浅はかでした。父上か、何方かの指示を仰ぐべきでした。」
アルバートは、深く頭を下げる。
「しかし何故、婚約破棄なのでしょう。」
宰相の呟きに、アルバートは答える。
「殿下は、自ら死に至らしたアンジェリカ嬢を幸せにする事は出来ないと。誠意を持って、自ら婚約破棄をアンジェリカ嬢に伝えると。お止めした処、急に走り出し見失ってしまいました。申し訳ありません。」
(まさか、隣国を属国にした話に驚いたからとは言えないからな。王の毒殺の事も話してない様だし。)
アルバートは、深く頭を下げた。
「よくぞ止めてくれた。」
王は、感謝の意をアルバートに伝えた。
「そうですね。この事はアンジェリカ嬢とベクトル侯爵には、知られてはいけません。」
「隣国にもな。今、少しきな臭い。護衛も付けずに、外に出てると分かれば殺してくれと言ってる様なものだ。」
主治医とアルバートは、目を見張る。王は、顔を覆い、執事は沈痛な顔で俯いた。
「殿下は、病気で伏せっている。何か、人に会わなくてもよい病気は。」
「水痘など、如何でしょう。あれは、移る病気ですので人を避けられます。」
宰相の言葉に、主治医は答える。
「では、それで。後は、」
「王子をいち早く、見つけ出す事だな。」
「ええ、内々に。」
「俺の処の密偵に、捜させよう。」
「私の処の、影も出しましょう。」
「ジョルジュ、暗部に通達を。」
「はい、陛下。」
次々と、意向が決まっていく。主治医とアルバートは、呆然と立ち尽くすしか出来なかった。執事が部屋から出て行く扉の音で、アルバートは我に返る。
「オヤジ、俺もクラウスを。」
「お前は、学校だ。」
「しかし、クラウスは。」
宰相は優しく、話し掛ける。
「アルバート君、君はアンジェリカ嬢の方を頼みます。ジェームズにも、話しておきますので。」
「はい、解りました。」
アルバートは、頭を下げた。
「大丈夫、すぐに見つかりますよ。殿下は、とにかく目立ちますから。」
「目立つから、厄介なんだ。」
軍事総長は、アルバートと同じ赤い髪を掻きむしった。

「クラウス。お前、今何処に居るんだ。」
窓もない会議室で、外の暗さを思いながらアルバートは呟く。
クラウスの行方は、彼の身ぞ知る。
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