【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
11 / 40

追い詰める者。

しおりを挟む
「あの男、リフィルの婚約者であった男はどこにいる。」
ガタガタと震える二人に声をかける。
 
「いやあああ!! 」
若い女の左腕を掴むと、悲鳴と共に暴れたので強く掴むと簡単に折れた。痛みより恐怖の方が強かったのでそれでも暴れているロレーヌをリフターは離した。左腕をだらんとしたままその場にしゃがみ込む、尻をズルズルとして壁まで逃げ惑う。

「あの男は、どこにいる。」
暗い中でリフターの琥珀色の瞳が、光る。

「あの女が悪いのよ、あのアマージョ王女が!! 」
王妃は叫んだ。

「同盟強化のために、アフォガードと婚姻したいと脅したのよ!! 」
傍に立つリフターの足に縋り付いた。

「アマージョ王女が、目障りだから殺してくれと言ったの。わたくしは、ほんとうの娘になるのを指折り数えて待っていたのに。あの女が!! 」
上目遣いで王妃は、リフターに訴える。

「そ、そうだ、あの女が!! 同盟を盾に脅してきたのだ!! 」
「母上の言うとおりだ。私も、かわいい妹ができると喜んでいたのに……」
王妃の言葉を肯定するように王と王太子も言葉を投げかける。悪いのは総てあの女、横恋慕をしたアマージョ王女。自分たちは、嫌嫌ながら国を護るためにそれに従ったと。

「ええ、そうね。悪女に騙されたアフォガードも同罪ね。」
「心変わりをして、婚約者を死に至らしめるとは男の風上にもおけない。」
「奴は排斥にする。いや、アフォガードを殺してよい。王の儂が許す。」
床の上で体を起こしながら、王たちは息子までも生贄に差し出してきた。

「あの子を好きにしていいわ。だから、わたくしを助けて。」
甘い声でお願いをする。

「その男は、どこにいる。」
リフターは王妃の足を踏み付ける。

「痛い!! やめて、お願い!! 」
「どこにいる。」
王妃の足を踏み潰す。

「…よ!! あの女の国よ!! 」
もう片方の足も踏み潰すために力を入れる。ボキボキと骨の折れる音がする。

「隣のシュガーレ国よ!! お願いやめて!! 」
王妃はリフターに縋り付いた。

答えを聞いたリフターは興味を失ったように踵を返した。闇の中に、消えていくリフターの後ろ姿に王たちは命が助かったと安堵をする。安堵をすれば、徐々に折られた足が痛みを発してくる。

「クソお~!! おのれおのれ~!! たかが田舎者の汚れた血の分際で!! 」
「そうですわ、卑しい者のくせに。」
「必ずこの仮は返してやる!! 」
リフターがいなくなったのを見咎めると怒りが湧いて、罵倒を飛ばす。

「今ここで殺さなかったことを後悔させましょう。」
「もちろんですわ。全軍率いて、辺境の地を消し去ってくださいませ。あなた。」
「無論だ。ただの荒地にしてやろう。」
王族たちは折られた足の痛みを堪えながら、復讐を夢見て笑う。


ピリャンピリャンと何処かで雫の落ちる音がする。ランプの光を囲んで、彼らは助けを待っていた。

リフターは、アフォガードの居場所を聞いてこの場を去っていった。既にこの国を出ているはずだ。ならばもうそろそろ助けが来てもいい頃だと彼らは思っていた。

「くそう、まだ助けは来ないのか? 」
「ええ、何をしているのかしら。」
折られた足のせいで、体中が熱を持っている。石で出来た床はひんやりして、気持ちがよかった。

「喉が渇きましたね。」
「何をしておるのだ、まったく。」
「まさか此処にいるとは、思わなくて城内を探しているのね。」
此処にいることを知らせたいが、足が動かなくて知らせることが出来ない。

「ロレーヌ。」
「ひぃ!! 」
王太子が壁に向かって座っているロレーヌに声をかけると、悲鳴を上げた。

「大丈夫だ、ロレーヌ。上に行って此処に私たちがいることを知らせてきてはくれないか。」
「そうですわ、ロレーヌは歩けますわね。直ぐ上に知らせに行って来なさい。」
「いや、いや……」
「とっとと行って来い、ロレーヌ!! 」
頭を震わせて、嫌がるロレーヌに王は大声で怒鳴った。

左腕を垂らしながら、ロレーヌは立ち上がり上に向かって階段を上っていく。

そして、ロレーヌは戻って来なかった。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下

花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すものだった。 ■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」の原作ヒロインのポジションの人です ■画像は生成AI (ChatGPT)

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

処理中です...