【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて

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逃げ惑う者。

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コロンコロンと、床に衛兵たちの首が転がる。血を吹き出しながら、首のない体が倒れる。

「落ち着け、キャンベル!! たかが、小娘一人の事ではないか!! 」
どれほどリフターが娘を愛していたかを忘れて、叫んだ。

愛する娘が居たからこそ護っていた。愛する人の故郷だと思って、気にかけていた。で、なければ護ることはなかった。

金も地位も名誉も、リフターには辺境に住む者にはなんの価値もない。目敏いなら、さっさと滅ぼしていた。

一歩リフターは足を出す。

「儂を守れ!! 王である儂を!! 」
王が叫ぶと、騒ぎを聞き付けた全身鎧の騎士たちが現れる。王族の者たちを護るために、リフターの前に立ちはだかる。

リフターの後ろでは、会場を逃げ出そうとする者たちが副官たちに命を刈られていた。扉へ行けば殺されるのが分かると、悲鳴を上げながら窓に向かう者が現れる。何処から逃げようと、辺境の騎士の追跡からは逃れられない。門は閉だされ、王都のどこにも逃げ切れる場所はない。

大剣を振ると、鎧で切れることはなかったが代わりに首が力でちぎれ飛ぶ。銅にあたったものは、鎧ごと曲がって死んでいる。

「反逆者だ!! 殺せ!! 」
王は、王族たちは、逃げ出した。騎士たちに此処は任せ、自分たちは安全な場所に逃げる。だが、行く所行く所悲鳴が場内に響き渡っている。

辺境の騎士たちが、殺戮を繰り返しているのだ。気配を探して、生きている者を野獣の如く刈り取って行っている。


「そ、そうだ。隠し通路があった。王にしか知らされない、隠し通路が。」
「あなた、何処ですの? 早くおっしゃって。」
逃げ惑いながら王は思い出す。

「地下だ。地下牢に、隠し通路が。」
「ロレーヌ地下だ。」
「アガート様。」
「あなた、早く。」
地下の隠し通路に向かって王族たちは逃げる。それはかつて、リフィルが刑の執行まで閉じ込められていた場所だと思いもせずに。

悲鳴の響き渡る城内を逃げる、地下へ。自分たちだけは助かろうと、逃げる。高貴な、王族である自分たちは助かるべき人間だと彼らは確信していた。

リフターは静かに逃げる王族を目で。追っていた。決して逃さぬように邪魔をする者を、大剣で捻り潰しながら。

まだ聞くことがあった。リフィルを最も護らなくてはならなかった者、婚約者だったアフォガードの事を。アマージョという王女の事を。今、何処にいるのかを。

ピリャンピリャンと雫の垂れる音がする。
薄暗い地下牢は使われてなく、灯りもなかった。ランプを片手に王太子は隠し通路を探して、牢屋の中を確認する。

「父上、どの牢屋ですか? 」
湿った空気とカビ臭い匂いがする。

「分からん、何処かにあるはずだ。探し出せ、アガート。」
「早く見つけなさい。」
「アガート様、頑張って。」

一つしかないランプは王太子が牢屋の中に入ると、廊下である場所が暗くなる。離れないように三人は固まっていた。ぐいっと、王は首元を後ろから引っ張られた。 

「うわああああ!! 」
王の悲鳴と共にボキボキと音がなった。

「あなた!? 」
「陛下!? 」
「父上、どうしました!? 」
牢屋から出てきた王太子のランプの明かりが灯ると、そこにはリフターが王の足を踏みつけている姿があった。大剣を床に刺し、王の太ももを踏みつけ骨を砕く。

「貴様、何をしている!! 」
「逃げないように足を砕いている。」
王太子の言葉に、冷たく答える。

「た、助けろ、アガート!! 儂を助けろ!! 」
「父上!! 」
王の言葉に、咄嗟に体が動いた。王太子はランプを王妃に預けると、剣を抜いてリフターに襲いかかった。

「うわああああああ!! 」  
簡単に薙ぎ払われ、父親と同じように足の骨を砕かれる。リフターは女たちに目を向けると。へなへなと王妃と王太子妃はその場に腰を抜かした。ガタガタと、体が震える。

「聞きたいことがある。」
冷たい声が、琥珀色の瞳が女たちを見下ろした。











  
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