10 / 40
逃げ惑う者。
しおりを挟む
コロンコロンと、床に衛兵たちの首が転がる。血を吹き出しながら、首のない体が倒れる。
「落ち着け、キャンベル!! たかが、小娘一人の事ではないか!! 」
どれほどリフターが娘を愛していたかを忘れて、叫んだ。
愛する娘が居たからこそ護っていた。愛する人の故郷だと思って、気にかけていた。で、なければ護ることはなかった。
金も地位も名誉も、リフターには辺境に住む者にはなんの価値もない。目敏いなら、さっさと滅ぼしていた。
一歩リフターは足を出す。
「儂を守れ!! 王である儂を!! 」
王が叫ぶと、騒ぎを聞き付けた全身鎧の騎士たちが現れる。王族の者たちを護るために、リフターの前に立ちはだかる。
リフターの後ろでは、会場を逃げ出そうとする者たちが副官たちに命を刈られていた。扉へ行けば殺されるのが分かると、悲鳴を上げながら窓に向かう者が現れる。何処から逃げようと、辺境の騎士の追跡からは逃れられない。門は閉だされ、王都のどこにも逃げ切れる場所はない。
大剣を振ると、鎧で切れることはなかったが代わりに首が力でちぎれ飛ぶ。銅にあたったものは、鎧ごと曲がって死んでいる。
「反逆者だ!! 殺せ!! 」
王は、王族たちは、逃げ出した。騎士たちに此処は任せ、自分たちは安全な場所に逃げる。だが、行く所行く所悲鳴が場内に響き渡っている。
辺境の騎士たちが、殺戮を繰り返しているのだ。気配を探して、生きている者を野獣の如く刈り取って行っている。
「そ、そうだ。隠し通路があった。王にしか知らされない、隠し通路が。」
「あなた、何処ですの? 早くおっしゃって。」
逃げ惑いながら王は思い出す。
「地下だ。地下牢に、隠し通路が。」
「ロレーヌ地下だ。」
「アガート様。」
「あなた、早く。」
地下の隠し通路に向かって王族たちは逃げる。それはかつて、リフィルが刑の執行まで閉じ込められていた場所だと思いもせずに。
悲鳴の響き渡る城内を逃げる、地下へ。自分たちだけは助かろうと、逃げる。高貴な、王族である自分たちは助かるべき人間だと彼らは確信していた。
リフターは静かに逃げる王族を目で。追っていた。決して逃さぬように邪魔をする者を、大剣で捻り潰しながら。
まだ聞くことがあった。リフィルを最も護らなくてはならなかった者、婚約者だったアフォガードの事を。アマージョという王女の事を。今、何処にいるのかを。
ピリャンピリャンと雫の垂れる音がする。
薄暗い地下牢は使われてなく、灯りもなかった。ランプを片手に王太子は隠し通路を探して、牢屋の中を確認する。
「父上、どの牢屋ですか? 」
湿った空気とカビ臭い匂いがする。
「分からん、何処かにあるはずだ。探し出せ、アガート。」
「早く見つけなさい。」
「アガート様、頑張って。」
一つしかないランプは王太子が牢屋の中に入ると、廊下である場所が暗くなる。離れないように三人は固まっていた。ぐいっと、王は首元を後ろから引っ張られた。
「うわああああ!! 」
王の悲鳴と共にボキボキと音がなった。
「あなた!? 」
「陛下!? 」
「父上、どうしました!? 」
牢屋から出てきた王太子のランプの明かりが灯ると、そこにはリフターが王の足を踏みつけている姿があった。大剣を床に刺し、王の太ももを踏みつけ骨を砕く。
「貴様、何をしている!! 」
「逃げないように足を砕いている。」
王太子の言葉に、冷たく答える。
「た、助けろ、アガート!! 儂を助けろ!! 」
「父上!! 」
王の言葉に、咄嗟に体が動いた。王太子はランプを王妃に預けると、剣を抜いてリフターに襲いかかった。
「うわああああああ!! 」
簡単に薙ぎ払われ、父親と同じように足の骨を砕かれる。リフターは女たちに目を向けると。へなへなと王妃と王太子妃はその場に腰を抜かした。ガタガタと、体が震える。
「聞きたいことがある。」
冷たい声が、琥珀色の瞳が女たちを見下ろした。
「落ち着け、キャンベル!! たかが、小娘一人の事ではないか!! 」
どれほどリフターが娘を愛していたかを忘れて、叫んだ。
愛する娘が居たからこそ護っていた。愛する人の故郷だと思って、気にかけていた。で、なければ護ることはなかった。
金も地位も名誉も、リフターには辺境に住む者にはなんの価値もない。目敏いなら、さっさと滅ぼしていた。
一歩リフターは足を出す。
「儂を守れ!! 王である儂を!! 」
王が叫ぶと、騒ぎを聞き付けた全身鎧の騎士たちが現れる。王族の者たちを護るために、リフターの前に立ちはだかる。
リフターの後ろでは、会場を逃げ出そうとする者たちが副官たちに命を刈られていた。扉へ行けば殺されるのが分かると、悲鳴を上げながら窓に向かう者が現れる。何処から逃げようと、辺境の騎士の追跡からは逃れられない。門は閉だされ、王都のどこにも逃げ切れる場所はない。
大剣を振ると、鎧で切れることはなかったが代わりに首が力でちぎれ飛ぶ。銅にあたったものは、鎧ごと曲がって死んでいる。
「反逆者だ!! 殺せ!! 」
王は、王族たちは、逃げ出した。騎士たちに此処は任せ、自分たちは安全な場所に逃げる。だが、行く所行く所悲鳴が場内に響き渡っている。
辺境の騎士たちが、殺戮を繰り返しているのだ。気配を探して、生きている者を野獣の如く刈り取って行っている。
「そ、そうだ。隠し通路があった。王にしか知らされない、隠し通路が。」
「あなた、何処ですの? 早くおっしゃって。」
逃げ惑いながら王は思い出す。
「地下だ。地下牢に、隠し通路が。」
「ロレーヌ地下だ。」
「アガート様。」
「あなた、早く。」
地下の隠し通路に向かって王族たちは逃げる。それはかつて、リフィルが刑の執行まで閉じ込められていた場所だと思いもせずに。
悲鳴の響き渡る城内を逃げる、地下へ。自分たちだけは助かろうと、逃げる。高貴な、王族である自分たちは助かるべき人間だと彼らは確信していた。
リフターは静かに逃げる王族を目で。追っていた。決して逃さぬように邪魔をする者を、大剣で捻り潰しながら。
まだ聞くことがあった。リフィルを最も護らなくてはならなかった者、婚約者だったアフォガードの事を。アマージョという王女の事を。今、何処にいるのかを。
ピリャンピリャンと雫の垂れる音がする。
薄暗い地下牢は使われてなく、灯りもなかった。ランプを片手に王太子は隠し通路を探して、牢屋の中を確認する。
「父上、どの牢屋ですか? 」
湿った空気とカビ臭い匂いがする。
「分からん、何処かにあるはずだ。探し出せ、アガート。」
「早く見つけなさい。」
「アガート様、頑張って。」
一つしかないランプは王太子が牢屋の中に入ると、廊下である場所が暗くなる。離れないように三人は固まっていた。ぐいっと、王は首元を後ろから引っ張られた。
「うわああああ!! 」
王の悲鳴と共にボキボキと音がなった。
「あなた!? 」
「陛下!? 」
「父上、どうしました!? 」
牢屋から出てきた王太子のランプの明かりが灯ると、そこにはリフターが王の足を踏みつけている姿があった。大剣を床に刺し、王の太ももを踏みつけ骨を砕く。
「貴様、何をしている!! 」
「逃げないように足を砕いている。」
王太子の言葉に、冷たく答える。
「た、助けろ、アガート!! 儂を助けろ!! 」
「父上!! 」
王の言葉に、咄嗟に体が動いた。王太子はランプを王妃に預けると、剣を抜いてリフターに襲いかかった。
「うわああああああ!! 」
簡単に薙ぎ払われ、父親と同じように足の骨を砕かれる。リフターは女たちに目を向けると。へなへなと王妃と王太子妃はその場に腰を抜かした。ガタガタと、体が震える。
「聞きたいことがある。」
冷たい声が、琥珀色の瞳が女たちを見下ろした。
26
あなたにおすすめの小説
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下
花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すものだった。
■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」の原作ヒロインのポジションの人です
■画像は生成AI (ChatGPT)
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる