【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて

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意図あるように。

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「俺は、リフィルを愛している。」 

リフターの言葉に、王は息を呑む。

「誰よりも、何よりも。」

彼らは選択を誤った。見事にあのリフィルの叔母と従姉妹に騙されていた。

だがそれが、冤罪付とはならない。彼らはリフィルに冤罪を着せて、命を奪ったのだ。いや、残酷に殺し亡骸さえも晒し消し去ったのだ。

「待て、辺境伯!! 」
「あなたが、あの小 あの子を愛してたなんて知らなかったの。」
「そ、そうだ、あの女はお前がリフィルを疎んじていると!! 」
「そうよ、あの従姉妹という女があなたは娘を嫌っていると言ったのよ!! わたくしは悪くないわ、わたくしは騙されたの!! 」
涙ながらにリフターに訴える。自分は騙されたのだから、悪くないと。

「そうだ、私は悪くわない。お前はリフィルに会いに来なかったし、手紙の返事もよこさなかった。」
アフォガードは、リフターがリフィルに会いに来てないことと手紙の返事もよこさなかった事をあげた。

「お前の態度が、リフィルを疎んじていると感じさせたのだ!! 」
リフターのリフィルに対する態度が、自分たちにそうさせたと責める。

「だからといって、なぜ殺した。」

アフォガードは言葉に詰まった。

リフターが娘を疎んじているとして、だからといって殺す必要があるのかと問いただす。アマージョ王女と婚姻をしたければ婚約を解消すればいいだけの事だ。

何時しか、パーティー会場内は夕陽の色で赤く染まっていた。残された太陽が、会場の窓から最後の光を注いでいる。

もうすぐ、暗闇の夜が来る。

会場内で立っているのは、リフターと王族の三人だけだ。他の者は床に倒れ、動くこともない。右側の近くにある元人間だったものが積み重なっている。その中から、まだ息のある者のうめき声が会場内に響いていた。

「う、ううぅぅ……。」
「あ、ぁ、ぁあ……。」
「ハッ、ハッ、ハッ。」
王太子と王太子妃と王妃。

リフターの後ろの左側からもまだ息のある者が、血を吐いている。

「ゲボッ、ゲボッ!! 」
ジョルノ公爵。

他の者はみんな事切れているのに、王族だけが生きながらえ苦しんでいる。まるで意図あるように、苦しめと。

辺境の者は命を弄ばない、苦しめることなく命を刈る。命を刈る者の最大の慈悲は苦しませずに一息で殺すこと。辺境の者は必要以上に刈りをしない、攻め入って来る帝国も逃げだす者を追ってまで刈ろうとは思わない。帝国は薙ぎ払うだけの存在、敵と見做していれば既に帝国は存在していないだろう。

その辺境の者が、リフターが、意図して死に行く者をながく苦しめる。感情のない今のリフターの最大の怒りの現れなのかもしれない。

最後の太陽の光がリフターをかすめて、消えた。月のない深淵の闇が訪れ、リフターの琥珀色の瞳が闇に浮き上がる。

静まり返っり闇に沈んだ城内に灯りをともす者はいなかった、総ての人間は刈り尽くされ辺境の者が琥珀色の瞳を輝かせ松明を持ってリフターのいる会場に集って来た。

貴族街はまだ殺戮が繰り広げられている、辺境の者は気配を探り命を刈っている。


「なぜ、リフィルを殺した。」
リフターは同じ言葉を問い掛ける。

地見で見窄らしかったから、陰気で鬱陶しかったから、自分は高貴な王族で在りながらなぜ血筋の卑しい者と婚姻しなければならなかったのか。アマージョは華やかで美しい、自分には他国の王族の血筋の王女が相応しい。

どの思いもリフターを怒らすだけで止めることはできない。

「うるさい!! お前だって、あの女たちに騙されていたのだろ!! 」
指摘するように差し出されたアフォガードの右手をリフターは斬った。

アフォガードは右腕を掴んだ、床に転がる右首。ひたひたと剣先から赤い雫を垂らしながら近づいてくる人。

「う、うわあああああああっ!! 」

アフォガードは悲痛の叫びは、闇に沈む会場に響き渡った。






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