23 / 57
嫉妬された結果がヤバすぎる件
しおりを挟む
誰がこんなこと…。
あたしの行動を止める美桜を交わして掲示板の前に立つと、そこにはあたしの元カレ達との写真がたくさん貼られてあった。
二人でくっついて笑顔を浮かべている写真、
クリスマスデートの時に撮った幸せだった時の写真、
元カレが撮ったあたしの寝顔、
だけど一番特に目立っていたのは…今でも憶えてる。
あたしがなかなか忘れられなかった元カレ、貴斗くんとキスをしている時の写真…だった。
あたしこれ全部…知ってる。
この写真に写っているのは、紛れもなくあたしだから。
他の誰でもない。
だけどどうして、誰がこんなことっ…。
あたしがそう思ってすぐにその写真を外そうとしたら、その直前で後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あんたさ、やっぱ遊んでんだね」
「!…」
その声にすぐに反応して振り向くと、そこにいたのは水族館の時の女子達で。
目が合うと、心臓が嫌な音を立て出すあたしにそいつらが言った。
「あんたの元カレ?調べたら20人ほどいたんだけど、どういうこと?まぁ、元々変な噂があるのは知ってたけどね」
「…っ、」
「この前、水族館のあたし達のこと、あんた翔太くんに全部言ったでしょ。これはその罰だから。
翔太くん、これ見たらさすがに引くでしょうね?今から楽しみなんだけど」
その女子達はそう言うと、あたしの真っ青な反応を見ては手を叩いて不気味に笑う。
するとそんなやりとりを見て、美桜が割って入ってきて、言った。
「っ…酷い!これやったのアンタらなの!?翔太くん翔太くんって、完全にそれヒガミじゃん!」
「う、うるさい!だいたい関係ない女は入ってくんなよ!それとも何、この写真は嘘だって言いたいの?」
「…そ、それはっ…」
美桜はその女子達の言葉に困った表情を浮かべると、だけど心配そうにあたしを見遣る。
…美桜にも心配かけちゃってる。
あたしはそう思うけど、でも写真が事実だから何も言えなくて。
しかもそうこうしていると、その女子達がふいに玄関を見て…何かに気がついたように言った。
「…あっ、噂をすれば!」
「?」
「翔太くんのご登場~」
「!!」
その言葉に、あたしは慌ててその玄関先に目を遣る。
他の生徒達がいっぱいいてよく見えないけれど、他の女子達が奥の方で騒いでいるから、多分本当に来たんだと思う。
あたしはそれに気がつくと…
“早月くんには絶対に見られたくない”
そう思って、目の前の写真達を乱雑に外し始めた。
「皆んなおはよ~」
「おはよ、翔太くん!ね、ちょっと見てほしいものがあるの!」
だけど、その行動は全く無駄だったようで。
その女子達は直様早月くんのところに駆け寄ると、まだ手に持っていたらしいLサイズの写真を見せる。
あたしはその姿に気がつくと、すぐに走って写真を奪おうとしたけれど…
「まだまだあるよー!」
「!」
「いろーんな男との2ショット、キスプリなんかもたーっくさん!」
それはすぐにすかされ、あろうことかその写真を全てばら撒かれる。
一方、早月くんはその写真を半ば無理矢理に見せられて、固まったまま…。
だけどあたしは、その写真を早月くんから奪い取った。
「っ…見ないで!」
「…あ」
そしてあたしがその場から逃げようとした瞬間、後ろで女子達が早月くんに言う。
「ね、翔太くん!もうこれ以上あの女に近くのは良くないと思うの!」
「…え、」
「だってあの工藤ってコ、悪い噂しかないんだよ!特にびっくりするのが…誰とでもヤラせてくれるっていう噂」
「!」
「それに、今まで付き合ってた元カレも20人いるんだって!さすがにドン引きじゃない?」
ねぇ翔太くん、あたしこわーい!
その女子はそう言うと、わざとらしく早月くんの腕に自身の腕をからめて引っ付く。
……誰とでも。
それはこの前にも、健から言われたこと。
それは、完全に嘘なのに。
でも今はそれを否定する余裕はなくて、あたしは再びその場から逃げようとした。
けど、逃げようとしたその瞬間、あたしの背中を追いかけてきたらしい早月くんに、すぐに腕を掴まれた。
「待って、世奈ちゃん」
「!」
そう言われて、もう逃げることが出来なくなる。
そんな早月くんに、「離して!」と腕を振り解こうとしても無駄。
早月くんの手はビクともしなくて、それどころか再びその女子達の目の前に連れ戻された。
「…っ、」
…もう泣きそう。
っていうか今すぐにでも泣きたい。
こんな写真、たくさんの生徒がいるなかでばら撒かれて、しかも早月くんにまで見られて…。
しかしそう思って俯いていたら、やがて早月くんが目の前の女子達に言った。
「ね、せっかくだから僕のも撮ってよ」
「…えっ、」
「いいじゃん。あ、僕が合図出したらね」
そう言うと、鞄からスマホを取り出して、それをその女子達に渡す。
そしてカメラを起動させるから、そんな早月くんの行動に疑問を浮かべるあたしは、少し不安げに早月くんを見つめて…。
…すると、早月くんは。
あたしの両肩に手を添えて、そうかと思えば…次の瞬間、何の躊躇いもなくあたしにキスをした。
「っ…!?」
キスをされた瞬間、周りで小さな悲鳴が聞こえてくる。
…数秒くらいは重なっていただろうか。
あたし自身もびっくりして固まっていると、ふいに早月くんがあたしから離れてその女子達に言った。
「…撮れた?」
「…え、あっ…」
「なに、撮れてないの?」
当然だけど、いきなりの早月くんの行動に女子達もびっくりしたんだろう。
写真は撮れていないらしく、早月くんはまたあたしと向き合う形になる。
…もしかして…もしかして…。
そしてまた、早月くんに添えられる両肩。
あたしは固まっていて、動けない。
早月くんはキスの直前で、至近距離であたしに向かって優しく微笑むと、その直後にまたあたしにキスをした。
「っ…、」
優しい…けど、さっきよりも長いキス。
そう思っていたら…
「っ…ん、んんっ…はぁっ…」
だんだん、そのキスは深くなって。
皆んなが見てるのに、あたしは声が抑えられず、そんな甘い声を出してしまう。
あたしが思わず早月くんの肩をトントンと叩くと、早月くんはやがてキスをやめた。
「どう?今度は撮れたでしょ」
そして一方、そう言われた女子達は、そんな早月くんにいつの間にか顔を真っ赤にして勢いよく首を縦に振る。
そんな女子達に早月くんが「ありがと」と言ってスマホを返してもらうと、その女子達に言った。
「じゃあ、今の画像後で渡すから、これも大きい写真にして一番目立つところに貼っといてよ。したら今回は見逃してあげる」
「…え、」
「本当は今すぐ君ら全員殴りたい気分だけど、女の子を殴るのは趣味じゃないから。でも、今ので同じくらい傷ついたでしょ?
…残念だね、僕が見てるのは今現在の世奈ちゃんだから、過去に惑わされたりはしないの」
「!」
「…あ。でも次世奈ちゃん泣かせたら、その時は容赦しないからな」
「!!」
早月くんはそう言うと…
「行くよ、世奈ちゃん!」
「!」
顔を真っ赤にして立ち尽くすあたしの手を取って、走ってその場を後にした…。
あたしの行動を止める美桜を交わして掲示板の前に立つと、そこにはあたしの元カレ達との写真がたくさん貼られてあった。
二人でくっついて笑顔を浮かべている写真、
クリスマスデートの時に撮った幸せだった時の写真、
元カレが撮ったあたしの寝顔、
だけど一番特に目立っていたのは…今でも憶えてる。
あたしがなかなか忘れられなかった元カレ、貴斗くんとキスをしている時の写真…だった。
あたしこれ全部…知ってる。
この写真に写っているのは、紛れもなくあたしだから。
他の誰でもない。
だけどどうして、誰がこんなことっ…。
あたしがそう思ってすぐにその写真を外そうとしたら、その直前で後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あんたさ、やっぱ遊んでんだね」
「!…」
その声にすぐに反応して振り向くと、そこにいたのは水族館の時の女子達で。
目が合うと、心臓が嫌な音を立て出すあたしにそいつらが言った。
「あんたの元カレ?調べたら20人ほどいたんだけど、どういうこと?まぁ、元々変な噂があるのは知ってたけどね」
「…っ、」
「この前、水族館のあたし達のこと、あんた翔太くんに全部言ったでしょ。これはその罰だから。
翔太くん、これ見たらさすがに引くでしょうね?今から楽しみなんだけど」
その女子達はそう言うと、あたしの真っ青な反応を見ては手を叩いて不気味に笑う。
するとそんなやりとりを見て、美桜が割って入ってきて、言った。
「っ…酷い!これやったのアンタらなの!?翔太くん翔太くんって、完全にそれヒガミじゃん!」
「う、うるさい!だいたい関係ない女は入ってくんなよ!それとも何、この写真は嘘だって言いたいの?」
「…そ、それはっ…」
美桜はその女子達の言葉に困った表情を浮かべると、だけど心配そうにあたしを見遣る。
…美桜にも心配かけちゃってる。
あたしはそう思うけど、でも写真が事実だから何も言えなくて。
しかもそうこうしていると、その女子達がふいに玄関を見て…何かに気がついたように言った。
「…あっ、噂をすれば!」
「?」
「翔太くんのご登場~」
「!!」
その言葉に、あたしは慌ててその玄関先に目を遣る。
他の生徒達がいっぱいいてよく見えないけれど、他の女子達が奥の方で騒いでいるから、多分本当に来たんだと思う。
あたしはそれに気がつくと…
“早月くんには絶対に見られたくない”
そう思って、目の前の写真達を乱雑に外し始めた。
「皆んなおはよ~」
「おはよ、翔太くん!ね、ちょっと見てほしいものがあるの!」
だけど、その行動は全く無駄だったようで。
その女子達は直様早月くんのところに駆け寄ると、まだ手に持っていたらしいLサイズの写真を見せる。
あたしはその姿に気がつくと、すぐに走って写真を奪おうとしたけれど…
「まだまだあるよー!」
「!」
「いろーんな男との2ショット、キスプリなんかもたーっくさん!」
それはすぐにすかされ、あろうことかその写真を全てばら撒かれる。
一方、早月くんはその写真を半ば無理矢理に見せられて、固まったまま…。
だけどあたしは、その写真を早月くんから奪い取った。
「っ…見ないで!」
「…あ」
そしてあたしがその場から逃げようとした瞬間、後ろで女子達が早月くんに言う。
「ね、翔太くん!もうこれ以上あの女に近くのは良くないと思うの!」
「…え、」
「だってあの工藤ってコ、悪い噂しかないんだよ!特にびっくりするのが…誰とでもヤラせてくれるっていう噂」
「!」
「それに、今まで付き合ってた元カレも20人いるんだって!さすがにドン引きじゃない?」
ねぇ翔太くん、あたしこわーい!
その女子はそう言うと、わざとらしく早月くんの腕に自身の腕をからめて引っ付く。
……誰とでも。
それはこの前にも、健から言われたこと。
それは、完全に嘘なのに。
でも今はそれを否定する余裕はなくて、あたしは再びその場から逃げようとした。
けど、逃げようとしたその瞬間、あたしの背中を追いかけてきたらしい早月くんに、すぐに腕を掴まれた。
「待って、世奈ちゃん」
「!」
そう言われて、もう逃げることが出来なくなる。
そんな早月くんに、「離して!」と腕を振り解こうとしても無駄。
早月くんの手はビクともしなくて、それどころか再びその女子達の目の前に連れ戻された。
「…っ、」
…もう泣きそう。
っていうか今すぐにでも泣きたい。
こんな写真、たくさんの生徒がいるなかでばら撒かれて、しかも早月くんにまで見られて…。
しかしそう思って俯いていたら、やがて早月くんが目の前の女子達に言った。
「ね、せっかくだから僕のも撮ってよ」
「…えっ、」
「いいじゃん。あ、僕が合図出したらね」
そう言うと、鞄からスマホを取り出して、それをその女子達に渡す。
そしてカメラを起動させるから、そんな早月くんの行動に疑問を浮かべるあたしは、少し不安げに早月くんを見つめて…。
…すると、早月くんは。
あたしの両肩に手を添えて、そうかと思えば…次の瞬間、何の躊躇いもなくあたしにキスをした。
「っ…!?」
キスをされた瞬間、周りで小さな悲鳴が聞こえてくる。
…数秒くらいは重なっていただろうか。
あたし自身もびっくりして固まっていると、ふいに早月くんがあたしから離れてその女子達に言った。
「…撮れた?」
「…え、あっ…」
「なに、撮れてないの?」
当然だけど、いきなりの早月くんの行動に女子達もびっくりしたんだろう。
写真は撮れていないらしく、早月くんはまたあたしと向き合う形になる。
…もしかして…もしかして…。
そしてまた、早月くんに添えられる両肩。
あたしは固まっていて、動けない。
早月くんはキスの直前で、至近距離であたしに向かって優しく微笑むと、その直後にまたあたしにキスをした。
「っ…、」
優しい…けど、さっきよりも長いキス。
そう思っていたら…
「っ…ん、んんっ…はぁっ…」
だんだん、そのキスは深くなって。
皆んなが見てるのに、あたしは声が抑えられず、そんな甘い声を出してしまう。
あたしが思わず早月くんの肩をトントンと叩くと、早月くんはやがてキスをやめた。
「どう?今度は撮れたでしょ」
そして一方、そう言われた女子達は、そんな早月くんにいつの間にか顔を真っ赤にして勢いよく首を縦に振る。
そんな女子達に早月くんが「ありがと」と言ってスマホを返してもらうと、その女子達に言った。
「じゃあ、今の画像後で渡すから、これも大きい写真にして一番目立つところに貼っといてよ。したら今回は見逃してあげる」
「…え、」
「本当は今すぐ君ら全員殴りたい気分だけど、女の子を殴るのは趣味じゃないから。でも、今ので同じくらい傷ついたでしょ?
…残念だね、僕が見てるのは今現在の世奈ちゃんだから、過去に惑わされたりはしないの」
「!」
「…あ。でも次世奈ちゃん泣かせたら、その時は容赦しないからな」
「!!」
早月くんはそう言うと…
「行くよ、世奈ちゃん!」
「!」
顔を真っ赤にして立ち尽くすあたしの手を取って、走ってその場を後にした…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
133
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる