兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

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幼なじみがモテすぎてる件①

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とある土曜日の朝。
学校が休みだからと目覚ましなんてかけずに寝ていたら、突然スマホが鳴り出して着信がかかってきた。

「…ん~…」

…誰?こんな早くから…。
そう思いながら部屋の時計に目を遣ると、時計の針は7時半を指している。
…まだ全然寝ていられる時間じゃん。
あたしは着信を無視しようとしたけれど、あまりにもしつこいから一旦出ることにして、スマホを手に取る。
画面を見ると相手は健からで、あたしはため息交じりにその電話に出た。

「…ハイ」

あたしがそう言って短い返事をして出ると、電話の向こうで健が言った。

「あ、やっと出た。お前電話くらい早く出ろよな」
「何もー、今何時だと思ってんの。普通に寝てたんだけど」
「ね、お前さ、今日ヒマなんだって?」
「…ヒマじゃない今から寝るし」

そう言って、「おやすみ」と。
再び電話を切ろうとする。
だけどそんなあたしの行動を健が慌てて引き留めると、言った。

「いや、待て待て!今日はどうしても世奈に来て欲しいんだって!」
「…もしかして今から?すっごいヤダ」
「今日学校で練習試合があってさ、ウチのサッカー部マネージャーいないじゃん?
だからいろいろ大変なんだよね。一年もまだ入部してきてないし」
「嫌な予感する~」
「で、今日は世奈にマネージャーの雑用をお願いしたいんだけど」

…やっぱり!
健はあたしにそう言うと、今すぐ支度して出てきてよ、と。
もうあたしに拒否権なんて与えずにそう言う。
だけどそんなこと、いきなり頼まれたって行く気なんかさらさら無いし。
あたしが断ろうとしたら、それを察知したのか健がまた言った。

「…俺最近、世奈のためにいろいろやってあげてるじゃん?」
「…う」
「この前水族館まで自転車で迎えに行ったり、添い寝したり…あ、泊まりに行った時に“抱いて”なんて突然言われても、結局抱かないであげ、」
「っあー!わかったわかった!わかりました行かせて頂きます!」

何だか黙って聞いていたら、健がいきなりトンデモナイ記憶を掘り起こすから、今それを言われると恥ずかしくて仕方ないあたしは、慌ててその言葉を大きな声で遮った。
もう、起きればいいんでしょ起きれば!
そしてベッドから起き上がって体操着を用意していると、あたしの返事を聞いた健が満足そうに言う。

「あ、そう?なら良かった。30分は待ってやるから用意出来たら来て。
…リビングで待ってるから」
「うん、」

そう言われて、あたしはその後電話を切ってスマホをベッドの上に投げる。
さ、早く支度しよ。
…しかし、投げた直後にあたしはようやく気がついた。
え、“リビングで待ってる”!?

何気なくスルーして電話を切ってしまったけど、あたしはその言葉の意味を理解すると、パジャマのまま急いで部屋から出る。
もしかして…!?
そして何だか嫌な予感がしてリビングのダイニングテーブルに目を遣ると、そこには何故か家で朝ご飯をご馳走になってる健がいた。

「っ、健!何でここで朝ご飯なんかっ…!」
「うま!やっぱ勇斗くんが作ったご飯ウマイな!」
「せやろ?今日はちょっと朝から頑張ってみてんけど、ほら、世奈週末は朝ご飯食べへんからさ、」

お前に食わすしかないやん、と。
朝からご機嫌で、キッチンから健にそう言う兄貴。
…じゃなくて!

「兄貴!何でこんな朝早くから健がいるの!?」

あたしがキッチンに向かいながら兄貴にそう聞いたら、兄貴が夕飯の下ごしらえをしながら言った。

「何でって、俺が呼んでん。めっちゃウマイ朝ご飯出来たし、」
「だからって…!」
「それに、今日はサッカー部の雑用が全然おらんみたいやし、出来る奴欲しかったんやって。せやから、今日休みのお前勧めといた」

そう言って、「ま、頑張ってな」と。
兄貴はそう言うと、またニコニコと笑顔を向けるから。
…そんなイケメンスマイル向けられたら、頷くしかないじゃん。
そう思いながら渋々キッチンを出ようとしたら、ダイニングテーブルで時計を見ながら健が言った。

「5分経過ー」
「え、」
「おい、遅刻しそうだったら置いてくぞー」
「!」

そう言うと、もくもくと朝ご飯を食べ進める健。
そんな健にあたしは「わかってるよ」と愚痴っぽく返事をすると、体操着に着替えるべく再び部屋の中に入った。

…………

30分ギリギリで支度を終わらせると、あたしは健と一緒にマンションを出た。
二人で学校までの道を歩きながら、あたしが今日やることを問いかけると、健がちょっと考えながら言う。

「んー…いっぱいあるよ。
部室の掃除にグランドの掃除、ユニフォームの洗濯、部員全員のドリンク作り、審判、ボール拾い、怪我した奴がいたらその手当て、あと…あ、空気が無いボールがいくつかあるから、それに空気入れてほしい」

そう言うと、唖然としているあたしに「よろしくな」と憎いくらいの爽やかな笑顔を向ける健。
え、何か多くない?
予想してたよりもかなり仕事量多くないっ!?
あたしはそれにびっくりすると、でも、と健に言った。

「で、でも、雑用はあたし独りじゃないんだよね?」

だってその仕事量、いくら何でも独りだと…。
だけどそんなあたしに、健が悪気なく即答する。

「いや、世奈独りだよ」
「えっ」
「他に出来る奴集められなかったし」
「う、うそ~…」
「や、ほら、応援によく来てくれる女子はいっぱいいるんだけど、下心があるっつーか…あんま仕事してくんないんだよね。だいたい中途半端で」

健はそう言うと、

「…まぁ、今日1日だけだから。よろしく」

と、あたしの肩をぽんぽん、と軽く叩く。
世奈だけが頼りなんだよ、と。

「…」

そうやって上手く言うけどさー。
どーせ健はあたしのこと、シモベとしても見てそうだし。
しかも、「まぁ幼なじみだから」みたいな。
そう思いながら、膨れて石ころを蹴飛ばしながら歩いていたら、やがてそんなあたしにふいに健が言った。

「…じゃあさ、今日雑用してもらうお詫びに、っつーか…」
「ん?」
「来週、二人でパンケーキ食べに行かない?ほら、この辺の、行列が出来るとこ。
並ばなくていいチケット持ってるし…俺、奢るから」
「!」

健はそう言うと、「世奈パンケーキ好きだろ?」なんて笑顔を浮かべるから。
あたしは嬉しくなって、その誘いに頷いた。

「っ、うん!行く!パンケーキ食べたい!」
「じゃあ今日は1日よろしく」
「うん!任せて!」

…何かあたし、チョロいな。
だけど、いいんだ。
来週美味しいパンケーキが食べられるなら。

そう思ってウキウキしながらようやく学校に到着すると、そのまま二人でグランドに向かった…。







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