兄貴がイケメンすぎる件

みららぐ

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好きな人が決定してる件

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「ね、次どこ行く?」

目的のパンケーキを無事に完食した後。
お店を出ると、あたしは健にそう問いかけた。
パンケーキが凄く美味しすぎて満足しているあたしに、その横で健が答える。

「帰ってゲームする。昨日とは別のやつ」
「え、またー?目悪くなるよ」
「うるせぇ。っつか世奈もやればいいのに」
「あたしはそういうの興味ないからやんないの、」

あたしはそう言うと、「っていうか雨やまないね」と来た道を戻りながら健にそう呟く。
そんなあたしに健が「今日は一日雨だから」
と言うけれど、だからって家でまたゲームするの?
しかも夕べ徹夜でやったくせに。
あたしはそう思うと、何気なく健に言った。

「ね、じゃあせっかくだからもっと遊んで帰ろうよー」
「どこで。っつーかこんな雨降ってんのにこれ以上は嫌なんだけど。世奈俺ん家来ればいいじゃん」
「えー。意地悪、」

あたしが健の言葉にそう言うと、健が「じゃあどこ行きたいの」と聞いてくる。
だけどどこに行くかは考えてなくて、「うーん…」と考えるあたしに、やがて健が言った。

「勇斗くんのカフェ。Green」
「お腹いっぱいなんだよねー」
「じゃあそこのショッピングモール」
「お金遣いたくないしなぁ。京都旅行が待ってるし」
「…カラオケ」
「そういう気分じゃないんだよね」

あたしは健の言葉にそう言って、「どこがいいかなぁ」と自分でも考えてみる。
だけどどこも首を横に振るあたしに、健が呆れたように言った。

「っ、お前行きたいとこねぇじゃん!」
「そんなことないよ!」
「じゃあ映画!」
「今観たいの無いもん」
「ボーリング、」
「体動かしたくなーい」

そう言って、わがままを言うあたしに健が呆れたように頭を抱える。
結局どこもねぇじゃん、と。
そして、「じゃあ決まり。俺ん家直行な」なんて言い出す健に、あたしが「待ってよ」と不満気にそう言ったら…

「世奈!健!」

その時。
ふいに近くから聞き慣れた声に名前を呼ばれて、そこを振り向けば。
スーパーに買い出しにでも行っていたのか、そこには大きめの買い物袋を手に下げた兄貴が立っていた…。

…………

「ごめんな。今から健と一緒に遊ぶとこやったんやろ?」

その後。
「世奈に話がある」と言う兄貴に連れられて、あたしは健とはその場で別れて結局カフェGreenにやって来た。
そしていつものようにカウンターの席に着くあたしに兄貴がそう言うけど、あたしは首を横に振って言う。

「ううん。遊びに行く場所が決まらなくて危うくまた喧嘩しそうだったから助かったよ」
「あ、そうなん。っつーかほんまによう喧嘩すんな」

そう言って、「まぁ仲がええ証拠やな」なんて言うから。
あたしは「そんなわけないでしょ」とそれをはっきり否定すると、兄貴に問いかけた。

「それより、あたしに話って何?」
「ああ、それな」

あたしがそう問いかけると、兄貴があたしの分の水を用意しながら言う。

「さっき、えっと…早月くん?来てったで」
「!!…えっ、」
「何や世奈、最近大変やったらしいやん」

そう言って、「はい」とあたしの目の前に水の入ったコップを置く兄貴。
っていうか、早月くんが来てったの?何で!
そしてそう思って冷静じゃいられなくなるあたしに、兄貴が言葉を続ける。

「早月くん本人が言うてたことやねんけどさ、早月くんは世奈に惚れとるんやって?
で、もう世奈に自分の気持ちも伝えてあるとか何とか言っとったけど…」
「…っ、」
「いや、俺としてはな。“ちょお待てよ”と。“お前もか”と。やって健も世奈に惚れとるやん」
「!?…えっ、兄貴何でそれ知って…!」
「まぁ健の気持ちは前から知っとったさかい、何や早月くんの話聴いたら、世奈大丈夫かなぁとか思って、心配になってん」

兄貴はそう言うと、「お前そういうほんまに悩んでることは言わへんから俺もわからんねん」なんて心配そうな顔をするから。
あたしはそんな兄貴の視線から逃げるように横を向く。
…別に、二人に告白されたことは兄貴に秘密にしようと思ってたわけじゃないけど。
自然に、そうなったというか。
あたしがそう思いながら何て言おうか考えていると、そのうちにまた兄貴が言った。

「で、世奈はほんまはどっちなん?」
「え、」
「まぁ…告られた世奈が辛いのはようわかるけど、告った方も苦しいねん。とくに今」
「!」
「早月くん、あの感じやとほんまに世奈のこと好きなんやと思うで。せやけど、俺は健の気持ちも知っとるからさ。健もああ見えて本気やねん」
「…、」
「…世奈は、、ほんまはどっちやの、」

兄貴はあたしにそう問いかけると、目の前のあたしをじっと見つめて、あたしの答えを待つ。
何か…妙に雨の音と時計の音が響くのは何でだろ。
店内の明るい音楽が、入ってこない。
…じゃなくて。
しかし、そう思いながら考えていると…

「…あの二人は、世奈の味方やで」
「…?」
「お前がそうやって躊躇う気持ちもなんとなくわかる。昔から寂しい思いしとったら、そらそんなに愛されたら嬉しくもなるわな」
「…、」
「で、そのうちほんまのことは“答えたくなくなる”」
「!」

兄貴のその図星をつくような言葉に、あたしはバッと顔を上げて兄貴を見る。
…いや、図星をつくような、じゃない。
完全に心の中を暴かれてビックリするあたしに、兄貴が更に言葉を続けた。

「…もうええやん。早月くん、知ってもうたんやで“世奈と俺のこと”」
「っ…義理の兄妹だってこととか、二人暮らしのことも!?」
「そう、それもさっき知ってもうたよ。俺と話したら一瞬で気づくやろ。俺は関西弁で、世奈は標準語やし」
「…、」
「決めるのは確かに世奈やけどさ、ほんまに世奈のことを理解して、守れるのは健やで。っつか、健選んでくれた方が俺も安心やしな」

兄貴はそう言うと、「あ、なんか食う?」とメニューをあたしに差し出すけれど、だけどごめん。今はお腹がいっぱい。
あたしはそのメニューを兄貴に返すと、やがて口を開いて兄貴に言った。

…本当は、答えなんて自分でも気付いてる。
気付いてて、気づかないフリしてる。
だって寂しいから。

「………兄貴、」
「ん?」
「あたし、やっぱり…」

そしてあたしはゆっくり口を開くと、大好きな人の名前を口にした。

「早月くんが、好き」







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