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彼氏の家に泊りに行った件
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兄貴には嘘を吐いて。
美桜には話を合わせて貰って。
「美桜の家に泊まりに行く」って言ってあるから。
土曜日の夕方、あたしは独り健の家に向かった。
でも、それでも健の家に泊まりに来るのは初めてじゃないし。
寧ろもう見慣れてるし。
……小学校の頃泊まりに来たとき以来だけど。
あたしのマンションを出て、徒歩で約5分。
やがて到着してインターホンを押したら、健はすぐに出てくれた。
「…ほんとに来たの」
「何その言い方。せっかく彼女が泊まりに来たっていうのに」
「や、ごめん。っつか勇斗くんには何て言ってきた?」
「美桜ん家に泊まりに行くって」
「へぇ」
あたしは健とそんな会話をしながら、玄関の中に入って靴を脱ぐ。
お邪魔します、と。
だけど確か、今日は健のお父さんもお母さんもいなくて健独りなんだよね。
健と一緒にリビングに入ったら、部活後のためまだ体育着姿のままの健が言った。
「ねぇ。ハラ減ったから何か作って」
「何かって?あたし目玉焼きとかしか作れないんだけど」
「言うと思った。じゃあレトルトのカレーで我慢する」
「…」
健はあたしの言葉にそう言うと、早速キッチンにある食器棚の引き出しからレトルトのカレーを取り出す。
「世奈も食べる?」って聞かれたけど、あたしは兄貴が作ってくれたナポリタンを食べてきたばかりだし。
あたしは「いらない」と首を横に振った後、健に言った。
「でも待って。良いこと思いついた」
「?…なに」
「そのレトルトのカレー貸してよ。せっかくだからあたしが作ってあげる」
「作ってあげるって、コレあっためるだけなんだけど。ご飯もあるし」
「まぁいいからいいから」
あたしはそう言って健からレトルトのカレーを受け取ると、早速そいつをリビングに押しやってレンジに近づいた。
箱ごと温められるタイプみたいだからめっちゃ楽だな。
そう思いながらその箱を開けていると、さっきリビングに押しやったはずの健がキッチンに顔を覗かせて言う。
「ね、レンジの使い方わかる?」
「うんー。なんとなく」
「ほんとに?」
「だーいじょうぶだって。健心配しすぎー」
あたしはそんな健にそう言うと、「平気だから座って待ってて」ともう一回リビングに健を押しやった。
…何だかちょっと新婚気分だな。
そしてあたしは再びレンジの前に戻ると、やっとレトルトのカレーを温め始める。
その後カレーを盛り付けるお皿を食器棚から出して、スプーンとコップ、お茶は健がいるリビングに運んでやる。
健はそこでテレビを見ていたけど、ふいにあたしに目を遣ると言った。
「…世奈がちゃんと一から作ったのが食べたかった」
「あたし料理できないんだよね」
「お前女として終わってるわー」
「う、うるさいな。だったら今度兄貴に習ってくるよ」
「ん、お願い」
健とそんな会話をしていると、やがてキッチンからレンジのあたため終了の機械音が聞こえてきた。
あたしは再びそこに戻ると、さっき用意したお皿にご飯を盛り付けて、カレーをその上にかける。
…でも健、カレーだけで足りるのかな。
そう思っていたら、リビングで健が言った。
「世奈ー。冷蔵庫からサラダ出してー持ってきてー」
「ああ、はいはい」
あ、なんだ。
健のお母さん、ちゃんと用意してるのか。
あたしは健の言葉に頷いて冷蔵庫を開けると、すぐ目に飛び込んできたサラダを取り出した。
「ハイ。お待ち遠さま」
「ありがと。いただきます」
「召し上がれ」
健がそう言って食べ始めた向かいに、ようやくあたしは腰を下ろす。
…小さい頃はよくここで一緒にご飯食べてたなー。
健のお母さんが夕飯にハンバーグ作ってくれて、だけどあたしが「健のハンバーグの方が大きい!」って言ったら健は快く交換してくれたっけ。
…あたしが健の立場だったら絶対喧嘩になってたな。
そんなことを思っていると、ふいに健があたしに言った。
「あ、世奈風呂入ってくれば?沸いてるよ」
「え、ほんと?じゃあ入ってくるー」
「…」
健にそう言われて、あたしは健を背に支度をすると早速リビングを後にしてお風呂場に向かう。
健の家のお風呂場は、リビング前の廊下を挟んだ斜め向かい側にある。
一軒家のお風呂だから、昔から変わらない広いお風呂場だ。
よくこのお風呂にも、小さい頃は健と一緒に入ってたんだよね。
寧ろ健と入らないのが考えられなかったな。
あたしはそんなことを思いながら、やがて脱衣場で服を脱ぎ始めた…。
…………
そして、それからどれくらいの時間が経っただろうか。
お風呂に入りだして、やがてもうそろそろ上がろうかという時に、あたしはそこでようやくある重大なことに気がついた。
「…あ、」
バスタオルが無い!
普段は脱衣場に絶対にあるはずの、バスタオルが何故か一枚も無いのだ。
…え、どうしようどうしよう。
フェイスタオルで何とか拭く?いや無理すぎる!
そもそも本当に無いのかな。
あたしはそう思って、タオルが入っている引き出しの中を探すけれど……いや、やっぱり無いものは無い!
あたしは仕方なくお風呂場に戻ると、そこに設置されている通話機能を使って、リビングにいる健を呼んだ。
「…ねぇ健ちょっと助けて、」
『どした?』
「バスタオル無い!持って来てほしい!」
『え、マジか』
「うん、すぐにお願い」
あたしは健にそう言うと、やがて通話ボタンを押してそれを終了させる。
…はぁ。暑くてのぼせちゃいそう。
そう思いながら、湯船に浸かること数分後。
やがて脱衣場の入口からノックをする音が聞こえてきた。
「世奈?…入るよ、」
美桜には話を合わせて貰って。
「美桜の家に泊まりに行く」って言ってあるから。
土曜日の夕方、あたしは独り健の家に向かった。
でも、それでも健の家に泊まりに来るのは初めてじゃないし。
寧ろもう見慣れてるし。
……小学校の頃泊まりに来たとき以来だけど。
あたしのマンションを出て、徒歩で約5分。
やがて到着してインターホンを押したら、健はすぐに出てくれた。
「…ほんとに来たの」
「何その言い方。せっかく彼女が泊まりに来たっていうのに」
「や、ごめん。っつか勇斗くんには何て言ってきた?」
「美桜ん家に泊まりに行くって」
「へぇ」
あたしは健とそんな会話をしながら、玄関の中に入って靴を脱ぐ。
お邪魔します、と。
だけど確か、今日は健のお父さんもお母さんもいなくて健独りなんだよね。
健と一緒にリビングに入ったら、部活後のためまだ体育着姿のままの健が言った。
「ねぇ。ハラ減ったから何か作って」
「何かって?あたし目玉焼きとかしか作れないんだけど」
「言うと思った。じゃあレトルトのカレーで我慢する」
「…」
健はあたしの言葉にそう言うと、早速キッチンにある食器棚の引き出しからレトルトのカレーを取り出す。
「世奈も食べる?」って聞かれたけど、あたしは兄貴が作ってくれたナポリタンを食べてきたばかりだし。
あたしは「いらない」と首を横に振った後、健に言った。
「でも待って。良いこと思いついた」
「?…なに」
「そのレトルトのカレー貸してよ。せっかくだからあたしが作ってあげる」
「作ってあげるって、コレあっためるだけなんだけど。ご飯もあるし」
「まぁいいからいいから」
あたしはそう言って健からレトルトのカレーを受け取ると、早速そいつをリビングに押しやってレンジに近づいた。
箱ごと温められるタイプみたいだからめっちゃ楽だな。
そう思いながらその箱を開けていると、さっきリビングに押しやったはずの健がキッチンに顔を覗かせて言う。
「ね、レンジの使い方わかる?」
「うんー。なんとなく」
「ほんとに?」
「だーいじょうぶだって。健心配しすぎー」
あたしはそんな健にそう言うと、「平気だから座って待ってて」ともう一回リビングに健を押しやった。
…何だかちょっと新婚気分だな。
そしてあたしは再びレンジの前に戻ると、やっとレトルトのカレーを温め始める。
その後カレーを盛り付けるお皿を食器棚から出して、スプーンとコップ、お茶は健がいるリビングに運んでやる。
健はそこでテレビを見ていたけど、ふいにあたしに目を遣ると言った。
「…世奈がちゃんと一から作ったのが食べたかった」
「あたし料理できないんだよね」
「お前女として終わってるわー」
「う、うるさいな。だったら今度兄貴に習ってくるよ」
「ん、お願い」
健とそんな会話をしていると、やがてキッチンからレンジのあたため終了の機械音が聞こえてきた。
あたしは再びそこに戻ると、さっき用意したお皿にご飯を盛り付けて、カレーをその上にかける。
…でも健、カレーだけで足りるのかな。
そう思っていたら、リビングで健が言った。
「世奈ー。冷蔵庫からサラダ出してー持ってきてー」
「ああ、はいはい」
あ、なんだ。
健のお母さん、ちゃんと用意してるのか。
あたしは健の言葉に頷いて冷蔵庫を開けると、すぐ目に飛び込んできたサラダを取り出した。
「ハイ。お待ち遠さま」
「ありがと。いただきます」
「召し上がれ」
健がそう言って食べ始めた向かいに、ようやくあたしは腰を下ろす。
…小さい頃はよくここで一緒にご飯食べてたなー。
健のお母さんが夕飯にハンバーグ作ってくれて、だけどあたしが「健のハンバーグの方が大きい!」って言ったら健は快く交換してくれたっけ。
…あたしが健の立場だったら絶対喧嘩になってたな。
そんなことを思っていると、ふいに健があたしに言った。
「あ、世奈風呂入ってくれば?沸いてるよ」
「え、ほんと?じゃあ入ってくるー」
「…」
健にそう言われて、あたしは健を背に支度をすると早速リビングを後にしてお風呂場に向かう。
健の家のお風呂場は、リビング前の廊下を挟んだ斜め向かい側にある。
一軒家のお風呂だから、昔から変わらない広いお風呂場だ。
よくこのお風呂にも、小さい頃は健と一緒に入ってたんだよね。
寧ろ健と入らないのが考えられなかったな。
あたしはそんなことを思いながら、やがて脱衣場で服を脱ぎ始めた…。
…………
そして、それからどれくらいの時間が経っただろうか。
お風呂に入りだして、やがてもうそろそろ上がろうかという時に、あたしはそこでようやくある重大なことに気がついた。
「…あ、」
バスタオルが無い!
普段は脱衣場に絶対にあるはずの、バスタオルが何故か一枚も無いのだ。
…え、どうしようどうしよう。
フェイスタオルで何とか拭く?いや無理すぎる!
そもそも本当に無いのかな。
あたしはそう思って、タオルが入っている引き出しの中を探すけれど……いや、やっぱり無いものは無い!
あたしは仕方なくお風呂場に戻ると、そこに設置されている通話機能を使って、リビングにいる健を呼んだ。
「…ねぇ健ちょっと助けて、」
『どした?』
「バスタオル無い!持って来てほしい!」
『え、マジか』
「うん、すぐにお願い」
あたしは健にそう言うと、やがて通話ボタンを押してそれを終了させる。
…はぁ。暑くてのぼせちゃいそう。
そう思いながら、湯船に浸かること数分後。
やがて脱衣場の入口からノックをする音が聞こえてきた。
「世奈?…入るよ、」
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