親友の彼氏と、一つ屋根の下。

みららぐ

文字の大きさ
15 / 42
第2章「甘苦い二人暮らし」

危険な二人暮らし。

しおりを挟む
ケージに指を差してそう聞いたら、水野くんがその中から一匹の凄く小さなハムスターを取り出す。

「!…かわいいっ…」
「でしょ?コイツは大人しいから、噛んだりしない、」

そう言って、あたしの手のひらにそのハムスターを乗せた。
え、やばいやばいやばい!可愛い!超可愛すぎるっ!!
その愛らしい顔に超癒されて、自然とあたしの頬が緩んでいく。

「このコ名前は?」
「決まってない。つけていいよ」
「え、いいの?…雄雌どっち?」
「雄。このケージにいる奴らみんな名前決まってないから」

マジで、全部名前つけてくんない?
と、水野くんはそう言うけれど、それって何か押し付けてるよね?
だけど別に嫌じゃなくて、あたしは適当に名前をつけてあげた。

「…じゃあ太郎」
「ん、」
「で、このコが小太郎…」
「いや、そいつは雌」
「えっ」

二匹目の子も適当に名前をつけてあげたその瞬間。
隣にいる水野くんが、すかさずそう言った。

「えっ、雄と雌同じケージに入れてるの!?」
「うん。え、何」

そんな水野くんの言葉に、思わず水野くんを見遣るあたし。
だって、

「同じお家に!雄と雌が一緒に住んでたら赤ちゃんできちゃうでしょ!あまり増やすのもどうかと、」
「…考えすぎ。まだ生まれて間もないのに」
「いや、若いから気をつけないと、こういう1つの家に男女が一緒に住んでると…」

生物部だからこそちゃんと管理していてほしい。
っていうか意外にテキトー?しかしそう思いながら水野くんに言っていたら、やがて水野くんがあたしの言葉をかわりに続けて言った。

「デキちゃうんだ?」
「そう!そうでしょ!わけないと、ちゃんと。
だいたい、ケージを1つにするんじゃなくて2つに…!」

…しかし。そこまで言って、あたしはようやく気が付いた。
今自分が言っていることに。目の前の、水野くんの悪戯な表情に、気が付いた途端一気に顔が熱くなった。

「…っ、!?」
「そうなんだ。いや、俺わかんなかったからさ。瀬川さんが言ってくれて助かったよ。
若い男女が、同じ家に一緒に住んでると危ねぇんだ?」
「そ、そう…っ……あ、そろそろ…歩美のとこ戻っ、」

しかし、そう言ってこの部屋を出ようとしたのも束の間。
水野くんがあたしの手首を引き留めるように掴んできて言う。

「じゃあ、それだと俺らも危ないじゃんね」
「!…っ、」
「若い男女が、これから同じ家に二人で住むんだから」

水野くんはそう言うと「ね?」と不敵な笑みを浮かべる。
な、なんか…今日の水野くんいつもと雰囲気違う?
あたしはそう思いながら、水野くんを見れずに言う。

「み、水野くんとあたしは危なくない!
水野くんは歩美と付き合ってるし、手出さないって言ってた!」
「え、俺そんなこと言った?…記憶にないな」
「!…う、嘘っ…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...