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第3章「早速だけど家出がしたい」
もう帰らない!
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真後ろから、突如聞き覚えのある声がした。
いや、聞き覚えのあるなんてモンじゃない。
この声の主は…
「…み、水野くん…!」
水野くんだった。
水野くんは今日部活の日なのか、生物部の白衣を着ている。
あたしが突然の水野くんの登場に驚いていたら、水野くんがあたしと目線を合わせて言った。
「…何だよ、このライン」
そしてそう言って、さっきあたしが送った『今日は帰らない』というラインの画面をあたしに見せる。
その言葉に、あたしは水野くんから顔を背ける。
…今朝、あたしを抱きしめてキスまでしといて、何でそんな平然としてられるの。
だけど水野くんのその様子は明らかに不機嫌で、あたしはその場から立ち上がって言った。
「な、何だよってそのまんまだよ!あたし今日…いや、もうずっと帰らないからね!」
「!」
「公ちゃん、泊まるのOKしてくれたもん。(連泊とは言ってないけど)公ちゃんなら安全だし」
「…」
「だから、もう何言われたって水野くんの家になんか二度と帰らないから!」
あたしは嫌味っぽくそう言うと、水野くんから離れて公ちゃんがいる体育館に行こうとする。
…だけど、そんなあたしを水野くんは逃がさない。
即座にあたしの腕を掴むと、今度は真剣な表情で言った。
「…行くなよ」
「!」
その表情と言葉に、不覚にもまたドキッとさせられる。
不思議と目を逸らせないでいたら、やがて水野くんがあたしから視線を外して言った。
「……俺、お前の親にお前のこと“よろしく”って任されたんだからさ」
「……」
あ、なんだ、そういうことか。
いきなり意味深に“行くなよ”とか言うからドキッちゃったじゃんか。…て、いやいや。
なんだか急な脱力感にみまわれながらも、あたしはため息交じりに言った。
「そんなこと別にどうでもいいじゃん。とにかくあたしは公ちゃんがいいの!」
「!」
そう言って、水野くんから冷たく目を離してその場を後にする。
……今度は、水野くんは追いかけて来ない。
後ろにいる水野くんがどんな顔をしているのかはわからないけれど、あたしは振り返らずに体育館に向かった。
その時…水野くんが心の奥に抱えていた闇に、
あたしはまだ、気づかないまま……。
…………
そして、それから数時間後。
ようやく公ちゃんの部活が終わって、あたし達は二人で学校を出た。
好きな人と一緒に帰るのは本当に幸せで、このまま時が止まってほしいと思うくらいだ。
しばらく家までの帰り道を歩いていると、ふいに公ちゃんが言った。
「あ、コンビニ寄っていい?」
「うん、何買うの?」
あたしがそう聞くと、公ちゃんがそこに向かいながら答える。
「夜ごはん。今日家親いないからさ」
「!」
そんな公ちゃんの言葉に、あたしは一瞬にして目を輝かせるけれど…
「…あ、でも、もちろん寝る時は別の部屋だかんな」
「えぇ~」
いや、聞き覚えのあるなんてモンじゃない。
この声の主は…
「…み、水野くん…!」
水野くんだった。
水野くんは今日部活の日なのか、生物部の白衣を着ている。
あたしが突然の水野くんの登場に驚いていたら、水野くんがあたしと目線を合わせて言った。
「…何だよ、このライン」
そしてそう言って、さっきあたしが送った『今日は帰らない』というラインの画面をあたしに見せる。
その言葉に、あたしは水野くんから顔を背ける。
…今朝、あたしを抱きしめてキスまでしといて、何でそんな平然としてられるの。
だけど水野くんのその様子は明らかに不機嫌で、あたしはその場から立ち上がって言った。
「な、何だよってそのまんまだよ!あたし今日…いや、もうずっと帰らないからね!」
「!」
「公ちゃん、泊まるのOKしてくれたもん。(連泊とは言ってないけど)公ちゃんなら安全だし」
「…」
「だから、もう何言われたって水野くんの家になんか二度と帰らないから!」
あたしは嫌味っぽくそう言うと、水野くんから離れて公ちゃんがいる体育館に行こうとする。
…だけど、そんなあたしを水野くんは逃がさない。
即座にあたしの腕を掴むと、今度は真剣な表情で言った。
「…行くなよ」
「!」
その表情と言葉に、不覚にもまたドキッとさせられる。
不思議と目を逸らせないでいたら、やがて水野くんがあたしから視線を外して言った。
「……俺、お前の親にお前のこと“よろしく”って任されたんだからさ」
「……」
あ、なんだ、そういうことか。
いきなり意味深に“行くなよ”とか言うからドキッちゃったじゃんか。…て、いやいや。
なんだか急な脱力感にみまわれながらも、あたしはため息交じりに言った。
「そんなこと別にどうでもいいじゃん。とにかくあたしは公ちゃんがいいの!」
「!」
そう言って、水野くんから冷たく目を離してその場を後にする。
……今度は、水野くんは追いかけて来ない。
後ろにいる水野くんがどんな顔をしているのかはわからないけれど、あたしは振り返らずに体育館に向かった。
その時…水野くんが心の奥に抱えていた闇に、
あたしはまだ、気づかないまま……。
…………
そして、それから数時間後。
ようやく公ちゃんの部活が終わって、あたし達は二人で学校を出た。
好きな人と一緒に帰るのは本当に幸せで、このまま時が止まってほしいと思うくらいだ。
しばらく家までの帰り道を歩いていると、ふいに公ちゃんが言った。
「あ、コンビニ寄っていい?」
「うん、何買うの?」
あたしがそう聞くと、公ちゃんがそこに向かいながら答える。
「夜ごはん。今日家親いないからさ」
「!」
そんな公ちゃんの言葉に、あたしは一瞬にして目を輝かせるけれど…
「…あ、でも、もちろん寝る時は別の部屋だかんな」
「えぇ~」
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