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第五話
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翌朝も気分良く目覚めた、紅葉もスッキリした顔をしている。
「霊酒のせいかしら、目覚めがいいわ」
「俺もだ、いい物を貰ったな」
朝食が終わるとまた本を読んで過ごした、コロッケもデザートもまだ半分ある、今日は出掛けなくても良さそうだ。
親父達がどうなったのか千里眼で見てみたら二人部屋でたくさんの点滴を打たれながらおむつ姿でベッドに寝かされていた、泣いているようだが目をくり抜いたので包帯で見えない。
二人で何か話している、声を聞いてみた。
「悔しい、あいつが産まれた時に殺しておけば良かった」
「そうね、まさかあの子が生きてるなんて思ってもなかったわ、仕返しがしたい」
腹が立ってきた、やはり殺しておくべきだった、今からでも遅くない。
「出掛けてくる」
「私も行くわ」
「親父達を殺しに行く」
「急にどうして」
さっきの会話を教えてやった。
「そんな親は殺しましょう」
「監視カメラがあるかもしれない、姿を消して行くぞ」
「わかったわ」
瞬間移動で病室に入った、二人はまだ俺への恨みごとを言っている。
「殺せるものなら殺してみろよ」
「その声はお前か?」
「そうだお前らクズの息子だ」
「何をしにきたもう放っておいてくれ」
「俺を殺せばよかったとか言われ続けるのが嫌なんでな、お前らを殺しに来た」
「もう気が済んだだだろう、恨みごとくらいしか話題がないんだ許してくれ」
「駄目だね、精々苦しんで死ね」
親父達をひっくり返し、剣で肝臓を刺してエグッた、痛みのあまり声も出ないようだ。
「半日苦しんで死ね」
看護婦が入って来て、慌てて飛び出して行った、医者を連れて戻って来た。
「これはもう駄目だ、出血が酷いし手術する体力も残ってない、君警察に連絡して監視カメラの映像を用意しておきなさい」
「はいわかりました」
医者と看護婦が出て行った、紅葉の手を取るとマンションに戻った。
「あれだけで死ぬの?」
「拷問の本が早速役に立った、あれが凄い苦痛で時間をかけて殺す方法らしい」
「そう、気分はどう?」
「スッキリした」
「じゃあいいわ、おじいちゃんに報告しないと駄目よ」
「わかった」
俺はじいさんにテレパシーを飛ばた。
『じいさん、親父とお袋を今殺して来た』
『気が変わったのか?』
『あぁ、千里眼で覗いたら俺の恨みごとを言ってたのが気に食わなかった』
『そうか、よくやった』
『それと第三の目が生まれ変わったよ』
『どういう事じゃ?』
『前の目が取れて龍の目が現れた、能力も格段に上がったよ』
『お前は本当に選ばれた龍人なんだな』
『そうらしい、また連絡するよ』
『わかった』
テレパシーが終わった。
「終わったよ、よくやっただってさ」
「そう、よかったわね」
「初めから殺しておけばよかった」
「まぁいいじゃない」
紅葉の読んでいる雑誌が気になった。
「何だその美味そうなケーキは?」
「この前本屋に行った時に買ったのよ、神戸のスイーツの紹介の雑誌よ」
「俺にも見せてくれ」
二人で一緒に雑誌を見た、どれも美味そうだ、洋菓子が多い。
「あなたはどれが食べたい?」
「全部食べてみたいな」
「順番に食べてみましょう」
「じゃあ今日はこのシュークリーム」
「いいわね」
瞬間移動ではなくゲートを抜けて行った。
「そんなに並んでないわね」
「そうだな」
列に並んだ、前の男が振り返り驚いた顔をして列を抜けた。
「八神の兄貴と姉貴、先にどうぞ」
「もしかして新井組の奴か?」
「そうです」
「お前らは割り込んだ訳じゃないんだ、並び直せ」
「しかし……」
「お前、俺がいいと言ってるのが聞こえないのか?」
「はい、わかりました」
「それと兄貴と姉貴は止めろ」
「はい、八神さん」
男が並び直した、列が進むのは早かった、新井組の男が頭を下げ帰って行った。
「シュークリームを六個くれ」
新井組と兄貴と言う言葉が聞こえてたのか店員がビビっている、すぐに用意され金を払い列を抜け、そのままマンションに戻った。
「出来たての温かいシュークリームだ、こんなの初めてだ」
「早速食べてみましょう」
二人で齧り付いた、これは美味い。
「流石に美味いな」
「本当に美味しいわ」
「神戸は食い物も美味い物ばかりだな」
「そうね、これから全部制覇しましょう」
「そうするつもりだ」
「あなたが新井組のチンピラに優しかったのが意外だったわ」
「悪さはしてなかったからな、俺も鬼じゃないしな」
「あなたが段々と男らしくなっていくのが私の楽しみの一つよ」
「男らしくなってきてるか?」
「えぇ、今日二人を刺す時も迷いはなかったし、さっきもカッコよかったわ」
「俺には自覚はないんだがな」
「それでいいのよ、こっちに来てから言葉遣いも変わってきてるわ」
「それも自分ではわからん、お前も俺の名前じゃなく、あなたって呼ぶことが増えたな」
「バレてた? あなたもそうよ、お前って呼ぶことが増えたわ」
「嫌だったら止めるぞ」
「嫌じゃないわ、そのままでいいわ」
「わかった」
「えへへ、嬉しい」
「その笑い方、久しぶりに聞いたな」
「変だから普段は抑えてるの」
「変じゃない、俺はその笑い方が好きだ」
「じゃあ抑えなくてもいいわね」
「もっと素の自分を出してくれ」
「わかったわ、もっと甘えるわよ」
「いいぞ」
それから紅葉は凄く変わった、よく甘えてくるようになった、すぐに腕を組んできたり手を繋いできたり、キスをしょっちゅうねだるようになった、高校時代に戻った感じだ。俺も嫌ではなかった、むしろ嬉しかった。
「俺は物心がついた時からお前が好きだったが、お前はいつからなんだ?」
「私も同じよ」
「そうか、付き合いだしたのは中二の頃だったよな」
「よく覚えてたわね、初めてキスした時は覚えてる?」
「覚えてない」
「中三の時よ、初めてエッチしたのは?」
「恥ずかしいからこの話題止めないか?」
「わかったわ、高一の時よ」
「あぁそれは覚えてる、お前に襲われたから忘れられない」
「えへへ、じゃあこの話はここまでね」
「最後に一つ、俺はお前しかしか経験がないが、お前はどうなんだ?」
「私もあなたしか経験ないわ」
「そうか、何か嬉しい」
「私も嬉しいわ」
「俺達のエッチは普通なんだろうか?」
「ちょっとアブノーマルよ、本で見た事より過激みたいよ」
「そうか、ビデオで見た事を真似してるだけなんだが」
「あなたがしたい事をしてくれればいいわ」
「わかった、晩飯はラーメンを食いに行かないか? 雑誌に美味しいラーメン屋が何件もあった」
「いいわよ」
二人で雑誌を見て俺達の好きな豚骨ラーメンの店を探し、食べに行った。
まだ時間が早いのか割と空いていた、ラーメンと餃子を食べ、満足しカフェに寄ってコーヒーを飲んだ。
帰ろうとしてると一人の男に声を掛けられた、がっしりした体型でただの人間には思えなかった。
「お前は新井組の奴か?」
「そうです探していました、八神さん我々を助けて貰えませんか?」
「何の助けだ? 俺達の役目に合う事なら手を貸してやるが」
「対立してるヤクザとの抗争が近々あるんですが、相手は我々の倍の人数で武器も揃えています、我々の圧倒的な不利なんです」
「ヤクザの抗争には興味がない、勝手にやってろ」
「そこを何とかなりませんか? 礼は何でもします」
「何ともならんが面白そうだから見に行く、いつどこでやるんだ?」
「明日の夕方港でです」
「そうか、見に行くだけだぞ」
「わかりました、組長だけでも助けてくれませんか?」
「お前らでもそういう考えを持ってるんだなちょっと見直したぞ」
「ありがとうございます、では失礼します」
男が出て行った。
「あなた本当に行くの?」
「あぁ見学にな」
「拳銃でドンパチするだけじゃないの?」
「だろうな、とりあえず俺達も帰ろう」
マンションに戻り、明日何のデザートを食べるか二人で雑誌を見て考えた、紅葉は相変わらず腕を組んでくる、こういうベタベタするのは嫌いじゃなかった、ベッドに入ってからも抱きついてきたのでそのまま寝た。
朝起きて簡単な朝食を済まし、店が開く時間まで待ってロールケーキを買いに行った、種類が結構あったので店員のお薦めの抹茶チョコロールケーキを一本買って帰った。
紅葉と一緒に食べたがかなり美味かった。
「抹茶は京都の方が美味いと思ったが、こっちのも美味かったな」
「本当に美味しかったわ」
ボリュームがあったので昼食は抜く事にしてくつろいだ、昨夜の新井組の男の話を思い出した、どこのヤクザとやり合うのか聞くのを忘れていた、まぁいい見に行くだけだ。
紅葉は今日はノースリーブにホットパンツと露出が多い。
「その格好俺は好きだ」
「ちょっと恥ずかしいけどね、あなたが好きならいいわ」
俺は紅葉の生脚で膝枕をしてもらい満足した、綺麗な脚だ脚フェチじゃなくても見惚れるくらいのいい脚をしている。
「あなた脚フェチだったの?」
「いや違うけどこんな綺麗な脚なら好きだ」
「えへへ、ありがとう」
暫く感触を味わいながらウトウトした、誰かに呼ばれてる感じがして目が覚めた、テレパシーではない強い思いが聞こえたという感じだ、時計を見た夕方近い、昨日の男かもしれない。
千里眼で港を見たコンテナで隠れた場所に新井組ともう一つのグループが集まって対峙している。
「紅葉、奴らもう集まっている見に行こう」
「わかったわ」
瞬間移動で高く積まれたコンテナの上に行って飛行術で見下ろした、相手のグループの方が倍程の人数でサブマシンガンやロケットランチャーまで用意している、これは卑怯にしか思えない、第三の目を開いた。
「おい、お前らその武器は卑怯だ」
「誰だお前は?」
俺は無視をした。
「八神さん来てくれたのですね」
「助けに来た訳じゃない」
もう一方のグループがざわめく。
「あの三つ目空中に浮いてるぞ、何者だ?」
「兄貴、新井組の奴らが八神って言ってましたよ、あの八神一族の者じゃないですか?」
「よく知ってるじゃないか、八神一族に手を出しては駄目だという事も知ってるのか?」
「八神さん、知ってますが新井組の味方をするんですか?」
「いや、ただの見学だがその武器は卑怯だ、戦争じゃないんだぞ」
「俺達にとっては戦争なんです、見学なら口を挟まないで下さい」
「だが新井組の圧倒的な不利だ」
「うちの兄貴が黙ってろと言ってるだろうがボケ、見学なら口を挟むな」
「ほう、俺に対してそういう口を使うんだな覚悟は出来てるんだろうな」
「お前みたいなガキに何が出来るんだ?」
回りの男が慌てて黙らせた。
「俺に対しての挑戦状と受け取った」
「違うんです八神さん、こいつは何も知らないんです」
「爆ぜろ」
生意気な口を聞いた男の頭が破裂した、男のグループが怯え始めた、ロケットランチャーがこっちに向けられた。
「爆ぜろ」
ロケットランチャーが大爆発し、周りにいた男達も巻き込まれ爆死した、ゆっくりと地上に降りた。
「サブマシンガンで撃って来ないのか?」
「面倒だ撃て」
サブマシンガンが連射された俺と紅葉はドラゴンソードと刀で弾丸を全部弾き返した。
サブマシンガンを撃ってきた男が銃を海に捨て、震える声で。
「すいませんでした、命令だったので」
「手遅れだ」
命令した男に近づき。
「お前は早死にしたいみたいだな」
「いや、その、すいません」
「八神流奥義達磨斬撃」
男の手足を根元から斬り達磨にした。
「八神流奥義稲妻斬り」
二十人程が稲妻に打たれ黒焦げになった。
男達は戦意喪失したみたいだ、誰も動こうとしなかった。
「ところでお前らはどこの組だ?」
「やっ、山本組です」
一台の黒塗りのベンツから新井と同じくらいの初老の男が出てきて土下座した、それを見た組員も土下座した。
「何の抗争か知らんが正々堂々とやれ」
「すみませんでした」
新井も車から降りてきてそう言った。
「お前ら仲良く出来んのか? お互い人数が少なくてやって行けないだろ」
「八神さん組長同士話し合います、今日はありがとうございました」
「助けた訳じゃない、勘違いするなよ」
俺は手のひらから炎を出し、殺した男達を燃やした、能力が上がったせいかすぐに溶けるように塵になった。
「新井、話し合いの結果はまた教えろ」
「わかりました」
新井達と山本達も車で帰って行った、俺達も帰った。
「結果的に新井組を助けた形になるわね」
「そうだな、だが次は知らん」
「晩飯は何か食べに行くか?」
「そうね、回転寿司が食べたいわ」
「回転寿司でいいのか?」
「うん」
「じゃあ行こう」
二人で食べに行った、帰ってコーヒーを飲んでいるとチャイムが鳴ったので俺が出た。
「新井組の者です、どうぞこれを受け取って下さい」
レジ袋を受け取った。
「で、何か進展はあったのか?」
「明日組長二人で話し合いがあるそうです」
「そうか、揉め事を起こしたら両方潰すと言っておけ」
「わかりました」
「話し合いは何時からだ?」
「昼食を食べながらです、では失礼します」
リビングに戻りレジ袋を開けた、コロッケとデザートがたくさん入っていた。
「俺が金で動かない事も知ってるようだな」
「そうみたいね、毒が入ってないかしら?」
「俺達に毒が効かない事くらいあいつらも知ってるだろう」
出来たてのコロッケとプリンを食べた。
ベッドに入るとまた紅葉が抱きついてきたので。
「今夜はあの安心出来る抱き方を俺にしてくれないか?」
「いいわよ」
紅葉が裸になった。
「裸になる必要があるのか?」
「この方が効果が高いらしいわ」
「そうか」
紅葉の綺麗な胸の谷間に顔を埋め、安心感を満喫しながら眠りについた。
朝起きると胸から顔を離した。
「どうだった?」
「凄く安心して眠れた」
「じゃあまたしてあげるわ」
「頼むよ」
紅葉が服を着て朝食を作りにキッチンに行った、俺はリビングでパソコンを見た、ニュースサイトを見たが昨日の騒ぎは載ってなかった、誰も見てないから当然だなと思い、運ばれてきたトーストに目玉焼きとベーコンを乗せ食べた、紅葉は今日はワンピース姿だった、胸元が大きく開いている。
昼になると千里眼で新井を探した、個室のある料亭みたいな場所で話し合いをしているみたいだ、三十分以上見ていたが二人が何か書類に判を押し、握手をした。
「ちょっと出掛ける」
「私も行くわ」
瞬間移動で新井と山本の前に出た。
「握手をしてたが上手いこと行ったのか?」
「八神さん、見てたのですか?」
「あぁずっと見てた」
「我々は表向きは輸入代理店です、ヤクザは縮小して輸入代理店を合併してこちらをメインにやっていく事にしました」
「そうかいい事だ、仲良くやれよ」
「「はい」」
「俺の仕事が減った、邪魔したな帰るよ」
「ありがとうございました」
マンションに戻った。
「結果的にいい事をしたわね」
「そうだな、これで俺もゆっくり出来る」
「そうね」
「今からまた出掛けるぞ」
「今度はどこ?」
「内緒だ」
「まぁいいわ、連れて行ってちょうだい」
紅葉を連れて貴金属店に行った。
「こんなところで何を買うの?」
「指輪だ」
「何かの記念日だったかしら?」
「いや、記念日にするんだ、好きな指輪を探してくれ」
「いいの?」
「あぁペアで買うからな」
「素敵、じゃあ見て回るわ」
二人で店の隅から隅まで時間をかけて見て回った、紅葉が三つ候補をあげて悩んでいるようだ、結果小さなダイヤが数個埋め込まれているシンプルなのを選んだ、店員を呼んで左手の薬指のサイズを図ってもらい、カードで購入した。
「あなた、左手の薬指って……あの」
赤くなってもじもじしている。
「帰ってからな」
「あっ、うん」
マンションに戻った。
紅葉用の指輪の箱を取り出し。
「紅葉、俺と結婚してくれ、これは婚約指輪のつもりだ」
紅葉が泣きながら答える。
「はい喜んでお受けします、お嫁さんにして下さい」
指輪を嵌めてやり、俺も指輪を嵌めた、紅葉が抱きついて来た。
「やっと夢が叶ったわ、愛してるわ」
「俺の夢でもある、愛してる」
紅葉が泣き止み指輪を眺めている。
「式はどうする?」
「結婚式はいらないわ、その代りウエディングドレスとタキシードで記念写真を撮りたいわ、いい?」
「いいぞ」
「今日は海の日ね、婚約記念日になったわ」
「覚えやすくていいだろ?」
「うん、えへへ」
「ドレスとかはレンタルでいいか?」
「うん、十分よ」
「わかった」
「それよりも、どうせなら今日籍を入れましょう、駄目?」
「別に構わないが、気が早いな」
「早く籍を入れたいの」
「じゃあ市役所で婚姻届を出しに行こう」
「うん」
「でも、海の日で祝日だぞ休みじゃないか」
「婚姻届は持ってるわ、それに受付はしてくれるわ」
「用意がいいな」
二人で婚姻届を記入し、市役所に行き記念写真をスマホで撮ってから提出し、市役所からマンションに戻った。
「これで私も八神よ」
「元から八神じゃないか」
「あなたにはわからないわ、同じ姓だけど重みが違うのよ」
「そうかい、今夜は夜景の綺麗な高級レストランで食事しようか?」
「別にいいわ、私が何か作るわ」
「わかった、ケーキくらいは食べよう」
「そうね」
二人でケーキを買いに行った、結婚祝と書いてもらって持ち帰った。
紅葉の手の込んだ料理を食べた後、ケーキを持ちながら記念写真を撮って、二人で食べた。
「おじいちゃんに報告しましょう」
「そうだな、会って言おう」
ゲートを抜けじいさんの家に行った。
「どうした、来るなんて珍しいな」
「俺と紅葉は今日籍を入れたよ」
「結婚したのか?」
「そうだ、式は挙げず記念写真だけ今度撮るけどな」
「おめでとう、一族にはわしから報告しておこう、記念写真はわしにも一枚くれ」
「わかった、撮ったら持って来るよ」
「紅葉、良かったなお前の夢だっただろう」
「うん、夢が叶ったわ」
「じいさん知ってたのか?」
「あぁ、お前のいないところで聞いていたからな」
「そうか、また来るよ」
「あぁ幸せな家庭を作りなさい」
「わかってるよ、紅葉は幸せにする」
「それでいい」
ゲートを抜けマンションに戻り、紅葉を抱っこしてベッドに押し倒した。
「霊酒のせいかしら、目覚めがいいわ」
「俺もだ、いい物を貰ったな」
朝食が終わるとまた本を読んで過ごした、コロッケもデザートもまだ半分ある、今日は出掛けなくても良さそうだ。
親父達がどうなったのか千里眼で見てみたら二人部屋でたくさんの点滴を打たれながらおむつ姿でベッドに寝かされていた、泣いているようだが目をくり抜いたので包帯で見えない。
二人で何か話している、声を聞いてみた。
「悔しい、あいつが産まれた時に殺しておけば良かった」
「そうね、まさかあの子が生きてるなんて思ってもなかったわ、仕返しがしたい」
腹が立ってきた、やはり殺しておくべきだった、今からでも遅くない。
「出掛けてくる」
「私も行くわ」
「親父達を殺しに行く」
「急にどうして」
さっきの会話を教えてやった。
「そんな親は殺しましょう」
「監視カメラがあるかもしれない、姿を消して行くぞ」
「わかったわ」
瞬間移動で病室に入った、二人はまだ俺への恨みごとを言っている。
「殺せるものなら殺してみろよ」
「その声はお前か?」
「そうだお前らクズの息子だ」
「何をしにきたもう放っておいてくれ」
「俺を殺せばよかったとか言われ続けるのが嫌なんでな、お前らを殺しに来た」
「もう気が済んだだだろう、恨みごとくらいしか話題がないんだ許してくれ」
「駄目だね、精々苦しんで死ね」
親父達をひっくり返し、剣で肝臓を刺してエグッた、痛みのあまり声も出ないようだ。
「半日苦しんで死ね」
看護婦が入って来て、慌てて飛び出して行った、医者を連れて戻って来た。
「これはもう駄目だ、出血が酷いし手術する体力も残ってない、君警察に連絡して監視カメラの映像を用意しておきなさい」
「はいわかりました」
医者と看護婦が出て行った、紅葉の手を取るとマンションに戻った。
「あれだけで死ぬの?」
「拷問の本が早速役に立った、あれが凄い苦痛で時間をかけて殺す方法らしい」
「そう、気分はどう?」
「スッキリした」
「じゃあいいわ、おじいちゃんに報告しないと駄目よ」
「わかった」
俺はじいさんにテレパシーを飛ばた。
『じいさん、親父とお袋を今殺して来た』
『気が変わったのか?』
『あぁ、千里眼で覗いたら俺の恨みごとを言ってたのが気に食わなかった』
『そうか、よくやった』
『それと第三の目が生まれ変わったよ』
『どういう事じゃ?』
『前の目が取れて龍の目が現れた、能力も格段に上がったよ』
『お前は本当に選ばれた龍人なんだな』
『そうらしい、また連絡するよ』
『わかった』
テレパシーが終わった。
「終わったよ、よくやっただってさ」
「そう、よかったわね」
「初めから殺しておけばよかった」
「まぁいいじゃない」
紅葉の読んでいる雑誌が気になった。
「何だその美味そうなケーキは?」
「この前本屋に行った時に買ったのよ、神戸のスイーツの紹介の雑誌よ」
「俺にも見せてくれ」
二人で一緒に雑誌を見た、どれも美味そうだ、洋菓子が多い。
「あなたはどれが食べたい?」
「全部食べてみたいな」
「順番に食べてみましょう」
「じゃあ今日はこのシュークリーム」
「いいわね」
瞬間移動ではなくゲートを抜けて行った。
「そんなに並んでないわね」
「そうだな」
列に並んだ、前の男が振り返り驚いた顔をして列を抜けた。
「八神の兄貴と姉貴、先にどうぞ」
「もしかして新井組の奴か?」
「そうです」
「お前らは割り込んだ訳じゃないんだ、並び直せ」
「しかし……」
「お前、俺がいいと言ってるのが聞こえないのか?」
「はい、わかりました」
「それと兄貴と姉貴は止めろ」
「はい、八神さん」
男が並び直した、列が進むのは早かった、新井組の男が頭を下げ帰って行った。
「シュークリームを六個くれ」
新井組と兄貴と言う言葉が聞こえてたのか店員がビビっている、すぐに用意され金を払い列を抜け、そのままマンションに戻った。
「出来たての温かいシュークリームだ、こんなの初めてだ」
「早速食べてみましょう」
二人で齧り付いた、これは美味い。
「流石に美味いな」
「本当に美味しいわ」
「神戸は食い物も美味い物ばかりだな」
「そうね、これから全部制覇しましょう」
「そうするつもりだ」
「あなたが新井組のチンピラに優しかったのが意外だったわ」
「悪さはしてなかったからな、俺も鬼じゃないしな」
「あなたが段々と男らしくなっていくのが私の楽しみの一つよ」
「男らしくなってきてるか?」
「えぇ、今日二人を刺す時も迷いはなかったし、さっきもカッコよかったわ」
「俺には自覚はないんだがな」
「それでいいのよ、こっちに来てから言葉遣いも変わってきてるわ」
「それも自分ではわからん、お前も俺の名前じゃなく、あなたって呼ぶことが増えたな」
「バレてた? あなたもそうよ、お前って呼ぶことが増えたわ」
「嫌だったら止めるぞ」
「嫌じゃないわ、そのままでいいわ」
「わかった」
「えへへ、嬉しい」
「その笑い方、久しぶりに聞いたな」
「変だから普段は抑えてるの」
「変じゃない、俺はその笑い方が好きだ」
「じゃあ抑えなくてもいいわね」
「もっと素の自分を出してくれ」
「わかったわ、もっと甘えるわよ」
「いいぞ」
それから紅葉は凄く変わった、よく甘えてくるようになった、すぐに腕を組んできたり手を繋いできたり、キスをしょっちゅうねだるようになった、高校時代に戻った感じだ。俺も嫌ではなかった、むしろ嬉しかった。
「俺は物心がついた時からお前が好きだったが、お前はいつからなんだ?」
「私も同じよ」
「そうか、付き合いだしたのは中二の頃だったよな」
「よく覚えてたわね、初めてキスした時は覚えてる?」
「覚えてない」
「中三の時よ、初めてエッチしたのは?」
「恥ずかしいからこの話題止めないか?」
「わかったわ、高一の時よ」
「あぁそれは覚えてる、お前に襲われたから忘れられない」
「えへへ、じゃあこの話はここまでね」
「最後に一つ、俺はお前しかしか経験がないが、お前はどうなんだ?」
「私もあなたしか経験ないわ」
「そうか、何か嬉しい」
「私も嬉しいわ」
「俺達のエッチは普通なんだろうか?」
「ちょっとアブノーマルよ、本で見た事より過激みたいよ」
「そうか、ビデオで見た事を真似してるだけなんだが」
「あなたがしたい事をしてくれればいいわ」
「わかった、晩飯はラーメンを食いに行かないか? 雑誌に美味しいラーメン屋が何件もあった」
「いいわよ」
二人で雑誌を見て俺達の好きな豚骨ラーメンの店を探し、食べに行った。
まだ時間が早いのか割と空いていた、ラーメンと餃子を食べ、満足しカフェに寄ってコーヒーを飲んだ。
帰ろうとしてると一人の男に声を掛けられた、がっしりした体型でただの人間には思えなかった。
「お前は新井組の奴か?」
「そうです探していました、八神さん我々を助けて貰えませんか?」
「何の助けだ? 俺達の役目に合う事なら手を貸してやるが」
「対立してるヤクザとの抗争が近々あるんですが、相手は我々の倍の人数で武器も揃えています、我々の圧倒的な不利なんです」
「ヤクザの抗争には興味がない、勝手にやってろ」
「そこを何とかなりませんか? 礼は何でもします」
「何ともならんが面白そうだから見に行く、いつどこでやるんだ?」
「明日の夕方港でです」
「そうか、見に行くだけだぞ」
「わかりました、組長だけでも助けてくれませんか?」
「お前らでもそういう考えを持ってるんだなちょっと見直したぞ」
「ありがとうございます、では失礼します」
男が出て行った。
「あなた本当に行くの?」
「あぁ見学にな」
「拳銃でドンパチするだけじゃないの?」
「だろうな、とりあえず俺達も帰ろう」
マンションに戻り、明日何のデザートを食べるか二人で雑誌を見て考えた、紅葉は相変わらず腕を組んでくる、こういうベタベタするのは嫌いじゃなかった、ベッドに入ってからも抱きついてきたのでそのまま寝た。
朝起きて簡単な朝食を済まし、店が開く時間まで待ってロールケーキを買いに行った、種類が結構あったので店員のお薦めの抹茶チョコロールケーキを一本買って帰った。
紅葉と一緒に食べたがかなり美味かった。
「抹茶は京都の方が美味いと思ったが、こっちのも美味かったな」
「本当に美味しかったわ」
ボリュームがあったので昼食は抜く事にしてくつろいだ、昨夜の新井組の男の話を思い出した、どこのヤクザとやり合うのか聞くのを忘れていた、まぁいい見に行くだけだ。
紅葉は今日はノースリーブにホットパンツと露出が多い。
「その格好俺は好きだ」
「ちょっと恥ずかしいけどね、あなたが好きならいいわ」
俺は紅葉の生脚で膝枕をしてもらい満足した、綺麗な脚だ脚フェチじゃなくても見惚れるくらいのいい脚をしている。
「あなた脚フェチだったの?」
「いや違うけどこんな綺麗な脚なら好きだ」
「えへへ、ありがとう」
暫く感触を味わいながらウトウトした、誰かに呼ばれてる感じがして目が覚めた、テレパシーではない強い思いが聞こえたという感じだ、時計を見た夕方近い、昨日の男かもしれない。
千里眼で港を見たコンテナで隠れた場所に新井組ともう一つのグループが集まって対峙している。
「紅葉、奴らもう集まっている見に行こう」
「わかったわ」
瞬間移動で高く積まれたコンテナの上に行って飛行術で見下ろした、相手のグループの方が倍程の人数でサブマシンガンやロケットランチャーまで用意している、これは卑怯にしか思えない、第三の目を開いた。
「おい、お前らその武器は卑怯だ」
「誰だお前は?」
俺は無視をした。
「八神さん来てくれたのですね」
「助けに来た訳じゃない」
もう一方のグループがざわめく。
「あの三つ目空中に浮いてるぞ、何者だ?」
「兄貴、新井組の奴らが八神って言ってましたよ、あの八神一族の者じゃないですか?」
「よく知ってるじゃないか、八神一族に手を出しては駄目だという事も知ってるのか?」
「八神さん、知ってますが新井組の味方をするんですか?」
「いや、ただの見学だがその武器は卑怯だ、戦争じゃないんだぞ」
「俺達にとっては戦争なんです、見学なら口を挟まないで下さい」
「だが新井組の圧倒的な不利だ」
「うちの兄貴が黙ってろと言ってるだろうがボケ、見学なら口を挟むな」
「ほう、俺に対してそういう口を使うんだな覚悟は出来てるんだろうな」
「お前みたいなガキに何が出来るんだ?」
回りの男が慌てて黙らせた。
「俺に対しての挑戦状と受け取った」
「違うんです八神さん、こいつは何も知らないんです」
「爆ぜろ」
生意気な口を聞いた男の頭が破裂した、男のグループが怯え始めた、ロケットランチャーがこっちに向けられた。
「爆ぜろ」
ロケットランチャーが大爆発し、周りにいた男達も巻き込まれ爆死した、ゆっくりと地上に降りた。
「サブマシンガンで撃って来ないのか?」
「面倒だ撃て」
サブマシンガンが連射された俺と紅葉はドラゴンソードと刀で弾丸を全部弾き返した。
サブマシンガンを撃ってきた男が銃を海に捨て、震える声で。
「すいませんでした、命令だったので」
「手遅れだ」
命令した男に近づき。
「お前は早死にしたいみたいだな」
「いや、その、すいません」
「八神流奥義達磨斬撃」
男の手足を根元から斬り達磨にした。
「八神流奥義稲妻斬り」
二十人程が稲妻に打たれ黒焦げになった。
男達は戦意喪失したみたいだ、誰も動こうとしなかった。
「ところでお前らはどこの組だ?」
「やっ、山本組です」
一台の黒塗りのベンツから新井と同じくらいの初老の男が出てきて土下座した、それを見た組員も土下座した。
「何の抗争か知らんが正々堂々とやれ」
「すみませんでした」
新井も車から降りてきてそう言った。
「お前ら仲良く出来んのか? お互い人数が少なくてやって行けないだろ」
「八神さん組長同士話し合います、今日はありがとうございました」
「助けた訳じゃない、勘違いするなよ」
俺は手のひらから炎を出し、殺した男達を燃やした、能力が上がったせいかすぐに溶けるように塵になった。
「新井、話し合いの結果はまた教えろ」
「わかりました」
新井達と山本達も車で帰って行った、俺達も帰った。
「結果的に新井組を助けた形になるわね」
「そうだな、だが次は知らん」
「晩飯は何か食べに行くか?」
「そうね、回転寿司が食べたいわ」
「回転寿司でいいのか?」
「うん」
「じゃあ行こう」
二人で食べに行った、帰ってコーヒーを飲んでいるとチャイムが鳴ったので俺が出た。
「新井組の者です、どうぞこれを受け取って下さい」
レジ袋を受け取った。
「で、何か進展はあったのか?」
「明日組長二人で話し合いがあるそうです」
「そうか、揉め事を起こしたら両方潰すと言っておけ」
「わかりました」
「話し合いは何時からだ?」
「昼食を食べながらです、では失礼します」
リビングに戻りレジ袋を開けた、コロッケとデザートがたくさん入っていた。
「俺が金で動かない事も知ってるようだな」
「そうみたいね、毒が入ってないかしら?」
「俺達に毒が効かない事くらいあいつらも知ってるだろう」
出来たてのコロッケとプリンを食べた。
ベッドに入るとまた紅葉が抱きついてきたので。
「今夜はあの安心出来る抱き方を俺にしてくれないか?」
「いいわよ」
紅葉が裸になった。
「裸になる必要があるのか?」
「この方が効果が高いらしいわ」
「そうか」
紅葉の綺麗な胸の谷間に顔を埋め、安心感を満喫しながら眠りについた。
朝起きると胸から顔を離した。
「どうだった?」
「凄く安心して眠れた」
「じゃあまたしてあげるわ」
「頼むよ」
紅葉が服を着て朝食を作りにキッチンに行った、俺はリビングでパソコンを見た、ニュースサイトを見たが昨日の騒ぎは載ってなかった、誰も見てないから当然だなと思い、運ばれてきたトーストに目玉焼きとベーコンを乗せ食べた、紅葉は今日はワンピース姿だった、胸元が大きく開いている。
昼になると千里眼で新井を探した、個室のある料亭みたいな場所で話し合いをしているみたいだ、三十分以上見ていたが二人が何か書類に判を押し、握手をした。
「ちょっと出掛ける」
「私も行くわ」
瞬間移動で新井と山本の前に出た。
「握手をしてたが上手いこと行ったのか?」
「八神さん、見てたのですか?」
「あぁずっと見てた」
「我々は表向きは輸入代理店です、ヤクザは縮小して輸入代理店を合併してこちらをメインにやっていく事にしました」
「そうかいい事だ、仲良くやれよ」
「「はい」」
「俺の仕事が減った、邪魔したな帰るよ」
「ありがとうございました」
マンションに戻った。
「結果的にいい事をしたわね」
「そうだな、これで俺もゆっくり出来る」
「そうね」
「今からまた出掛けるぞ」
「今度はどこ?」
「内緒だ」
「まぁいいわ、連れて行ってちょうだい」
紅葉を連れて貴金属店に行った。
「こんなところで何を買うの?」
「指輪だ」
「何かの記念日だったかしら?」
「いや、記念日にするんだ、好きな指輪を探してくれ」
「いいの?」
「あぁペアで買うからな」
「素敵、じゃあ見て回るわ」
二人で店の隅から隅まで時間をかけて見て回った、紅葉が三つ候補をあげて悩んでいるようだ、結果小さなダイヤが数個埋め込まれているシンプルなのを選んだ、店員を呼んで左手の薬指のサイズを図ってもらい、カードで購入した。
「あなた、左手の薬指って……あの」
赤くなってもじもじしている。
「帰ってからな」
「あっ、うん」
マンションに戻った。
紅葉用の指輪の箱を取り出し。
「紅葉、俺と結婚してくれ、これは婚約指輪のつもりだ」
紅葉が泣きながら答える。
「はい喜んでお受けします、お嫁さんにして下さい」
指輪を嵌めてやり、俺も指輪を嵌めた、紅葉が抱きついて来た。
「やっと夢が叶ったわ、愛してるわ」
「俺の夢でもある、愛してる」
紅葉が泣き止み指輪を眺めている。
「式はどうする?」
「結婚式はいらないわ、その代りウエディングドレスとタキシードで記念写真を撮りたいわ、いい?」
「いいぞ」
「今日は海の日ね、婚約記念日になったわ」
「覚えやすくていいだろ?」
「うん、えへへ」
「ドレスとかはレンタルでいいか?」
「うん、十分よ」
「わかった」
「それよりも、どうせなら今日籍を入れましょう、駄目?」
「別に構わないが、気が早いな」
「早く籍を入れたいの」
「じゃあ市役所で婚姻届を出しに行こう」
「うん」
「でも、海の日で祝日だぞ休みじゃないか」
「婚姻届は持ってるわ、それに受付はしてくれるわ」
「用意がいいな」
二人で婚姻届を記入し、市役所に行き記念写真をスマホで撮ってから提出し、市役所からマンションに戻った。
「これで私も八神よ」
「元から八神じゃないか」
「あなたにはわからないわ、同じ姓だけど重みが違うのよ」
「そうかい、今夜は夜景の綺麗な高級レストランで食事しようか?」
「別にいいわ、私が何か作るわ」
「わかった、ケーキくらいは食べよう」
「そうね」
二人でケーキを買いに行った、結婚祝と書いてもらって持ち帰った。
紅葉の手の込んだ料理を食べた後、ケーキを持ちながら記念写真を撮って、二人で食べた。
「おじいちゃんに報告しましょう」
「そうだな、会って言おう」
ゲートを抜けじいさんの家に行った。
「どうした、来るなんて珍しいな」
「俺と紅葉は今日籍を入れたよ」
「結婚したのか?」
「そうだ、式は挙げず記念写真だけ今度撮るけどな」
「おめでとう、一族にはわしから報告しておこう、記念写真はわしにも一枚くれ」
「わかった、撮ったら持って来るよ」
「紅葉、良かったなお前の夢だっただろう」
「うん、夢が叶ったわ」
「じいさん知ってたのか?」
「あぁ、お前のいないところで聞いていたからな」
「そうか、また来るよ」
「あぁ幸せな家庭を作りなさい」
「わかってるよ、紅葉は幸せにする」
「それでいい」
ゲートを抜けマンションに戻り、紅葉を抱っこしてベッドに押し倒した。
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