目が覚めたら黒髪黒目至上主義の世界に転生していたみたいです

抹茶もち

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どうやら僕は転生してしまったらしい

side:セオドア①

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side:セオドア

「もう!鬱陶しい!兄だからって調子に乗らないでよねっ!もう名前呼ばれるのも嫌!」

可愛い可愛い俺の弟、ノアにそう言われた時の衝撃は今でも覚えている。
確かにノアが可愛いあまりに心配も相まって構いすぎたのかもしれない。でもノアがこの世に生まれて来てくれた日、俺はノアを一生大事にするって決めたのだ。

ノアが産まれたのは、俺が5歳になった年の寒い冬の日だった。

────黒髪黒目を持つ人でないと子供を産むことができないこの世界では重婚が当たり前だ。黒髪黒目の出生率は高くなく、圧倒的にその他の方が多いからだ。俺の母も六人の夫を持っている。世の夫人と比べると人数は多少少ないが、それでも各家に転々としている母が我が家に留まる日は少ない。俺の父は第一夫なので、他家よりは気持ち多く滞在しているようだけど。

父は第一夫であると共に公爵の地位を持つ故、一番最初に母と子を作る事ができた。その時出来たのが俺だ。

しかし母親とはいっても、夫人が自ら子育てをする事は基本ありえない。産まれた子は父に預けられ大事に育てられるので、俺も例に漏れず父と使用人たちに育てられた。
母は俺が産まれるまでは基本的に我が家で過ごしていたようだが、無事に俺を産んで身体が回復すると、第二夫との子作りのためにそちらに家を移していた。
だから俺の幼少期に母と過ごした記憶はなく、たまに家に来る母と名乗る夫人を事実俺を産んだ母親なのだと認識したのは、母がノアを身籠った時だった。それくらい俺にとっての母という存在は印象が薄かった。

しかし母は自分が産んだ子達に会いに定期的に時間を作って各家に足を運ぶ。産み落とした子には全く興味を示さない夫人がほとんどの中、子を気にして愛していると伝えてくれるだけいい母なのだろう。

そんな母が再度父の子を妊娠したのだ。これは計画的なものではなかったようだが、ノアの誕生は母の六人の夫も含め誰もが喜び、誕生を待ち望み楽しみにしていた。ここだけの話、母はしばらく子が出来なく悩んでいたようなのだ。妻の憂いがなくなって、それがたとえ我が子では無かったとしても夫たちは嬉しかったようだ。


そんなふうに周囲から待ち望まれていたノア。でも俺は最初あまり嬉しくなかったんだ。子供っぽい事だが、父が取られてしまうような気がして。今思うとあれが子供返りというものだったのかもしれない。もう5歳だったのにな。

母はそんな俺の気持ちに気付いていたのかもしれない。出産予定日が近づいてきたある日、母が過ごしている部屋に呼ばれたのだ。

「お邪魔いたします、母上」
「セオドア、よく来ましたね。さぁここに座って」

そう示されたのは母が寝ているベッドの横にあった椅子。いつも父がそこに座って母と話している場所だ。母とはいえ、あまり関わってこなかった為、なんだか気恥ずかしさを感じながらもおとなしくそこに座ると、母はゆっくりと話し始めた。


「セオドア、あなたにお願いがあるのです」
「お願い・・・・・・です、か?」
「えぇ。産まれてくるこの子の事です」

愛おしそうにお腹を撫でる母。俺がお腹の中に居た時も、このように愛しく思ってくれたのだろうか、なんてぼんやり思ったのを覚えている。

「この子はきっと、特別な子です。不思議なことですがそう感じるのです。セオドア、兄としてどうかこの子を守ってほしい」

お願い、とベッドから体を起こし俺に頭を下げる母にとても驚いた。俺がお茶会で会った事のある黒髪黒目は自分が悪くても謝らないような人ばかりだったからだ。その時、黒髪黒目の母にここまでさせる俺の弟に初めて興味が湧いたのだ。



────────────

Q.どうやって誰の子かが分かるのか?
A.お腹に命が宿るとお臍のしたらへんに父親の家紋が父の髪色と共に浮かび上がります。セオとノアの場合父親の色である水色の家紋が浮かび上がっています。

ファンタジーって、難しいですね!笑
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