黒猫ちゃんは愛される

抹茶もち

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入学したら未知の世界でした

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「むじかくびじんうけ⋯⋯?何それ?呪文?」

「ハッ!無自覚美人受けが美味しくてまたぶち上ってしまった。気にしないで、何でもない!遥ちゃんね!りょーかいりょーかい。さっきも言ったけど、俺も律でいいからさ、よかったら仲良くしてよ」

 なんとなくチラリと隆を見上げると、麦野くんを呆れたように見ていたけど、生徒会の人たちの時みたいに警戒してる感じじゃないから、きっと麦野くんは変わってるだけでいい人なんだろう。それにしてもよく呪文を唱える人なんだな。気にしなくていいって本人も隆も言ってるし、気にしないようにしよう。

「ん、分かった。律くん、よろしくお願いします」

 座ったままだったけど、ペコリとお辞儀をしておく。なんでちゃん付けなんだろう、とは思うけども、律くんの言動が不思議でももう気にしないことにした。とりあえずまだ一言も話してない柳くんと隆の初めましてをしなきゃだ、よね?友達に友達を紹介するなんてした事ないからちょっと緊張する。

「えっと・・・・・・柳くんと隆は初対面、だよね?柳くんは外部生で、昨日話しかけてくれたの。お友達第一号になってくれたんだよ。んで、隆は僕の同室で、とっても優しくて頼りになる人だよ」

 話しながら僕、もう3人もお友達が出来てしまったのか・・・・・・!と改めて嬉しくなって、思わず頬が緩む。

「へぇ、名前呼び・・・・・・。水瀬君と同室なんだ。僕は柳颯汰。宜しくね」

「ふーん。お友達第一号ね。俺は大神隆哉。宜しく」

 柳くんがボソッと何か呟いてから、ニコリと自己紹介をする。隆はなんか不敵な笑みって感じの笑い方をして差し出された手を握って握手をしていた。
 なんか2人共めちゃくちゃ力入ってない?気のせいかな・・・・・・?

 2人の手元をじっと見ていた僕は、僕が笑った瞬間に真っ赤な顔をして前屈みになっていたクラスメイトの事も、律くんが顔を真っ赤にして、無表情デフォ美人の笑顔やべぇ。俺はノンケ俺はノンケただの腐男子・・・・・・。と呟いていた事にも気付かなかった。

 結局2人はチャイムが鳴るまで手を力強くにぎにぎしていた。もう仲良しさんになったなんて、すごいよね。チャイムが鳴った瞬間パッと手を離して、じゃあまた後でって皆自分の席に戻っていったけど、なんと律くんは僕の真後ろの席だった。隆は前から5番目で、柳くんは1番後ろの席だったから2人はちょっと遠めだ。


 担任の先生がなかなか来なくてボーっとしていると、チャラ男会計と双子庶務はまだ来てないんだな。って麦野くんが呟いているのが聞こえて、生徒会の人も同じクラスなのか、ってちょっとびっくりした。そうだよね、ここSクラスだった。色々衝撃過ぎて忘れちゃってたよ⋯⋯。

 ・・・・・・っていうか会計さんはチャラ男なんだ。余計に別世界の人っぽい。双子庶務くん達は本当にそっくりだったけど、小動物みたいで2人共可愛かったなぁ。でも隆に気を付けろって言われてるし、同じクラスならちゃんと気を引き締めよう。

 そんな事を考えていたら、ガラガラッと教室の前の扉が開いた、その時。


 きゃああああああああああああぁぁぁ!!


 またですか!?今度は誰!?
 そう思いながら咄嗟に耳を塞ぎ、ビクッと震えてしまったのだった。


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