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運命のつがい
僕でいい?
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呼んですぐ後悔した。いくら苦しくても、この汚い姿を見られたくない。
タオルケットを被り、部屋の隅のテーブルと壁の隙間で蹲った。熱くて苦しくて、涙と震えが止まらない。
どのくらい経ったのだろうか、バタバタと足音が近づいて、扉がバン!と勢いよく開かれた。
「日野くん!」
部屋をざっと見て惨状を確認し、隙間にいる僕を見つけて駆け寄ってくる。
「せ、ん輩。ご、ごめんなさい。だいじょうぶ、僕だいじょうぶだから」
「どこが!出ておいで」
先輩が手を伸ばしたのを壁側に後ずさってよける。
「駄目!汚れる!ぼく汚い」
「大丈夫」
先輩は大判のバスタオルを持ってきて、腕に広げてテーブルの下に入ってきた。ふわりと柔らかな手触りが僕を包む。僕はそれでベタついた手とお腹をゴシゴシ拭いた。でもまだ汚い。
首と胸を拭いた。まだ汚い。二の腕と腿も拭く。まだ汚い。脇と手先を。まだ汚い、まだきたない、まだキタナイ……
「……ぅま、晶馬くん!」
ハッ!
「あ……」
気づけば、先輩が僕の両手首を掴んでいた。胸や腕がピリピリするのを不思議に思い、見てみたら赤いみみず腫れになっていた。あっ、いつもの引っ掻き傷はこれだったんだ。知らないうちにタオルじゃなく手で引っ掻いていたんだ。
先輩は、バスタオルの上から僕を包み込むようにギュッと強く抱きしめてくれた。そして僕の手を取ると、顔のすぐ前で指をペロペロと舐め始めた。キレーな顔……僕はそれを熱でぼーっとなった頭で眺めていた。
ハッ
「先輩、汚い、汚れる」
「汚くないよ」
指が終わると手の平、それが終わると手の甲。俯いた先輩の長いまつげや蠢く赤い舌に目が釘付けになった。
「どう?まだ汚い?」
センパイガ ナメテ キレイニシタ テ
「ううん、キレイになった」
僕はその手にうっとりと頬ずりをした。不思議だ。汚いと感じない。
先輩は満足そうに笑った。
「さあ、出ておいで。全部綺麗にしてあげる。中も外も、頭のてっぺんからつま先まで。他は?何がしてほしい?」
先輩は僕を抱き抱えるようにベッドに誘った。そして頭のてっぺんと頬にキスをして涙の跡を舌でぬぐってくれた。それからさっきと反対の手を舐め始めた。
「痛い?苦しい?何をしてほしい?ほら、言ってごらん」
何を……
「熱い。出したい。でない。触ってもでない。苦しい。せんぱい、せんぱいぃ」
ふぇ。また涙が盛り上がった。
「いきたい。出したいよぅ、ううっ、ヒック。うぅ。」
「分かった。イきたいんだね。でも中に出されないとイけないでしょ。どうする?高村さん呼ぶ?」
「やだあ。高むらさんとするのやだ。こわい。やだ。やだぁ」
ふぇぇん。えっ、えっ。ヒック。
いつも怖かった。平気、平気って思ってきたけどもうしたくない。こわい。
無意識に呟いていたみたいで、先輩が そう。と小さく頷いてくれた。
「泣かないで、晶馬くん。じゃあどうする?僕が抱くかい?僕でいい?」
「せんぱいが?ぼくを?いいの?汚いよ、いいの?」
「汚くなんかない。でも僕は運命の番じゃないよ。君の体は受け付けないからこじ開けなきゃいけない。痛いよ。それでも僕がいいの?」
「痛くてもいい。せんぱいがいい。せんぱいじゃなきゃダメ。誰もダメ。せん輩じゃなきゃやだぁ」
「あぁ、可愛い。僕の晶馬。君は僕だけの晶馬くん?」
「うん。先ぱいだけのぼく。」
「じゃあ、高村さんやめて、僕の番になってくれる?首、噛んでもいい?大事にするからお願い。噛ませて」
「うん。うん、うん。なる。せんぱいのつがいになる。かんでぇ。くび、かんで。」
「痛くても我慢出来る?」
「せんぱいがしてくれるならいたくてもぼくがまんできるよ。」
「痛くても途中で止めないよ。いい?」
「いい。せんぱいのになるならぼくいたくてもいい。つがいにして。せんぱい。ぼく、つがいになりたい。おねがい。」
そう言ったら先輩はよく出来ました、って言って唇にちょんとキスをした。
ちょっとビックリして僕が初めてチュウしたって笑ったら、先輩も笑った。
「分かった。晶馬、君を私の番にする。君の鎖を断ち切るよ」
タオルケットを被り、部屋の隅のテーブルと壁の隙間で蹲った。熱くて苦しくて、涙と震えが止まらない。
どのくらい経ったのだろうか、バタバタと足音が近づいて、扉がバン!と勢いよく開かれた。
「日野くん!」
部屋をざっと見て惨状を確認し、隙間にいる僕を見つけて駆け寄ってくる。
「せ、ん輩。ご、ごめんなさい。だいじょうぶ、僕だいじょうぶだから」
「どこが!出ておいで」
先輩が手を伸ばしたのを壁側に後ずさってよける。
「駄目!汚れる!ぼく汚い」
「大丈夫」
先輩は大判のバスタオルを持ってきて、腕に広げてテーブルの下に入ってきた。ふわりと柔らかな手触りが僕を包む。僕はそれでベタついた手とお腹をゴシゴシ拭いた。でもまだ汚い。
首と胸を拭いた。まだ汚い。二の腕と腿も拭く。まだ汚い。脇と手先を。まだ汚い、まだきたない、まだキタナイ……
「……ぅま、晶馬くん!」
ハッ!
「あ……」
気づけば、先輩が僕の両手首を掴んでいた。胸や腕がピリピリするのを不思議に思い、見てみたら赤いみみず腫れになっていた。あっ、いつもの引っ掻き傷はこれだったんだ。知らないうちにタオルじゃなく手で引っ掻いていたんだ。
先輩は、バスタオルの上から僕を包み込むようにギュッと強く抱きしめてくれた。そして僕の手を取ると、顔のすぐ前で指をペロペロと舐め始めた。キレーな顔……僕はそれを熱でぼーっとなった頭で眺めていた。
ハッ
「先輩、汚い、汚れる」
「汚くないよ」
指が終わると手の平、それが終わると手の甲。俯いた先輩の長いまつげや蠢く赤い舌に目が釘付けになった。
「どう?まだ汚い?」
センパイガ ナメテ キレイニシタ テ
「ううん、キレイになった」
僕はその手にうっとりと頬ずりをした。不思議だ。汚いと感じない。
先輩は満足そうに笑った。
「さあ、出ておいで。全部綺麗にしてあげる。中も外も、頭のてっぺんからつま先まで。他は?何がしてほしい?」
先輩は僕を抱き抱えるようにベッドに誘った。そして頭のてっぺんと頬にキスをして涙の跡を舌でぬぐってくれた。それからさっきと反対の手を舐め始めた。
「痛い?苦しい?何をしてほしい?ほら、言ってごらん」
何を……
「熱い。出したい。でない。触ってもでない。苦しい。せんぱい、せんぱいぃ」
ふぇ。また涙が盛り上がった。
「いきたい。出したいよぅ、ううっ、ヒック。うぅ。」
「分かった。イきたいんだね。でも中に出されないとイけないでしょ。どうする?高村さん呼ぶ?」
「やだあ。高むらさんとするのやだ。こわい。やだ。やだぁ」
ふぇぇん。えっ、えっ。ヒック。
いつも怖かった。平気、平気って思ってきたけどもうしたくない。こわい。
無意識に呟いていたみたいで、先輩が そう。と小さく頷いてくれた。
「泣かないで、晶馬くん。じゃあどうする?僕が抱くかい?僕でいい?」
「せんぱいが?ぼくを?いいの?汚いよ、いいの?」
「汚くなんかない。でも僕は運命の番じゃないよ。君の体は受け付けないからこじ開けなきゃいけない。痛いよ。それでも僕がいいの?」
「痛くてもいい。せんぱいがいい。せんぱいじゃなきゃダメ。誰もダメ。せん輩じゃなきゃやだぁ」
「あぁ、可愛い。僕の晶馬。君は僕だけの晶馬くん?」
「うん。先ぱいだけのぼく。」
「じゃあ、高村さんやめて、僕の番になってくれる?首、噛んでもいい?大事にするからお願い。噛ませて」
「うん。うん、うん。なる。せんぱいのつがいになる。かんでぇ。くび、かんで。」
「痛くても我慢出来る?」
「せんぱいがしてくれるならいたくてもぼくがまんできるよ。」
「痛くても途中で止めないよ。いい?」
「いい。せんぱいのになるならぼくいたくてもいい。つがいにして。せんぱい。ぼく、つがいになりたい。おねがい。」
そう言ったら先輩はよく出来ました、って言って唇にちょんとキスをした。
ちょっとビックリして僕が初めてチュウしたって笑ったら、先輩も笑った。
「分かった。晶馬、君を私の番にする。君の鎖を断ち切るよ」
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