あの日の恋

河衣佳奈

文字の大きさ
58 / 96
男性からの体験談

友達の奥さん③

しおりを挟む
それでも出張の疲れもあり少し眠り、9時前に目が覚めました。部屋から出ると、K崎がスーツを着てコーヒーを飲んでいました。
「おはよう。ゆっくり寝れた?」

昨夜のことは知らないのでしょう。キッチンに立っていたY実さんが困惑した表情を浮かべ、ちらりと僕を見ます。

「あ、うん。ありがとう。今日、仕事?」
「いや、卸先とトラブルがあったみたいでな。昼過ぎには終わるけど、よりみちは何時に帰る?」
「いや、俺は今日、明日は休みだから夕方くらいの新幹線でと思ってた」
「わかった。そうしたら、ゆっくりしてて。帰りは駅に送って行くから」

そう言って慌ただしく出ていきました。

キッチンにいたY実さんが、
「ごめんね、せっかく来てくれたのに」と言いながらコーヒーを淹れてくれました。
「とんでもないよ。忙しそうだし、少し大阪を散策してそのまま帰ろうと思うよ」

そして10時半に荷物を纏めてK崎の家を後にしようとするとスマホを手にY実さんが近づいてきて、
「K崎が14時くらいに終わるから、道頓堀で合流してお好み焼き食べよって」

それまで時間あるから、ちょっと出掛けようということになり、僕とY実さんは家を出ました。

あんまりあちこち行っても疲れちゃうからと、そのまま道頓堀に行きましたが、お腹も空いてないしお店に入ることもなくブラブラ歩いているとラブホ街に。

土曜日ということもあり、出てくる人、入って行く人が何人かいました。

「あっ!」
Y実さんが突然、声を上げました。
その視線の先を見ると、かなり年配の男性と僕たちくらいの年齢の女性が腕を組んでホテルに入っていきました。

「どうしたの?」
気になって訊くと、
「さっきあそこに入った男の人、K崎の上司のO森さん。一緒に入った女の人もどこかで見たことあるような……」

しばらくしてY実さんが、
「ちょっと見てくる!」と2人が入って行ったホテルに入っていき、僕も遅れてそこに入っていきました。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...