よみのくに

あーたん

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『初めての討伐』

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カオルさんの所に戻ると

「あら♪倒し方はわかったかしら?」

と聞かれた。

『わかったけど、僕には呪文が聞こえないみたいです。』

一瞬カオルさんの顔が曇った。

「初めてのデスペナだし恐怖が勝ってたみたいだ。」とアキラは言ってくれた。

「あら♪大丈夫よ♪選ばれたんだから聞こえるようになるわよ♪さっ!ご飯にしましょ♪お昼食べてなかったでしょ?早めのお夕飯ってことで♪」
と言ってカオルさんはご飯を用意しにいった。

『聞こえなかった人って今までいた?』
アキラに聞いてみた。

「いや、いない。今までは気が強いヤツばっかりだったからな。でも大丈夫だ!ソウルロットも武器に変わったんだし。」

『そうなのかな…。』

夕飯を食べ終えると早めに部屋に戻った。

せっかく変われるチャンスだったのに。
何も出来なかった自分が不甲斐ない。
選ばれたってなんでなんだ?
僕は気が弱いし。。

全然眠れなかった。
一旦散歩でもしよう。と外に出たら
BARの灯りが付いていた。

カオルさん起きてるのかな?
と思い近づくと会話が聞こえた。

「あら?アキラが心配なんて珍しいわね♪」
「いやだって。聞こえないやつなんて初めてだよ。カオルさんは会ったことある?」
「そうねぇ。ないわね。」
「だろ?だからこのままだとあいつは…」
「あんたが弱気でどうするの?あの子きっと落ち込んでるわ。あんたが元気づけてあげないと♪」
「そうだな…」

2人を心配させてしまっている。
気づかれないうちに部屋に戻ってベッドに横になった。

僕は変わるんだ。僕を気にかけてくれる人の為にも。部屋に立てかけてある太刀を見つめお願いだから聞こえてくれ。と思っているとようやく瞼が重くなった。

………。

「おーい!ルイ起きろー!朝だぞ!」
アキラに起こされた。

「ルイ朝苦手なの?」
『いや?そんなことないよ?』
「眠れなかったのか?」
『 ううん、大丈夫。』

朝ご飯を食べ終えると
アキラに「今日も農業部行くかー?」
と言われ農業部へ向かった。

農業部の子がオレンジを持って走ってきた。
「おにいさーん!きのうはありがと!」
『いや、僕は…』
「いいんだよもらっておけ。」
とアキラに言われオレンジをもらった。

農業部の子とベンチに座った。
「たべかたわかる?」
『わかるよありがとう。』
皮を剥いて食べた。
『 美味しい!!!』
「よかったぁ!じゃあぼくこれからさぎょうするから!」
『なんの作業するの??』
「オレンジとるんだよ。おにいさんもやる?」
アキラに目をやると頷いている。
『いいよ。』と言うと
「やったー!」と喜んでくれた。
『お名前なんていうの?』
「みなとだよ。」
『みなとくんよろしくね。』

僕はみなとくんに教えてもらいながら
オレンジを取るお手伝いをした。

「またやろうね!」
『うんまたやろう!!』

とバイバイをした。

「いい気分転換になったかぁ?」
とあくびをしながらアキラが来た。
『うん。なったよ。ありがとね。寝てたの?』
「あぁ、ここ寝心地いいんだよ。」
『そうなんだ。』と笑いあってると

(キャー!!!たすけてー!!!)
悲鳴が聞こえた。
聞こえた方をみるとデスペナが走っている。

『デスペナ!?!?あ!!みなとくんが!!』

「急ぐぞ!!」

デスペナはみなとくんの方への向かっている。

『みなとくん!!早く部屋に入って!!』
無我夢中で走りながら大きな声を出した。

このデスペナ速い。
間に合ってくれ。間に合え。

走りながら剣を握ってみる。
何も聞こえない。

お願いだから聞こえてくれ。
助けたい。

速すぎるデスペナはもう
みなとくんに手が届こうとしていた。

間に合わなかった。。と思っていると
アキラがみなとくんを庇ってくれていた。
デスペナはまたどこか走り去っていった。

『あ、アキラ??』涙ぐみながら言った。
「だ、大丈夫だ。俺は大丈夫。かすっただけだから。」腕から血が出ている。
『みなとくんは?』
「だいじょうぶだよ!」みなとくんは大丈夫うだ。よかった。

でもアキラが心配だ。

「とりあえず入ろう。」
近くの家に入った。家は結界が貼られてるので安全だって昨日聞いたから一旦は安心だ。

『アキラ??大丈夫なのか?怪我してる。』
「あ、あぁ大丈夫だ。腕に少しかすっただけだ。それよりもデスペナを何とかしないと。」

外から悲鳴が聞こえる。

「ルイとその子はここにいろ。行ってくる。」といいアキラは行ってしまった。

これでいいのか?いや良くない。
僕はアキラを守りたい。
怪我もしているし、相手は速い。
アキラの武器は相性が悪いはず。

でも僕が行ってもなにができる?
いや考えてても仕方ない。僕は行く。

『みなとくん。鍵をちゃんと閉めてね。行ってくる』
「おにいさんもきをつけてね。」

アキラの元へ向かった。

「「萩!!!」」
「くそ!あたんねぇ!どこ行きやがった!」

『アキラ!!!』
「ルイ?大丈夫なのか?」
『大丈夫。デスペナは?』
「ちょこちょこ動き回りやがる。どこか分かんねぇ。気をつけろよ。今回は牛だ。」
『牛?闘牛ってこと?』
「まぁそういう…おい!避けろ!!」

デスペナが突進してきたが
アキラのガードでなんとか大丈夫だった。

「ルイ?大丈夫か?」
『うん、大丈夫ってかアキラ??大丈夫か??』
アキラの様子がおかしい。
「あ、あぁさっきの傷が開いたみたいだ。」
『アキラ!!しっかりして!!』
「ルイ逃げろ。。このままだと。。」

デスペナの音がする。
こっちに向かってくる。
どうしたらいい。
でもこのままだとアキラが…。

アキラを失いたくない。
カオルさん、そしてみなとくん。
ここで出会った人たちと別れたくない。
僕もここで成仏するわけにはいかない。
お願い聞こえてくれ。

「お、おい!ルイ!」アキラの声が聞こえる。

僕は剣を握った。

「「こがせ」SOUL to SOUL」
聞こえた。僕の呪文はこれか。
僕の左手は青の光を放った。
太刀にかざした。太刀も青く光った。

デスペナが来た。
攻撃が太刀に触れた瞬間僕は唱えた。

「「柳」」

太刀で突進を交わし怯んだ隙に
下から上へ切った。

「パンッ!」と音と共にデスペナは消えた。

「ブ〇イブ太刀?カウンターだな。」
と言ったアキラに
『その通り』と返し笑いあった。

「待って笑ったら痛ぇわ」と言ってるアキラをみて安心した。

「あら♪やっぱり出来たじゃない♪」
カオルさんの声がした。

『アキラが怪我をして…』というと
「と思って♪」と救急箱を取り出した。

「いてぇ!!いてぇって!!」
「我慢しなさい♪」

と言い合ってる2人を見てると
安堵したのかお腹が鳴ってしまった。

「今日はごちそうよ♪」

3人でBARに帰った。

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