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1章:オラガ村にやってきた侯爵令嬢
16.追放令嬢と男爵令嬢
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回数を重ねるごとに会話は増えパーティーではパートナーを務め、関係は概ね良好向かっているように思えたのだが…
その状況が一変したのは学園に入学してからであった。
どうやら、殿下がとある男爵令嬢に熱をあげているといるのだ。
次期国王が側室を持つ…
それ自体はエルシャとしても問題視してはいなかった。
だがものには順序という物がある。
せめてお世継ぎが産まれた後であればエルシャとしては何も言う事はない。
しかも、その相手が政治的に全く意味のなさない男爵家の娘…
その御令嬢が気に入ったのであれば手順を踏んで正式に妾にでも側室にでもすればいいのだ。
それを一足飛びに直接お声掛けする…正直殿下が何を考えているのかが全く分からなかった。
もし正妻よりも先にお子を身籠ったとなれば後継者問題のなってしまう。
そうなれば、その御令嬢とその子も命が危うい状況と成り得るのだ。
だがしかし、その事を殿下にお伝えしても聞き届けてもらえることはなかった…
ならばと直接その男爵令嬢とお会いする事にしたのだが…
周りの目が気になり正直な話が出来ないのでは困ると二人きりでの場を設け招待した。
ただそのお茶会が成功したとは正直言い難かった。
なにせエルシャにはその令嬢が話している内容がほぼほぼ理解できなかったからだ。
「殿下に度々プレゼントを要求しているという話を聞いたのですが…?」
「え?いえいえしてませんよ、そんなめんどうな相手…じゃなくて…偉い人にねだるとか。
絶対めんどうごとに巻き込まれるんですよそれ…スキャンダルとかコリゴリ…じゃなくて嫌じゃないですか」
エルシャの問いに少々難解な言葉で返答をする男爵令嬢。
もし殿下が彼女を側室に迎えたいと言いだしたら教育が大変そうだな…などと思いつつ彼女の話を聞いていた。
「あーでも、殿下の方がなんか気を使って持ってきちゃう事はままありますが…
ほら、うちって貴族ではあるんですけどそこまで裕福ってわけでもないから。
もちろん高価な物は重いから断ってるんですけど、王子様相手に消え物まで断るのも問題ありそうだし…」
それはそうだろう…
勿論、この話の裏付けはある程度取ってはいた。
ただ噂になっていたので確認の意味を含めての質問である。
そもそもの話、殿下がホイホイと下賜してしまう方が問題だと言える。
情が湧いたというのであれば、直接ではなく実家に支援をするという方法を取ればいいはずなのだが…
なぜ、このような回りくどい方法を?
とにかく、高価な物はお断りしたというならば男爵令嬢としての礼儀は一応わきまえてはいると言える。
「普段どのような会話を?」
「え?…なんか花の話をしてたので"すっごーい"とか"たっのしー"とか言ってるだけですよ」
「………???」
「あ、中身のある内容は話してないんで考えこまなくてなくて大丈夫です」
「そ、そうですか」
殿下がお花が好きだという事は知っていた。
エルシャもそれを知ってからは殿下の話についていけるよう三日ほど寝ずに勉強をしたものだ。
そして、いざ殿下と会話をしてみたら…何故か苦々しい顔をされたのだった。
なので目の前の男爵令嬢が花の話を殿下と出来ている事に少々驚いた。
彼女は自分とは違う、何か別の事に関して秀でた能力を持っているのだろう。
そしてそれは多分自分にかけた物…
彼女が側室として殿下を支える…
それは言ってみれば彼女と自分とで互いに不足している部分を補う関係が築ける可能性があると思えた。
それ故に彼女に可能性の話をしてみたのだが…
「あなたは殿下の側室になる意思はございますか?」
「えぇ、王子様の側室って…それはちょっと…」
おや?
殿下と話をしている時は楽しそうにしていたので、てっきり彼女もそうなる事を望んでいる物と思っていたのだが…
「あなたは殿下の事お慕いしているのではないのですか?」
「うーん…顔はまあまあなんですけどねぇ…なんていうか童貞臭がすごい?
あの手のタイプって一回寝るとすぐ勘違いするから…
私的にはもっとチャラくてワイルドな感じの方が後腐れなくて好みなんですよね」
「童…?寝る??チャラ???」
(どうしよう、この方の言っている言葉が全く理解が出来ない)
少なくともエルシャがこれまで学んできた教養では理解できない言葉であった。
「それよりもお姫様は殿下の事どこが好きなんですか?」
「私ですか…?そうですね…」
寡黙で相手を思い言葉を選ばれるところ…
女性をエスコートするときは相手を労わり優しく扱う所…
他には…とエルシャの頭の中に殿下の長所がいくつも挙げられていくが…
しかし、やはりとエルシャはそれを言葉にする事にした。
「殿下はお会いするときには必ずお花を贈って下さるのです…」
「へー意外とやるじゃん!それでそれで?」
ズズイっとエルシャに詰め寄り話の続きを催促してくる男爵令嬢。
この御令嬢はやはり再教育が必要だなと思いつつも不思議と嫌な気分はしなかった。
もしかしたら彼女のこういう所に殿下は惹かれたのかもしれない…
そんな風に思っていると突然乱入者が現れたのだ。
「ティセ!」
殿下だった…
そして殿下は二人に近寄ってくると突然男爵令嬢を庇うように間に割って入り怒鳴りつけた。
「エルシャルフィール!二人だけでティセに近づき貶めようとするなど断じて許さん!
貴様は今後一切ティセに近づく事を禁ずる!」
問答無用…まさにそんな感じであった。
エルシャが弁解しようともなにも聞き届けては貰えず、そのままお茶会はお開き。
そして殿下にそのように言われてしまっては、エルシャにはもう手も足も出なかった。
その日から殿下がお会いする事が極端に減り、今まで贈ってくれた花も贈らなくなったのだった。
………
……
…
その状況が一変したのは学園に入学してからであった。
どうやら、殿下がとある男爵令嬢に熱をあげているといるのだ。
次期国王が側室を持つ…
それ自体はエルシャとしても問題視してはいなかった。
だがものには順序という物がある。
せめてお世継ぎが産まれた後であればエルシャとしては何も言う事はない。
しかも、その相手が政治的に全く意味のなさない男爵家の娘…
その御令嬢が気に入ったのであれば手順を踏んで正式に妾にでも側室にでもすればいいのだ。
それを一足飛びに直接お声掛けする…正直殿下が何を考えているのかが全く分からなかった。
もし正妻よりも先にお子を身籠ったとなれば後継者問題のなってしまう。
そうなれば、その御令嬢とその子も命が危うい状況と成り得るのだ。
だがしかし、その事を殿下にお伝えしても聞き届けてもらえることはなかった…
ならばと直接その男爵令嬢とお会いする事にしたのだが…
周りの目が気になり正直な話が出来ないのでは困ると二人きりでの場を設け招待した。
ただそのお茶会が成功したとは正直言い難かった。
なにせエルシャにはその令嬢が話している内容がほぼほぼ理解できなかったからだ。
「殿下に度々プレゼントを要求しているという話を聞いたのですが…?」
「え?いえいえしてませんよ、そんなめんどうな相手…じゃなくて…偉い人にねだるとか。
絶対めんどうごとに巻き込まれるんですよそれ…スキャンダルとかコリゴリ…じゃなくて嫌じゃないですか」
エルシャの問いに少々難解な言葉で返答をする男爵令嬢。
もし殿下が彼女を側室に迎えたいと言いだしたら教育が大変そうだな…などと思いつつ彼女の話を聞いていた。
「あーでも、殿下の方がなんか気を使って持ってきちゃう事はままありますが…
ほら、うちって貴族ではあるんですけどそこまで裕福ってわけでもないから。
もちろん高価な物は重いから断ってるんですけど、王子様相手に消え物まで断るのも問題ありそうだし…」
それはそうだろう…
勿論、この話の裏付けはある程度取ってはいた。
ただ噂になっていたので確認の意味を含めての質問である。
そもそもの話、殿下がホイホイと下賜してしまう方が問題だと言える。
情が湧いたというのであれば、直接ではなく実家に支援をするという方法を取ればいいはずなのだが…
なぜ、このような回りくどい方法を?
とにかく、高価な物はお断りしたというならば男爵令嬢としての礼儀は一応わきまえてはいると言える。
「普段どのような会話を?」
「え?…なんか花の話をしてたので"すっごーい"とか"たっのしー"とか言ってるだけですよ」
「………???」
「あ、中身のある内容は話してないんで考えこまなくてなくて大丈夫です」
「そ、そうですか」
殿下がお花が好きだという事は知っていた。
エルシャもそれを知ってからは殿下の話についていけるよう三日ほど寝ずに勉強をしたものだ。
そして、いざ殿下と会話をしてみたら…何故か苦々しい顔をされたのだった。
なので目の前の男爵令嬢が花の話を殿下と出来ている事に少々驚いた。
彼女は自分とは違う、何か別の事に関して秀でた能力を持っているのだろう。
そしてそれは多分自分にかけた物…
彼女が側室として殿下を支える…
それは言ってみれば彼女と自分とで互いに不足している部分を補う関係が築ける可能性があると思えた。
それ故に彼女に可能性の話をしてみたのだが…
「あなたは殿下の側室になる意思はございますか?」
「えぇ、王子様の側室って…それはちょっと…」
おや?
殿下と話をしている時は楽しそうにしていたので、てっきり彼女もそうなる事を望んでいる物と思っていたのだが…
「あなたは殿下の事お慕いしているのではないのですか?」
「うーん…顔はまあまあなんですけどねぇ…なんていうか童貞臭がすごい?
あの手のタイプって一回寝るとすぐ勘違いするから…
私的にはもっとチャラくてワイルドな感じの方が後腐れなくて好みなんですよね」
「童…?寝る??チャラ???」
(どうしよう、この方の言っている言葉が全く理解が出来ない)
少なくともエルシャがこれまで学んできた教養では理解できない言葉であった。
「それよりもお姫様は殿下の事どこが好きなんですか?」
「私ですか…?そうですね…」
寡黙で相手を思い言葉を選ばれるところ…
女性をエスコートするときは相手を労わり優しく扱う所…
他には…とエルシャの頭の中に殿下の長所がいくつも挙げられていくが…
しかし、やはりとエルシャはそれを言葉にする事にした。
「殿下はお会いするときには必ずお花を贈って下さるのです…」
「へー意外とやるじゃん!それでそれで?」
ズズイっとエルシャに詰め寄り話の続きを催促してくる男爵令嬢。
この御令嬢はやはり再教育が必要だなと思いつつも不思議と嫌な気分はしなかった。
もしかしたら彼女のこういう所に殿下は惹かれたのかもしれない…
そんな風に思っていると突然乱入者が現れたのだ。
「ティセ!」
殿下だった…
そして殿下は二人に近寄ってくると突然男爵令嬢を庇うように間に割って入り怒鳴りつけた。
「エルシャルフィール!二人だけでティセに近づき貶めようとするなど断じて許さん!
貴様は今後一切ティセに近づく事を禁ずる!」
問答無用…まさにそんな感じであった。
エルシャが弁解しようともなにも聞き届けては貰えず、そのままお茶会はお開き。
そして殿下にそのように言われてしまっては、エルシャにはもう手も足も出なかった。
その日から殿下がお会いする事が極端に減り、今まで贈ってくれた花も贈らなくなったのだった。
………
……
…
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