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1章:オラガ村にやってきた侯爵令嬢
29.フレポジ男と宣誓
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「それではこれよりケヴィン・フレポジェルヌと…えーヤラーレ・フルボッコ?」
「ヤレーラ・ボルフックだ」
「失礼しました、ヤレーラ・ボルフックの女神の下での決闘を執り行います。
立ち合いにを務めさせて頂きますシスティーナ・セイジョーンです。」
「このような辺境のシスターに立ち合いが務まるのか?」
「神に祈りを捧げるその心は辺境の地であっても変わりはございませんので心配ありませんよ?」
ヤレーラにケチをつけられたシスティーナはその言葉を微笑でもって受け流す。
「それでは決闘の条件の確認をさせていただきますね?」
「ヤレーラ様が勝利した場合、ケヴィン様とその妻エルシャルフィール様は跪き相手に許しを乞う事になりますがよろしいでしょうか?」
「構わない」「女神に誓います」
ケヴィンとエルシャの了承を聞き届け次にヤレーラに確認する。
「ケヴィン様が勝利した場合、ヤレーラ様は以後"騎士"を名乗る事を禁じられることになりますがよろしいでしょうか?」
「問題ない、確認も不要な話だがな」
「しきたりですので…?」
そして最後の勝利条件の確認をする。
「勝利条件は一般的には相手の敗北宣言、もしくは相手の気絶及び死亡となっておりますが?」
「問題ない」
「こっちもそれでいい」
「それでは以上の条件において女神に捧げる決闘と認めます…<宣誓>」
その言葉と共にシスティーナの手のうちより神聖な光が溢れ虚空へと消えていった。
これにはヤレーラも驚いた、こんな場所で神聖魔法を見るとは思わなかったからだ。
そして今使った魔法は術者の神事の記録を管轄区域内に残すという物でこれにより管轄区域内で契約を違反した場合は即破門が成立してしまう。
ヤレーラはシスティーナがこのフレポジェルヌ領のシスターであると勘違いをしているが、システィーナはセイルーン教国の司教…その管轄というのはロアリス教全体を指す。
つまり、この決闘で負けた方はほぼほぼ晒し首と変わらない状態となるのだが…
システィーナがそれを指摘する事はない。
それは彼女が彼らに対して腹を立てている上にシスティーナという女の性格は意外と陰険であるが故。
そして、もう一つの理由が<宣誓>はあくまで手段であって、女神の下での宣誓を行ったからにはその誓いは絶対守らねばならない物なのだ…
「こんな辺境でもまともなシスターはいるものだな…これで貴様は逃げられなくなったわけだ」
「自分も同じだってわかってんのか?」
「王都の剣術武闘大会において決勝トーナメント出場を果たしたこの俺を知らなかった事、せいぜい後悔するんだな」
「へーあんた程度がデカい顔出来るとか、王都の大会っても案外ショボイんだな。
機会があったら俺も出てみようか…案外優勝狙えるんじゃね?」
「井の中の蛙もここまで鳴ければ大したもんだ」
「ああ、その井の中が蟲毒でな…アンタみたいのが飛び込んで来るとつい嬉しくなっちゃうんだ」
この二人の張り合いに女子三人は辛辣な言葉を浴びせかける…特にケヴィンに対して。
「うっわ調子乗ってますよあの人」
「格下相手だと途端に強気になりますよね?」
「昔は格上に噛みついてたのに硬すぎて牙が削れちゃったからね…噛ませ犬しか噛めないんだろ」
「外野うっさいよ」
そして、その言葉を聞いていたヤレーラは聞き捨てならない言葉が混じっていた事にイラっとした。
「格下に噛ませ犬…?ふん、年増の行き遅れが…」
「あん?…ケヴィンちょっとそこ変わりなさい、私が相手してやるから」
「姉貴は怒るとIQデバフがかかって相手消し炭にするし庭に穴空くからダメだ、あっち行ってろ」
シッシとケヴィンが追い払うとアネスが舌打ちして引き下がる。
エルシャはというとその外野の三人の下へやってきて質問をした。
「あの…ケヴィン様ってお強いんですか?」
「知らずにあんなアホに付き合ったのか~?あんたも大概アホだな…
う~ん?そうだなー…まあ、人類では最強格?…弱くはない…かな?」
「強いとは思いますが、周りが悪すぎる?」
歯に物が詰まったような言い方にエルシャは首を傾げる。
身内びいきなのだろうが人類最強格は強いのではないのか?
しかし、アネスとシスティーナはそうは思っていなかった。
「<EXスキル>がないとどうにもな」
「剣一本で張り合ってるのですから十分凄いと思いますよ?」
「単純バカに見えるけど意外と技巧派なんだよな」
「それは単純バカが規格外の相手に噛みつき続けて出来上がった産物であって、単純バカについては否定できないのでは?」
<EXスキル>については聞いたことが無いわけではない。
だがそれは伝説級の代物であり、決して張り合えるような物ではないはず…なのだが…
「まあ、嫁さんは普通っぽいしデカい顔できそうだから本望だろ…って…あれ?」
突然アネスがエルシャの顔を見ながら固まってしまった。
「どうかなさいましたか?」
「え?いや…だって最初合った時は…う~ん?………ダメだ私じゃ読み取れない」
「何か見えたんですか?」
「いやーハッキリは分かんないって事は…そうなのかなぁ」
「???」
「あーケヴィン様…ほんと引きが凄いですね?」
「良いんだか悪いんだか…」
アネスとシスティーナが二人だけで分かった風に呆れているがエルシャには何が何やらさっぱりであった。
「ヤレーラ・ボルフックだ」
「失礼しました、ヤレーラ・ボルフックの女神の下での決闘を執り行います。
立ち合いにを務めさせて頂きますシスティーナ・セイジョーンです。」
「このような辺境のシスターに立ち合いが務まるのか?」
「神に祈りを捧げるその心は辺境の地であっても変わりはございませんので心配ありませんよ?」
ヤレーラにケチをつけられたシスティーナはその言葉を微笑でもって受け流す。
「それでは決闘の条件の確認をさせていただきますね?」
「ヤレーラ様が勝利した場合、ケヴィン様とその妻エルシャルフィール様は跪き相手に許しを乞う事になりますがよろしいでしょうか?」
「構わない」「女神に誓います」
ケヴィンとエルシャの了承を聞き届け次にヤレーラに確認する。
「ケヴィン様が勝利した場合、ヤレーラ様は以後"騎士"を名乗る事を禁じられることになりますがよろしいでしょうか?」
「問題ない、確認も不要な話だがな」
「しきたりですので…?」
そして最後の勝利条件の確認をする。
「勝利条件は一般的には相手の敗北宣言、もしくは相手の気絶及び死亡となっておりますが?」
「問題ない」
「こっちもそれでいい」
「それでは以上の条件において女神に捧げる決闘と認めます…<宣誓>」
その言葉と共にシスティーナの手のうちより神聖な光が溢れ虚空へと消えていった。
これにはヤレーラも驚いた、こんな場所で神聖魔法を見るとは思わなかったからだ。
そして今使った魔法は術者の神事の記録を管轄区域内に残すという物でこれにより管轄区域内で契約を違反した場合は即破門が成立してしまう。
ヤレーラはシスティーナがこのフレポジェルヌ領のシスターであると勘違いをしているが、システィーナはセイルーン教国の司教…その管轄というのはロアリス教全体を指す。
つまり、この決闘で負けた方はほぼほぼ晒し首と変わらない状態となるのだが…
システィーナがそれを指摘する事はない。
それは彼女が彼らに対して腹を立てている上にシスティーナという女の性格は意外と陰険であるが故。
そして、もう一つの理由が<宣誓>はあくまで手段であって、女神の下での宣誓を行ったからにはその誓いは絶対守らねばならない物なのだ…
「こんな辺境でもまともなシスターはいるものだな…これで貴様は逃げられなくなったわけだ」
「自分も同じだってわかってんのか?」
「王都の剣術武闘大会において決勝トーナメント出場を果たしたこの俺を知らなかった事、せいぜい後悔するんだな」
「へーあんた程度がデカい顔出来るとか、王都の大会っても案外ショボイんだな。
機会があったら俺も出てみようか…案外優勝狙えるんじゃね?」
「井の中の蛙もここまで鳴ければ大したもんだ」
「ああ、その井の中が蟲毒でな…アンタみたいのが飛び込んで来るとつい嬉しくなっちゃうんだ」
この二人の張り合いに女子三人は辛辣な言葉を浴びせかける…特にケヴィンに対して。
「うっわ調子乗ってますよあの人」
「格下相手だと途端に強気になりますよね?」
「昔は格上に噛みついてたのに硬すぎて牙が削れちゃったからね…噛ませ犬しか噛めないんだろ」
「外野うっさいよ」
そして、その言葉を聞いていたヤレーラは聞き捨てならない言葉が混じっていた事にイラっとした。
「格下に噛ませ犬…?ふん、年増の行き遅れが…」
「あん?…ケヴィンちょっとそこ変わりなさい、私が相手してやるから」
「姉貴は怒るとIQデバフがかかって相手消し炭にするし庭に穴空くからダメだ、あっち行ってろ」
シッシとケヴィンが追い払うとアネスが舌打ちして引き下がる。
エルシャはというとその外野の三人の下へやってきて質問をした。
「あの…ケヴィン様ってお強いんですか?」
「知らずにあんなアホに付き合ったのか~?あんたも大概アホだな…
う~ん?そうだなー…まあ、人類では最強格?…弱くはない…かな?」
「強いとは思いますが、周りが悪すぎる?」
歯に物が詰まったような言い方にエルシャは首を傾げる。
身内びいきなのだろうが人類最強格は強いのではないのか?
しかし、アネスとシスティーナはそうは思っていなかった。
「<EXスキル>がないとどうにもな」
「剣一本で張り合ってるのですから十分凄いと思いますよ?」
「単純バカに見えるけど意外と技巧派なんだよな」
「それは単純バカが規格外の相手に噛みつき続けて出来上がった産物であって、単純バカについては否定できないのでは?」
<EXスキル>については聞いたことが無いわけではない。
だがそれは伝説級の代物であり、決して張り合えるような物ではないはず…なのだが…
「まあ、嫁さんは普通っぽいしデカい顔できそうだから本望だろ…って…あれ?」
突然アネスがエルシャの顔を見ながら固まってしまった。
「どうかなさいましたか?」
「え?いや…だって最初合った時は…う~ん?………ダメだ私じゃ読み取れない」
「何か見えたんですか?」
「いやーハッキリは分かんないって事は…そうなのかなぁ」
「???」
「あーケヴィン様…ほんと引きが凄いですね?」
「良いんだか悪いんだか…」
アネスとシスティーナが二人だけで分かった風に呆れているがエルシャには何が何やらさっぱりであった。
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