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2章:新婚旅行は幻惑の都で…(前編)
12.フレポジ夫人と劇場
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目の前に用意されたいくつかのフォーマルドレスに少し考えるエルシャ。
突然の客のために用意されているだけあって、奇をてらった物ではなくシンプルなデザインが多い。
エルシャとしては好みではあるのだが…
「もう少し落ち着いた色合いのものはある?」
用意してくれたメイドに訊ねるが「これよりもですか?」と少々困った顔をしてしまった。
執事とは違ってメイド達は所作こそ奇麗だが未熟さが目立つ。
この場所がメイド達の新人教育の場に使われている事は容易に想像できた。
そして、エルシャも未熟なメイドに難しいオーダーをするつもりもない、一着を選んで着付けを頼んだ。
「ないのであればこれで構いません」
「申し訳ありません」
「いえ、お借りしている立場なのは私の方ですし個人的な事なのでお気になさらず。
全て趣味も良く上質なものですよ」
メイドはホッとした顔で、エルシャの着付けに取り掛かった。
エルシャもこの新人メイドに間違いがないかをさりげなくチェックしながら着付けさせていると…とある事に気が付いた。
「もしかしてケイトという侍女の事を知っていたりする?」
「え…ケイト先輩ですか?ああ、そう言えばケヴィン様の所で働いているんでしたっけ」
どうやら、ケイトはここで侍女としての教育を受けていた事があるらしい。
道理で所作が王国では見ない独特なものなのに洗練されているわけだ、ハーケーン流だったというなら納得である。
「ケイト先輩はお元気ですか…って聞くまでもないですかね?」
「それはそうね…」
言うと二人して吹き出してしまうのであった…
着付けも終わりメイドが部屋から出て行くと入れ替わりでケヴィンが入ってきた。
そのケヴィンの格好を見て思わずホゥと思ってしまう。
結婚式以来の夫のフォーマルな姿。
てっきりこの軽薄男の事だから奇抜な服を着て来るだろう…
その時はどのように服を取り換えを要求するか…などと考えていたが…
目の前に近づいてくるのは思わずドキリとしてしまうような素敵な紳士の姿。
着ている服が王国ではなくハーケーン貴族が良く身に着けるタイプであったため思う所はある。
だが、ハーケーンで学び働いて来た夫の環境を考えると目を瞑ることにする。
そもそもケヴィンの母も王国出身ではなく東部アズマール共和国の産まれであるため王国民とは若干顔立ちが違ったりもする。
王国風の服も用意しなければならないとは思うが、容貌を見ればこれはこれでありとも思える。
「エルシャのドレス姿はやはり様になっているな…やはり家でもドレスを着るべきだと思うんだ」
「畑のど真ん中でドレスを着ていたら完全に浮きますよ?」
ケヴィンがエルシャに近づい来るが、そうするとやはり二人の着ている着ている物が合っているかが気になってしまう。
「やはりこれでは明るすぎるでしょうか…?
これではまるで夫を引き立て役に使っているようにみえてしまいます…」
「仕方ないさ、エルシャにかかればこの世界全てが引き立て役みたいなものだ」
「ち・が・い・ま・す」
めんどくさい事になった…
エルシャのドレス姿を見て夫にヤる気スイッチが入ってしまったのだ。
早い所火消しをしなければならないのだが…
「エルシャは難しく考えすぎなんだよ。
美しい鳥が大空へ飛び立ったとしても、巣に戻ってきたときに捕まえればいいだけの事!」
バンッ!とベランダに繋がる扉を開きながら強く語るケヴィン。
突然扉が開いた事に驚きベランダで休んでいた鳩が飛び立っていく。
その鳩を見せながら振り返り優しげな声で付け加える…
「…だったら、美しい鳥は美しいまま空を羽ばたいている姿を愛でた方がいいだろう?」
「私は鳥ではないのですから何処へも行きません」
ビックリして飛び立った鳩は、すぐに戻ってきてポッポーと抗議の声をあげながらいつものベストポジションであろう場所で再び休み始めた。
近所迷惑だからとエルシャがその扉を閉めるがケヴィンが引く事はない。
「エルシャが自分でそう思っていても俺には君の背中に天使の翼がみえる」
「それはきっと目か頭が悪いのでしょう…」
勿論エルシャはドン引きである…
思わず厳しい言葉を投げつけてしまうが、それでへこむ程この夫のメンタルはやわではない…残念だが。
「どうせ結婚の二文字ごときでエルシャの美しさを隠せやしない事くらいわかっているんだ」
「話聞いておりますひゃうっ!?」
突然抱き寄せられ懐に潜り込まされる。
こうなると顔を押しのける事など出来ず、そのまま吐息がかかりそうな距離で囁き始める…
「どんな可憐な服を着ていたってエルシャフィールに最初に魅了され愛を囁くのはこのケヴィン・フレポジェルヌだって事さえ覚えておいてくれればそれでいい…」
「さ、最初も何もケヴィン様以外ありえません!」
「ならエルシャが着飾る事に何の問題もないな」
「だからそういう話では…っ」
だが話を遮るように顎をクイッと持ち上げられ、瞳を見つめられてしまう…
夫のまるでエルシャしか見えていない囁くような瞳に金縛りがかかったように動けなくなる。
そしてそのまま親指が唇を優しく撫でた…
この軽薄男は日が昇っている内はこのような行為はしな…あまりしないというのに。
夫からの唇の要求…
妻である自分には要求に答える義務があるのだ…
エルシャは身を強張らせながらも義務を果たすために目を閉じる。
腰にまわされた手により密着して夫の温かさが伝わってくる。
頬に添えられた指先を耳元で遊ばせてくるためくすぐったさにゾクリとしてしまう。
そして…吐息と吐息が絡み合い…
コンコンコンコン
ノックの音にビックリして目をあげてしまう。
ケヴィンもその音で我に返ってしまったらしくエルシャから離れ扉に向かおうとする。
「ぁ…」
離れていく夫をうっかり呼び止めようとしてしまい、ケヴィンもそれに気が付くが…一瞬こちらを見た後扉へと向かった。
「馬車のご用意が整いましたので準備が出来ましたら玄関までお越しください」
ジェジルの報告を受け扉を閉めると、ケヴィンがエルシャの方を振り向く。
(うぐぅ………)
その顔はニタリと笑っており、楽しそうに近づいてくる。
そして、エルシャの傍で囁くのだ…
「今日のエルシャ様は随分可愛らしい…」
(むっかー!!)
「夜まで我慢するから今夜の予定は開けておいてくれよ…?」
「そりゃあ、あなたの妻ですからね!???」
「確かに…こんなに美しいと夫がいる事を忘れて口説いてしまいそ「妻がいる事を忘れないで下さい」…はい」
………
……
…
――――――――――――――――――――――
馬車は二人を乗せ劇場へと到着した。
車内でひたすら謝り倒していたケヴィンと膨れっ面のエルシャ。
しかし、ケヴィンに手を引かれ馬車から降りたところで機嫌をすっかり直してしまった。
「ここは確か…メルシュトゥーム劇場とか言ったかな?」
「メルシュトゥーム中央劇場ですね…!」
「いや、何で知ってんの?」
「だって、王都にあるシュナール王立劇場はこの劇場の設計図を基に作られたレプリカなんですよ?
王国と皇国の友好のために贈られた記念の品なのですから王国貴族であれば知っていて当然です!」
「え…?あーうん、シッテタシッテタ…」
キラキラした目で劇場を見つめるエルシャにどうやら機嫌は直ったようだとホッとするケヴィン。
この分だとしばらくは上機嫌だろう…このデートの成功は約束されたも同然。
ここから失敗に持っていくには相当酷いヤラカシを起こさねばならぬが、ケヴィンとて数々の女性との経験を経て今があるのだ。
そんな失敗はあり得ないと言っていい…
などと、下心満載にエルシャをエスコートし劇場のエントランスへと入って行った。
ジェジルから預かった紹介状を見せつつ名を名乗るケヴィン。
「ケヴィン・フレポジェルヌだ、ジェジルって人の紹介で席を取ってもらっているはずなんだが確認してもらっていいか?」
「はい、少々お待ちくださ…え、ケヴィン!??」
受付の女性が思わずケヴィンの名前を聞き返してしまうと、それが周りの注目を集めてしまった。
「え、ケヴィン?」「え、どこどこ?」「ケヴィン様がいらっしゃるの!?」「え~本物かなぁ…」
あっという間にエントランスホールの客達にまでケヴィンの名前が広がって行ってしまう。
これにはエルシャも素直に驚いてしまう。
ハーケーンという大国の首都で名前が知られているというのはそれだけで凄い事だ。
「も、申し訳ありません!」
「構わないよ、有名税ってやつさ。それより…」
「あ、はい、只今確認してまいりますので少々お待ちください!」
そう言って小走りで奥へ消えていく受付嬢。
ケヴィンはエルシャに振り返り説明してくれた。
「うちのクランってちょっと有名だからな」
そう言いつつ、勝ち誇った顔で髪をかき上げ言ってしまう。
「ふっ…モテる男は辛いな(チラッ)」
………これに対してのエルシャの反応はただただ冷たい眼差しを送るだけだ。
(………これが無かったら素直に素敵な男性と言えるのだけれどなぁ)
だが逆に言えばこれが無かったらケヴィンの結婚相手などすぐに見つかっていただろうから、エルシャとの結婚が成立する事は無かっただろう。
それを考えると複雑な気持ちになってしまうのだった。
そしてしばらく受付の確認を待っていると、パタパタと音がしてきた。
おや?とそちらに目を向けるとソレがケヴィンの下に駆け寄ってくるではないか…
「パパぁー!!」
そう言って小さな男の子がケヴィンの足にヒシッと抱き着いて来たのだった…
………
………
………
「………ケヴィン様?」
硬直するケヴィンと絶対零度のエルシャ…
説明を求ム。
突然の客のために用意されているだけあって、奇をてらった物ではなくシンプルなデザインが多い。
エルシャとしては好みではあるのだが…
「もう少し落ち着いた色合いのものはある?」
用意してくれたメイドに訊ねるが「これよりもですか?」と少々困った顔をしてしまった。
執事とは違ってメイド達は所作こそ奇麗だが未熟さが目立つ。
この場所がメイド達の新人教育の場に使われている事は容易に想像できた。
そして、エルシャも未熟なメイドに難しいオーダーをするつもりもない、一着を選んで着付けを頼んだ。
「ないのであればこれで構いません」
「申し訳ありません」
「いえ、お借りしている立場なのは私の方ですし個人的な事なのでお気になさらず。
全て趣味も良く上質なものですよ」
メイドはホッとした顔で、エルシャの着付けに取り掛かった。
エルシャもこの新人メイドに間違いがないかをさりげなくチェックしながら着付けさせていると…とある事に気が付いた。
「もしかしてケイトという侍女の事を知っていたりする?」
「え…ケイト先輩ですか?ああ、そう言えばケヴィン様の所で働いているんでしたっけ」
どうやら、ケイトはここで侍女としての教育を受けていた事があるらしい。
道理で所作が王国では見ない独特なものなのに洗練されているわけだ、ハーケーン流だったというなら納得である。
「ケイト先輩はお元気ですか…って聞くまでもないですかね?」
「それはそうね…」
言うと二人して吹き出してしまうのであった…
着付けも終わりメイドが部屋から出て行くと入れ替わりでケヴィンが入ってきた。
そのケヴィンの格好を見て思わずホゥと思ってしまう。
結婚式以来の夫のフォーマルな姿。
てっきりこの軽薄男の事だから奇抜な服を着て来るだろう…
その時はどのように服を取り換えを要求するか…などと考えていたが…
目の前に近づいてくるのは思わずドキリとしてしまうような素敵な紳士の姿。
着ている服が王国ではなくハーケーン貴族が良く身に着けるタイプであったため思う所はある。
だが、ハーケーンで学び働いて来た夫の環境を考えると目を瞑ることにする。
そもそもケヴィンの母も王国出身ではなく東部アズマール共和国の産まれであるため王国民とは若干顔立ちが違ったりもする。
王国風の服も用意しなければならないとは思うが、容貌を見ればこれはこれでありとも思える。
「エルシャのドレス姿はやはり様になっているな…やはり家でもドレスを着るべきだと思うんだ」
「畑のど真ん中でドレスを着ていたら完全に浮きますよ?」
ケヴィンがエルシャに近づい来るが、そうするとやはり二人の着ている着ている物が合っているかが気になってしまう。
「やはりこれでは明るすぎるでしょうか…?
これではまるで夫を引き立て役に使っているようにみえてしまいます…」
「仕方ないさ、エルシャにかかればこの世界全てが引き立て役みたいなものだ」
「ち・が・い・ま・す」
めんどくさい事になった…
エルシャのドレス姿を見て夫にヤる気スイッチが入ってしまったのだ。
早い所火消しをしなければならないのだが…
「エルシャは難しく考えすぎなんだよ。
美しい鳥が大空へ飛び立ったとしても、巣に戻ってきたときに捕まえればいいだけの事!」
バンッ!とベランダに繋がる扉を開きながら強く語るケヴィン。
突然扉が開いた事に驚きベランダで休んでいた鳩が飛び立っていく。
その鳩を見せながら振り返り優しげな声で付け加える…
「…だったら、美しい鳥は美しいまま空を羽ばたいている姿を愛でた方がいいだろう?」
「私は鳥ではないのですから何処へも行きません」
ビックリして飛び立った鳩は、すぐに戻ってきてポッポーと抗議の声をあげながらいつものベストポジションであろう場所で再び休み始めた。
近所迷惑だからとエルシャがその扉を閉めるがケヴィンが引く事はない。
「エルシャが自分でそう思っていても俺には君の背中に天使の翼がみえる」
「それはきっと目か頭が悪いのでしょう…」
勿論エルシャはドン引きである…
思わず厳しい言葉を投げつけてしまうが、それでへこむ程この夫のメンタルはやわではない…残念だが。
「どうせ結婚の二文字ごときでエルシャの美しさを隠せやしない事くらいわかっているんだ」
「話聞いておりますひゃうっ!?」
突然抱き寄せられ懐に潜り込まされる。
こうなると顔を押しのける事など出来ず、そのまま吐息がかかりそうな距離で囁き始める…
「どんな可憐な服を着ていたってエルシャフィールに最初に魅了され愛を囁くのはこのケヴィン・フレポジェルヌだって事さえ覚えておいてくれればそれでいい…」
「さ、最初も何もケヴィン様以外ありえません!」
「ならエルシャが着飾る事に何の問題もないな」
「だからそういう話では…っ」
だが話を遮るように顎をクイッと持ち上げられ、瞳を見つめられてしまう…
夫のまるでエルシャしか見えていない囁くような瞳に金縛りがかかったように動けなくなる。
そしてそのまま親指が唇を優しく撫でた…
この軽薄男は日が昇っている内はこのような行為はしな…あまりしないというのに。
夫からの唇の要求…
妻である自分には要求に答える義務があるのだ…
エルシャは身を強張らせながらも義務を果たすために目を閉じる。
腰にまわされた手により密着して夫の温かさが伝わってくる。
頬に添えられた指先を耳元で遊ばせてくるためくすぐったさにゾクリとしてしまう。
そして…吐息と吐息が絡み合い…
コンコンコンコン
ノックの音にビックリして目をあげてしまう。
ケヴィンもその音で我に返ってしまったらしくエルシャから離れ扉に向かおうとする。
「ぁ…」
離れていく夫をうっかり呼び止めようとしてしまい、ケヴィンもそれに気が付くが…一瞬こちらを見た後扉へと向かった。
「馬車のご用意が整いましたので準備が出来ましたら玄関までお越しください」
ジェジルの報告を受け扉を閉めると、ケヴィンがエルシャの方を振り向く。
(うぐぅ………)
その顔はニタリと笑っており、楽しそうに近づいてくる。
そして、エルシャの傍で囁くのだ…
「今日のエルシャ様は随分可愛らしい…」
(むっかー!!)
「夜まで我慢するから今夜の予定は開けておいてくれよ…?」
「そりゃあ、あなたの妻ですからね!???」
「確かに…こんなに美しいと夫がいる事を忘れて口説いてしまいそ「妻がいる事を忘れないで下さい」…はい」
………
……
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――――――――――――――――――――――
馬車は二人を乗せ劇場へと到着した。
車内でひたすら謝り倒していたケヴィンと膨れっ面のエルシャ。
しかし、ケヴィンに手を引かれ馬車から降りたところで機嫌をすっかり直してしまった。
「ここは確か…メルシュトゥーム劇場とか言ったかな?」
「メルシュトゥーム中央劇場ですね…!」
「いや、何で知ってんの?」
「だって、王都にあるシュナール王立劇場はこの劇場の設計図を基に作られたレプリカなんですよ?
王国と皇国の友好のために贈られた記念の品なのですから王国貴族であれば知っていて当然です!」
「え…?あーうん、シッテタシッテタ…」
キラキラした目で劇場を見つめるエルシャにどうやら機嫌は直ったようだとホッとするケヴィン。
この分だとしばらくは上機嫌だろう…このデートの成功は約束されたも同然。
ここから失敗に持っていくには相当酷いヤラカシを起こさねばならぬが、ケヴィンとて数々の女性との経験を経て今があるのだ。
そんな失敗はあり得ないと言っていい…
などと、下心満載にエルシャをエスコートし劇場のエントランスへと入って行った。
ジェジルから預かった紹介状を見せつつ名を名乗るケヴィン。
「ケヴィン・フレポジェルヌだ、ジェジルって人の紹介で席を取ってもらっているはずなんだが確認してもらっていいか?」
「はい、少々お待ちくださ…え、ケヴィン!??」
受付の女性が思わずケヴィンの名前を聞き返してしまうと、それが周りの注目を集めてしまった。
「え、ケヴィン?」「え、どこどこ?」「ケヴィン様がいらっしゃるの!?」「え~本物かなぁ…」
あっという間にエントランスホールの客達にまでケヴィンの名前が広がって行ってしまう。
これにはエルシャも素直に驚いてしまう。
ハーケーンという大国の首都で名前が知られているというのはそれだけで凄い事だ。
「も、申し訳ありません!」
「構わないよ、有名税ってやつさ。それより…」
「あ、はい、只今確認してまいりますので少々お待ちください!」
そう言って小走りで奥へ消えていく受付嬢。
ケヴィンはエルシャに振り返り説明してくれた。
「うちのクランってちょっと有名だからな」
そう言いつつ、勝ち誇った顔で髪をかき上げ言ってしまう。
「ふっ…モテる男は辛いな(チラッ)」
………これに対してのエルシャの反応はただただ冷たい眼差しを送るだけだ。
(………これが無かったら素直に素敵な男性と言えるのだけれどなぁ)
だが逆に言えばこれが無かったらケヴィンの結婚相手などすぐに見つかっていただろうから、エルシャとの結婚が成立する事は無かっただろう。
それを考えると複雑な気持ちになってしまうのだった。
そしてしばらく受付の確認を待っていると、パタパタと音がしてきた。
おや?とそちらに目を向けるとソレがケヴィンの下に駆け寄ってくるではないか…
「パパぁー!!」
そう言って小さな男の子がケヴィンの足にヒシッと抱き着いて来たのだった…
………
………
………
「………ケヴィン様?」
硬直するケヴィンと絶対零度のエルシャ…
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