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2章:新婚旅行は幻惑の都で…(前編)
25.フレポジ夫人とディナー
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ギルドから出ると二人は馬場に繋いであった馬に乗りギルドを後にした。
日は傾いており、もうすぐ晩御飯でもいい時間帯。
馬上でケヴィンがエルシャに訊ねて来た。
「そう言えば晩飯の事を考えていなかったな。
帰れば何かあるだろうけど…エルシャは何かリクエストがあったりするか?」
「そういう事なら…ケヴィン様がいつも行ってらっしゃるお店に興味があります」
「いつも言ってる場所か、エルシャが気に入りそうな場所あったかな…」
考え込むケヴィンに対してエルシャは意地悪そうにのぞき込みながら尋ねた。
「あら…いつもケヴィン様が女性を連れて行っている場所で構いませんよ?」
「ハッハッハッ…………………そ、そんな場所…」
「え?無いんですか???ケヴィン様思ったよりも女性に対して…「あるに決まってるだろ」
ガッカリした風にエルシャが諦めようとすると慌てて訂正してくるケヴィン。
一体何にそんなに意地になっているのかは分からない。
だが、エルシャのイタズラに慌ててくれる軽薄夫に思わず吹き出してしまう。
先ほど怖い目に合ったばかりの妻が笑ってくれている事にホッとしたケヴィンは要望通りになじみの店に馬を走らせたのだった。
―――――――――――――――――――――――
連れてこられたのは平民街でも割と富裕層が住む地区の店であった。
出される食事は一般的なハーケーン料理ではなく最近突如流行したと言われているピザと呼ばれる異国?の料理。
エルシャが意外と好奇心旺盛な性格をしていると知ったケヴィンはそれならこのような見慣れぬ食事にも興味を持つだろうとふんだのだ。
そして、その予想は大いに的中した。
店に入ると興味津々に辺りを見渡し、並べられた料理にも質問をし続ける…
ケヴィンにはその様子がなんだかここに連れて来た歴代の彼女達と同じような反応だなと見えて来る。
勿論その同じの中身はこんな高いお店に入った事無いという歴代の彼女たちと、こんな安い店に入った事が無いというエルシャでは全く異なる物ではあるのだが…
そんなケヴィンの感想は知らず…
エルシャはふと、フレポジェルヌに初めて訪れた時の事を思い返してした…
あの時は自分に余裕が無かったとはいえ、出された食事に随分と無礼な態度をとってしまったと。
たしかにフレポジェルヌの食事は初めて見た時は危機感を覚えるような色どりであった。
しかし、今ではそれにも慣れ…何なら味も美味しいと感じられるようになっている。
その経験と、そして目の前の軽薄夫のおかげで心にも余裕が出来たからだろう。
目の前の初めてみる食事にも興味を持って食べることが出来ていたのである。
食事もそこそこの所でケヴィンはエルシャにギルドでの事を質問した。
酒場で待っていろと言ったのになぜあんな所で絡まれていたのだろうか?
そしてその質問にエルシャはあった事を話すのだが…
「あー完全に予想外だった…まさか財布を持ったことないなんて」
「お恥ずかしながら疑問に思った事すら無かったもので…
お金をその場で払わなければならないなど知らなかったのです」
「村人たちとも普通に打ち解けてたし、割と常識人なんだと思ってた…」
「村人の皆さんが良くしてくださりましたから。常識の方は…勉強はしているのですよ?」
「努力は認める…単純に覚えること多いだけだろ。本当に高嶺の花なんだよなぁ…」
肩をすくめシュンとするエルシャを何とか励まそうとするケヴィンではあるが…
正直、世間知らずのレベルがケヴィンの知る物と圧倒的に違いすぎて頬が引きつるのを我慢している状態だ。
流石にこのまま放置はマズいのでケヴィンは腰のマジックバックから財布を取り出し渡す。
興味深そうに財布を手に取るエルシャ。
財布から硬貨を何枚か取り出すとソレを手で玩びだした。
硬貨などあまり触れる機会が無かったのだ、王国硬貨でもそんな感じなのだからハーケーンの硬貨ともなれば本の挿絵で見た事があるという程度でほとんど見たことが無い程だ。
それも銅貨となればじっくりと見てしまうのも当たり前だろう。
王国硬貨でも金貨や銀貨しか触ったことが無いのだから…
そんなエルシャの子供が宝石を見るような目で銅貨とにらめっこしているのを見たケヴィンの頬が完全に引きつったのは言うまでもないだろう。
(………)
エルシャ達がそんな風に談笑をしていたのだが、その様子を他のテーブルから覗きみている者がいた。
そして、その人物はゆっくりとエルシャ達のテーブルに近づいてきて声をかけたのだ。
「やぁ、ケヴィンじゃないかい!帰ってたなら言ってくれればいいのに」
「げっ…アイリーン…」
その名前を聞いたエルシャは思わずビクリと体を震わせた。
(アイリーン???)
日は傾いており、もうすぐ晩御飯でもいい時間帯。
馬上でケヴィンがエルシャに訊ねて来た。
「そう言えば晩飯の事を考えていなかったな。
帰れば何かあるだろうけど…エルシャは何かリクエストがあったりするか?」
「そういう事なら…ケヴィン様がいつも行ってらっしゃるお店に興味があります」
「いつも言ってる場所か、エルシャが気に入りそうな場所あったかな…」
考え込むケヴィンに対してエルシャは意地悪そうにのぞき込みながら尋ねた。
「あら…いつもケヴィン様が女性を連れて行っている場所で構いませんよ?」
「ハッハッハッ…………………そ、そんな場所…」
「え?無いんですか???ケヴィン様思ったよりも女性に対して…「あるに決まってるだろ」
ガッカリした風にエルシャが諦めようとすると慌てて訂正してくるケヴィン。
一体何にそんなに意地になっているのかは分からない。
だが、エルシャのイタズラに慌ててくれる軽薄夫に思わず吹き出してしまう。
先ほど怖い目に合ったばかりの妻が笑ってくれている事にホッとしたケヴィンは要望通りになじみの店に馬を走らせたのだった。
―――――――――――――――――――――――
連れてこられたのは平民街でも割と富裕層が住む地区の店であった。
出される食事は一般的なハーケーン料理ではなく最近突如流行したと言われているピザと呼ばれる異国?の料理。
エルシャが意外と好奇心旺盛な性格をしていると知ったケヴィンはそれならこのような見慣れぬ食事にも興味を持つだろうとふんだのだ。
そして、その予想は大いに的中した。
店に入ると興味津々に辺りを見渡し、並べられた料理にも質問をし続ける…
ケヴィンにはその様子がなんだかここに連れて来た歴代の彼女達と同じような反応だなと見えて来る。
勿論その同じの中身はこんな高いお店に入った事無いという歴代の彼女たちと、こんな安い店に入った事が無いというエルシャでは全く異なる物ではあるのだが…
そんなケヴィンの感想は知らず…
エルシャはふと、フレポジェルヌに初めて訪れた時の事を思い返してした…
あの時は自分に余裕が無かったとはいえ、出された食事に随分と無礼な態度をとってしまったと。
たしかにフレポジェルヌの食事は初めて見た時は危機感を覚えるような色どりであった。
しかし、今ではそれにも慣れ…何なら味も美味しいと感じられるようになっている。
その経験と、そして目の前の軽薄夫のおかげで心にも余裕が出来たからだろう。
目の前の初めてみる食事にも興味を持って食べることが出来ていたのである。
食事もそこそこの所でケヴィンはエルシャにギルドでの事を質問した。
酒場で待っていろと言ったのになぜあんな所で絡まれていたのだろうか?
そしてその質問にエルシャはあった事を話すのだが…
「あー完全に予想外だった…まさか財布を持ったことないなんて」
「お恥ずかしながら疑問に思った事すら無かったもので…
お金をその場で払わなければならないなど知らなかったのです」
「村人たちとも普通に打ち解けてたし、割と常識人なんだと思ってた…」
「村人の皆さんが良くしてくださりましたから。常識の方は…勉強はしているのですよ?」
「努力は認める…単純に覚えること多いだけだろ。本当に高嶺の花なんだよなぁ…」
肩をすくめシュンとするエルシャを何とか励まそうとするケヴィンではあるが…
正直、世間知らずのレベルがケヴィンの知る物と圧倒的に違いすぎて頬が引きつるのを我慢している状態だ。
流石にこのまま放置はマズいのでケヴィンは腰のマジックバックから財布を取り出し渡す。
興味深そうに財布を手に取るエルシャ。
財布から硬貨を何枚か取り出すとソレを手で玩びだした。
硬貨などあまり触れる機会が無かったのだ、王国硬貨でもそんな感じなのだからハーケーンの硬貨ともなれば本の挿絵で見た事があるという程度でほとんど見たことが無い程だ。
それも銅貨となればじっくりと見てしまうのも当たり前だろう。
王国硬貨でも金貨や銀貨しか触ったことが無いのだから…
そんなエルシャの子供が宝石を見るような目で銅貨とにらめっこしているのを見たケヴィンの頬が完全に引きつったのは言うまでもないだろう。
(………)
エルシャ達がそんな風に談笑をしていたのだが、その様子を他のテーブルから覗きみている者がいた。
そして、その人物はゆっくりとエルシャ達のテーブルに近づいてきて声をかけたのだ。
「やぁ、ケヴィンじゃないかい!帰ってたなら言ってくれればいいのに」
「げっ…アイリーン…」
その名前を聞いたエルシャは思わずビクリと体を震わせた。
(アイリーン???)
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