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2章:新婚旅行は幻惑の都で…(後編)
11.助っ人メイドと会場点検
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「そういうわけで、メイド長のバーベラ様が所用で指揮をとれなくなりましたので代わりにこの場を任されましたエメルです」
「「「「はい???」」」」
突然集められて、初めて見た人間の指示に従えという意味不明の状況に目が点となるメイド達。
ただ目の前のエメルというメイドはそれが当たり前という顔をしているため何となく従ってしまうが…
「…とは言っても権威あるハーケーン皇室に仕える優秀なあなた方に特別指示する事もないでしょう。
事前の計画通りに進め、細々とした点で気づいた事があれば指摘する程度になります。
それとライムさん、ミケーネさん、ラビーニャさんはこちらに、後の方は作業を開始してください」
「「「えっ?(なんでこの三人???)」」」
残った三人は思わず顔を見合わせる。
………気まずい。
「お三方に残ってもらったのは、皆さんが他の方々と比べ担当する仕事が軽いため別途お願いしたいことがあるからなのです」
「「「あ、はい…」」」
(((そりゃあ、暗部として動けるようにするためで、今現在あなたの監視が任務ですからね!!!)))
特殊訓練を受けた暗部メンバー三人がピンポイントで呼び出されたうえで監視対象に直属で動くように言われてしまう屈辱。
しかし、その後に言い渡された仕事は三人としては都合のいい部分があったため文句も言えなかった。
「ライムさん、あなたはこの会場およびその周辺の物品に不審な物が紛れていないか入念にチェックしてください」
「不審な物ですか…?」
「はい、魔道具のようなもの、アクセサリー類は特に要注意です」
「…わかりました」
「ラビーニャさんは各部署を回って人員に不審な人物が紛れていないかを確認してください。
また、顔見知りの人間であっても違和感があれば報告するように通知を出してください」
「はい…(目の前に不審人物が一人いるんですがそれは…)」
「それと…正式な勲章類以外のアクセサリーは極力身に付けないようさせたいので、メイド長の了承を取った上で全城の職員に通知をお願いします」
「げっ…」
「それは皇室特有の返事ですか?」
「いえ、わかりました」
「ミケーネさんは私の補佐を…この城の習わしについては無知ですので補完してください」
「は、はい…(いや、それでなんで指示を出そうと思った???)」
指示を出し終えてエメルが「何か質問は?」と尋ねた。
そこで三人は顔を見合わせてから確信をつく質問をするのだ。
「「「ところでエメルさんって何者ですか???」」」
「エメルはエメルです、時間がありません他に質問が無ければ解散します。
ミケーネさん、先ずは料理の確認をしに行きますよ」
(えぇ~………)
酷いゴリ押しを見た…だが、メイド長がこの場を任せた相手に何も言えない。
一体何を考えているのだ…まさかメイド長に何かあったのでは?
そんな考えが頭をよぎるが、今は言われた通りの仕事に専念する事にした三人であった。
………
……
…
「料理も時間通りに出来そうですね。流石、皇室料理人です」
「はい!新作も美味しくて満足です!」
今日のパーティーでお披露目する新作料理を試食させてもらってご満悦なミケーネ。
エメルはと言うと暗殺を警戒する立場であったためパーティー料理という物にあまり手を付けたことが無かったりする。
そのため、習慣的に手が伸びなかった。
「ところで料理長、出来た料理に監視を付けてもらいたいのですが…」
「ああ、確かに折角作った料理に変な物を入れられたら困るもんな…
わかった、こっちで警備の連中から誰か借りて来るよ」
「お願いいたします。ミケーネさん、次に行きますよ」
「はいにゃ!」
その後もパーティーの出し物の為に呼ばれた楽団などの演者達の照会や簡単に会話などを行うもおかしな点は見当たらなかった。
楽団の音色を確認し、その他余興の出し物について危険な物を持ちこんでいないかをミケーネにも確認させるが特に問題なし。
精々服装の乱れを注意する程度であった…
「あの…エメルさん、名簿暗記してるんですか?」
「え?…ええそうよ。先ほど資料を拝見させてもらいましたから」
「へ、へ~………(メイドちょー、ほんと何者なのこの人???)」
エメルがパーティー会場へ戻ってくるとそこには既にテーブルが並べられていて着々と準備が進められている。
そのパーティー会場の天井を見て思わず声をあげてしまうエメル。
「随分と変わった作りの会場ですね…」
その天井…というよりは上を見上げるとそこに広がっていたのは青空であった。
このパーティー会場は変わった趣向の会場となっており、その天井は取り払われていたのだ。
取り払われていたというのはそのままの意味で、元々はそこに天井があった形跡があるのだが…
どうやら天井を無くし、ブチ抜きのパーティー会場として改装した後があるのだ。
これに対してミケーネが言うには…
「あーこれは、元々は天井があったんですけどねぇ~。
ちょっとうっかりさんがおりまして、こういう会場が出来てしまったんですよ…」
そしてハハハッという乾いた笑い…
何だかデジャビュを感じたエメルはその内容について深く追求する事を止めた。
「ライムさん、いかがでしたか?」
「トラップが仕掛けられていそうな場所と魔道具関連の物品に関して調べましたが工作の後はありませんでした」
「…照明の魔道具などはどうですか?」
「流石に全ての確認は出来ませんでしたので狙われそうな皇族席近辺と何かあった場合客の被害が大きくなりそうな場所を重点的にについて確認しましたがいずれも問題なしです」
「そうですか…やはり、アクセサリー類が危険なのでしょうが…」
こればかりは権限のないエメルでは如何ともしがたい。
この状況を打開するための方法を思案していると、そこにラビーニャが戻ってきた。
しかしその顔は少々険しい顔となっており、エメルにも緊張が走る。
「エメルさん、あとお二人もこちらへ…」
メイド二人が顔を見合わせ後に続く、そしてエメルも覚悟を決めてついて行くのだった。
「「「「はい???」」」」
突然集められて、初めて見た人間の指示に従えという意味不明の状況に目が点となるメイド達。
ただ目の前のエメルというメイドはそれが当たり前という顔をしているため何となく従ってしまうが…
「…とは言っても権威あるハーケーン皇室に仕える優秀なあなた方に特別指示する事もないでしょう。
事前の計画通りに進め、細々とした点で気づいた事があれば指摘する程度になります。
それとライムさん、ミケーネさん、ラビーニャさんはこちらに、後の方は作業を開始してください」
「「「えっ?(なんでこの三人???)」」」
残った三人は思わず顔を見合わせる。
………気まずい。
「お三方に残ってもらったのは、皆さんが他の方々と比べ担当する仕事が軽いため別途お願いしたいことがあるからなのです」
「「「あ、はい…」」」
(((そりゃあ、暗部として動けるようにするためで、今現在あなたの監視が任務ですからね!!!)))
特殊訓練を受けた暗部メンバー三人がピンポイントで呼び出されたうえで監視対象に直属で動くように言われてしまう屈辱。
しかし、その後に言い渡された仕事は三人としては都合のいい部分があったため文句も言えなかった。
「ライムさん、あなたはこの会場およびその周辺の物品に不審な物が紛れていないか入念にチェックしてください」
「不審な物ですか…?」
「はい、魔道具のようなもの、アクセサリー類は特に要注意です」
「…わかりました」
「ラビーニャさんは各部署を回って人員に不審な人物が紛れていないかを確認してください。
また、顔見知りの人間であっても違和感があれば報告するように通知を出してください」
「はい…(目の前に不審人物が一人いるんですがそれは…)」
「それと…正式な勲章類以外のアクセサリーは極力身に付けないようさせたいので、メイド長の了承を取った上で全城の職員に通知をお願いします」
「げっ…」
「それは皇室特有の返事ですか?」
「いえ、わかりました」
「ミケーネさんは私の補佐を…この城の習わしについては無知ですので補完してください」
「は、はい…(いや、それでなんで指示を出そうと思った???)」
指示を出し終えてエメルが「何か質問は?」と尋ねた。
そこで三人は顔を見合わせてから確信をつく質問をするのだ。
「「「ところでエメルさんって何者ですか???」」」
「エメルはエメルです、時間がありません他に質問が無ければ解散します。
ミケーネさん、先ずは料理の確認をしに行きますよ」
(えぇ~………)
酷いゴリ押しを見た…だが、メイド長がこの場を任せた相手に何も言えない。
一体何を考えているのだ…まさかメイド長に何かあったのでは?
そんな考えが頭をよぎるが、今は言われた通りの仕事に専念する事にした三人であった。
………
……
…
「料理も時間通りに出来そうですね。流石、皇室料理人です」
「はい!新作も美味しくて満足です!」
今日のパーティーでお披露目する新作料理を試食させてもらってご満悦なミケーネ。
エメルはと言うと暗殺を警戒する立場であったためパーティー料理という物にあまり手を付けたことが無かったりする。
そのため、習慣的に手が伸びなかった。
「ところで料理長、出来た料理に監視を付けてもらいたいのですが…」
「ああ、確かに折角作った料理に変な物を入れられたら困るもんな…
わかった、こっちで警備の連中から誰か借りて来るよ」
「お願いいたします。ミケーネさん、次に行きますよ」
「はいにゃ!」
その後もパーティーの出し物の為に呼ばれた楽団などの演者達の照会や簡単に会話などを行うもおかしな点は見当たらなかった。
楽団の音色を確認し、その他余興の出し物について危険な物を持ちこんでいないかをミケーネにも確認させるが特に問題なし。
精々服装の乱れを注意する程度であった…
「あの…エメルさん、名簿暗記してるんですか?」
「え?…ええそうよ。先ほど資料を拝見させてもらいましたから」
「へ、へ~………(メイドちょー、ほんと何者なのこの人???)」
エメルがパーティー会場へ戻ってくるとそこには既にテーブルが並べられていて着々と準備が進められている。
そのパーティー会場の天井を見て思わず声をあげてしまうエメル。
「随分と変わった作りの会場ですね…」
その天井…というよりは上を見上げるとそこに広がっていたのは青空であった。
このパーティー会場は変わった趣向の会場となっており、その天井は取り払われていたのだ。
取り払われていたというのはそのままの意味で、元々はそこに天井があった形跡があるのだが…
どうやら天井を無くし、ブチ抜きのパーティー会場として改装した後があるのだ。
これに対してミケーネが言うには…
「あーこれは、元々は天井があったんですけどねぇ~。
ちょっとうっかりさんがおりまして、こういう会場が出来てしまったんですよ…」
そしてハハハッという乾いた笑い…
何だかデジャビュを感じたエメルはその内容について深く追求する事を止めた。
「ライムさん、いかがでしたか?」
「トラップが仕掛けられていそうな場所と魔道具関連の物品に関して調べましたが工作の後はありませんでした」
「…照明の魔道具などはどうですか?」
「流石に全ての確認は出来ませんでしたので狙われそうな皇族席近辺と何かあった場合客の被害が大きくなりそうな場所を重点的にについて確認しましたがいずれも問題なしです」
「そうですか…やはり、アクセサリー類が危険なのでしょうが…」
こればかりは権限のないエメルでは如何ともしがたい。
この状況を打開するための方法を思案していると、そこにラビーニャが戻ってきた。
しかしその顔は少々険しい顔となっており、エメルにも緊張が走る。
「エメルさん、あとお二人もこちらへ…」
メイド二人が顔を見合わせ後に続く、そしてエメルも覚悟を決めてついて行くのだった。
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