追放令嬢とフレポジ男:婚約破棄を告げられ追放された侯爵令嬢はあてがわれたド田舎の男と恋に落ちる。

唯乃芽レンゲ

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2章:新婚旅行は幻惑の都で…(後編)

46.夫人と愛人

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既に夜は明けるという時間帯。
店の女たちも皆帰り、宿を取り損ねた最後の客も追い払うとアイリーンは一人店を閉めようとしていた。

この店はとある有名な冒険者の愛人をする事で得たお金で開いた酒場。
アイリーンが以前働いていた娼館とは違い、かわいい女の子達がモテない男達を楽しく接待するだけの健全な店だ。

女神ロアリスの兄神カリウスは酒やギャンブルで理性を失う事を禁じている。
それ故にカリウスを祀る神殿の周りで賭場行為や過度な飲酒は禁じられている。
なので、酒場などの娯楽施設はカリウスの目の届かない場所に集中する様になるのだが…当然に治安も良いとはいえない。

だがこの店はSランク冒険者が立ち寄る店という事で、それが後ろ盾となり手を出そうとする人間は少ない。
それ故に客層も良くグレーな手段に頼らなくてもやっていける、この手の店としては超優良店と言っても良いだろう。

だが、だからと言って貴族の御令嬢がやってくるような高尚な店では決してない。
ましてや…

「あら、こりゃあ珍客だね…もう店じまいなんだけれど?」
「知っております、それに合わせて来ましたから」

そこに立っていたのは"百戦百敗"のケヴィンと電撃入籍した女…エルシャであった。

「私になんか用かい?この間のお礼ならもういらないんだけどねぇ…」
「盗られた物を返してもらいに来ました」
「おや、全部机の上に置いてきたつもりだったんだけどね。
まったく、酒を置いてた酒場跡まで買い上げて…他に何が欲しいってんだい?」

呆れた顔でぼやくアイリーン。
エルシャとしたら売地だった酒場跡の空き家を買ったらたまたま貴重なお酒が沢山出て来ただけ。
まあ、色々と好き勝手やられたのでちょっとした意趣返しである。

「そうだ、王国産の五年物だけは返して欲しいんだけど…」
「王国産の五年物………割りましたね」
「割ったの!?」
「逃げる時にロープを切るために使いました…ハズレ年で美味しくないですよ?」
「あ~味はどうでもいいんだわ…」

貴重ではないしなで味もどうでもいいとなると…記念の品か。
エルシャとしても、そこまでの恨みがあるというわけでもない。

「代わりの物お渡ししますから…」
「そうしとくれ…なんだってピンポイントで割るかねぇ」
「他が皆貴重な品であれば自ずとそうなります…」
「私にとっては何より貴重な品だ」
「であればそう分かるように保管すればいいのでは?」
「本当に大事な物はね…傷つけられない様になんでもない物として振舞うのさ」
「わかりません」
「貧乏人の考えだからね」

アイリーンと話をしつつも、エルシャはこのような場所に来たのは初めてなのか、キョロキョロと店の中を観察をしていた。
するとその目が壁にかかった絵に止まった。
皇都の大聖堂を描いた風景画なのだが…

「素晴らしい絵ですね、この絵、譲るつもりはありませんか?」
「無名の画家の絵を買おうなんて随分と変わったお姫様だ」
「そんな事はありません、私はこの絵を描いた画家の絵を一枚所有しておりますから」

その言葉にアイリーンは先程までの余裕の表情を忘れ目を開き仰天する。

「え、そうなのかい…?」
「ええ、私が絵の鑑定眼がまだ未熟であった頃に掴まされた贋作です」
「…っ!?」

「怪盗カルディエはご自分で描いた贋作を集めるために始めたのですか?」
「なんでそう思うんだい?」
「カルディエの特集本を読んでたら盗んで返却されていない物の中に私が所有しているはずの絵画がありました、それで気が付いただけです」
「それはまた…」

――――――――――――――――――――

絵を描く事だけが生きがいだった…

貴族の娘として生まれた少女は貴族令嬢に似つかわしくないと周りから眉をひそめられようとも…
早く結婚相手を探せと言われても、自分にはそれが絵を描く事よりも重要には思えなかったのだ。

だから、とある高位貴族の御令嬢から肖像画を描いて欲しい言われた時は飛び上がる程喜んだ。
何度も描き直しをさせられ、ほぼ空想の産物になったが…
しかし、依頼者が満足してくれた顔は今でも忘れない。

そんなある日、家に一人の男が訪ねて来た。
男はあの御令嬢の為に描いた肖像画に興味を持って会いに来てくれたのだという。

…神だと思った。

そして、絵の話で盛り上がり描いた絵も見せて欲しいと言われ、最後にはその絵を買ってくれるという。
少女の家は貴族とは言え裕福ではなく、画材を買ってもらうのも一苦労という状況。
そんな中で絵を買ってくれるなど嬉しくないはずがない。

それから男は度々少女の家へ訪れるようになり…
絵を描く事しか知らない世間知らずの少女が恋に落ちるなど造作もない事であった…

少女と男は逢瀬を重ね程なくして婚約した。

それからしばらくして、男がおかしなお願いをしてきた。
好きな名匠のタッチを真似した絵を描いてみて欲しいというものであった。
それ自体は別に問題はなく、むしろ絵の勉強のつもりでその頼みを聞き入れていた。
だが、次第にその真似た絵を頼む頻度が多くなり…そして普通の絵を描くと露骨に嫌な顔をする。
少女もどこかおかしいと思いつつも、だが愛する男の喜ぶ顔を見たい一心で望まれた物を描くようになっていった。

そして、現実を知った時…少女の世界はもろくも崩れ去ったのであった。
自分が描いた絵のサインが名匠の物へと描き替えられ目が飛び出るほどの額で取引されていたのだ。


「そんなに多くの贋作が流通したのならすぐにばれるのでは?」
「流通とは少し違うかな…別に私の絵でなくても構わなかったのさ」

そこに意味を創出出来れば何でも良かったのだ。
それがちょっと絵の上手い近所の子供の落書きでも、猿が描いた絵とも呼べない代物でも…
少女の絵が選ばれたのは単にそれが絵として成立しており、自分達の指示通りに描いてくれる都合のいい存在だったから。

「そういうのはあんたの方が詳しいんじゃないのかい?」
「…賄賂の口実ですか」

価値の無い絵を不釣り合いの値段で購入する…仮に指摘されても贋作に気が付かなかっただけと白を切ればいいだけ。
エルシャとて賄賂の全てを否定するつもりはない。
皇女に紹介された店で派手にお金を使う…これも一種の賄賂なのだ。
だが、反社会的組織に渡されるような許されない賄賂というものもこの世には存在する。
そして、このような小細工をする賄賂がまともなわけもなく…

「動いた金額で画家の価値が決まるなら私は世界一の名匠かもしれないね」


当然、自分の絵を汚された少女は怒り狂った…証拠を集め告発しようとしたのだ。
そして、その少女は程なくして一家全員と共に邪教の儀式の最中の火事で死亡したのであった。

「………???」
「告発してすぐに暗殺者を送り込まれちゃってね。警備隊や騎士様は正義の味方のはず…世間知らずも良いとこさ」

家族を全員惨殺され暗殺者と対峙した少女はEXスキル<贋作>を発現させた。
そして何とか一人だけ殺せた暗殺者の姿を自分に偽装しその場から一人逃げ出せたのだ…
その後、少女は姿を変え娼婦として資金と情報を集め…そして復讐を誓ったのであった。

――――――――――――――――――――

「ちなみにあの男は既にぶち殺したからね…まあ、最後斬り捨てたのはケヴィンってのが締まらない話だけど」
「そうでしたか…」
「頼みがある、私の絵…燃やしてくれないかい?」
「お断りします」
「金なら…!」
「ケヴィン・フレポジェルヌの妻は私です」
「…何をいきなり?」
「例えそれが紛い物であったとしても、騙された方の心は本物なのですよ。
私はあの贋作を心から素晴らしい物だと思い手に入れました。
ケヴィン・フレポジェルヌがアイリーンやカルディエという女性を愛したのと同じように…」

「名前だけを借りたオリジナルの贋作…よくもまあ侯爵家の娘が飾る事の出来ない素晴らしい絵を描いてくれたものです」

アイリーンは呆れてしまった。
どんなに憎らしい相手であっても、自分の絵を好きだと言ってくれる相手を好いてしまう…
そんな自分はいつまでたっても売れない画家なのだろう。


『へぇー上手いもんだな』
『…どうせ猿真似です。贋作しか描けませんよ』
『なるほど…風景画ってのは大自然の贋作ってわけか。絵が描ける奴ってのは感性も変わってるんだな』
『???』
『なあ、その絵売ってくれないか?…俺この浜辺の風景好きなんだよ。それと、よかったらこの後…』


この世界に信じられるものは何一つないと思っていた…
だがそれは違った。
何度騙されても何度だって自分のこの胸に鼻の下を伸ばす軽薄男…
どんなに姿を変えても、まるで自分の本当の姿がわかっているかのように愛を囁いてくる…その下心だけは真実であった。

だからこそ、少女は本物に嫉妬したのだ。

………

「それで…気は済んだかい?」
「私は貴方が嫌いです、二度とケヴィン様…私の夫に手を出さないよう」
「どうしようかしら」
「貴族の怖さは知っているでしょう?次はありません、破れば名誉にかけてあなたのを潰します」
「手厳しいねぇ…どこでそれを?」
「カルディエの情報を皇家が把握してないとでも?…せっかく今回の件で恩が売れたと思ったのに等価だそうです。エーデルったらまったく…!」
「それはそれは…」

アイリーンは棚からボトルを出しエルシャに見せた。
ボトルには軽薄男の名前の書かれたタグ…
エルシャがコクリと頷くと二つのコップに注ぐ。
そしてアイリーンが呟いた。

「乾杯…」


――――――――――――――――――――

店を閉め家路に就く。
仕事が始まる時間帯で人の声がチラホラと聞こえて来る。

途中、贔屓の新聞屋を見つけたので一部買っておく。
嘘か真か、三千年の歴史を誇る老舗のゴシップ紙。
こんな物が三千年も昔からあるのならば、どんな時代でも"高尚な嘘"よりも"楽しむための嘘"を求める人間は少なからずいるという事だろう。

『シュージーン公爵またもお手柄!』『皇女様と婚約!』

…と、いつもの記事を読み飛ばしページをめくっていくと目当ての記事を見つける。

『百戦百敗のケヴィン遂に結婚!?』『女神の不意突くも皇女誕生パーティで不倫発覚スピード破局か?』『隠し子の噂も!?』

「………アハハハッ!!これどうするかねぇ…まあどうせ字は読めないんだしいいか」

アイリーンは自宅の傍に近づくと再びその顔を変え扉を開けた。

「ただいまーケーヒル~」
「ママ、おかえりなさ~い!」

ケーヒルは勢いよく母に抱き着いて来ようとするが、寸前でハッと気が付き立ち止まると最近覚えた二本指の敬礼で出迎えてくれる。
アイリーンも真似してそれに応えるとお土産を渡してやった。

「ほら…またパパの事書いてあったよ、大活躍だって!」
「ほんと!?」

どうやら我が息子は"楽しむための嘘"を求める側のようだ。
自分の嘘にあっさりと騙されてしまう愛する息子に呆れて母親は思わず呟いてしまった…

「ほんと…いったい誰に似たんだかねぇ」

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