スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です！【R18／完全版】

第五章 フィアンセ交代?!

婚約解消

「いいの、もういいのです……。ダナさんの要望通り、私は婚約を辞退します。もう疲れました。毎日が辛いのです」
「そんな……！　でもオリヴァーは初恋の相手じゃないのか？」
「ずっと好きでしたわ。今ももちろん愛しています。これからも永遠にオリヴァー様を想い続けますわ」
　シャーロットはそこだけは力強く答える。
「そんなに好きなのに、ここで諦めていいのかい？」
「仕方ないですわ……。私が弱いのです」

　彼女はそっと目を伏せる。
　ダナのいじめに屈する自分が情けなかった。でも心を守るためにはしょうがない。
「本当に、後悔しないのか？」

　ジョージが沈痛の面持ちで言った。

「しますわ、きっと。けれど、私……あの方が笑っている顔を見るのが好きなのです。大事ないとこの真の姿を知って、悲しむ姿は見たくないの。いつも笑顔でいてほしい。それだけですわ」
「ロッティー……」
「それに、最初から無理があったのです。逆プロポーズなんて、貴族の娘にあるまじき行いですもの。押しかけ婚約者なんて、社交界の笑いものですわ。オリヴァー様の優しさにつけ込んだようなものよ。それで……バチが当たったのですわ。私とあのお方は、もともと釣り合うような家柄ではなかった。こうなう運命でしたの」
「ッ、そんなこと……！」
「だからもういいのです。ごめんなさい、お兄様。ずっと応援して下さっていたのに」

　彼女はそっと兄の手を取った。

「悔しいよ、ロッティー……。俺じゃ何もしてやれないなんて」

　ジョージが視線を落とした。

「いいのです、こうして話を聞いてくれるだけで。私こそごめんなさい。せっかく、没落したウォーレン家の汚名を返上する機会だったのに……」
「何、そんなこと、いいんだよ……。俺には名誉よりも、たった一人の妹の方が大事だ。ロッティーに涙は似合わない。男は星の数ほどいるさ。さっさと婚約を解消して、もっといい男を探そう」

　ジョージは妹を優しく抱きしめた。懐かしい匂いと、ほっとする体温に包まれて、ますます涙が流れていく。