君と紡ぐ未来 2nd 〜愛しい貴方と永遠を。この運命は『罪』ですか?〜

Kanade

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5. 家族に感謝を…

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〈 ママ視点 〉

  泣いている暇なんてない。柚來の為に今出来る事を…と頷き合った俺達の行動は早かった。
  土曜日のこの日、大和は仕事だが子供達は学校も保育園も休み。大和が仕事に出た後、朝食を済ませて落ち着いた頃に、俺は子供達に『柚來の脚が動かない事』と『大きくなっても自分の脚では歩けない事』を伝えた。陽咲はまだ赤ちゃんだし4歳の芽來にも理解するのは難しいけれど、絆と紡は神妙な面持ちでママの話を聞いてくれた。2人がどんな反応をするのか、少し怖かった俺だけれど…。

「おれ、おんぶしてゆらのいきたいとこ、どこにでもつれていくよ!」
「じゃあぼくは、ゆらちゃんをいっぱいだっこする! ベビーカーにのせて、おさんぽするの!」
「「だって、かわいいおとうとだもん! ね~!」」

  口々くちぐちに言い、最後は双子らしく声を揃えて頷き合う絆と紡を、俺は涙を堪えながら抱きしめた。
  そして、そんな母と兄達を見ていた芽來が、

「めぐも…」

カットりんごを片手に握りしめて言った。
  そんな芽來も抱き寄せて、ぎゅ~!
  母子おやこ団子の出来上がり!
  子供達は声を上げて笑い、子供達の優しさに俺は静かに涙を流したー。

  夕方、大和が仕事から帰ると、昼間の内に用意していたお泊り用の荷物を車に積み込み、大和の実家に家族7人で突撃!…といっても、ちゃんと昼間の内に連絡していたけどね? 確かに、7人でお邪魔するのに当日に連絡するのは準備する方が大変だし、申し訳ないと思ったけれど…。そこはほら、実家だから。なら早い方が良いし、今日は土曜日だから…と言い出したのは大和だしね。

  一ヶ瀬の実家に到着すると、夜も7時を過ぎていたからかお義父様とお義母様、お義兄様も在宅していた。大歓迎で俺達を出迎えてくれて、お義父様は陽咲を、お義母様は柚來を、自然な動作で俺達の腕から抱き取った。ちなみに、芽來は自分からトテトテとお義兄様の所に歩いて行き、両腕を伸ばして「んっ!」。抱っこを要求し、お義兄様は苦笑しながら芽來を抱っこしてくれて、にまぁ…と芽來はご満悦な顔をしていた。
  ……………。
  芽來よ……。  
  場所は変われど通常運転の三男に呆れる俺を余所に、子供達も含めて全員が笑っていた。
  まあ、いいけれど…。

  昼間に俺が朝陽に「今夜家族でお邪魔しても良い?」と連絡した時に「遅くなっても良いから夕飯は食べずに来て」と言われたから、食べずに来た俺達。7時過ぎてるのに食べずに待っていてくれた皆と一緒に夕飯を食べ、順番にお風呂に入り、子供達全員が寝たのは10時になる少し前だった。
  子供達がすっかり寝入ったのを確認してから、大人達は再び食堂に集まる。酒盛りをする為じゃない。を話す為。その為に急遽、一ヶ瀬家本邸にやって来たんだから。大和からお義父様には「大事な話があるから」と伝えてあるらしい。

  俺は話している間に泣いてしまいそうだったから、話すのは大和にお任せする事にした。
  大和が話している間、家族は誰一人口を挟む事なく、また、真剣な眼差しで大和の言葉に耳を傾けてくれた。

「柚來の脚の事、まだ俺達も完全には受け止めきれていない。それでも、柚來の為に今出来る事をしなければ…と思ったんだ。今朝、渚が言ったんだ。泣いても柚來の脚は治らない。泣いている暇があるのなら、今、柚來の為に出来る事をしたいって。絆と紡は…子供だから本当のところはまだよく解っていないだけかも知れないけれど、それでも彼らなりの柔軟さで受け入れてくれた。
  だから…。
  俺達を見守って下さい。そして、俺達が迷った時は助けてほしい。お願いします」

  俺達は座ったままで、テーブルに額が触れるスレスレまで深く頭を下げた。

「大和、渚くん、頭を上げて?」

  お義母様の言葉に顔を上げる俺達。再び家族と向き合うと、俺達の前でお義母様、雄大お義兄様、朝陽の3人がお義父様を見て頷き、返すように大きく頷いたお義父様が口を開いた。

「柚來はだ。生まれながらにハンデを抱えていようとも、柚來も、そして珠莉じゅりもうちの…一ヶ瀬家の大切な子供には変わりない」
「……………」

  珠莉ちゃんとは、アメリカに住む大和の二番目の兄、大智さんの三番目の子供だ。俺は、彼女が生まれつき重度の難聴を抱えている事を思い出す。耳がほぼ聞こえず、その所為か言葉も覚束ない。でも、明るくてとても可愛い子だ。年に一度程度しか会わないけれど。

。そう言ったのは渚、お前ではなかったか?」
「…あ……」
「そういう事だ。困った時、迷った時は、いつでも頼りなさい。悩んだ時もな。いずれ成長した柚來が他者と自分の違いに気付いて傷付く事もあるだろう。その時も一緒に悩み、考えればいい」
「「……………」」
「ありがとうございます…」

  俺達は再び頭を下げた。
  大和はお礼をちゃんと言葉にしたけれど、止めどなく涙が溢れ嗚咽を洩らす俺は、喉から上手く言葉が出てこなかった。
  だから心の中で言う。

(ありがとうございます…)

とーーー。 

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