君と紡ぐ未来 2nd 〜愛しい貴方と永遠を。この運命は『罪』ですか?〜

Kanade

文字の大きさ
13 / 17

10. 充実した日々の中で…

しおりを挟む
 
〈 ママ視点 〉

  自宅に隣接するカフェ『エスポワール』の開店から2年。小さなカフェだけれど、近くに手軽に入れる飲食店がないからか、それなりに繁盛しているとは思う。
  開店は朝8時、閉店は午後8時だ。
  働いているのは俺と大和は当然として、大和の長兄の奥さんで大和の同級生でもある朝陽、そして俺が以前働いていた児童養護施設で世話をしていた陸。
  朝陽は専属パティシエとして洋菓子の提供だけをお願いしようと思ったんだけれど、彼から、

「2人だけじゃ大変じゃない? 人を雇うつもりでいるなら、僕、雇ってくんない? 設備揃ってれば早めに出勤してお店の厨房でケーキ焼くし」

と言ってくれたから、全くの他人を雇うよりは…と即採用決定。
  陸は施設を出た後にをしていて、婚家は開業医。彼の夫と義父は一ヶ瀬家の主治医だ。婚家が医者なら陸も毎日忙しいんだろうなぁ、と思ってたら、

「僕、看護師免許持ってないし、事務スキルも持ってないから、せいぜい朝と夜の院内の掃除くらいしか出来る事はないの。渚先生のとこなら駿祐さんも反対しないと思うから、僕も働きたい」

そう言ってくれた。で、本当に陸の旦那様は「大和と渚くんの所なら…」とあっさりOKしてくれたらしい。しかも、菓子折り持って「陸をよろしく頼むよ」と挨拶に来た。
  いや、パートとして雇うだけだし、何の挨拶…?と苦笑した俺と大和だった。菓子折りはありがたくいただいたけれども。
  ともあれ、陸も即採用した。
  カフェは午後3時半から5時まで一旦閉めて、午後5時から8時まではディナータイムになる。朝陽と陸は子供がいるから3時半で上がるけれど、午後5時から閉店までは、高校生になった朝陽の長男の葵斗あおとがバイトに入ってくれる。一ヶ瀬家の御曹司なんだからバイトなんかしなくても…と思うけれど、本人から「働きたい!」って言われたら断れないよね。彼の母の朝陽も働いてくれてるし。子供達の世話があるから俺も余程忙しくない限り夜は店には出ないから、俺達としては助かるし、有り難い。夜は昼営業ほど混まないし。
  ほぼ…というか、完全に身内だけで回しているけれど、問題はないと思う。元々、家族経営の予定だったしね。

  オープンから1年ちょっとは俺は柚來を背負って接客を中心にしていたけれど、脚は動かなくても知能は全く問題の無い柚來は、3歳から陽咲ひなたと同じ、上の3人の子供達も通った保育園で預かってもらえる事になり、陽咲と仲良く保育園に通っている。週に一回、病院にリハビリに行く為に休むけれど、それ以外は皆勤賞だ。柚來、風邪一つ引かないから。
  これは柚來だけじゃなくて紡以外の子供4人全員に言える事だけれど、αって小さい頃から丈夫だよね。子供は小さい頃はよく体調崩すって聞くし、兄弟が多いと1人が熱出すと連鎖的に全員に感染うつるとも聞くけれど、うちの子達は風邪引いた紡の傍にいても平気だしな。親としては助かるけれども。5人が連鎖的に体調崩すとか、想像するだけで辛い。肉体的にも精神的にも。その上、俺ら親まで…だったらそれはもう混沌カオスだよなぁ。
  
  まあ、そんなこんなで、大変な事も多いけれど、忙しくも充実した毎日を送っていた俺達。


  だけど…。

  毎日が平和で、幸せで…。
  考える事すら忘れていた。
  彼らの親として、赦されない『罪』…。
  何故…? どうして…?
  油断…? 失念…? 過信…?
  どんな言葉を並べ立てても、果てにあるのは『後悔』だけーーー。
 
  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オメガ判定されました日記~俺を支えてくれた大切な人~

伊織
BL
「オメガ判定、された。」 それだけで、全部が変わるなんて思ってなかった。 まだ、よくわかんない。 けど……書けば、少しは整理できるかもしれないから。 **** 文武両道でアルファの「御門 蓮」と、オメガであることに戸惑う「陽」。 2人の関係は、幼なじみから恋人へ進んでいく。それは、あたたかくて、幸せな時間だった。 けれど、少しずつ──「恋人であること」は、陽の日常を脅かしていく。 大切な人を守るために、陽が選んだ道とは。 傷つきながらも、誰かを想い続けた少年の、ひとつの記録。 **** もう1つの小説「番じゃない僕らの恋」の、陽の日記です。 「章」はそちらの小説に合わせて、設定しています。

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

僕は君になりたかった

15
BL
僕はあの人が好きな君に、なりたかった。 一応完結済み。 根暗な子がもだもだしてるだけです。

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

好きで好きで苦しいので、出ていこうと思います

ooo
BL
君に愛されたくて苦しかった。目が合うと、そっぽを向かれて辛かった。 結婚した2人がすれ違う話。

処理中です...