【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade

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If…《運命の番》エンドルート 番外編②

EX①. 奇跡〜僕をママにしてくれてありがとう〜

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☆「子供が欲しい」と望んでからの琳の心情から、琳がママになるまでのお話。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

〈 琳視点 〉

「おめでとうございます。赤ちゃん、いますよ」

  お医者様に言われた瞬間のこと…リオと抱き合って泣いたことを、僕は一生忘れないと思うー。


『運命の番』である僕とリオ(僕はリオって呼んでるの)が番になってから2ヶ月後に結婚して、更に半年くらいが過ぎた頃、僕はリオに「リオの赤ちゃんが欲しい」と気持ちを告げた。
  僕は過去に一度、『不妊』と診断されていた。強い抑制剤の常用で内臓はダメージを受け、発情期も止まってしまっていたから、自業自得。当然の結果だったのだけれど…。
  一度は全てを諦め、死を覚悟した僕。どうせ余命幾許いくばくもない人生なら、静かな場所で穏やかに過ごしながら終わりを迎えたいと思っていた僕。
  けれど…。
  人生の終着点に選んだこの『沖縄の地』で、僕は『運命』…リオンと出逢った。

『奇跡』ー。

  まさに、そんな出逢いだった。
  もともと僕達2人が別々に住んでいた…ううん、何なら住む国さえ違った僕達が、沖縄の地に降り立たなければ叶わなかった出逢いー。
  
  リオンは最初から『運命』を理由にはしなかった。『運命』だからではなく、αとΩだからではなく、琳とリオンとして向き合いと言ってくれた。
  その言葉に偽りはなく、ただ寄り添ってくれたリオン。惹かれ合うのも必然だった。


  ずっと止まっていた発情期の再来により、小康状態を保っていた僕の命の期限が再び動き始めた時、リオンが初めて『運命』を口にした。「『番』になろう」と言ってくれた。それだけが僕を救う道だ、と。僕に生きてほしい…と…。
  僕も強く思った。「リオン、貴方と生きたい!」と。余命を告げられてから初めての、生への執着だった。
  そうして僕達は『番』になり、2ヶ月後には結婚した。
  毎日が幸せに満ちていた。不満なんて1個もなくて、ただただ幸せに溢れていた日々の中…。
 僕に『ある思い』が芽生えた。
  叶うならば愛する人との赤ちゃん欲しい、とー。

  僕はいつからこんなに我儘になってしまったんだろう。欲張りになってしまったんだろう。
  愛する人と過ごす毎日…リオンは仕事が終わると寄り道せずに真っ直ぐ帰って来てくれるし、休日はずっと一緒にいてくれる。「俺が!リンといたいんだ」と言ってくれる。
  愛する人の唯一になること…リオンは毎日何度でも「愛してる」と「ずっと一緒にいようね」って僕に愛を囁く。ちょっと恥ずかしいけれど、嬉しい。行動と言葉の両方で伝えてくれるの。僕だけへの愛を。僕が『唯一』であることを。
  だから僕は欲張りになっちゃった…。
  諦めていたもう一つの僕の『夢』ー。
  愛する人の子供を産んで『ママになること』ー。
  これ以上望んではダメだと思いながら、捨てきれない夢ー。
  でもね、言うだけ言ってみようと思って言葉にして伝えた僕にリオは、笑顔で「良いよ」って言ってくれたの。

「ただし! リン、約束して。
  俺も、リンが望んでくれるのなら君との子供は欲しいよ。でもね、子供は授かりものだから、思い詰めないこと。もし赤ちゃんが俺達の所に来てくれたら、俺達に与えられるだけの愛情で大切に育てよう。けれど、もし出来なくても…その時は2人で楽しく生きよう」

  そう言って抱きしめてくれたリオを、僕も抱きしめ返しながら頷いた。
  奇しくも後日、まずは僕の体が妊娠出来るかどうか調べてもらおうと受診した病院で、お医者様にリオと同じようなことを言われたよ…。妊娠出来る可能性はあるけれど健康な人でも必ず妊娠出来る訳ではないのだから、あまり焦らないように…って。

  家族にも話して理解を得てから妊娠率の上がる発情期に『子作り』を試みたけれど、やっぱりすぐには出来なかった。リオやお医者様の言葉は頭では解っていたけれど、2回目の挑戦もダメだった時は流石に落ち込んだなぁ…。
  でもね…。
  3回目の発情期で僕は待望の妊娠。小さな小さな赤ちゃんがお腹の中に来てくれた。

  妊夫生活は順調そのもの。つわりはあったけれど、空腹時の少しの気持ち悪さと、すぐ眠くなっちゃうから日中のお昼寝が欠かせなくなったくらい。
  僕の妊娠判明から2ヶ月後にノエルさんの2人目妊娠が判明して、僕達妊夫2人、生まれてくる赤ちゃん達の話をしたり、一緒に出産育児の準備をしたり、充実した妊夫生活でした。
  ノエルさんね、1人目のノアの妊娠出産が大変だったらしくて2人目は考えていなかったんだけれど、僕が妊娠して、一緒に子育てしたくなっちゃったんだって。それで子作り実践しちゃうって凄いよね。


  それから月日は流れて…。
  僕は帝王切開で元気な男の子を産んだ。
  局所麻酔だったから元気な産声がしっかり聴こえた。すぐに僕の顔の所に来た真っ赤な顔で泣く赤ちゃんを見て、僕は泣いた。立ち合ってくれたリオも泣いていた。
  やっと会えたね…。僕の赤ちゃん…。

  生まれてきてくれて、ありがとうー。
  僕をママにしてくれて、ありがとうー。
  これから、よろしくねー。
  僕の愛琉あいるーー。

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