103 / 108
If…《運命の番》エンドルート 番外編②
【リクエスト】 もしも愛琉に兄弟がいたら…
しおりを挟む☆白蓮様、【リクエスト】ありがとうこざいます。お待たせしてしまい、申し訳ありません。
リクエストいただきました『愛琉に弟妹を…』ですが、物語は愛琉が一人っ子のまま既に完結しておりますので、現実には彼に弟妹は難しく…。なので、『夢で会えたら…』をテーマにして書いてみました。
ご希望に沿う形ではないかも知れませんが、少しでも楽しんでいただけましたら…と思います。
~~~~~~~~~~~~~~~
〈 愛琉視点 〉
僕は、ふかふかの掛け布団に包まりながら、目を閉じた。
長峰愛琉、8歳。一人っ子の僕にとって夜寝る前の時間は、自分だけの特別な想像の世界への入り口だった。
パパはお医者さん、ママは専業主夫として、僕をいつも優しく見守ってくれる。静かな家の中で、両親と3人の生活は平和だけれど、僕は時々、心の中に小さな空洞を感じていた。ノアやルナと楽しく遊んでから帰った日は、その空洞をより強く感じた。その空洞は僕が『弟』とか『妹』とか、そんな風に呼べる誰かがいれば埋まるような気がしていた。特に、いつも自分の後ろをついてくる可愛い弟がいたらいいなと、よく夢想していた。
その夜、僕は夢を見た。
ーーーーーーーーーー
夢の中の朝は、いつもと違って少しだけ賑やかだった。僕がまだベッドの中でうつらうつらしていると、隣のベッドから小さな寝息が聞こえてきた。
目を開けると、隣のベッドには見慣れない男の子がすやすやと眠っている。僕よりもずっと小さく、癖っ毛の僕と違ってサラサラな髪をした子。
「だ…誰…?」
と僕が訊ねる声で、その子はゆっくりと目を開けた。
「…あいゆ、おにーちゃん…?」
とまだ眠たげな目で僕を見つめてくる。
僕は混乱しながらも胸がきゅんとした。ずっと欲しかった『弟』が目の前にいる。
弟と手を繋いでリビングへ行くと、ママがいつもより少し多めの料理を食卓に並べていた。
「2人とも、少~しお寝坊さんだったね」
と少し困った顔をしていたけれど、その表情は心なしかいつもの穏やかな笑みよりも生き生きして見えた。パパも、にこやかな笑顔で僕達を見ながら、コーヒーを飲んでいた。
朝食後、僕は弟の手を引いて近くの公園へ連れ出した。弟の名前は『琉空』というらしい。
最初は滑り台を順番こに滑って遊んだ。僕が滑るのを琉空が下で、
「すごいね、おにーちゃん!」
と目を輝かせて見上げてくれる。ブランコも僕が背中を押してあげると、琉空はきゃっきゃと笑った。
「すごい! もっとおして!」
と琉空がはしゃぐと、僕は、
「仕方ないなぁ」
と言いながらも、優しく押してあげた。
誰かのおにーちゃんになるのって、こんなにも嬉しいものなんだって思った。
午後には、三輪車に乗る琉空の後ろを、僕が追いかけて走った。家の中はいつもは静かなのに、今日は笑い声と話し声が絶え間なく響いている。ママも、いつもより忙しそうにしながらも、とても楽しそうだった。
夕飯時、食卓には僕が大好きなハンバーグと、琉空が好きだという柔らかいオムライスが並んだ。
「「「「いただきます!」」」」
4人揃って手を合わせ、賑やかな食事が始まった。僕は、こんなに美味しいご飯は初めてだと思った。それはきっと、大好きなママが作ってくれたいつもの味なのに、隣に弟が座っているからだ。
食事が終わると、みんなでお風呂に入って、寝る時間になった。僕は自分の部屋のベッドに入りながら、今日1日の出来事を思い返していた。
「琉空、また明日遊べるよね?」
僕が訊ねると、琉空はにっこり笑って頷いた。
「あちたも、こーえん…」
と言って、満足そうに目を閉じた。
「おやすみ、琉空…」
僕もゆっくりと瞼を下ろしたー。
ーーーーーーーーーー
「愛琉、朝ご飯出来たよ~」
ママの優しい声で目を覚ました僕。
窓の外からは朝の光が射し込んでいる。隣を見てもベッドは一つだけ。昨日までと同じ、静かな朝が戻ってきた。
少し寂しく思った僕だけれど、夢の中で感じた温かさは、まだ胸に残っていた。
リビングに向かいながら、僕は思う。
(いつか本当に弟が出来たらいいな…)
心の中で思うだけ。口には出さない。
だって、少し前に僕が「弟が欲しい」って言ったら、ママ、とても哀しそうな顔をしたんだ。理由は解らないけれど、もう言っちゃダメな気がした。
でも、思うだけなら別にいいよね?
食卓には、いつものように僕1人分の朝ご飯が並んでいる。ママが、
「愛琉? どうしたの? ぼーっとして」
と声を掛けてきたから、僕はニコって笑って答えた。
「ううん、なんでもないよ、ママ。
今日の朝ご飯も美味しそう! いただきます!」
僕の心の空洞はまだ少し残っているけれど、気持ちはぽかぽか暖かい。
僕は今日も元気な1日を始める。
今夜も夢の中で「琉空に会えたらいいな…」と思いながら…ー。
fin
367
あなたにおすすめの小説
僕たちの世界は、こんなにも眩しかったんだね
舞々
BL
「お前以外にも番がいるんだ」
Ωである花村蒼汰(はなむらそうた)は、よりにもよって二十歳の誕生日に恋人からそう告げられる。一人になることに強い不安を感じたものの、「αのたった一人の番」になりたいと願う蒼汰は、恋人との別れを決意した。
恋人を失った悲しみから、蒼汰はカーテンを閉め切り、自分の殻へと引き籠ってしまう。そんな彼の前に、ある日突然イケメンのαが押しかけてきた。彼の名前は神木怜音(かみきれお)。
蒼汰と怜音は幼い頃に「お互いが二十歳の誕生日を迎えたら番になろう」と約束をしていたのだった。
そんな怜音に溺愛され、少しずつ失恋から立ち直っていく蒼汰。いつからか、優しくて頼りになる怜音に惹かれていくが、引きこもり生活からはなかなか抜け出せないでいて…。
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます
まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。
するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。
初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。
しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。
でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。
執着系α×天然Ω
年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。
Rシーンは※付けます
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる