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第十二話 辿り着いたよ、グシャート君

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 『ルルーシュタの判決』。
 その単語に絞った僕達は、今度は図書館ではなく街の役所を訪れた。
 なにせ、古すぎる記事の内容だ。詳細を探るにせよ、役所で古書などを閲覧する許可をもらってきた方がいい――そう助言をもらったのだ。
 彼女の判決確定とはなんなのか? 正直、嫌な予感しかないけど……。
 それでも、一抹の希望を胸に僕達は役所に行き無事、許可を得ることができた。

「それじゃあ、図書館に戻って古書の閲覧をさせてもらおうか?」

 そう僕が提案すれば、サイルは頷いた。だが、レナジェは静かに告げた。

「アタシはぁ、図書館の待機スペースで待ってるわぁ。お目付け役の……限界よぉ?」

 そこで改めて、レナジェとの距離を感じた。……そうか。そうだよな。僕達は……もう……。何度したかわからない後悔がまた僕を襲う。それでも、前に進むしかないんだ。

 こうして、レナジェを残して僕とサイルは司書の案内で古書をまとめた地下室へと通してもらった。
 薄暗く広い地下室内を心もとない灯を頼りに、目的のものを手分けして探すことにした。

「サイルは右側から、僕が左側を。分担して、ルルーシュタさんについての手がかりを探そう」

「わかったのん! グシャートたん、一緒に頑張るのん!」

 相変わらず目を輝かせながら答えるサイルに、僕も……今度は卑屈になるのではなく、触発される感覚がした。これは、喜んでもいい……かな?

 そんなことを思いながら、僕は一つ一つ丁寧かつ慎重に書物を読んで行く。
 しばらく漁ってみてわかったことは、あの古い新聞はだいぶ後に書かれたものだったということだ。つまり、リアルタイムの情報ではなかった。
 そこで疑問が一つ。
 何故後世になって、ルルーシュタの記事が小さいとはいえ載っていたのか? そこにヒントがあるのではないかと僕は考えた。
 そして、その考え……いや疑問の答えが出たのは地下室に入ってかなり時間が経ってからだった。

 答えはズバリ……『竜狩り』だ。どうやら、ルルーシュタの生前は竜と最初の調和を目指した時代で、彼女はそこで小竜を助けたことで表彰されたらしいのだ。
 だが、竜との争いが激化した後世において、そのことについて過激に反応した者達がおり、彼女は死後になってから裁判にかけられた――ということらしい。
 つまり、後世になって評価を覆されたルルーシュタは小さい記事でとはいえ、名誉を傷つけられ異端……いや罪人とされたのだ。
 この事実を知った僕は……悩んだけれど、サイルにも伝えることにした。
 一通り話を聞いた彼女の答えは早かった。

「……約束は約束なのん。竜たんに……伝えるのん!」

 どこまでも希望を持つ。その事の大切さを僕は思い知らされたから……だから、僕も希望を持とうと思うんだ。竜が、どんな結論を出すにしても――。
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