【短編集】ならわし

采女

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夜伽指南

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 侯爵令嬢と聞けば貴族の中でも羨んでくれるものだけれど、現実はそんなに良いものではありません。
 マナーも厳しいし、勉強も難しいし、世間のイメージほど優雅に豪遊しているわけではないのです。

 幼少期から様々な教育を受けてきましたが、今日からはさらに新しい教育を受けなければなりません。
 今日から始まるのは、夜伽よとぎの教育です。

 夜伽とは、つまり男性を性的に悦ばせるための性教育ですね。
 といっても、本番はしません。
 良家の子女は、初夜まで処女でなければならないからです。

 とはいえ、何も知らないまま初夜を迎えると失敗してしまう可能性があるので、純潔は守りつつもしっかり教育を受けてから婚姻に臨まなければなりません。

 夜伽教育の初日は、見学です。
 家庭教師の先生が、メイドの若い女の子と実際に交わるのを見ます。
 メイドの女の子は処女で、夜伽教育も受けていません。
 女の子が緊張している様子なので、私も緊張してしまいます。

 家庭教師の先生は、女の子を寝台へ寝かせると、夜着の上から胸を触りはじめました。
 夜着は透けるほど薄くて、女の子の身体がよく見えます。私も初夜ではあんなのを着るのだそうです。普段はあんなに肌を見せると「はしたない」と叱られるので、ちょっとドキドキします。

 やがて、その薄い夜着も取り去り、先生も脱いで裸になりました。
 男性の裸を見るのは初めてです。
 先生の脚の間にはなんとも気持ち悪いものが生えていますが、一応事前に聞いてはいたので、なんとか悲鳴はあげずに済みました。
 そのなんとも気持ち悪いものを、女の子の股を開いて押し当てます。
 相手の男性が初めてだと場所がわからないこともあるので、そういう時は私が場所を誘導しなければならないのだそうです。

 先生は私に説明した後、あてがっていたモノをグリグリと動かして、こじ開けるように少しずつ女の子の中に挿れ始めました。
 挿れながら、先生はちゃんと説明もしてくれます。
 最初はだいぶ痛い場合が多いけれど我慢しなければならないこと、血が出るけれど正常なので慌てないこと、むしろ血が出るのは最初だけなので血が出ないと不貞を疑われることなんかを教えてくれました。
 女の子はそうとう痛いらしく、涙目になっています。
 私はちょっと怖くなりましたが、こうやってゆっくり挿れてくれる人はまだマシなのだそうです。次回はゆっくり挿れてくれない場合を見せてくれるということなので、覚悟しておきます。

 先生のモノが女の子の中に入りきると、今度は先生が出したり挿れたりを繰り返し始めました。
 ずっと涙目で堪えていた女の子は、「ああっ、いたっ、ううっ」と声をあげました。
 とってもつらそうです。

 ぬちゅぬちゅ、パンパンと音が続いて、先生の肌にも汗が浮かんでくると、女の子も「あっ、んんっ、や……ああっ」と甘い声が混ざるようになりました。
 これには個人差があるようで、初夜はまだ痛いだけのこともあるのだそうです。

 やがて先生が「うっ……」と小さく呻いて、動きを止めました。
 モノを引きずり出すと、血と白い液体がドロリと出てきました。
 たしかにこれは、ちゃんと教育を受けていないと初夜で卒倒してしまうかもしれませんね。

 翌日は、別のメイドの女の子を連れてきました。
 今度の子も処女で、今度はいきなりモノを突っ込むパターンを見学しました。
 めちゃくちゃ痛いらしくて、女の子は泣き叫んでいました。
 もう正直恐怖です。結婚したくないレベルですが、婚姻は貴族令嬢の大事なお務めなので覚悟するしかありません。
 メイドの女の子には、たくさん御手当を出すように言っておきました。

 三日目からは、いよいよ実習です。
 といっても、メイドの女の子みたいに実際に挿れてはもらえないので、どうするのかと思っていたのですが、いろいろすることがあるのだそうです。

 まずは先生が身体を触ってきます。
 私はくすぐったくてたまらなかったのですが、ずっと触られているうちになんだか変に気持ちよくなってきました。「んっ、」と声が出ると「そのまま声を出してみてください」とさらに触られ続けました。
 自分の声ではないような声が出て、身体が火照ってきました。
 さらに先生は、手だけでなく唇や舌でも触れてきて、頭がぼぅっとするくらいに気持ちよくなってしまいました。

 数日は、そうやって身体をいっぱい触られました。「感度を高める」のだそうで、毎晩されていると、ほんの少し撫でられるだけでもゾクゾクするほど気持ちよくなるようになってしまいました。
 すると今度は、声を我慢するレッスンです。
 簡単にはしたない声をあげるようでは困りますし、我慢する様子が男性を悦ばせるのだと習いました。

 その後も夜伽教育は続き、今は口で悦ばせる方法を学んでいます。
 あんなモノを口に含むなんて抵抗がありましたが、これもお仕事です。初夜ではやってはいけないそうですが、旦那様を夢中にさせるにはこういった手腕も重要なのだそうです。
 側室のとこになんて足繁く通わせたくありませんからね。

 余談ですが、先日の舞踏会で皇太子殿下がダンスに誘ってくださいました。
 殿下は十歳年上なので、私はご縁がないかなと思っていたのですが、ダンス後もバルコニーに誘ってもらえました。
 バルコニーでキスをされたのですが、腰に回された手がこっそりお尻を撫でていらしたので、殿下もエッチがお好きなようです。
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