Angel or Reaper 〜正義と悪〜

くらげ

文字の大きさ
23 / 29

第23話

しおりを挟む
ハルマ達と敵の差。
それは戦闘経験である。
それによる能力の理解度の違い。

フェイ「さぁ、大人しくしていれば楽に天に昇れますよ」
ステラ「へっ、そう簡単に昇ってたまるかよ」

ただの強がりなのは、もはや隠しようがない。
だが、そうであってもステラは冷静だった。

ステラ(ただの連続攻撃じゃ勝つことはできない.....ちゃんと策を練って仕掛けねぇとこっちの体力が無くなってしまう)

敵との差を埋めるのは、策略だった。
僅かな隙を作るため、見逃さないために。

フェイ「一騎当千サウザンドブレード

1本の短剣が、増え続ける。
策を練りたい彼らにとって1番嫌な攻撃だった。

ステラ「百発百中アブソリュートガトリング!!」

ステラが向かってくる剣を撃ち落としていく。
だが、あまりの多さに間に合わない。

ジョーカー「任せろ!灼熱地獄バーニング!!」

ステラが逃した剣を全てを焼き尽くす。

フェイ「ふっ、中々....」
アイズ(このままじゃ防戦一方.....)
シロナ(どうすれば....ラジャル団長たちに連絡したいけど....)
フェイ「あぁ、言い忘れていましたが、あなた達の上司2人は結界に閉じ込めていますので、助けを呼ぶのは諦めてくださいね」

5人は驚きを隠せなかった。
世界最強と謳われる人物が拘束されていること、そしてその人物が破ることの出来ない結界があるということ。

ジョーカー(一体何をしたんだ....いや、今はいい、それよりこいつを倒さなければ)
ステラ「.....策がある、ゆっくり話してる暇は無い、簡単に指示を出す。アイズ、ジョーカー」
アイズ「はい」

ステラが何かを閃いた。
果たして通用するのか.....失敗は許されない。
既に5人の体力は尽きかけていた。

ジョーカー「分かった」
アイズ「....分かりました」
フェイ(何かやるつもりですね....)

作戦決行。
まずはジョーカーが仕掛ける

ジョーカー「炎銃フレイムショット!!」
フェイ「常識外れの拳銃マシンガンピストル

今度は炎の弾丸を防いでいくが、フェイはある違和感を覚えた。

フェイ(これは.....私に向かってるように見えない、体力の限界か?いや、違う!)

爆発で起きる煙で視界が遮られた。

フェイ「くっ!...私とした事が」

そして、アイズの手はフェイの頭を捕らえる。

フェイ「ま、まずい!」
アイズ「爆破する掌ボマーハンド

フェイの顔が爆破に巻き込まれる。
いくら頑丈とはいえ、大怪我は免れない。
顔を潰されたことで、煙とは関係なく視界を遮られる。

フェイ「ぐあぁっ!!」

だが、すかさずフェイは目を増やす。
その目がステラを映す。
だが、気付いた時にはステラの弾丸はフェイの足を撃ち抜いていた。
ただの連続攻撃ではない、一瞬の油断が生んだ隙を意図してつかれていた。
回復が追い付かない。

ケイタ「一気に仕留める!」
フェイ(っ!!速い!...が)
フェイ「真正面から来れば対応出来る!」

避けられないタイミングで短剣を突き立てるが....すり抜けた。

フェイ「す、すり抜けた.....」
シロナ「鏡花水月ミラージュファントム
フェイ「まさか....」
ケイタ「あぁそうさ、今お前が斬ったのは....俺の幻覚だ!」

フェイは完全な無防備状態。

ケイタ「雷拳の語り合いナックルサンダー!!!」

雷の一撃をまともに受けた。
ダメージは相当なものだった。
痺れで体も動かない。

ステラ「完璧主義の暗殺者パーフェクトスナイパー

完璧に心臓を撃ち抜いた。

フェイ「か.....はっ......」
ステラ「やったか....」
ケイタ「はぁ、はぁ、はぁ」
フェイ「......くっ!!」

その希望は容易く崩れる。

フェイ「や.....やってくれましたね....!!!!」
ステラ「なっ!!なに!?!?」
ジョーカー「どういうことだ!?!?」

一体何が起きたのか、間違いなくステラは心臓を撃ち抜いていたのは確か。
予想外の出来事に、頭が追い付かない。

フェイ「まだ....何も.....終わってない!!!」
ステラ「俺は間違いなく....急所を....なぜ....」
アイズ(まさか.....心臓を増殖したのか!?)
フェイ「はぁ....はぁ.....」
フェイ(心臓の増殖はかなりの体力を要する......今回使えるのはこの1回だけ)
フェイ「だが、私はまだ殺せる」
ジョーカー「ケイタ!逃げろ!!!」
ケイタ「くっ!」

ケイタが逃げようとするも体力も残りわずか、このままでは逃げきれない。

フェイ「無駄です....逃がしはしなっ.....」

動きが止まった。

シロナ「.....#霧に潜む者__シャドウウォーカー#」

シロナの刃は確実に、心臓に突き刺さっていた。

フェイ「......くはっ....!!」

今度こそ、敵は倒れた。

フェイ「かはっ......はぁ......」
ジョーカー「急所をつかれて....まだ息があるのか....どこまで頑丈なんだ」
フェイ「安心.....してください.....もう.....あと数秒です.....」

突き刺さっても尚、僅かに息が続くのは能力者故である。
だが、この苦しさを普通の人間より長く味わう事を考えると、決して良いものでは無い。

━━━━━ジャック「フェイ、俺たちは2人で思うままに生きるぞ」━━━━━

フェイ(ジャック.....)

━━━━━ジャック「何があっても、俺たちだけは互いを信じよう、お前は俺のために、俺はお前のために....俺たちは2人なら最強だ」━━━━━

走馬灯で見えるのは、過去の記憶だった。

フェイ「最後に.....聞かせてください....」
ジョーカー「ん?」
フェイ「この世界は....どうしようもないほどに....クソな世界です....その全てを知っても....あなた達の意思は....変わりませんか?」
ケイタ「愚問だな」
ステラ「変わらないさ、一緒に戦う仲間のためにもな」
シロナ「当然です」
フェイ「.....そうですか.....」
フェイ(仲間のため.....この子達なら.....きっと.....)

━━━━━フェイ「ジャック~」
ジャック「なんだ?」
フェイ「また特訓ですか?」
ジャック「悪いかよ」
フェイ「別に悪くはないですけど....私たちは充分に強くなってるし、ましてや二人で組めばどんな敵でも倒せますよ」
ジャック「んなもん分かってる」
フェイ「ん????じゃあなぜ」
ジャック「いいから、あっち行ってろ」
フェイ「えぇぇぇ」━━━━━

フェイ(あれは、そういう事だったんですね....)

フェイは静かに目を閉じた。

フェイ(ジャック....あなたが強くあろうとしたのは、私を守るため....だったんですね....ですが、私だって.....同じです....あなたがこの世界で1番大切なんです....私はここで終わりですけど.....心はいつまでもあなたと共にあります....いつまでも、あなたと共に戦います.....)

フェイ(私たちは....2人なら最強です....)

静かに息を引き取った....

To be continued




    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

処理中です...