【第2章開始】俺とお前は親友のはずだろ!? ~姉の代わりに見合いした子爵令息、親友の聖騎士に溺愛される~

田鹿結月

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第1章

番外編3 せいふくぷれい(R)

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 ある日の帰宅後、レイはエディに寄りかかり本を読んでいるとふとあることを思い出した。思い出したくはなかったことではあるが、借りてみた服飾の本を眺めていて記憶が蘇ってきたのだ。

「なぁ」
「ん?」

 優しく甘ったるい返答に少しだけむず痒くなりながら、レイはエディを見やる。

「図書課の制服見てお前はどう思う?」
「どうって? 裾が長いの歩きづらそうだなって思うけど」
「別に歩行に支障はねえよ。そうじゃなくて、あのー……あれだ」
「どれ?」

 少しばかり聞きづらい。けれど、目の前の男がどう思うかというのは少し気になる。

「……す、すけべな目で、見るか?」
「……誰かに何か言われた?」
「デプレ大尉が」
「またあの人……そんなこと言われたの?」
「言われたっていうか、唆るなって呟いてるの聞こえたっていうか」

 肌の露出もない健全というか、どちらかといえば禁欲的に見えるだろう制服のどこを見て発情したのかわからないがあのゴリラはレイの制服姿で盛っていた。
 レイは苦々しい記憶を思い出し、顔を歪める。

「あれに言われるのは死ぬほど嫌だったけど、お前もそう思うか?」
「うーん……同じ目で見てるとは絶対に思われたくないけれど、レイが着ていたら見えなくはないかな……」
「どこが? 肌見えてないしシルエットだって寸胴なのに?」

 ただゆったりとした布を纏っているようなすとんと落ちたローブをベルトで留めているだけだ。どこをどう見たらそんな疾しい目で見られるんだ。
 レイが心底不思議そうに疑問を呟けば、エディは手持ち無沙汰に読んでいた詩集を置き、向き直る。大きな掌がレイの脇腹を撫で、腰を掴んだ。

「この、細い腰がベルトで強調されてたり。白い肌が見えないように、首まで詰まってたり。その下はどうなってるんだろうって気になるよね、俺のつけた痕は残ってるのかなって」
「ん……っ、ばか、今そんな雰囲気じゃなかっただろ……っ」
「長いローブの裾から動くたびに見える細い足も、触れてみたくなる」
「ばか、やめろばかっ」

 するすると手を滑らせ腿を撫でながら押し倒し、エディはレイの上に覆い被さると甘さを含んだざらついた低音で囁く。

「禁欲的だからこそ、穢したくてたまらなくなる」
「聖騎士が言っていいことじゃないだろ、もう退けって」
「レイ、しよう? 昨日お預けしたから我慢できない」
「駄目、駄目だから、明日も早いんだから……っ」

 今図書館は、長期休みに入ったら学生の利用者が増えて忙しくなっている。明日も早くに出勤して色々と準備をしなければいけないから、エディとそういったことをする余裕はない。
 レイがだからと拒んでいると、エディはちゅ、と唇を触れ合わせた。

「本当に駄目……?」
「駄目!」

 顔を真っ赤にしながらも何とか拒むレイに、エディは落ち込み漸く覆い被さるのをやめた。垂れ下がった耳と尻尾が見えてしまうがレイはなんとか乱されかけた服を直し、起き上がる。

「俺の休み前日までは絶対しないからな!」
「でも、レイのお休みって明後日だよね?」
「……う」
「明日、楽しみにしてるね?」

 まずい、墓穴を掘った。
 にっこりと微笑むエディを見上げながら、レイは明日の今頃は……と脳内で考えてしまい、思わず腹をきゅうとひくつかせてしまった。

 * * *

「――っは、ぁ、ばか、ばかぁ……っ」

 帰ったらする。帰ったら抱かれる。
 そんなことを考え悶々としながら仕事をなんとか終わらせ迎えにきたエディと帰宅したレイは、玄関を入るなりエディに襲われた。
 暖かくなってきたからと上着はもう着ておらず、制服だけ。腰のあたりまであるローブのスリットから手を差し込まれ、パンツのベルトを緩め下衣をまとめてずり下げられた。
 背後から抱きしめられつつ激しくキスをさせられていたレイはそれに気付くのが一拍遅れ、布を捲りにゅるりと足の間に入り込んでくるその感触に、びくんと身体を震わせた。

「足、閉じて……?」
「んっ、ぅ、んん、んむ、ぅ」

 唇は塞がれ何も言えない。エディは足が開いたままでもお構いなしに内腿へにゅるにゅると己の昂りを擦らせ、勝手に擬似的な行為を始めている。
 大きな掌が腰を掴み上げ、足が宙に浮いてしまうレイは棚に手をつき体重を支えているため止められない。
 レイは喘ぎながら、足を閉じエディが与えてくる快感に溺れた。

「ぁ、あ、えでぃよごれる、制服……っ」
「後で綺麗にすればいいよ。嫌なら自分で咥えて持っていて……?」
「も、ばかぁ……っ」

 エディがピストンする度に身体が揺れ、芯を持ち反り上がってしまった自身の昂りの先端で前に垂れたローブの布地が押し上げられる。レイは嫌だと首を振りながらも、脱ぐ余裕もなく制服のまま求められることに興奮が止まらない。

「えでぃ、だめ、えでぃ……っ」
「これから、制服着てるレイのことまともに見れないかも……」
「ばか、ほんとにばか、だめだって……っ」
「自分から気持ちいいところ探して腰揺らしてるのに? ほら、もっと足締めないと気持ちよくならないよ」

 ちゅ、と耳許でリップ音を立てられ、自ら腰をくねらせてしまっていたレイは首を振る。足が浮いているのに力なんて込められない。

「はっ、は、えでぃ、部屋がいい、へや……」
「ここでお預け?」
「ちがう、この体勢やだ、制服も脱ぐ……っ」

 制服が汚れてしまう。何より、抱かれた時に着ていたなんて意識に刷り込まれてしまったら明後日からどんな顔をして着ればいいのかわからない。
 それなのに、エディは言うことを聞いてくれない。エディは内腿の隙間から昂りを引き抜くとレイを抱き上げ、自分の部屋に移動する。ベッドにレイの身体を放り投げるとその上から覆い被さり、清浄の魔法を施し下衣を全て引き抜いた。

「ばか、なに……っ」
「前から思ってたけど、このスリットから素足が見えるの堪らないよね」
「……変態」
「ちゃんと魔法で綺麗にしてあげるから、今日は最後までこのまましよう? ねえ、俺も脱がないから」

 そう言いながら首許だけを緩めるエディもまた、禁欲的な聖騎士の制服のままだ。真っ白い、何にも穢されることのないことを象徴している軍服。エディが着るとそれこそ王子様のようにも見えてしまう正装の胸に光る青い宝石の装身具が、瞳と同じように煌めいて見える。
 この服を着たまま、自分を今から抱く。レイが制服に視線を奪われていると、エディは笑って上着に手をかけた。

「それとも、脱いだほうがいい?」
「……い、いいんじゃねえの、着たままでも」
「はは、じゃあ着たままで。……レイも相手が制服着たままの方が興奮するんだね」
「そんなんじゃ、ぁ、ばか、まだ慣らしてな……っ、ぁ、あ」
「脱ぎたいなら脱いでいいよ? その間こうして待ってるから」

 足裏を掴まれ大きく広げられ、エディの昂りが慣らしていないそこへと触れる。ぐりぐり、ぐにぐにと襞を刺激しながらも挿入はされずに先端で触れられるだけの行為に、レイは堪らずサイドボードへと手を伸ばし抽斗の中の香油を手にした。

「着たままでいいから、はやく……」
「着たままで? それなら脱いだ方がいいかな」
「やだ、そのまま、今日はこのままでしたい……」

 肌を極力見せず、服の下がどうなっているのかも知りながら覆い隠して抱かれる。
 レイが膝を擦り合わせ、内腿にローブを挟む体勢で上目遣いに強請れば、エディはその手から香油を取り上げ指先でレイの秘めた場所へと塗りつけつぷりと指を挿し込んだ。

「ん……っ」
「この暗い色した制服がどれだけ白くなるか楽しみだね」
「も、ほんとにばか……」

 そこまでされると考えると、腹の中が疼いて止まらなくなる。
 自分を傷つけないために優しく中を解そうとしているエディの指をきゅうと締め付けながら、レイは自分の上で欲に溺れた顔をした聖騎士様を見上げ高鳴る心臓を鎮めることができなかった。
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