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番外編
番外編「花に染む」六
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それは順調に、商いは滞りなく行えていた。それはこのつばくろ屋が人材に恵まれたからであったと伊平は思っている。皆、骨惜しみをすることなく働いてくれたから今がある。
ただ、商いは潤いを見せたものの、伊平には不安が常につきまとっていた。それは喜久のことである。
佐久を産んでから、寝つくことが多くなった。それとも、伊平が無理をさせすぎたのだろうか。
小さな佐久がよちよち歩きをしている様子を、喜久は縁側で眺めていた。目にうっすらと涙を浮かべ、小さくつぶやく。
「この仕合せがずぅっと続けばいいのに」
それは喜久の口癖になっていた。所帯を持った頃からずっと、ふとした拍子に口を突いて出る。
今が仕合せだと、喜久はそう思ってくれている。それを感じて伊平は喜久の言葉を微笑んで聞いていた。
けれど、時折、その言葉がひどく剣呑に感じられた。まるで仕合せの終わりを予見するようではないかと。仕合せは、どこかに区切りがあって、いつまでも続くものではないとでもいうような――
だから伊平はそれを聞くと嬉しい半面、どこか切なく胸が締めつけられた。
「ああ、もちろんだ。ずぅっと、ずぅっと、仕合せに過ごそう」
そう答えて、喜久の不安を和らげてやる。喜久はほっとして力を抜く。
そんなことを繰り返して日々を過ごした。
仕合せの終わりは、それでも確かに近づいていたのだ。
伊平が認めずとも――
喜久が倒れた時、佐久はまだはっきりと事態が呑み込めていなかった。母を呼びながら火がついたように泣き叫ぶ佐久の声で伊平は母屋へと急いだ。いつもの不安はもう、それが常となったら心が鈍っていた。今日がついにその日なのだとは思いもよらなかった。
倒れた喜久は、そのまま二度と目を覚ますことなく永い眠りについた。
あっけない。
そう言うよりなかった。
まさかと何度も何度も喜久の頬を摩っても、喜久は微笑まなかった。小さな佐久も伊平を真似てか喜久の手を懸命に摩る。死というものを知らない、幼い娘。まだ、眠った母が起きると思っているのだろう。
「おっかしゃん」
舌ったらずに母を呼び、揺さぶる。思わず伊平は佐久を抱きとめて呻いた。
「おっかさんはこれからお休みするんだよ。お佐久、わかったね」
「あい」
きょとんと大人しくなった佐久。けれど、まるで伊平の方が佐久にすがるようであった。涙は、今は出なかった。体が、自分のものではないように感じられた。これは現なのかと自問するのに忙しく、心だけが体を離れて流れ出てしまったのかもしれない。
葬儀がすっかり済んで、それからやっと伊平の心は体に戻った。
そうしたら、苦しくて悲しくて、気が狂いそうであった。
これが現か。
懸命に働いて過ごした喜久が、あんな幼子を残して逝かねばならないとは、一体何がそうさせたのだ。
仕合せは、続かなかった。喜久はどこかでそれを感じていた。
伊平はもっと、喜久にしてやれることがあったのではないだろうか。
本当に、喜久は仕合せであったろうか。伊平とあの時、板橋宿で別れていれば、違う人生があって、もっと末永い生を歩めたのではないだろうか。
取り留めなく、悔恨が胸のうちに溢れる。涙は、伊平が干乾びるまで止まることはないのかもしれない。奉公人たちも伊平にかける言葉は見つからなかったのだろう。嗚咽の漏れる障子を開く者はいなかった。
そう思ったけれど、佐久だけは喜久の死を理解できない。カラリと簡単に障子を開いた。薄暗かった部屋に光が差す。
「おとっつぁん、ごはんよ」
何も喉を通らなかった伊平を皆が心配してくれたのだ。握り飯がふたつ乗った皿を佐久が持っている。ただ、片手で障子を開けたせいで、皿はかなり傾いていた。そこから握り飯がころりと転がった。
「あっ」
畳の上に握り飯がふたつ転がり落ちる。佐久はそれがとても悲しかったようだ。見る見るうちに顔を赤くして泣き出した。
「落としちゃったぁ」
うわんうわんと泣く。握り飯がたったふたつ畳の上に落ちたにすぎない。そんなことよりも佐久は母を亡くしたのだ。もっと他に泣くべきことはあるだろうに。
――それでも伊平は、佐久に泣いていてほしくはなかった。その泣き顔を見ているのがつらかった。
「大丈夫だよ、お佐久。食べられるよ、ほら」
そう言って、伊平は畳の上の握り飯を食べた。久し振りの飯は、味などよくわからず、ただひたすらにしょっぱいだけだった。それでも飯を食む伊平に、佐久はぴたりと泣くのをやめ、そうして、笑った。
「よかったぁ」
佐久の笑みは、喜久によく似た――喜久そのものであった。顔立ちが似ているばかりではない。笑顔の作り方までが同じであった。よく笑う喜久の笑顔がそのまま佐久の手本となったのか。
その面影を、伊平は胸が締めつけられる思いで眺めた。
喜久はもういない。
それはもう、どうにもならぬことである。どんなに悲しくても、どうすることもできない。
けれど――
喜久の仕合せは、死して終わったのだろうか。
伊平ならばどうだ。死ねばこの世のことなどどうでもよいのか。未練なく涅槃へ行けるのか。
ふと、部屋に差し込んだ光のような救いが、伊平の心にも落ちた気がした。
佐久の仕合せ。
それは喜久の仕合せに通ずるのではないのだろうか。
一人娘の仕合せを、自らが死した後も願っている。喜久はそうした母親である。それならば、佐久が生きる限り、喜久の仕合せはすべて終わったわけではない。
少なくともこの時の伊平にはそう感じられたのだ。
佐久の仕合せを、伊平が守る。
そうすることで喜久の仕合せを繋げることにならぬだろうか。
そうであってほしいという、伊平の勝手な願いであるのかもしれないけれど、それを生きる糧としてもよいだろうか――
「お佐久、ありがとう」
そっと、頭を撫でた伊平に、佐久は嬉しそうに笑った。
●
――あれから十年以上が過ぎた。
けれどまだ、病を経ても伊平は生にしがみついている。喜久に早く会いたい思いはあれど、あと少しはという欲が芽生えてしまう。人とは強欲なものだから始末が悪い。
「おとっつぁんとおっかさんが出会ったのが、この板橋だったのよね。わたしもそうだって言えるのかしら」
などと佐久が言う。
「そうだねぇ。お前たちの縁もまた不思議なものだから」
本来ならば、旅籠の婿になどなる身ではない。
けれど、誰よりも佐久を想う相手だ。それだけは確かだと伊平は信じている。
「ねぇ、おとっつぁん」
「なんだい」
何気なく返した伊平に、佐久はぽつりとささやいた。
「わたし、今、すごく仕合せよ。これを感じて生きていられるのも、おっかさんがわたしを産んでくれたからだわ。それから、おとっつぁんが大事に育ててくれたから――。わたし、この仕合せが一日でも長く続いていくように頑張るつもりよ。ありがとう、おとっつぁん」
仕合せが一日でも長く続くように。
願うだけではない。佐久は自らが手に入れた仕合せを守っていこうとしているのだ。
逞しい娘になったと、伊平は驚きつつもその成長を嬉しく思った。
喜久が逝ってから、母を恋しがって泣く幼い佐久に、伊平は心の中で何度詫びたか知れない。
佐久の中の喜久の記憶は薄れて、伊平の語りだけで思い出すことはできなくなっただろうに、それでも母への感謝を忘れずにいてくれる。それが伊平には何より嬉しかった。
ほんの少しの、巣立っていく寂しさは胸の奥に押し込める。
佐久が仕合せであるならば、伊平も喜久も仕合せである。
それだけは間違いのないこと。
向こうで喜久と再会した時、伊平は喜久に佐久を育て上げたことを誇ってもよいだろうか。
伊平はまぶたを閉じ、その裏に浮かぶ喜久の顔を思い起こした。
あの花のような笑顔が胸に染む。
そんな晩であった――
《了》
ただ、商いは潤いを見せたものの、伊平には不安が常につきまとっていた。それは喜久のことである。
佐久を産んでから、寝つくことが多くなった。それとも、伊平が無理をさせすぎたのだろうか。
小さな佐久がよちよち歩きをしている様子を、喜久は縁側で眺めていた。目にうっすらと涙を浮かべ、小さくつぶやく。
「この仕合せがずぅっと続けばいいのに」
それは喜久の口癖になっていた。所帯を持った頃からずっと、ふとした拍子に口を突いて出る。
今が仕合せだと、喜久はそう思ってくれている。それを感じて伊平は喜久の言葉を微笑んで聞いていた。
けれど、時折、その言葉がひどく剣呑に感じられた。まるで仕合せの終わりを予見するようではないかと。仕合せは、どこかに区切りがあって、いつまでも続くものではないとでもいうような――
だから伊平はそれを聞くと嬉しい半面、どこか切なく胸が締めつけられた。
「ああ、もちろんだ。ずぅっと、ずぅっと、仕合せに過ごそう」
そう答えて、喜久の不安を和らげてやる。喜久はほっとして力を抜く。
そんなことを繰り返して日々を過ごした。
仕合せの終わりは、それでも確かに近づいていたのだ。
伊平が認めずとも――
喜久が倒れた時、佐久はまだはっきりと事態が呑み込めていなかった。母を呼びながら火がついたように泣き叫ぶ佐久の声で伊平は母屋へと急いだ。いつもの不安はもう、それが常となったら心が鈍っていた。今日がついにその日なのだとは思いもよらなかった。
倒れた喜久は、そのまま二度と目を覚ますことなく永い眠りについた。
あっけない。
そう言うよりなかった。
まさかと何度も何度も喜久の頬を摩っても、喜久は微笑まなかった。小さな佐久も伊平を真似てか喜久の手を懸命に摩る。死というものを知らない、幼い娘。まだ、眠った母が起きると思っているのだろう。
「おっかしゃん」
舌ったらずに母を呼び、揺さぶる。思わず伊平は佐久を抱きとめて呻いた。
「おっかさんはこれからお休みするんだよ。お佐久、わかったね」
「あい」
きょとんと大人しくなった佐久。けれど、まるで伊平の方が佐久にすがるようであった。涙は、今は出なかった。体が、自分のものではないように感じられた。これは現なのかと自問するのに忙しく、心だけが体を離れて流れ出てしまったのかもしれない。
葬儀がすっかり済んで、それからやっと伊平の心は体に戻った。
そうしたら、苦しくて悲しくて、気が狂いそうであった。
これが現か。
懸命に働いて過ごした喜久が、あんな幼子を残して逝かねばならないとは、一体何がそうさせたのだ。
仕合せは、続かなかった。喜久はどこかでそれを感じていた。
伊平はもっと、喜久にしてやれることがあったのではないだろうか。
本当に、喜久は仕合せであったろうか。伊平とあの時、板橋宿で別れていれば、違う人生があって、もっと末永い生を歩めたのではないだろうか。
取り留めなく、悔恨が胸のうちに溢れる。涙は、伊平が干乾びるまで止まることはないのかもしれない。奉公人たちも伊平にかける言葉は見つからなかったのだろう。嗚咽の漏れる障子を開く者はいなかった。
そう思ったけれど、佐久だけは喜久の死を理解できない。カラリと簡単に障子を開いた。薄暗かった部屋に光が差す。
「おとっつぁん、ごはんよ」
何も喉を通らなかった伊平を皆が心配してくれたのだ。握り飯がふたつ乗った皿を佐久が持っている。ただ、片手で障子を開けたせいで、皿はかなり傾いていた。そこから握り飯がころりと転がった。
「あっ」
畳の上に握り飯がふたつ転がり落ちる。佐久はそれがとても悲しかったようだ。見る見るうちに顔を赤くして泣き出した。
「落としちゃったぁ」
うわんうわんと泣く。握り飯がたったふたつ畳の上に落ちたにすぎない。そんなことよりも佐久は母を亡くしたのだ。もっと他に泣くべきことはあるだろうに。
――それでも伊平は、佐久に泣いていてほしくはなかった。その泣き顔を見ているのがつらかった。
「大丈夫だよ、お佐久。食べられるよ、ほら」
そう言って、伊平は畳の上の握り飯を食べた。久し振りの飯は、味などよくわからず、ただひたすらにしょっぱいだけだった。それでも飯を食む伊平に、佐久はぴたりと泣くのをやめ、そうして、笑った。
「よかったぁ」
佐久の笑みは、喜久によく似た――喜久そのものであった。顔立ちが似ているばかりではない。笑顔の作り方までが同じであった。よく笑う喜久の笑顔がそのまま佐久の手本となったのか。
その面影を、伊平は胸が締めつけられる思いで眺めた。
喜久はもういない。
それはもう、どうにもならぬことである。どんなに悲しくても、どうすることもできない。
けれど――
喜久の仕合せは、死して終わったのだろうか。
伊平ならばどうだ。死ねばこの世のことなどどうでもよいのか。未練なく涅槃へ行けるのか。
ふと、部屋に差し込んだ光のような救いが、伊平の心にも落ちた気がした。
佐久の仕合せ。
それは喜久の仕合せに通ずるのではないのだろうか。
一人娘の仕合せを、自らが死した後も願っている。喜久はそうした母親である。それならば、佐久が生きる限り、喜久の仕合せはすべて終わったわけではない。
少なくともこの時の伊平にはそう感じられたのだ。
佐久の仕合せを、伊平が守る。
そうすることで喜久の仕合せを繋げることにならぬだろうか。
そうであってほしいという、伊平の勝手な願いであるのかもしれないけれど、それを生きる糧としてもよいだろうか――
「お佐久、ありがとう」
そっと、頭を撫でた伊平に、佐久は嬉しそうに笑った。
●
――あれから十年以上が過ぎた。
けれどまだ、病を経ても伊平は生にしがみついている。喜久に早く会いたい思いはあれど、あと少しはという欲が芽生えてしまう。人とは強欲なものだから始末が悪い。
「おとっつぁんとおっかさんが出会ったのが、この板橋だったのよね。わたしもそうだって言えるのかしら」
などと佐久が言う。
「そうだねぇ。お前たちの縁もまた不思議なものだから」
本来ならば、旅籠の婿になどなる身ではない。
けれど、誰よりも佐久を想う相手だ。それだけは確かだと伊平は信じている。
「ねぇ、おとっつぁん」
「なんだい」
何気なく返した伊平に、佐久はぽつりとささやいた。
「わたし、今、すごく仕合せよ。これを感じて生きていられるのも、おっかさんがわたしを産んでくれたからだわ。それから、おとっつぁんが大事に育ててくれたから――。わたし、この仕合せが一日でも長く続いていくように頑張るつもりよ。ありがとう、おとっつぁん」
仕合せが一日でも長く続くように。
願うだけではない。佐久は自らが手に入れた仕合せを守っていこうとしているのだ。
逞しい娘になったと、伊平は驚きつつもその成長を嬉しく思った。
喜久が逝ってから、母を恋しがって泣く幼い佐久に、伊平は心の中で何度詫びたか知れない。
佐久の中の喜久の記憶は薄れて、伊平の語りだけで思い出すことはできなくなっただろうに、それでも母への感謝を忘れずにいてくれる。それが伊平には何より嬉しかった。
ほんの少しの、巣立っていく寂しさは胸の奥に押し込める。
佐久が仕合せであるならば、伊平も喜久も仕合せである。
それだけは間違いのないこと。
向こうで喜久と再会した時、伊平は喜久に佐久を育て上げたことを誇ってもよいだろうか。
伊平はまぶたを閉じ、その裏に浮かぶ喜久の顔を思い起こした。
あの花のような笑顔が胸に染む。
そんな晩であった――
《了》
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