16 / 60
第16話 これをクッションにするんだ
しおりを挟む
「それにしても、地下一階でこんなトラップが発動するなんて」
「確か致死級のトラップはないはずだったっすよね? これに踏まれたら普通に死ぬっすよ!」
ルイスのお陰でどうにか踏み潰されずに済んだが、非常に危ないところだったと、安堵するジークとリオ。
試験官のエリザも眉根を寄せながら同意した。
「……そうですわね。もっと深い場所ならともかく、この地下一階で、このレベルのトラップが発動するなんて……」
トラップを発動させた張本人であるコルットが、おずおずと言う。
「あの……あたし、昔からすごく運が悪くて……普通なら起こらないような確率のことに、しょっちゅう遭遇するんです……だから、そのせいかもです……」
どうやら彼女は不幸体質らしい。
「毒舌に不幸体質って、どんな【聖女】っすか……」
「むしろそんなあたしが、なんで【聖女】なんですかね……? ふふふ……もしかしたら、神様があたしのことを皮肉って【聖女】にしたのかも……」
「ま、まぁでも、助かったんだから不幸中の幸いってやつだよ、うん」
ニヒルな笑みを浮かべるコルットを、ジークがどうにかフォローする。
しかし、コルットの不運はこれだけでは終わらなかった。
がこん。
「あっ」
「って、またっすかっ!?」
再び怪しいスイッチを踏んでしまうコルット。
「気を付けて! 何が起こるか分からないよ!」
「また地響きが聞こえてきたな」
ズゴゴゴゴゴゴ……。
「ということは今度もあの巨大な球っすか?」
「いや、それよりもっと近いような……」
「これ、明らかに足元が揺れてるぞ」
「「え?」」
自分たちが立つ地面が振動していることに気づいたルイス。
「めちゃくちゃ嫌な予感がするっす……っ!」
リオが叫んだ直後だった。
突如として地面が消失したのは。
落とし穴だ。
「「「ぎゃあああああああっ!?」」」
絶叫を轟かせ、そろって落下していく。
「まったく下が見えないっす!?」
「ど、どこまで落ちていくんだっ!?」
このダンジョンは階層構造になっている。
そのため落ちるとしても、すぐ下の階までかとばかり思っていたら、どうやらもっと深い落とし穴のようだ。
「こ、これはもう、おれたちじゃ無理っす! エリザさん、助けてほしいっす!」
「……」
「エリザさんっ?」
「これはあたくしにも……どうしようもできませんわ……」
「きゅう……」
「ああっ、コルットが気絶したっす!?」
試験官までお手上げな状況だと知り、コルットが完全に意識を失ってしまった。
「さすがにこのまま底に激突したら死んでしまうな」
「ルイスは何でそんなに冷静なんすか!?」
「もしかして、何か助かる方法がっ?」
「うーん、空気を操ることができればよかったんだが……」
上昇気流を発生させることで空を飛ぶことができるルイスだが、生憎とこのダンジョン内では上手く空気を操作することができない。
「そうだ。あれを使えば……。みんな、しっかり俺に掴まっててくれ」
そこで何かを思いついたらしく、ルイスが亜空間から取り出したのは、
「「巨大な白菜!?」」
「ああ。この一枚を剥がして、と」
直径二メートルはあるだろう巨大白菜から、ルイスは葉を一枚だけ剥がすと、両端を持って大きく広げた。
「っ!? 落下速度が……落ちたっす!」
白菜の葉が空気を捕まえ、急減速させることに成功する。
「一か八かだったが、上手いこといったみたいだな。あ、ちなみにこれは食用の白菜だから、食べたら美味いぞ」
「こんな状況で上手くもない冗談言わなくていいよ……」
そうこうしているうちに、ようやく底が見えてきた。
「危ないところだったっすね……もう少し遅れていたら、あそこに激突してお陀仏だったっす……」
「でも、かなりスピードが落ちたと言っても、まだ結構な勢いだよ? このまま着地したら無事じゃすまないかも……」
「こいつを使おう」
新たにルイスが取り出したのは、巨大なシイタケだった。
「これをクッションにするんだ」
「なんかもう、何でもありっすね……」
シイタケの傘の部分を下にし、ついに落とし穴の底へ。
ルイスの思惑通り、柔らかい傘が衝撃を吸収してくれ、難なく着地することができた。
「た、助かったみたいっすね」
「……ひとまずはね。ただ、問題はここからだよ。あれだけの距離を落ちてきたんだ。ここはもう、ダンジョンのかなり下層のはず……」
「確か致死級のトラップはないはずだったっすよね? これに踏まれたら普通に死ぬっすよ!」
ルイスのお陰でどうにか踏み潰されずに済んだが、非常に危ないところだったと、安堵するジークとリオ。
試験官のエリザも眉根を寄せながら同意した。
「……そうですわね。もっと深い場所ならともかく、この地下一階で、このレベルのトラップが発動するなんて……」
トラップを発動させた張本人であるコルットが、おずおずと言う。
「あの……あたし、昔からすごく運が悪くて……普通なら起こらないような確率のことに、しょっちゅう遭遇するんです……だから、そのせいかもです……」
どうやら彼女は不幸体質らしい。
「毒舌に不幸体質って、どんな【聖女】っすか……」
「むしろそんなあたしが、なんで【聖女】なんですかね……? ふふふ……もしかしたら、神様があたしのことを皮肉って【聖女】にしたのかも……」
「ま、まぁでも、助かったんだから不幸中の幸いってやつだよ、うん」
ニヒルな笑みを浮かべるコルットを、ジークがどうにかフォローする。
しかし、コルットの不運はこれだけでは終わらなかった。
がこん。
「あっ」
「って、またっすかっ!?」
再び怪しいスイッチを踏んでしまうコルット。
「気を付けて! 何が起こるか分からないよ!」
「また地響きが聞こえてきたな」
ズゴゴゴゴゴゴ……。
「ということは今度もあの巨大な球っすか?」
「いや、それよりもっと近いような……」
「これ、明らかに足元が揺れてるぞ」
「「え?」」
自分たちが立つ地面が振動していることに気づいたルイス。
「めちゃくちゃ嫌な予感がするっす……っ!」
リオが叫んだ直後だった。
突如として地面が消失したのは。
落とし穴だ。
「「「ぎゃあああああああっ!?」」」
絶叫を轟かせ、そろって落下していく。
「まったく下が見えないっす!?」
「ど、どこまで落ちていくんだっ!?」
このダンジョンは階層構造になっている。
そのため落ちるとしても、すぐ下の階までかとばかり思っていたら、どうやらもっと深い落とし穴のようだ。
「こ、これはもう、おれたちじゃ無理っす! エリザさん、助けてほしいっす!」
「……」
「エリザさんっ?」
「これはあたくしにも……どうしようもできませんわ……」
「きゅう……」
「ああっ、コルットが気絶したっす!?」
試験官までお手上げな状況だと知り、コルットが完全に意識を失ってしまった。
「さすがにこのまま底に激突したら死んでしまうな」
「ルイスは何でそんなに冷静なんすか!?」
「もしかして、何か助かる方法がっ?」
「うーん、空気を操ることができればよかったんだが……」
上昇気流を発生させることで空を飛ぶことができるルイスだが、生憎とこのダンジョン内では上手く空気を操作することができない。
「そうだ。あれを使えば……。みんな、しっかり俺に掴まっててくれ」
そこで何かを思いついたらしく、ルイスが亜空間から取り出したのは、
「「巨大な白菜!?」」
「ああ。この一枚を剥がして、と」
直径二メートルはあるだろう巨大白菜から、ルイスは葉を一枚だけ剥がすと、両端を持って大きく広げた。
「っ!? 落下速度が……落ちたっす!」
白菜の葉が空気を捕まえ、急減速させることに成功する。
「一か八かだったが、上手いこといったみたいだな。あ、ちなみにこれは食用の白菜だから、食べたら美味いぞ」
「こんな状況で上手くもない冗談言わなくていいよ……」
そうこうしているうちに、ようやく底が見えてきた。
「危ないところだったっすね……もう少し遅れていたら、あそこに激突してお陀仏だったっす……」
「でも、かなりスピードが落ちたと言っても、まだ結構な勢いだよ? このまま着地したら無事じゃすまないかも……」
「こいつを使おう」
新たにルイスが取り出したのは、巨大なシイタケだった。
「これをクッションにするんだ」
「なんかもう、何でもありっすね……」
シイタケの傘の部分を下にし、ついに落とし穴の底へ。
ルイスの思惑通り、柔らかい傘が衝撃を吸収してくれ、難なく着地することができた。
「た、助かったみたいっすね」
「……ひとまずはね。ただ、問題はここからだよ。あれだけの距離を落ちてきたんだ。ここはもう、ダンジョンのかなり下層のはず……」
12
あなたにおすすめの小説
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる