転生の女神だった私が異世界に転生してしまったので世界救って再び女神に戻りたいと思う

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1章 村編

第6話 人食いモンスターと再び出会った

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 戦争が始まって一週間が経とうとした日。
 とはいえ、戦争による戦火がこんな村まで届くわけではない。ただ村の人口が減っただけ。それだけである。
 どこか寂しい村の中、私は今日も一人の子供として、お母さんの手伝いをしたり、遊んだりして過ごす。
 そんな中。
 私は日課としていた森の探索を行う。
 森の中でよくノア君と遊んでいた私だったが、気づけば森で遊ぶことは少なくなっていった。それよりも、村で何かする方が増えてきた。
 ただ、それでも私が森に行くのはカルルともう一度会おうと思ったからである。
 とはいえ、そんな簡単に会えるものじゃない。
 あの日、会ったきりである。
 私は聖地から少し離れた森の遊び場で、何時も椅子替わりにしている切り株に腰を下ろした。

「困った。戦争について聞きたいのだけれども、もういないのかな? 魔導士も戦争に参加するものなのかな? そう言えば、村を調査しているとかどうとか言っていたよね。違和感がどうとか」

 違和感なんて言われても、普通ののどかな村としか思わない。
 仮にあるとすれば聖地ぐらいなものだが。

「聖地について一度詳しく聞いてみよう」

 でも、まだ七歳の私に詳しく教えてくれるはずがない。
 大人になったら教えてくれるのだろうか?
 でも、それよりも早く知りたいし。
 どうしようかな。

「はあ、問題がいろいろありすぎる」

 この前発見した問題の解決策もまだ発見していないのに、新しく問題を作ってどうすると言うのだ。
 考えるのが苦手な私が良い案が思いつくとも思えれないし。
 こういう時はいっつもアヤメに助けてもらってきたからなぁ。
 そう言えば、そうなると。アヤメともう一年以上会っていないのか。
 アヤメだったらどう言うかな。

「アヤメだったら」

 聖人ポイントは女神が生み出す。
 その女神がいないから聖人ポイントはため込むことができない。
 ではどうするか。
 アヤメならそんな問題の解決策をサラッと出すに決まっている。
 アヤメだったら。
 アヤメなら。

「そうだ。アヤメなら。まず私のことを探すはず」

 次の女神が生まれるよりも先に、どこかに消えた私を探す方が早いに決まっている。
 そして、どうやって私のことを探すだろうか。
 転生の女神に仕えるアヤメだ。
 仮にも私の転生先の世界が支配外だとしても、探す方法はいくらでもある。そうやって私のことを探すはず。
 そうなれば。あとは見つけてもらうのが良いのだろうか。
 ううむ。それとも聖人ポイントを不正作成するとか。
 聖人ポイント。作る術はあるけども、ため込んだとしても結局のところ私の変わりとなる女神がいなければ使うことはできないし。
 そうだ。
 そうだ!
 アヤメに変わりにやってもらおう。
 アヤメなら、私の変わりを一時的にすることができる力がある。
 よし。

「じゃあ、沢山の人を救って、そうやって自分をアピールすればアヤメに気づいてもらえるだろうから。そうなったら私の力の一部をあげて、アヤメに女神の変わりになってもらって。それで私を天使にしてもらおう」

 あれ、これで行ける気がしてきた。
 流石私。やればできる子!
 ふふふ。
 上機嫌に、私は足をバタバタさせる。
 そんな中。
 私の作戦を邪魔するかのようにそれは再び現れた。
 ガサガサと草をかき分けながらゆっくりと動くそれに私は見覚えがあった。それもまた私に見覚えがあったのか、一瞬止まる。
 そして、私の方を見つめてくる。
 つぶらな瞳が私の方を見ている。

「また会った。今回は聖地じゃないというのに」

 人食いモンスターと呼ばれている巨大なミミズ。
 前回と同じ人食いモンスターなのか、火傷の後が見える。
 再び警戒しているのか、頭だけを持ち上げて、一定の距離を保ち続けるそれが本当に何を考えているのか皆目見当もつかない。
 聖地じゃないというのに、出会うなんて。前回はカルルが追い返したけども今回は私が追い返さないといけない。

「それとも、ここもあなたの住処の一部なの?」

 そう聞くけども、それが答えることはない。

「まあ、良いや。どうしてあなたが私のことをずっと睨んでくるのか知りたいのだけれども、また私を追いかけるなら、おっきな炎でその火傷を増やすよ?」

 そう思って、私が手を上げた時。

「ぴ、ぴー、ぴ、ぴ」

 それは何か言った。
 不思議な音として、それから発せられたのだ。はっきりと聞こえる。

「…………あなた喋れるの?」

 でも意味なんか分からない。
 このモンスターにとっての言語なのだろうか。それとも意味もなく、ただ威嚇などの意味を込めて言ったのだろうか。
 いや威嚇はないか。

「変なの」
「ぴ、ぴ、ぴー、ぴ、ぴー」
「何を言っているの?」
「ぴー、ぴ、ぴー、ぴ、ぴー」
「だから」
「ぴー、ぴ、ぴ、ぴー」
「分からないから。私の分かるように話して。話せないなら静かにしなさい、もう」

 すると、私の静かにしなさいの言葉でモンスターは黙り込んだ。
 私の言うことを聞いた?
 もしかして、前回私の後を追いかけたのは私に従うため?
 いやでも、私この子と何一つ関わりがないし。今の私に女神だったころのカリスマなんかあるはずもない。まあ女神だったころもあったか言われると難しかったけども。
 どういうこと。
 分からない。
 意味が分からない。

「でも、敵じゃないみたい」

 私は立ち上がり、それに近づく。
 それは、モンスターは近づく私をただ見つめて、逃げようとはしない。

「私に一体何を望んでいるの?」
「…………セレネ?」

 それはただの偶然だった。
 そこにお母さんの姿があったのは。

「…………うそ」

 かごを持ってどこかへと向かう途中のお母さんがここを通ったのは。私が偶然にもこのモンスターと出会ったのも。
 そうすべては偶然なのだから。

「どうしてセレネの前に山神様が現れたの?」
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