クラス転移した俺のスキルが【マスター◯―ション】だった件 (新版)

スイーツ阿修羅

文字の大きさ
132 / 203
第五膜 零れた朝露、蜜の残り香編

百三十二射目「この戦いが終わったら」

しおりを挟む
新崎直穂にいざきなおほ視点―
 
行宗ゆきむね聞いてっ!
 私が天使になるからっ! 行宗ゆきむねはマナトを抑えておいてっ!」

 新崎直穂にいざきなおほは、万波行宗まんなみゆきむねにそう告げた。
 私は近接戦闘が苦手だから、マナトを抑えておくには行宗ゆきむねが適任だ。
 だから天使になるべきなのは私だ。

「わ、分かった…… 
 でも…… だ、だいじょうぶか?
 一人でできるか直穂なおほっ?」

 行宗ゆきむねの明らかに動揺した声がした。
 一人でできるかって……そんなこと聞かないでよっ……
 めちゃくちゃ恥ずかしくなってきたじゃないっ!

「ば、ばかにしないでっ!
 私にだってできるからっ! 戦えるからっ!」

 上ずった声でそう叫んで、私は木の陰に隠れた。
 メラメラと燃え盛る夜の森……
 木陰にしゃがんだ私の手は、ガタガタガタと震えていた……

 クラスメイトと戦ったあのボス戦で、私は天使になることを躊躇った。
 みんなのいる中でオ◯ニーするなんて、とてもじゃないけどできなくて……
 でも行宗ゆきむねは、賢者になって戦った……

 今度は私が戦う番だ。
 天使になってみんなを守る。

 でも……
 怖い………
 怖いよ……

 全身に寒気がして、手の指先が震えた……
 心臓を死神に掴まれたようで、地獄に引きずりこまれるような感覚。
 嫌な汗が、ぶわっと滲み出した。

 この戦いの命運は、私にかかっていた。
 行宗ゆきむね誠也せいやさんが、命がけで戦っているなかで……
 私は一刻も早く、天使にならないといけない。
 
 震える手を抑えながら、下半身に潜り込ませて、必死に深呼吸をする……

 でも、全然楽にならない……
 息苦しい……
 感覚が冷えて、何も感じなくなっていった……
 焦る……焦る……どんどんと怖くなる。
 早く、早く、戦わなくちゃいけないのに!
 じゃないと、みんな殺されちゃうのにっ!
 急がないと、急がないとっ……

 たった一瞬が、無限の時間に感じられた。
 呼吸が荒い、心臓が早鐘を打っていた。

 開始してから、どれだけたっただろうか……
 生きた心地がしなかった。
 まだ……なんで?
 なんで私は………




直穂なおほっ!!!」

 そんなとき、私の耳に……
 愛する彼の言葉が届いてきた。
 行宗ゆきむねの声だ。

直穂なおほっ! 
 俺は直穂なおほのことが好きだっ!
 この世の誰よりも愛してるっ! 
 その優しい声も、屈託ない笑顔もっ、控えめなおっぱいも、エッチな身体も……
 全部ぜーんぶ大好きだっ!」

 っ……!!

 最愛の彼からの、愛の言葉を受けて……
 冷えていた私の心臓が、トクンとときめいた。

 好きって言ってもらえて嬉しかった。
 彼からの熱い想いが、私への愛が、
 私の心に伝わって……
 全身が熱くなって、のぼせてしまいそうだ。

直穂なおほとキスすると、いつも胸がおどるんだっ!
 めちゃくちゃ興奮するっ!
 耳元で囁かれるのも、ぎゅっとだきしめられるのも、人生で一番幸せな瞬間なんだっ!
 だからっ……!!」

 キン、キンと剣のぶつかる音がする……
 今も行宗ゆきむねは、私のために戦ってくれているのだ。
 私に期待してくれている。私を信じてくれている。
 私に言葉を投げかけて、励ましてくれている……

「俺は世界で一番、新崎直穂にいざきなおほが大好きだっ!
 良いところもだめなところも全部ひっくるめて、新崎直穂にいざきなおほが好きなんだっ! 
 我慢されてごめんっ! 意地張ってごめんっ!
 きっと不安にさせたよなっ……
 俺と結婚してくれ直穂なおほっ!
 この戦いが終わったら、二人で幸せになろうっ!
 一つになろうっ!
 約束したいんだっ!
 この先の未来、たとえどんなことがあってもっ!
 たとえ現実世界に帰れなくてもっ!!
 俺は直穂なおほと添い遂げたいからっ!!」

 私の視界が、涙で滲んだ。
 嬉しかった。凄く嬉しかった。
 それはおそらく、私が一番欲しかった言葉だった……
 
 この世界に召喚されてから、一週間が過ぎて、
 現実世界に帰る方法どころか、和奈かずなもクラスメイトも大変なことになっていて……
 でも、それでも……この先にどんな運命が待っていようと……
 私は、行宗ゆきむねと一緒に、ずっと……

 それはそうとして……
 この戦いが終わったら結婚だなんて、完全に死亡フラグだけどね……


「だからっ! この戦いは勝たなきゃだめだっ! 戦おう直穂なおほっ!
 そして勝って、そのあと無茶苦茶セ◯クスしようっ!!」

 ふふっ。
 思わず笑みが溢れた。
 最後の一言が余計なんだっての、行宗ゆきむねは……

 ううん、嘘……
 ほんとは私も期待してる。
 ずっとずっと行宗ゆきむねと、もっと深いところで一つになりたかったから……
 凄く興奮する……
 ……言質は取ったからな?
 男に二言はないんだよな?
 ふふ、楽しみだよ……

 口から甘い吐息が漏れ出した。
 幸せと興奮でおかしくなりそうだった。
 そうだ、もっともっと、おかしくなれ、
 私は新崎直穂にいざきなおほだ。
 万波行宗まんなみゆきむねの彼女で、彼の妻になる女だ。
 そして旦那に劣らないぐらいの、頭の中まっピンクなド変態なんだからっ!

「私もっ……!」

 私も答えなければいけない。
 彼のプロポーズに対する私の返事を……
 そして夢を語るんだ。
 彼と私と、これからの人生のことを。

「私もっ、行宗ゆきむねを愛してるっ!
 優しくて、男らしくてっ、かっこよくてっ、
 そんな行宗ゆきむねが大好きなのっ!
 うんっ! 結婚……シよっ!!
 私も行宗ゆきむねと結婚してっ、もっとイチャイチャしてっ! 子供も沢山産んでっ!
 死ぬまで行宗ゆきむねのそばにいたいからっ!」

 思いのたけをぶちまけた。
 高揚感といとしさで、身体じゅうが熱い……
 熱くて熱くて火傷しそうだ。
 全身が火照って熱い。
 幸せで、心臓が暴れて、
 すごく興奮する……

 あぁ好き、好き、
 好きだよ行宗ゆきむねくんっ……
 好き、好き……
 大好き、
 大好きだから………
 
 私は、戦う。
 この戦いを乗り越えた先で、私は行宗ゆきむねと、一つになる……
 負けるわけにはいかないんだからっ!!

 この階段を、一気に駆け上がろう。
 登った先で、幸せが待ってる。

「んんっ!」


 そして、私は、
 戦う天使となった。
 駆け巡る身体の震えとともに、
 全身が純白の光でつつまれて……

 私は……天使だ。
 私が、この戦いを終わらせる。
 
 邪魔な敵を、ギルアを、ぶっつぶす!!
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

子供って難解だ〜2児の母の笑える小話〜

珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
10秒で読める笑えるエッセイ集です。 2匹の怪獣さんの母です。12歳の娘と6歳の息子がいます。子供はネタの宝庫だと思います。クスッと笑えるエピソードをどうぞ。 毎日毎日ネタが絶えなくて更新しながら楽しんでいます(笑)

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...