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第010部 魔人達に捧げる禍つ謳

第07話 魔人保育園?

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乗り心地の悪い馬車、さっさと腕輪の転移札を使い部屋に戻りたい…向かいで足を組み腕を組み指を数回叩くユラヴィレオにメルガドールは顔には出さないが内心苦笑いをしつつ、馬車の窓から見えるカジノタワーに視線を向ける…メルガドールは目の前の光景に驚き立ち上がり次いでユラヴィレオも視線を向ければ馬車を止めろと命令を御者に下した。
「君たち!」
「ん?なに」
「僕達に何か用ですか?」
「カジノタワーに行くのか………」
「子供………だけ?」
荷車を引く少年とその隣を歩く少年、荷車の中の状態に唖然とした。
「これは…」
「君たち…あの塔に用があるのかい?」
「あると言えばある」
「あの中にいたりいなかったり?する人?に用があります」
「そうか、私達が連れて行こう」
『…………』
「ああ、もしかして私達が人攫いか何かと思っているのかい?少し待っていてくれ、詠斗殿達に連絡するから」
「警戒心が合って良いことだ」
メルガドールが無言でいる少年2名に、スマホで詠斗達に連絡をとりユラヴィレオが感心した。
「違う違う、あんたら貴族だろ?俺達を見てわざわざ馬車から降りて来たから道塞ぐなって言いに来たのか…」
「子供を寄越せって言いに来たのかと、高値を付けてやるって」
2人の言葉にユラヴィレオが青筋を立てる、貴族とはそういう物だと下から見れば理不尽な存在だと彼らは知っているのだ。
「少なくとも私達はそんな事はしない、あのカジノタワーは身寄りのない子供達に対して礼を持って対応する」
「俺はどうでもいい、コイツら引き取って欲しいだけ」
「僕も、1度関わったからこの子達を保護してくれる所に連れて行こうとしていただけです」
「ああ、彼らは引き取ってくれる」
「今、詠斗さん達呼んだから。すぐに来る」
「ありがと」
「ありがとうございます」
「私はメルガドール・クォータ・ガルディアだ」
「私はユラヴィレオ・サマルク・ガルディア」
「俺はテーデ」
「僕はエツィアです」
「彼らは?」
『?』
「名前とかあるのかな?」
『ない』
『…………』
子供達が荷車の中で静かにはしていない、馬を見たり馬車を見たり周辺で遊んでいる。
「メルガドールさん、ユラヴィレオさん…うわ!子供が沢山!」
「ん、多いわ」
「詠斗殿、懐記殿……カジノタワーへ」
「カジノタワーへ転移を頼みたい」
「そうだね、話しはそっちで聞くよ」
「オッケ、何人子供いる?」
「13だっけ?」
「多分それ位?」
「えっと一旦荷車に乗せようか、おいでー」
詠斗と懐記が子供達、荷車に残っているのは赤ん坊4名と寝ている幼児1名、エツィアが抱えている子供以外を詠斗と率とメルガドールが抱えて戻そうとする、御者は馬と子供の様子見ている為動かない様指示をしている、ユラヴィレオは見ている。
「呼んでも来ないです」
「置いていけば勝手に付いて来るし増える」
「えー」
「じゃ、おやつ食う?子供らは食べられない物とかないわけ?」
「ない何でも食う」
「毒も食べれます」
「……おやつあるよーおいしいよー」
『あい!』
瞬時に子供達にが集まるのでマシュマロを渡していく、テーデやエツィアにメルガドール達にも渡して、夢中で食べている子供達を荷車に乗せてカジノタワーの会議室へと転移した。

『これは…』
『あらあらぁ、大変。グローリーちゃん達を呼びましょ』
『他の魔人の皆様と大河様達も呼びましょう』
「わあ、すごい綺麗な建物ー」
「広いな」
「散るのはや!」
「マシュマロまだあるわ」
『あい!』
着いたらすぐに荷車から散る子供6名に驚き、懐記が収納からマシュマロを出せば瞬時に子供が集まり手を伸ばす、懐記が浄化魔法を掛けてマシュマロを渡した。
「皆どうかしたのか?子供?」
「何かあったのー?可愛い!」
「急いでと風早に言われたんですが…小さいお客さんがいますね、こんにちわー」
「この子達…全員魔人だね、来てくれてありがとう」
「保育園みたいだな」
「かわいいーグリちゃん喜ぶね」
風早と識に呼ばれ大河達、一緒にいたイシュターやジラ孤児院の件で訪れていたライガル、ニジェルガに《ロメンスギル》の孤児や奴隷達の話しをしに訪れていたラージュ達も唖然としていた。
崇幸とハンモック造りを行っていたベルン達にテトラ達もやって来て、賑やかだった。
「親父か?」
「パパ?」
『あい!』
「みんな…」
家に共に住む(タナトスふくむ)全員で少し遅れたグローリー達の姿を見てテーデとエツィアに子供達も集まる、グローリーは皆の顔を見た。
「わあ、可愛いねーみーんなうちの子だね」
「そうだなー今日はすき焼きだ!」
眠るイビヤを抱くカーテスと、赤ん坊を抱くウォルゾガが子供達を見て笑う、イザラ達も異論は無い。
「待て待て、家狭いだろう?広くするから今日はホテルか《島船》に泊ってくれ」
「お、なんだか子供が沢山だな!」
『のす』
呼ばれて遅れたテュフにノースとロックス、手伝いをしていたカイネやバルタル。
カイムやヤハネにヴィッセも訪れ、更に少し遅れて率やテスカ達やアシュー達もやって来て、風早が空間を広げた。
『きゃー』
『のす』
「お、ノース子供達に遊んで貰うか!」
『のす』
子供達がノースの身体によじ登る、ノースは好きにさせていた。
『魔人の子供だらけか…』
イザラの頭の上で収納巾着袋からマシュマロを出し、頭のヒヨコと半分にして食べればいつの間にか小さい子供が指を加えてマシュマロを見ていた。
『俺のだぞ』
「チキ…」
「君たちご飯は食べたのかい?」
「コイツらは昨日の夜食った」
「僕達は最後にいつごはん食べたっけ?」
「さあ?お湯は飯に入るのか?」
「入るなら朝かな」
『……………………』
「食事!ごはん!」
「子供達捕まえて!」
「モギ連れて来ます!」
「おにぎりあるぞ!」
「こっち唐揚げ」
「今パン出す」
「みんなー座ってー」
「赤ちゃん達はミルク、離乳食?」
「ヤハネお前見ろ」
「ちょっと待て、赤ん坊は果物とかミルク粥!」
「ふたりとも座って…沢山食べて」
「あんぱんとメロンパンだ」
「スープありますよ、ミルクも」
「後でアイスあるから」
「崇幸ちゃん!哺乳瓶たりないー」
「今だすぞ」
大人達が大慌てで子供達を座らせ食事を手伝い、カーテスや舵やモギを連れて来たベルン達が赤ん坊達にミルクを飲ませる。
テーブルに次々食事が並び、テーデもエツィアも夢中で食べ始めた。
「腹は減っている以外は皆問題なさそうだな、しっかしコイツら下位中位上位最上位一緒くただなー」
「コイツら仲悪い」
「しょっちゅうケンカしてるもんね」
「それはするだろうな」
ヤハネが鑑定し、スープやパンに肉に食らいつくテーデとゆっくりダンジョン肉ステーキを食べるエツィア。
「全員一緒は厳しいですよ、グローリー様」
「みんな…」
ご飯やミルクに夢中な子供達、ヴィッセの進言にグローリーの悲しそうな声に全員固まる、互いが互いに視線を送る。
「本当に仲悪い」
「そうそう、この間ケンカしててほっといたら業火魔法と氷結魔法と雷晴魔法発動させてたし」
「あれな、俺達2人で止めてたし。国ぶっ飛ぶとこだったな」
「えぐ」
「大変だったね」
「うん、僕が気付いて結界張って止めたの!」
「俺も張った、大体お前があの日コイツらを見る当番だったのに狩りから帰ったらケンカしてるから」
「仕方ないでしょー赤ちゃん達がぐずるから、あやすのに目を離した隙に…」
「エツィア…大変だったね…これからはみんないるよ」
「パパ…」
「ふん」
「お前も大変だったんだろ?ゆっくりしろよ俺はイデア」
「俺達がいる…俺はイザラ」
「兄貴だろ」
「よろしく」
「別に、アイツら届けに来ただけだし」
「今は飯食っとけ話しは後な」
イザラとイデアとテーデの話しにカイムが割って入り…なんとか、13名の魔人の子供達の食事を終わらせた…大人達は大分疲労はしていた…。
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