神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第7章 弟子と神器回収

魔蔵把握

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「まずはさっき把握した魔力で体の内側を満たしてくれ。出来る範囲で構わない」
「わかった。やってみる」

陸は目を瞑り集中する。すると少しずつ魔力が体から溢れてきている。

(やはりいきなりコントロールは無理か…余分な魔力が外に漏れてしまっている。だが魔力量はかなり多そうだ)

「よし、その状態を維持したままで魔力がどこから流れてくるか探ってみろ」
「あぁ………うーん…全然分からん。魔力が流れてるのは分かるんだけどなー。不思議だ」
「それが普通だろう。なら今からさっきの裏技やるぞ」
「ほんとにするのか?」
「当たり前だ」
「ええい!やってくれ!」

陸はほぼヤケクソ気味に返事をする。
咲良は陸の肩に手を乗せて魔力を流しにかかるが、先ほど陸に魔力を感じさせた時と違って、目を瞑って深く深く集中している。
その咲良を見て騒いでいた陸も静かになった。

(咲良のやつ、すげぇ集中力だな…俺もいつか咲良みたいに)

そう思った瞬間、陸の全身に激痛が走る。

「ぐっ!!ぐわぁぁぁ!!」

陸は思わず叫んでしまった。
咲良の集中力が途切れてしまわないように声に出さないようにしたい所だが、この痛みでは声を抑えることは叶わない。

「がぁぁぁ……さ…さく…ら…」

痛みの中でチラリと咲良を見ると、咲良はよほど精密な作業なのか汗をダラダラかきながら眉間にシワを寄せて集中している。

(咲良も…集中…して…いるんだな…なら…俺も……耐えない…と…な)

陸は痛みを感じながらも気持ちを切り替えて、耐えようとする。
その時、咲良がフッと少し笑ったような気がした。

「もう少し…もう少しで分かる…」

咲良が陸に聞こえるギリギリの声量で呟く。

「……ぐっ……」

陸も咲良に応えるように必死で耐える。

「……見えた!……陸!今から魔蔵に俺の魔力を集める!感じ取るんだ!」

「ぐぅ……わ…わかった…」

陸は必死に魔蔵の位置を探る。


そして見つけた。
丁度心臓の位置に魔力が溜まっており、なおかつ陸自身の魔力もそこから生み出されているのを感じ取った。

「…み!……みえ…た!」

陸がしっかりと魔蔵の位置を把握した瞬間、咲良から送られてくる魔力がゆっくりと減っていく。

「ふぅ。…よくやったな」

精神的に疲れた顔をしている咲良がニヤリと笑う。

「はぁ、はぁ、はぁ…づがれだー」

陸はその場に大の字で倒れる。

「少し休憩にしよう」

咲良はそう言いながら、陸の腹に手を置く。

「……なに…を?」
「回復だ。数分もありゃ全快にできる」
「そりゃ…あり…がたい…」

それから30分後…

「すげー!魔力が手から出てきた!」

すっかり全快し、魔蔵を把握したことによって魔力のコントロールも上達した陸ははしゃいでいた。

「これでひとまずゲイボルグの能力をしっかりと引き出せるわけだが…どうせなら魔力操作も完璧に出来るようになれ」
「俺もそれ思ってた!」
「魔力操作をマスターすればこんな事も出来る」

咲良は空中に魔力を作りその上にのる。ハタから見れば浮いているかのようだ。

「すげー…」

咲良は音もなく地に降りる。

「他にも壁を作ったりもできるし、魔力を身体に覆うと身体能力も上がる」
「どうやったら出来るようになる?」
「今のお前はただ体外に魔力を放出することしか出来ていない。一度外で魔力で球体を作ってみな」

陸は手を前に出して魔力の球体を作ろうとするが、モヤモヤとした形のない魔力が漂うだけだった。

「ダメだ!全然できない…」
「最初から出来るとは思ってないさ」
「ひでぇな」
「魔力操作をマスターするには才能あるものでも数年以上。魔力を体外で形にするだけでも相当掛かる。」
「げっ…」
「だが陸なら数ヶ月もあれば出来るようになるだろう」
「そうなのか?」

咲良の話では難易度はかなり高い。陸は自分にそんな才能があるようには思えなかった。

「俺の裏技によって全ての工程をぶっ飛ばしたからな」

魔力操作を鍛錬する際、一つ一つの工程に数年掛かってしまうのは魔蔵を把握できていないからだ。しかし陸は咲良の裏技によって把握できたので工程にそう時間はかからない。

「なんか真面目に修行してる人達に悪いな」
「気にするな。運がなかった…それだけだ」
「ははっ、咲良らしいな」
「そんなことよりもだ。今日から毎日空き時間があれば魔力を体外で球体にする修行しとけよ。それが出来るようになった後はその球体を自由に動かしたり、質量を変えたりしてみろ」
「わかった。ずっと咲良が教えてくれる訳じゃないしな。頑張ってみるよ!」

陸は意気揚々と鍛錬に取り組もうとするが、咲良がそれを制する。

「頑張るのはいいが魔力の練習は後にしろ。ゲイボルグが先だ」
「そうだった!」

本来の趣旨を忘れていた陸はハッとする。

「まずはゲイボルグに魔力を送ってみろ。それで能力が発動する。まぁゲイボルグ自身の魔力でも能力は使えるんだがな」
「そうなんだ……ん?…なら俺が痛い思いした意味無くない?」
「ゲイボルグの魔力は無限じゃねーし、生み出す量もそこまで多くない。魔力を酷使すれば武具自体が脆くなってしまう」
「まるで生きているみたいだな」
「ふっ、その考えで良いさ」

咲良は陸のこの考えに鍛治師として嬉しかった。

「咲良、ゲイボルグは性能的にもお前が使った方が良いんじゃないか?」
「良い案だな」
「……あれ?」

冗談で言ったつもりだったが、予想外の返答にキョトンとする。

「嘘だよ。ゲイボルグも良い武器だが俺には相棒がいるからな」

咲良は腰に下げてある村正に触れる。

「村正だったよな?その刀は良い主人に恵まれて幸せだな」
「ふっ…本当にお前ってやつは……流石、俺の親友なだけあるな」

咲良は陸の言葉に心底驚き、また嬉しく思った。

「今更だろ?」

陸は素っ気なく返すが内心は嬉しかった。やっはり亮太は亮太だと改めて感じたからだ。

「じゃあ再開するぞ」

咲良の一言で陸はゲイボルグをギュッと握り直す。

「ゲイボルグに魔力を送ってみろ」
「わかった」

陸は目を瞑り集中しながら魔力をゲイボルグへ送る。

「おぉ…」

咲良も思わず声を出す。

陸の周りにゲイボルグと同じ形状をした5本の槍が浮いていた。

「陸、目を開けてみろ」
「あ、あぁ……うおっ!なんじゃこりゃ!」

陸も自身の周りに浮いている5本のゲイボルグに驚く。

「操作できるか?」
「うーん………無理だな」
「作ったのは俺だが使い方次第では強くも弱くもなる。少し貸してくれ」
「おう」

陸からゲイボルグを受け取るが浮いているゲイボルグは消えなかった。

しばらく咲良はゲイボルグを振ったり魔力を送ったりしながら能力を確かめる。作った本人でも能力がどのように発動するのかなど、実際に確かめなければ詳しくは分からない。
その光景を横で見ている陸は呆れていた。

「はぁ、これが天才ってやつか……俺の時はたった5本、しかも動かせなかったってのに…」

咲良の周りにはゲイボルグが10本分裂して浮いており、それがまるで踊っているかのようにグルグルと回転したり、少し離れたところに飛んで行っては戻ってきたりしている。

「なるほどな…我ながら良い武器を作ったもんだ」

咲良はどうやらゲイボルグの能力をしっかりと把握したようだ。

「まず分裂本数だが、あれは慣れだな。俺は今まで多くの武具を扱ってきた経験があるから10本分裂出来たんだ。そう考えると陸の5本はかなり才能があるって事だ」
「そりゃよかった!」
「分裂数はこれから増やしていけばいい。一番重要なのは分裂したゲイボルグの発現時間の把握と操作だ」
「だよなー。操作はからっきしだからな」
「発現時間は込めた魔力量で変わる。操作は魔力を込めれば操作できる」
「なるほど。どっちにしろ魔力が重要ってことか」
「そうなるな。あとは練習次第だ。今日からしばらくはゲイボルグの修行をしよう。依頼はそれからだ」
「わかった。ひとまず戦闘でも使えるようにならないとな」

それから夜遅くまで咲良も付き添いで修行をした結果、本数は5本と変わらなかったが、発現時間の把握と操作はある程度出来るようになった。
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