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第7章 弟子と神器回収
暁流槍術
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「いい感じだ。かなり魔力操作が板についてきた」
咲良の前には陸が操作して球体の形になった魔力が浮いている。
鍛錬を始めて一週間目が経過して、陸はようやく魔力を体外でもしっかりと操作できるようになった。
やはり魔蔵を把握出来ていることによって鍛錬の成果は著しく上昇するようだ。
「魔力って奥が深いな…やればやるほどその難しさが分かる」
「そりゃそうだ。俺だってマスターしてるとはいえ、使い方次第ではさらに可能性が広がる代物だからな」
「咲良でもか。先はまだまだ長そうだ」
「当たり前だ。でもだからこそ面白いと思わないか?」
「確かにな。やりがいがある」
2人は口角を上げ笑い合う。
「ここで陸に提案だ」
「なんだ?また裏技とか…言うなよ?」
先日味わった激痛を思い出し、顔を引き攣らせながら咲良に投げかける。
「ちげーよ。提案ってのは槍術を学ばないかと言うことだ」
「槍術?」
「あぁ、暁流を剣術ではなく槍術としてな」
「そんなこと出来るのか?」
「当然だ。確かに暁流は剣術だが槍術としても活用は出来るぞ。正当な継承者である俺が言うんだから間違いない」
「あ、いやそうじゃなくてよ」
陸が引っかかっていたのはどうやら違う案件らしい。
「もしかして俺に槍が扱えるのかと思ってるのか?」
「思ってる。だって咲良は剣士だろ」
「そういや陸には言っていなかったな。剣術のみ習得しただけでは暁流継承者の称号は得られないんだ」
「どういうことだ?」
「戦闘においていつも万全というのはあり得ない。自身の得物以外の武器で戦う事もあるだろうし、武器が手元にない場合もあるだろう。そんな状態でも活路を開けるのが暁流だ。つまり、どんな武器でも暁流を自在に使えて初めて称号を得ることが出来る」
「なるほど。なら咲良は槍だけでなくどんな武器も扱えるわけか」
「そういうことだ 」
「すげーな」
咲良の話に陸は改めてその凄まじさを痛感した。
「ならさっそく魔法を切ることができる暁流壱ノ型 魔断を習得してもらう」
そういうと咲良は拡張袋から一本の槍を取り出す。
その槍は持っているだけで火傷しそうな真紅の色で、波打ったような形状をした矛先の根元には三日月状の月牙が両側に2枚付いている。
「それは?」
「紅焔と言う名の神器だ」
「神器かよ…能力も凄そうだな」
「いずれ能力を見せる機会もあるだろうが、今回は槍術を教えるのがメインだ。紅焔は俺が一番使い慣れてるからな。さぁ準備はいいか?」
「もちろんだ!」
咲良は少し離れたところに魔力で球体を作り出すと同時に、紅焔の矛先に魔力と氣を纏わせる。
「しっかり見とけ。これが…暁流壱ノ型 魔断だ!!」
縮地で瞬時に魔力の球体に近づくと、下から斜めに紅焔を振って切り裂いた。
「……すげ…」
一見側から見ると単純な動作に見えるだろうが、その動きには一切の無駄がなく、陸には一種の芸術のように見えた。
「今俺は魔力と氣を纏わせて切った。暁流の型は魔力と氣を組み合わせるものだが、魔力と氣のどちらかだけでも威力は落ちるが再現は可能だ。今の陸には魔力だけでも十分だろう」
「やっぱり魔力と氣の両方を使わないと威力は落ちるのか」
「あぁ。魔力と氣は表裏一体の関係ではあるが、普通は反発し合う。壱ノ型 魔断はその性質を利用して魔法を切り裂くわけだが、片方のみで魔断を使えばどうなると思う?」
「魔法を切ることができない?」
陸は率直な意見を述べるが自信はない。
「いや、切ることはできる」
「ん?なら両方使う必要ないんじゃないか?」
「それがそうでもない。魔法には必ず魔力の流れというものが存在する。核と言ってもいいだろう。もしその流れが断ち切られるとどうなる?」
「魔法を維持できなくなる…とか?」
「その通りだ。魔力と氣を纏わせた魔断は魔法の流れを切ることができる。そうすると切られた魔法は維持ができなくなり消滅する」
「なら片方だけなら?」
「半分には切れても魔法そのものは消滅しない」
「…なんでだ?」
原理はなんとなく分かる陸だが、明確な差がはっきりしない。
「片方だけで切る場合、流れを断ち切るのではなく、流れを変えるだけに留まる」
「それでも十分じゃないのか?」
「例えば炎の魔法を魔力と氣を纏わせた魔断で切れば、炎は消滅するから被害はない。だが片方だけだと切っても炎は二つに割れるだけで消滅はしないからダメージを負う可能性がある」
「なるほど…なら氣を使えないとダメじゃん」
「氣の鍛錬には時間がかかりすぎる。魔力の時と違って裏技なんてないからな。けど魔法を切れるだけでも十分戦闘には活用できるしゲイボルグの切れ味もあがる」
「覚えて損はないわけだ」
「損どころか得しかない。さ、これで説明はひとまず終了だ。まずは感覚でやってみろ」
それから肆ノ型 鬼哭まで順に教えていったがどれも成功とは言い難い完成度だった。やはり暁流はそう易々と扱える代物ではなかった。
しかし、その中でも少なからず成果はあった。
「他の型より比較的参ノ型 嵐戒と肆ノ型 鬼哭は筋がいいな。やはり槍の特性にあった型だからだろうな」
参ノ型 嵐戒は回転。肆ノ型 鬼哭は伸長である。槍は突くことを主体とした武器なのでイメージし易いのだろう。
「陸、嵐戒は魔力を回転させて殺傷力をあげる型だが、魔力を高速回転させるのは陸ではまだ無理だ。だから魔力を使ってゲイボルグ自体を回転させてみろ」
「ゲイボルグ自体をか…なるほど、それなら出来るかも」
陸はゲイボルグを一本だけ分裂させて、それを魔力で回転させようと集中する。
すると、少しずつではあるがゲイボルグが回転し始めた。
「もっとだ。もっと早く回転させないと威力は上がらないぞ」
咲良の指摘を聞いた陸は更に回転を速くしていく。
「よし、多少はマシになったな」
咲良はそう呟くと紅焔を構えて陸に切り掛かる。
「おいっ!…うわっ!」
ギリギリで何とか躱した陸だが、集中が途切れたのか回転していたゲイボルグはコントロールを失いドサッと地に落ちる。
「いきなりなにすんだ!」
「今の陸の欠点がわかったろ?」
「……へっ?」
「回転数は妥協点だが時間がかかりすぎだ。実戦では相手は待ってくれないぞ。移動しながらでも出来るようにならないと意味がない」
「…そうか……って、おい!言いくるめやがって!」
「あれが一番手っ取り早いからな。今後は移動しながら維持出来るようになれ。じゃなきゃ依頼には連れていけない」
「ったくよー。スパルタめ」
陸は愚痴を言いながらもすぐに鍛錬を再開した。陸自身でも咲良の言うことは正しいと分かっているようだ。
それから更に一週間が経過して漸く暁流の型が実戦でも使えるようになってきた。
たった2周間で基本を身につけた陸の才能は大したものであるが、やはり咲良の実践的な教え方や陸に合った修行方法が陸の才能を更に飛躍させたのは言うまでもない。
この期間、咲良は流桜として、陸は〈イマジナリー〉として全く活動しなかったが、そのおかげで陸の実質的な戦力はA級に食い込むまでに至った。しかし、A級としては経験値が低すぎるため、地道にのし上がってA級になった冒険者にはまだ勝てないだろう。
それでも陸にとってこの2週間はとても有意義で楽しい時間であった。
咲良の前には陸が操作して球体の形になった魔力が浮いている。
鍛錬を始めて一週間目が経過して、陸はようやく魔力を体外でもしっかりと操作できるようになった。
やはり魔蔵を把握出来ていることによって鍛錬の成果は著しく上昇するようだ。
「魔力って奥が深いな…やればやるほどその難しさが分かる」
「そりゃそうだ。俺だってマスターしてるとはいえ、使い方次第ではさらに可能性が広がる代物だからな」
「咲良でもか。先はまだまだ長そうだ」
「当たり前だ。でもだからこそ面白いと思わないか?」
「確かにな。やりがいがある」
2人は口角を上げ笑い合う。
「ここで陸に提案だ」
「なんだ?また裏技とか…言うなよ?」
先日味わった激痛を思い出し、顔を引き攣らせながら咲良に投げかける。
「ちげーよ。提案ってのは槍術を学ばないかと言うことだ」
「槍術?」
「あぁ、暁流を剣術ではなく槍術としてな」
「そんなこと出来るのか?」
「当然だ。確かに暁流は剣術だが槍術としても活用は出来るぞ。正当な継承者である俺が言うんだから間違いない」
「あ、いやそうじゃなくてよ」
陸が引っかかっていたのはどうやら違う案件らしい。
「もしかして俺に槍が扱えるのかと思ってるのか?」
「思ってる。だって咲良は剣士だろ」
「そういや陸には言っていなかったな。剣術のみ習得しただけでは暁流継承者の称号は得られないんだ」
「どういうことだ?」
「戦闘においていつも万全というのはあり得ない。自身の得物以外の武器で戦う事もあるだろうし、武器が手元にない場合もあるだろう。そんな状態でも活路を開けるのが暁流だ。つまり、どんな武器でも暁流を自在に使えて初めて称号を得ることが出来る」
「なるほど。なら咲良は槍だけでなくどんな武器も扱えるわけか」
「そういうことだ 」
「すげーな」
咲良の話に陸は改めてその凄まじさを痛感した。
「ならさっそく魔法を切ることができる暁流壱ノ型 魔断を習得してもらう」
そういうと咲良は拡張袋から一本の槍を取り出す。
その槍は持っているだけで火傷しそうな真紅の色で、波打ったような形状をした矛先の根元には三日月状の月牙が両側に2枚付いている。
「それは?」
「紅焔と言う名の神器だ」
「神器かよ…能力も凄そうだな」
「いずれ能力を見せる機会もあるだろうが、今回は槍術を教えるのがメインだ。紅焔は俺が一番使い慣れてるからな。さぁ準備はいいか?」
「もちろんだ!」
咲良は少し離れたところに魔力で球体を作り出すと同時に、紅焔の矛先に魔力と氣を纏わせる。
「しっかり見とけ。これが…暁流壱ノ型 魔断だ!!」
縮地で瞬時に魔力の球体に近づくと、下から斜めに紅焔を振って切り裂いた。
「……すげ…」
一見側から見ると単純な動作に見えるだろうが、その動きには一切の無駄がなく、陸には一種の芸術のように見えた。
「今俺は魔力と氣を纏わせて切った。暁流の型は魔力と氣を組み合わせるものだが、魔力と氣のどちらかだけでも威力は落ちるが再現は可能だ。今の陸には魔力だけでも十分だろう」
「やっぱり魔力と氣の両方を使わないと威力は落ちるのか」
「あぁ。魔力と氣は表裏一体の関係ではあるが、普通は反発し合う。壱ノ型 魔断はその性質を利用して魔法を切り裂くわけだが、片方のみで魔断を使えばどうなると思う?」
「魔法を切ることができない?」
陸は率直な意見を述べるが自信はない。
「いや、切ることはできる」
「ん?なら両方使う必要ないんじゃないか?」
「それがそうでもない。魔法には必ず魔力の流れというものが存在する。核と言ってもいいだろう。もしその流れが断ち切られるとどうなる?」
「魔法を維持できなくなる…とか?」
「その通りだ。魔力と氣を纏わせた魔断は魔法の流れを切ることができる。そうすると切られた魔法は維持ができなくなり消滅する」
「なら片方だけなら?」
「半分には切れても魔法そのものは消滅しない」
「…なんでだ?」
原理はなんとなく分かる陸だが、明確な差がはっきりしない。
「片方だけで切る場合、流れを断ち切るのではなく、流れを変えるだけに留まる」
「それでも十分じゃないのか?」
「例えば炎の魔法を魔力と氣を纏わせた魔断で切れば、炎は消滅するから被害はない。だが片方だけだと切っても炎は二つに割れるだけで消滅はしないからダメージを負う可能性がある」
「なるほど…なら氣を使えないとダメじゃん」
「氣の鍛錬には時間がかかりすぎる。魔力の時と違って裏技なんてないからな。けど魔法を切れるだけでも十分戦闘には活用できるしゲイボルグの切れ味もあがる」
「覚えて損はないわけだ」
「損どころか得しかない。さ、これで説明はひとまず終了だ。まずは感覚でやってみろ」
それから肆ノ型 鬼哭まで順に教えていったがどれも成功とは言い難い完成度だった。やはり暁流はそう易々と扱える代物ではなかった。
しかし、その中でも少なからず成果はあった。
「他の型より比較的参ノ型 嵐戒と肆ノ型 鬼哭は筋がいいな。やはり槍の特性にあった型だからだろうな」
参ノ型 嵐戒は回転。肆ノ型 鬼哭は伸長である。槍は突くことを主体とした武器なのでイメージし易いのだろう。
「陸、嵐戒は魔力を回転させて殺傷力をあげる型だが、魔力を高速回転させるのは陸ではまだ無理だ。だから魔力を使ってゲイボルグ自体を回転させてみろ」
「ゲイボルグ自体をか…なるほど、それなら出来るかも」
陸はゲイボルグを一本だけ分裂させて、それを魔力で回転させようと集中する。
すると、少しずつではあるがゲイボルグが回転し始めた。
「もっとだ。もっと早く回転させないと威力は上がらないぞ」
咲良の指摘を聞いた陸は更に回転を速くしていく。
「よし、多少はマシになったな」
咲良はそう呟くと紅焔を構えて陸に切り掛かる。
「おいっ!…うわっ!」
ギリギリで何とか躱した陸だが、集中が途切れたのか回転していたゲイボルグはコントロールを失いドサッと地に落ちる。
「いきなりなにすんだ!」
「今の陸の欠点がわかったろ?」
「……へっ?」
「回転数は妥協点だが時間がかかりすぎだ。実戦では相手は待ってくれないぞ。移動しながらでも出来るようにならないと意味がない」
「…そうか……って、おい!言いくるめやがって!」
「あれが一番手っ取り早いからな。今後は移動しながら維持出来るようになれ。じゃなきゃ依頼には連れていけない」
「ったくよー。スパルタめ」
陸は愚痴を言いながらもすぐに鍛錬を再開した。陸自身でも咲良の言うことは正しいと分かっているようだ。
それから更に一週間が経過して漸く暁流の型が実戦でも使えるようになってきた。
たった2周間で基本を身につけた陸の才能は大したものであるが、やはり咲良の実践的な教え方や陸に合った修行方法が陸の才能を更に飛躍させたのは言うまでもない。
この期間、咲良は流桜として、陸は〈イマジナリー〉として全く活動しなかったが、そのおかげで陸の実質的な戦力はA級に食い込むまでに至った。しかし、A級としては経験値が低すぎるため、地道にのし上がってA級になった冒険者にはまだ勝てないだろう。
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※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
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