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第10章 異世界人と隠された秘密
第一ノ波
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「戻って来ましたね」
サイモンが険しい表情で呟く。
今咲良達がいるのは奥へと続く通路の分岐点にいる。ここから先は常に魔物との戦闘を余儀なくされるだろう。
「気を引き締めろよ。それと…何があっても脚を止めるな」
「それは…誰かが倒れても…という意味か?」
ハロルドが眉間に皺を寄せながら咲良に問いかける。
「そんな酷な事は言わない。怪我をしても走り続けろという意味だ」
「それこそ酷ではありませんか?」
サイモンは咲良の言い分に異を唱える。
「心配ない。俺が走りながら治療するからな」
「さっき言っていた氣というやつでか?」
「あぁ、氣は攻撃よりも治療に適しているからな。それに俺は魔法医師でもあるからな、治療は任せろ」
「魔法医師って…それは本当ですか?」
マリアはとても驚いた様子で咲良に問いかける。
「それがどうかしたか?」
「魔法医師は医師の中でも特に就くのが困難な職業ですよ。一生を掛けても就けない人が多いというのに…冒険者であり鍛冶師でもあるあなたが就けるとは…驚くなという方が無理です」
「魔法医師がそこまで高い評価を受けているとは認識不足だったな」
「全く…あなたはどこまで私の想像を越えれば気が済むのですか…」
「知るか…じゃあ話も済んだ事だし行くぞ」
ここでモタモタしていても意味は無い。咲良の一言で一同は通路へと足を踏み入れた。
「ふっ!氣斬!………お前ら!ペースが落ちているぞ!」
通路に入って数分後、すぐに魔物に遭遇した一同は咲良のお陰で何とか進む事が出来ていた。しかし、前からも後ろからもS級相当の魔物が襲って来るので必然的に進行速度は落ちる。
「くそっ!前より多いぞ!……ぐぁ!」
奥に進めば進むほど魔物の数は増えていき、遂にハロルドが負傷した。見た所右手を深く切られている様だ。
「ハロルド!前に来い!すぐに治してやる!」
「あぁ…す、すまん」
ハロルドが前に移動し始めると、マリアとクロがそれをカバーする為に動いてくれた。
「大した奴らだ…さぁ腕を出せ」
先頭まで移動したハロルドは走りながら咲良に治療される。その間咲良は右手でハロルドを治療し、左手の氣斬で魔物を屠るという神業をやってのけた。
「すげぇな…こんなに早く治るとは…」
「時間は掛けられない。これも塗っておけ」
咲良は拡張袋から薬草をすり潰した薬が入った小瓶をハロルドに手渡す。
「何でこれを?」
「氣は身体を活性化させて治療するが薬で治るならそれに越した事は無い」
「それもそうか。ならありがたく貰っておく」
ハロルドは小瓶から薬を取り出して傷口に塗布する。
「おぉ…塗った途端に効果が出やがった」
「そりゃ俺が調合した薬だからな。それよりさっさと戻れ」
「おっとすまん…直ぐに戻る」
ハロルドは急いで元の場所へと戻って行った。
その後もハロルドだけでなくサイモンとマリアを何度も治療しながら一同は奥へと進んで行った。クロは自身で治療出来るので問題無いが、まだ氣で他者を治療出来る程器用ではないので咲良の負担は大きかった。
「ふぅ……第一波を抜けたって感じだな」
暫くして一同は魔物の群れを突破し、その先にあった通路が広がった空間で咲良は一息つく。
「そうですね…ですがまだ油断は出来ませんよ」
「分かっている。だが休息も必要だ」
マリアの言い分は最もだが休息が必要な事もまた事実だ。特に氣を消費し続けた咲良とクロは精神的な疲労が溜まっていた。限界という訳ではないが、今後休息を取れるかどうか分からない状況では休める時に休んでおく必要がある。
「それにしても…力ずくで突破したとはいえ魔物が追いかけて来る様子はありませんね。今は好都合ではありますが…」
「確かに…あ!それで咲良くんは第一波と言ったのですね」
「そういう事だ」
マリアの意見を聞いたサイモンが咲良の言葉の意味に気付いて声を上げる。
「近づく者だけを襲い、一定ラインを越えた者は追撃しない…か……まるで力を試されているように感じるな」
「なるほど…それはあり得ますね。強い力を持った者だけ奥に進める様になっているのかもしれません」
マリアが咲良の意見に同調するように言葉を述べる。
「って事はこの先はもっと強い魔物が出てくるって事か?」
「その可能性は高いな」
「マジかよ…こりゃ一層気を引き締めなきゃならんな」
「咲良…この先はやっぱり私達足手纏いなんじゃ…」
ハロルドの言葉で不安が募ったソフィは咲良に率直な意見を述べる。
「正直な所…キツイかも知れないな。だがソフィ達が必要になる時は必ず来る…そんな気がする」
「それって…」
「あぁ、唯の勘だ。けど知っているだろ?俺の勘はよく当たる」
咲良は別に嘘を言った訳では無く、本当にソフィ達が必要な気がするのだ。確証はないが今はソフィを勇気付ける為に敢えて口にした。
「だから今はしっかり休んで英気を養え」
「うん!」
ソフィは気持ちを切り替えることが出来た様で咲良は一安心した。
戦闘において気持ちはとても重要であり、パフォーマンスに多大なる影響を与える。咲良ほどになれば戦闘をしながら考え事をする事も可能だが、ソフィの様にまだ戦闘に慣れていない者は考え事など雑念でしかない。
ここでの休息は一同にとって肉体的だけでなく精神的にも大きな影響を与える大事な時間となったようだ。
サイモンが険しい表情で呟く。
今咲良達がいるのは奥へと続く通路の分岐点にいる。ここから先は常に魔物との戦闘を余儀なくされるだろう。
「気を引き締めろよ。それと…何があっても脚を止めるな」
「それは…誰かが倒れても…という意味か?」
ハロルドが眉間に皺を寄せながら咲良に問いかける。
「そんな酷な事は言わない。怪我をしても走り続けろという意味だ」
「それこそ酷ではありませんか?」
サイモンは咲良の言い分に異を唱える。
「心配ない。俺が走りながら治療するからな」
「さっき言っていた氣というやつでか?」
「あぁ、氣は攻撃よりも治療に適しているからな。それに俺は魔法医師でもあるからな、治療は任せろ」
「魔法医師って…それは本当ですか?」
マリアはとても驚いた様子で咲良に問いかける。
「それがどうかしたか?」
「魔法医師は医師の中でも特に就くのが困難な職業ですよ。一生を掛けても就けない人が多いというのに…冒険者であり鍛冶師でもあるあなたが就けるとは…驚くなという方が無理です」
「魔法医師がそこまで高い評価を受けているとは認識不足だったな」
「全く…あなたはどこまで私の想像を越えれば気が済むのですか…」
「知るか…じゃあ話も済んだ事だし行くぞ」
ここでモタモタしていても意味は無い。咲良の一言で一同は通路へと足を踏み入れた。
「ふっ!氣斬!………お前ら!ペースが落ちているぞ!」
通路に入って数分後、すぐに魔物に遭遇した一同は咲良のお陰で何とか進む事が出来ていた。しかし、前からも後ろからもS級相当の魔物が襲って来るので必然的に進行速度は落ちる。
「くそっ!前より多いぞ!……ぐぁ!」
奥に進めば進むほど魔物の数は増えていき、遂にハロルドが負傷した。見た所右手を深く切られている様だ。
「ハロルド!前に来い!すぐに治してやる!」
「あぁ…す、すまん」
ハロルドが前に移動し始めると、マリアとクロがそれをカバーする為に動いてくれた。
「大した奴らだ…さぁ腕を出せ」
先頭まで移動したハロルドは走りながら咲良に治療される。その間咲良は右手でハロルドを治療し、左手の氣斬で魔物を屠るという神業をやってのけた。
「すげぇな…こんなに早く治るとは…」
「時間は掛けられない。これも塗っておけ」
咲良は拡張袋から薬草をすり潰した薬が入った小瓶をハロルドに手渡す。
「何でこれを?」
「氣は身体を活性化させて治療するが薬で治るならそれに越した事は無い」
「それもそうか。ならありがたく貰っておく」
ハロルドは小瓶から薬を取り出して傷口に塗布する。
「おぉ…塗った途端に効果が出やがった」
「そりゃ俺が調合した薬だからな。それよりさっさと戻れ」
「おっとすまん…直ぐに戻る」
ハロルドは急いで元の場所へと戻って行った。
その後もハロルドだけでなくサイモンとマリアを何度も治療しながら一同は奥へと進んで行った。クロは自身で治療出来るので問題無いが、まだ氣で他者を治療出来る程器用ではないので咲良の負担は大きかった。
「ふぅ……第一波を抜けたって感じだな」
暫くして一同は魔物の群れを突破し、その先にあった通路が広がった空間で咲良は一息つく。
「そうですね…ですがまだ油断は出来ませんよ」
「分かっている。だが休息も必要だ」
マリアの言い分は最もだが休息が必要な事もまた事実だ。特に氣を消費し続けた咲良とクロは精神的な疲労が溜まっていた。限界という訳ではないが、今後休息を取れるかどうか分からない状況では休める時に休んでおく必要がある。
「それにしても…力ずくで突破したとはいえ魔物が追いかけて来る様子はありませんね。今は好都合ではありますが…」
「確かに…あ!それで咲良くんは第一波と言ったのですね」
「そういう事だ」
マリアの意見を聞いたサイモンが咲良の言葉の意味に気付いて声を上げる。
「近づく者だけを襲い、一定ラインを越えた者は追撃しない…か……まるで力を試されているように感じるな」
「なるほど…それはあり得ますね。強い力を持った者だけ奥に進める様になっているのかもしれません」
マリアが咲良の意見に同調するように言葉を述べる。
「って事はこの先はもっと強い魔物が出てくるって事か?」
「その可能性は高いな」
「マジかよ…こりゃ一層気を引き締めなきゃならんな」
「咲良…この先はやっぱり私達足手纏いなんじゃ…」
ハロルドの言葉で不安が募ったソフィは咲良に率直な意見を述べる。
「正直な所…キツイかも知れないな。だがソフィ達が必要になる時は必ず来る…そんな気がする」
「それって…」
「あぁ、唯の勘だ。けど知っているだろ?俺の勘はよく当たる」
咲良は別に嘘を言った訳では無く、本当にソフィ達が必要な気がするのだ。確証はないが今はソフィを勇気付ける為に敢えて口にした。
「だから今はしっかり休んで英気を養え」
「うん!」
ソフィは気持ちを切り替えることが出来た様で咲良は一安心した。
戦闘において気持ちはとても重要であり、パフォーマンスに多大なる影響を与える。咲良ほどになれば戦闘をしながら考え事をする事も可能だが、ソフィの様にまだ戦闘に慣れていない者は考え事など雑念でしかない。
ここでの休息は一同にとって肉体的だけでなく精神的にも大きな影響を与える大事な時間となったようだ。
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